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第86話:聖女の告白
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リリアナが去った後も、ゼノンはしばらくの間、執務室の椅子から動けなかった。
彼の頭の中は生まれて初めて経験する、完全なカオス状態に陥っていた。
聖女からの愛の告白。
それは彼がこれまで対峙してきた、いかなる問題とも次元が違っていた。
財政赤字にはコストカットと新たな歳入源の確保という、明確な解決策がある。
戦争には情報と兵站と技術力という、勝利への方程式がある。
だが、恋愛はどうだ。
そこには何の公式も法則も存在しない。
インプットされるのは曖昧で移ろいやすい、『感情』という名のノイズだらけのデータ。
そしてアウトプットされる結果は全く予測不能。
(……無理だ)
ゼノンは静かに結論付けた。
(……俺の処理能力を完全に超えている)
彼はコンサルタントとして常に、あらゆる問題を分析し、分解し、理解してきた。
だが、この『恋愛』という現象だけは、彼のいかなる分析ツールをもってしても、その本質を掴むことができなかった。
それは彼の合理的な世界観の中に存在する、唯一のブラックボックスだった。
コンコン、と執務室の扉が控えめにノックされた。
「ゼノン様、グレイです。……そろそろ夕食のお時間ですが」
「……入れ」
力のない声で答えると、忠実な従者が静かに入室してきた。
グレイは主君のいつもとは明らかに違う、憔悴しきった様子を見て、驚いたように目を見開いた。
「ゼノン様!? いかがなさいました! お顔の色が優れませんが……!」
「……グレイ」
ゼノンは顔を上げ、すがるような目でグレイを見た。
「……お前に一つ聞きたいことがある」
「はっ! 何なりと!」
「……お前は『恋愛』というものを、どう定義する?」
そのあまりにも突拍子のない質問。
グレイは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに真剣な表情で考え込んだ。
そして彼は騎士らしく実直に、そして少し照れながら答えた。
「……れ、恋愛でございますか。……それはおそらく、誰か特定のお方をお守りしたい、幸せにしたいと心の底から願う、気高い感情のことではないでしょうか。……己の全てを捧げても惜しくはないと思えるような……」
(……駄目だ。こいつも非合理の塊だった)
ゼノンは内心深く絶望した。
『気高い感情』? 『全てを捧げる』?
定義があまりに曖昧すぎる。何の参考にもならない。
「……そうか。分かった。もういい」
ゼノンが力なく手を振ると、グレイはますます心配そうな顔で主君を見つめた。
(ゼノン様……。一体何が。……まさか、先ほどの聖女様との会談で何かあったのでは……?)
グレイの鋭い(そして大抵見当違いの方向に鋭い)勘が何かを察知し始めていた。
その夜、ゼノンは珍しく夕食がほとんど喉を通らなかった。
彼は自室に戻ると一枚の羊皮紙を取り出し、ペンを握った。
そして、彼らしいやり方でこの未曾有の難問に立ち向かうことを決めた。
すなわち、『分析』である。
彼は羊皮紙の中央に一本の線を引いた。
そして左側に、『聖女リリアナと恋愛関係になることのメリット』、右側に『デメリット』と書き込んだ。
SWOT分析の応用だった。
まずメリットからだ。
ゼノンは腕を組み、必死に頭を捻った。
メリット……。メリット……。
【メリット】
1. 聖女との婚姻による政治的安定。教会との関係がより強固になり、民衆からの支持も盤石になる。これは国家運営において大きなプラス要因だ。
2. 彼女の治癒能力の独占。俺個人の健康管理、及び不慮の事故へのリスクヘッジとして極めて有効。
3. ……彼女が淹れる紅茶は、俺のパフォーマンスを低下させるが、味自体は悪くない。
4. ……彼女の笑顔は……。
ゼノンのペンがそこでぴたりと止まった。
(……笑顔? 笑顔に何のメリットがあるというのだ。非合理的だ。削除だ)
彼は慌てて四番目の項目をインクで塗りつぶした。
次にデメリット。
こちらは考えるまでもなく、スラスラとペンが進んだ。
【デメリット】
1. 時間的コストの増大。デート、記念日、その他無意味なイベントに膨大な時間を浪費させられる可能性が高い。
2. 金銭的コストの増大。贈り物、豪華な食事など非生産的な支出が増加する。
3. 精神的コストの増大。感情のすれ違い、嫉妬、喧嘩など予測不能な非合理的イベントの発生確率が極めて高い。
4. 合理的思考の阻害。恋愛感情は脳内の化学物質のバランスを乱し、冷静な判断力を著しく低下させるリスクを伴う。
5. ……以下、百項目、省略。
書き出されたリストを見て、ゼノンは改めて深くため息をついた。
どう考えてもデメリットの方が圧倒的に大きい。
結論は明白だった。
この提案は却下すべきだ。
それが最も合理的な判断だ。
(……よし、決まった)
彼は頷いた。
(明日、彼女に会ったら、この分析結果を冷静に、そして論理的に説明しよう。そうすれば彼女も納得するはずだ。……いや、待て)
ゼノンの脳裏にこれまでのリリアナとの会話が蘇った。
彼の完璧なロジックが彼女に一度でも通じたことがあっただろうか。
いや、ない。
それどころか、常に彼の想像の斜め上を行く超絶解釈によって捻じ曲げられてきたではないか。
もし俺が、「君との関係はデメリットが大きいので却下する」と言ったら、彼女はきっとこう解釈するだろう。
(……ああ、私に迷惑をかけたくないという、彼なりの究極の優しさなのね……! なんて不器用で愛しい人……!)
(……駄目だ。詰んでいる)
ゼノンは完全に手詰まりであることを悟った。
論理で説得することもできない。
かといってこのまま放置すれば、勘違いがさらに加速するだけだ。
彼の人生最大の難問。
それは、いかなる帝国軍よりも、いかなる守旧派貴族よりも手強く、そして厄介だった。
その夜、ゼノンは生まれて初めて眠れぬ夜を過ごした。
彼の完璧に管理された脳が、一つの非合理な問題によって完全にオーバーヒートしていた。
窓の外では静かな月が王都を照らしている。
その静寂が、彼の混乱した心をさらに際立たせるかのようだった。
合理主義者の長い長い苦悩の夜は、まだ始まったばかりだった。
彼の頭の中は生まれて初めて経験する、完全なカオス状態に陥っていた。
聖女からの愛の告白。
それは彼がこれまで対峙してきた、いかなる問題とも次元が違っていた。
財政赤字にはコストカットと新たな歳入源の確保という、明確な解決策がある。
戦争には情報と兵站と技術力という、勝利への方程式がある。
だが、恋愛はどうだ。
そこには何の公式も法則も存在しない。
インプットされるのは曖昧で移ろいやすい、『感情』という名のノイズだらけのデータ。
そしてアウトプットされる結果は全く予測不能。
(……無理だ)
ゼノンは静かに結論付けた。
(……俺の処理能力を完全に超えている)
彼はコンサルタントとして常に、あらゆる問題を分析し、分解し、理解してきた。
だが、この『恋愛』という現象だけは、彼のいかなる分析ツールをもってしても、その本質を掴むことができなかった。
それは彼の合理的な世界観の中に存在する、唯一のブラックボックスだった。
コンコン、と執務室の扉が控えめにノックされた。
「ゼノン様、グレイです。……そろそろ夕食のお時間ですが」
「……入れ」
力のない声で答えると、忠実な従者が静かに入室してきた。
グレイは主君のいつもとは明らかに違う、憔悴しきった様子を見て、驚いたように目を見開いた。
「ゼノン様!? いかがなさいました! お顔の色が優れませんが……!」
「……グレイ」
ゼノンは顔を上げ、すがるような目でグレイを見た。
「……お前に一つ聞きたいことがある」
「はっ! 何なりと!」
「……お前は『恋愛』というものを、どう定義する?」
そのあまりにも突拍子のない質問。
グレイは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに真剣な表情で考え込んだ。
そして彼は騎士らしく実直に、そして少し照れながら答えた。
「……れ、恋愛でございますか。……それはおそらく、誰か特定のお方をお守りしたい、幸せにしたいと心の底から願う、気高い感情のことではないでしょうか。……己の全てを捧げても惜しくはないと思えるような……」
(……駄目だ。こいつも非合理の塊だった)
ゼノンは内心深く絶望した。
『気高い感情』? 『全てを捧げる』?
定義があまりに曖昧すぎる。何の参考にもならない。
「……そうか。分かった。もういい」
ゼノンが力なく手を振ると、グレイはますます心配そうな顔で主君を見つめた。
(ゼノン様……。一体何が。……まさか、先ほどの聖女様との会談で何かあったのでは……?)
グレイの鋭い(そして大抵見当違いの方向に鋭い)勘が何かを察知し始めていた。
その夜、ゼノンは珍しく夕食がほとんど喉を通らなかった。
彼は自室に戻ると一枚の羊皮紙を取り出し、ペンを握った。
そして、彼らしいやり方でこの未曾有の難問に立ち向かうことを決めた。
すなわち、『分析』である。
彼は羊皮紙の中央に一本の線を引いた。
そして左側に、『聖女リリアナと恋愛関係になることのメリット』、右側に『デメリット』と書き込んだ。
SWOT分析の応用だった。
まずメリットからだ。
ゼノンは腕を組み、必死に頭を捻った。
メリット……。メリット……。
【メリット】
1. 聖女との婚姻による政治的安定。教会との関係がより強固になり、民衆からの支持も盤石になる。これは国家運営において大きなプラス要因だ。
2. 彼女の治癒能力の独占。俺個人の健康管理、及び不慮の事故へのリスクヘッジとして極めて有効。
3. ……彼女が淹れる紅茶は、俺のパフォーマンスを低下させるが、味自体は悪くない。
4. ……彼女の笑顔は……。
ゼノンのペンがそこでぴたりと止まった。
(……笑顔? 笑顔に何のメリットがあるというのだ。非合理的だ。削除だ)
彼は慌てて四番目の項目をインクで塗りつぶした。
次にデメリット。
こちらは考えるまでもなく、スラスラとペンが進んだ。
【デメリット】
1. 時間的コストの増大。デート、記念日、その他無意味なイベントに膨大な時間を浪費させられる可能性が高い。
2. 金銭的コストの増大。贈り物、豪華な食事など非生産的な支出が増加する。
3. 精神的コストの増大。感情のすれ違い、嫉妬、喧嘩など予測不能な非合理的イベントの発生確率が極めて高い。
4. 合理的思考の阻害。恋愛感情は脳内の化学物質のバランスを乱し、冷静な判断力を著しく低下させるリスクを伴う。
5. ……以下、百項目、省略。
書き出されたリストを見て、ゼノンは改めて深くため息をついた。
どう考えてもデメリットの方が圧倒的に大きい。
結論は明白だった。
この提案は却下すべきだ。
それが最も合理的な判断だ。
(……よし、決まった)
彼は頷いた。
(明日、彼女に会ったら、この分析結果を冷静に、そして論理的に説明しよう。そうすれば彼女も納得するはずだ。……いや、待て)
ゼノンの脳裏にこれまでのリリアナとの会話が蘇った。
彼の完璧なロジックが彼女に一度でも通じたことがあっただろうか。
いや、ない。
それどころか、常に彼の想像の斜め上を行く超絶解釈によって捻じ曲げられてきたではないか。
もし俺が、「君との関係はデメリットが大きいので却下する」と言ったら、彼女はきっとこう解釈するだろう。
(……ああ、私に迷惑をかけたくないという、彼なりの究極の優しさなのね……! なんて不器用で愛しい人……!)
(……駄目だ。詰んでいる)
ゼノンは完全に手詰まりであることを悟った。
論理で説得することもできない。
かといってこのまま放置すれば、勘違いがさらに加速するだけだ。
彼の人生最大の難問。
それは、いかなる帝国軍よりも、いかなる守旧派貴族よりも手強く、そして厄介だった。
その夜、ゼノンは生まれて初めて眠れぬ夜を過ごした。
彼の完璧に管理された脳が、一つの非合理な問題によって完全にオーバーヒートしていた。
窓の外では静かな月が王都を照らしている。
その静寂が、彼の混乱した心をさらに際立たせるかのようだった。
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