レベル1の死に戻り英雄譚 ~追放された俺の【やりなおし】スキルは、死ぬほど強くなる~

夏見ナイ

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第53話:四人目の仲間

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黒狼団のアジトは、夜が明ける頃には完全に鎮圧されていた。生き残った盗賊たちはヴォルフによって縛り上げられ、街の衛兵に引き渡されることになった。リーダーの男は、俺によって両腕を砕かれた後、恐怖のあまり精神に異常をきたしたらしい。自業自得だった。

俺たちはエリナを保護し、鉱山都市グランツへと戻った。彼女の体には目立った外傷はなく、数日間監禁されていたことによる衰弱が見られるだけだった。シルフィリアが栄養補給と精神安定の魔法をかけると、彼女の顔色もずいぶんと良くなった。

街に戻ると、俺たちの行動はすぐに住民たちの知るところとなった。ワイバーン討伐に続き、悪名高い盗賊団まで壊滅させた俺たちは、もはや救国の英雄のような扱いだった。

「エリナ、だったな。よくぞご無事で。カイルたちが間に合って本当によかった」

老ドワーフの鍛冶屋の主人が、温かいスープを差し出しながらエリナに優しく声をかけた。街の人々は、エリナのことも温かく迎え入れてくれた。

俺たちは、ヴォルフの大剣が完成するまでの間、街で一番良い宿屋の一室を借りてエリナの回復を待つことにした。

その夜、宿屋の部屋で俺たち四人はテーブルを囲んでいた。
エリナは少し緊張した面持ちでシルフィリアとヴォルフに向き直ると、改めて深々と頭を下げた。

「あの……シルフィリアさん、ヴォルフさん。今回は本当にありがとうございました。お二人がいなければ、カイル君も私もどうなっていたか……」
「礼ならカイルに言いなさい。私たちは、この馬鹿なリーダーに従っただけよ」

シルフィリアはいつもの調子でそっけなく言うが、その口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。

「がっはっは! 気にすんな、嬢ちゃん! 大将の大事な幼馴染は、俺たちにとっても大事な仲間だ!」

ヴォルフは豪快に笑い、エリナの肩をばんばんと叩いた。そのあまりの力強さに、エリナは少しよろめいている。

「……ありがとうございます」

エリナははにかむように微笑んだ。
そして、彼女は少し躊躇いながらも俺に視線を向けた。

「カイル君……。私、ずっと聞きたかったの。あなたが追放された後、一体何があったの? どうして、あんなに強く……」

その問いに、シルフィリアとヴォルフも興味深そうに耳を澄ませる。
俺は、もう隠すことは何もないと判断した。

俺は静かに語り始めた。
追放された夜のこと。ゴブリンに殺され、スキル『やりなおし』の真価に目覚めたこと。死を繰り返すことでステータスを上げてきたこと。シルフィリアやヴォルフと出会い、仲間になったこと。その全てを。

エリナは息を呑みながら俺の話に聞き入っていた。俺がどれほどの苦痛と孤独を乗り越えてきたのかを想像し、その瞳はみるみるうちに涙で潤んでいく。

「そんな……。そんな辛い思いを……一人で……」
「だが、そのおかげで俺は強くなれた。お前を助けることもできた。だから後悔はしていない」

俺がそう言うと、彼女は首を横に振った。

「ううん。あなたは一人じゃない。もう一人じゃないんだよ」

彼女の言葉に、俺は静かに頷いた。
そうだ。俺にはもうこの頼もしい仲間たちがいる。

話を聞き終えたエリナは、覚悟を決めたようにすっと背筋を伸ばした。そして、俺たち三人をまっすぐに見つめ、はっきりとした口調で言った。

「……お願いします! 私を、あなたたちのパーティに加えてください!」

その言葉は、俺にとって予想外のものではなかった。だが、彼女自身の口からこれほど強い意志と共に聞くことになるとは思っていなかった。

「……いいのか、エリナ。俺たちの旅は危険だ。お前が今まで経験してきた冒険とは訳が違う」
「分かっています。でも、私はもう決めたの。もう誰かに守られるだけの自分ではいたくない。今度は私がみんなを、カイル君を、この力で守りたい」

彼女は自分の胸にそっと手を当てた。その手からは神官としての清らかで温かい聖なる光が、かすかに溢れ出している。

「それに……」と、彼女は少し頬を赤らめた。「私はもうカイル君の側を離れたくないから」

その言葉に、シルフィリアがぴくりと反応し、少しだけ不機嫌そうに鼻を鳴らした。

俺は仲間たちの方を見た。
シルフィリアは、やれやれといった表情で肩をすくめている。
「……別に私は構わないわよ。ヒーラーがいるに越したことはないし。ただし、足手まといになったら容赦なく置いていくから、そのつもりでいなさい」
ツンデレなりの歓迎の言葉だった。

ヴォルフは、満面の笑みで親指を立てて見せた。
「がっはっは! 大歓迎だぜ! これでパーティの華やかさがさらに増すってもんだ! よろしくな、エリナ!」

仲間たちは二人とも彼女を受け入れた。
残るは俺の答えだけだ。

俺はエリナのまっすぐな瞳を見つめ返した。
そこには、かつてのような気弱さや迷いはなかった。あるのは俺たちと共に歩むという、揺るぎない覚悟だけだ。

「……分かった」

俺は静かに頷いた。

「ようこそ、俺たちのパーティへ。エリナ」

その言葉に、エリナの顔がぱあっと太陽のように輝いた。
「……! はいっ!」

彼女は感極まったように涙を浮かべながら、最高の笑顔で頷いた。
こうして、俺のパーティに四人目の仲間が加わった。

神官、エリナ・メイフィールド。
彼女の加入によって俺たちのパーティは、攻撃、防御、魔法、そして回復という完璧なバランスを手に入れた。

だがそれ以上に、彼女の存在は俺たちのパーティに何物にも代えがたい温かさと安らぎをもたらしてくれることになる。

追放から始まった俺の孤独な旅は、今、最高の仲間たちと共に新たなステージへと進もうとしていた。
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