【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ

文字の大きさ
80 / 101

第80話 「神の使徒」

黒崎の口から放たれた『神を名乗る化け物』という言葉は、ブリーフィングルームの空気を氷点下まで凍てつかせた。これまで最強を自負してきたトップランカーたちが、初めて聞く、理解の範疇を超えた存在。

「……神、だと?」
獣人のSランク探索者が、低い唸り声と共に問い質した。
「ふざけるな、黒崎。我らとて、神話級の魔物は幾度となく屠ってきた。それが、一体どれほどのものだというのだ」

「お前たちが屠ってきたのは、神話の名を冠しただけの、ただの強い『獣』だ」
黒崎は、その言葉を冷たく切り捨てた。
「奴らは違う。奴らは、我々と同じ土俵にすら立っていない。我々が物理法則というルールの中で戦っているのだとすれば、奴らは、そのルールそのものを創り、書き換える存在だ」

防衛大臣が、重い口調で補足する。
「我々は、奴らを『神の使徒』とコードネームで呼んでいる。そして、我々は、すでに一度、その一体と接触し、そして……敗北している」

スクリーンに、新たな資料が映し出された。
それは、五年前、南米大陸から忽然と姿を消した、小国の衛星写真だった。表向きは、大規模な火山活動と地殻変動によって、国土の大部分が海に沈んだと報道されていた事件。

「……これは、天災ではなかったのか」
誰かが、絞り出すように呟いた。

「違う」
防衛大臣は、きっぱりと否定した。
「この国が消滅した原因は、たった一体の『神の使徒』の、降臨だ」
スクリーンに、当時の軍事衛星が捉えた、断片的な映像が流れる。
国の中心に開いた巨大なダンジョンの穴から、光り輝く人型の何かがゆっくりと降臨する様子。
それに対し、国の軍隊が総攻撃をかける。戦闘機がミサイルを放ち、戦車が砲弾を撃ち込む。だが、その全てが、使徒の身体に届く前に、まるで光の中に溶けるように消滅していく。
映像の最後には、使徒が、ただ天に手をかざしただけで、大地が裂け、巨大な津波が都市を飲み込み、国土そのものが崩壊していく、悪夢のような光景が記録されていた。

「当時の戦闘記録によれば、その場に居合わせたAランク探索者パーティーも、為す術なく、一瞬で蒸発したとある」
防​​衛大臣の言葉が、とどめとなった。
Aランクパーティー。それは、ここにいる誰もが、その強さと尊さを知っている存在だ。それが、抵抗すらできずに消滅した。

「奴らは、一体一体が、異なる『権能』を持つ」
黒崎が、絶望的な解説を続けた。
「ある者は、空間を断絶させる。ある者は、時間を停止させる。そして、先ほどの映像の個体は、おそらく、重力そのものを支配する権能を持っていたのだろう。物理的な攻撃など、そもそも届くはずがない」

空間、時間、重力。
それは、もはや戦闘能力の話ではない。世界の理そのものだ。
トップランカーたちの間に、初めて明確な『諦め』の空気が広がった。これまで築き上げてきた自分たちの力が、自信が、あまりにも矮小で、無力なものに思えた。

「……そんなものに、どうやって勝てと……」
リョウが、顔を覆ってうずくまる。
シオンもまた、自分の刀を握りしめながら、その刃が、果たして『時間』や『空間』を斬ることができるのか、という根源的な問いに、答えを見つけられずにいた。

健太は、黙って自分の掌を見つめていた。
重力を、収納した。
沈黙を、収納した。
死という事象すら、限定的に、収納した。
黒崎が、なぜ自分に注目し、『現実改変』の力があると言ったのか。その意味を、今、骨の髄まで理解した。
自分のスキルは、あるいは、この理不尽な『権能』に対抗しうる、唯一の可能性なのかもしれない。だが、その力はあまりにも未熟で、あまりにも危険すぎた。

「そうだ。普通に考えれば、勝ち目はない」
黒崎は、そんな絶望の空気を、肯定するかのように言った。
「だからこそ、ここにいる。お前たちのような、常識から外れた力を持つ『イレギュラー』が、必要になる」
彼の視線が、健太を、そして、それぞれのユニークスキルを持つ他のトップランカーたちを、射抜くように見据えた。
「これは、ただの防衛戦ではない。人類の存亡を懸けた、神殺しの戦争だ。その覚悟なき者は、今すぐここから立ち去れ。誰も、責めはしない」

黒崎の言葉に、しかし、誰一人として席を立つ者はいなかった。
彼らは、確かに絶望した。だが、同時に、彼らは、この国を守る最後の砦であるという、強烈なプライドと自負を持つ、最強の戦士たちでもあった。
逃げるという選択肢は、彼らの魂に、もとより存在しなかった。
感想 5

あなたにおすすめの小説

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。