【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ

文字の大きさ
94 / 101

第94話 仲間の勝利

時が止まった亜空間の中、第二の使徒「時間」は、その絶対的な権能を奪われ、ただの精巧な機械人形と化していた。その周囲を、人類最強の戦士たち――アークナイツが、静かな、しかし確実な殺意を持って包囲している。

最初に動いたのは、シオンだった。
「お前のせいで……!」
その呟きと共に、彼女の身体は、閃光となって地を蹴った。
彼女の刃が、嵐のように煌めき、迫りくる歯車を、一つ残らず切り裂き、弾き飛ばしていく。そして、無防備になった使徒の胴体、その巨大な砂時計の部分に、仲間たちの想いを乗せた、渾身の一撃を叩き込んだ。
パリン! という甲高い音と共に、砂時計に亀裂が走り、中から時の砂が、輝きを失って流れ落ちていく。

「――我らの仲間(とも)の覚悟、無駄にはせん!」
次に吼えたのは、獅子王ガイオンだった。彼は、巨大な戦斧に全身全霊の力を込め、使徒の脚部を狙ってそれを振り下ろした。
ゴッ、という地響きのような轟音。使徒の足が、根元から砕け散り、その巨体が大きくバランスを崩す。

「凍てつきなさい、時の亡霊!」
氷の女王レイカが、その好機を逃さない。彼女の作り出した絶対零度の吹雪が、体勢を崩した使徒の全身を覆い、その動きを、物理的に封じ込めていく。

そして、それは、人類による総反撃の狼煙となった。
「今だ! 全員、撃てえええっ!」
誰かが叫んだ。
アークナイツのメンバー全員が、持てる力の全てを、氷漬けになった使徒の一点へと叩き込んだ。
炎の槍が、雷の矢が、聖なる光が、物理的な斬撃が、無数のスキルが、一つの巨大な破壊の奔流となって、使徒へと殺到する。
それは、人類の、ささやかな、しかし決して折れることのない、希望の総攻撃だった。

「――終わりだ」
最後に、深手を負った黒崎が、静かに前に出た。
彼は、その黒い刀に、残された全ての闘気を凝縮させる。
狙うは、ただ一点。使徒の顔、その動きを止めた時計盤の中心。

黒崎の刃が、閃いた。
それは、空間そのものを切り裂くような、絶対的な一撃。
時計盤は、何の抵抗もできずに、中央から真っ二つに断ち割られた。

キイイイイン……という、甲高い断末魔のような金属音が響き渡る。
第二の使徒「時間」の身体が、内側から眩い光を放ち、やがて、その機械仕掛けの身体は、塵となって、亜空間の闇へと消えていった。

勝利。
二体目の使徒を、人類は、確かに打ち破った。

だが、その瞬間だった。
この亜空間を、たった一人で維持していた健太の精神が、ついに限界を超えた。
「……ぐ……っ」
彼の身体が、陽炎のように、さらに希薄になる。
亜空間が、悲鳴を上げた。天井が崩れ、床が裂け、この世界そのものが、崩壊を始めたのだ。
「まずい! ここも持たん! 全員、撤退!」
黒崎の叫びと共に、アークナイツのメンバーは、現実世界へと繋がる出口へと殺到した。

シオンは、意識のない健太を、そして、医療班によって担架で運ばれるリョウを、必死の形相で見守っていた。
リョウの傷は、深い。シオンの応急処置がなければ、即死していてもおかしくなかった。
そして、健太の状態は、それ以上に深刻だった。彼の身体は、半ば透け、存在そのものが、この世界から消えかかっている。

やがて、亜空間は完全に崩壊し、彼らは再び、東京の荒廃した街並みへと戻された。
止まっていた時間が、再び動き出す。
遠くで、仲間たちの勝利の歓声が、再び聞こえ始めた。

だが、英雄たちの間に、喜びはなかった。
重傷を負った斥候。
存在が消えかけている、パーティーの頭脳。
そして、誰もが、疲弊しきっていた。
勝利の代償は、あまりにも大きかった。

シオンは、健太の冷たい手を、ただ握りしめることしかできなかった。
その時、黒崎が、苦々しい表情で、空を見上げた。
「……まだだ」

彼の視線の先。
東京上空に浮かぶ『神の門』は、二体の使徒を失ったにもかかわらず、閉じる気配を一切見せない。
それどころか、これまでとは比較にならない、禍々しく、そして絶望的なまでに巨大なプレッシャーが、門の奥から、ゆっくりと、しかし確実に、この世界へと溢れ出し始めていた。
それは、王の威圧だった。
感想 5

あなたにおすすめの小説

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。