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第六十五話:アヴァロン、傾く
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天を突く、巨大な、エーテルの奔流。
僕が引き起こした、地殻の深淵からのエネルギーの解放は、この戦場の全てを、一変させた。
大地は、激しく揺れ続け、空からは、エーテルが凝縮してできた、光の雨が降り注ぐ。
それは、もはや、プレイヤー同士の戦闘など、些末なことだと思わせるほどの、圧倒的な、天変地異の光景だった。
「ひ、ひるむな! 敵は、リクただ一人だ! ヤツを、止めろ!」
親衛隊の隊長が、必死に、檄を飛ばす。
だが、その声は、虚しく、轟音にかき消されていった。
彼らの足元は、もはや、安定した大地ではない。いつ、亀裂が走り、マグマが噴き出しても、おかしくはない、極めて、危険な場所へと、変わっていたのだ。
連合軍の、仲間たちは、この状況を、好機と見た。
「今だ! 敵は、混乱している! 一気に、叩くぞ!」
ゴードンを、先頭に、僕を守っていた、円陣が、反撃の、陣形へと、切り替わる。
戦況は、一転した。
だが、僕の目は、もはや、地上の戦いには、向いていなかった。
僕の、視線は、ただ一点。
遥か、上空。
雲の上に、浮かぶ、あの、白亜の城。
僕の、この、最後の一手が、あの、傲慢な王の、玉座に、届くのかどうか。
その、答えを、僕は、固唾を飲んで、見守っていた。
天空要塞《アヴァロン》。
その、玉座の間で、カイザーは、自らの、足元から、突き上げてくる、激しい揺れに、耐えていた。
彼の、完璧な、顔貌から、初めて、血の気が、引いていた。
「……馬鹿な」
彼の、視界の、全てを、埋め尽くすように、無数の、赤い、警告メッセージが、明滅を、繰り返していた。
【警告:浮遊システム、エラー。共鳴対象(エーテル源)からの、信号を、ロストしました】
【警告:エーテル流、供給、完全停止。浮遊石の、エネルギー残量、急激に、低下中】
【警告:船体バランス、制御不能。高度、維持限界】
【CRITICAL_ERROR:SYSTEM_SHUTDOWN_SEQUENCE... INITIATED】
彼が、信じてきた、絶対的な、はずの、古代文明の、テクノロジー。
それが、今、悲鳴を上げ、その機能を、停止しようとしている。
リクという、たった一人の、地質学者が、遥か、地上の、彼が、全く、意に介していなかった、場所から、放った、一撃によって。
「……ありえない」
カイザーの、口から、絞り出すような、声が、漏れた。
「フィールドの、外側から……? 間接的な、地形操作、だと……? そんなこと、この世界の、どんな、法則にも、書かれてはいなかった……!」
彼の、常識が、彼の、理解が、彼の、築き上げてきた、全ての、知識が。
リクという、イレギュラーの、さらに、その、規格外の、発想の前に、完全に、崩壊した。
ゴゴゴゴゴゴ……!
《アヴァロン》の、巨大な、城体が、大きく、軋む。
そして、これまで、水平を、完璧に、保っていた、その、白亜の城が。
ゆっくりと、しかし、確実に、その、バランスを、崩し、巨大な、傾きを、見せ始めたのだ。
城の、内部では、パニックが、起きていた。
壁に、亀裂が走り、豪華な、調度品が、床を、滑り落ちていく。
城の、防衛を、担っていた、ガーディアンたちも、制御を失い、次々と、機能停止に、陥っていく。
そして、その、影響は、カイザーが、自信を持って、展開していた、あの、スキル封じのフィールドにも、及んだ。
『王権領域』。
それは、アヴァロンの、浮遊システムの一部を、無理やり、転用して、作り出された、禁断の、力。
その、大元である、浮遊システムが、機能不全に、陥ったことで、フィールドもまた、その、力を、維持できなくなったのだ。
玉座の間の、スクリーンに、新たな、絶望的な、メッセージが、表示される。
【警告:『王権領域』、機能停止。法則書き換えプロトコル、強制解除】
カイザーは、自らの、最強の、切り札が、破られたことを、悟った。
それも、彼が、予想だにしていなかった、あまりにも、迂遠で、そして、あまりにも、致命的な、方法で。
彼の、顔に、浮かんだのは、怒りでも、悲しみでもない。
自らの、理解を、完全に、超えた、現象を、前にした、人間の、純粋な。
――絶望の色だった。
地上では、その、変化を、誰もが、感じ取っていた。
僕たちを、縛り付けていた、あの、重苦しい、圧力が、ふっと、消え失せたのだ。
「……お?」
ゴードンが、自分の、身体を、確かめるように、動かす。
「体が……軽い! スキルも、使えるぞ!」
「本当です! フィールドが、消えました!」
ミモリさんの、声が、弾む。
そして、僕の、視界からも、あの、忌々しい、赤い×印が、消えていた。
大地との、繋がりが、戻ってくる。
僕の、ユニークスキル【地形編集】が、再び、その、力を、取り戻したのだ。
僕は、天を、仰いだ。
雲の切れ間から、見える、白亜の城。
それは、もはや、神々しい、天空の、要塞ではなかった。
ただ、ゆっくりと、死を、待つだけの、巨大な、鉄の、棺桶。
「……カイザーさん」
僕は、静かに、呟いた。
「これが、僕の、答えです」
僕が引き起こした、地殻の深淵からのエネルギーの解放は、この戦場の全てを、一変させた。
大地は、激しく揺れ続け、空からは、エーテルが凝縮してできた、光の雨が降り注ぐ。
それは、もはや、プレイヤー同士の戦闘など、些末なことだと思わせるほどの、圧倒的な、天変地異の光景だった。
「ひ、ひるむな! 敵は、リクただ一人だ! ヤツを、止めろ!」
親衛隊の隊長が、必死に、檄を飛ばす。
だが、その声は、虚しく、轟音にかき消されていった。
彼らの足元は、もはや、安定した大地ではない。いつ、亀裂が走り、マグマが噴き出しても、おかしくはない、極めて、危険な場所へと、変わっていたのだ。
連合軍の、仲間たちは、この状況を、好機と見た。
「今だ! 敵は、混乱している! 一気に、叩くぞ!」
ゴードンを、先頭に、僕を守っていた、円陣が、反撃の、陣形へと、切り替わる。
戦況は、一転した。
だが、僕の目は、もはや、地上の戦いには、向いていなかった。
僕の、視線は、ただ一点。
遥か、上空。
雲の上に、浮かぶ、あの、白亜の城。
僕の、この、最後の一手が、あの、傲慢な王の、玉座に、届くのかどうか。
その、答えを、僕は、固唾を飲んで、見守っていた。
天空要塞《アヴァロン》。
その、玉座の間で、カイザーは、自らの、足元から、突き上げてくる、激しい揺れに、耐えていた。
彼の、完璧な、顔貌から、初めて、血の気が、引いていた。
「……馬鹿な」
彼の、視界の、全てを、埋め尽くすように、無数の、赤い、警告メッセージが、明滅を、繰り返していた。
【警告:浮遊システム、エラー。共鳴対象(エーテル源)からの、信号を、ロストしました】
【警告:エーテル流、供給、完全停止。浮遊石の、エネルギー残量、急激に、低下中】
【警告:船体バランス、制御不能。高度、維持限界】
【CRITICAL_ERROR:SYSTEM_SHUTDOWN_SEQUENCE... INITIATED】
彼が、信じてきた、絶対的な、はずの、古代文明の、テクノロジー。
それが、今、悲鳴を上げ、その機能を、停止しようとしている。
リクという、たった一人の、地質学者が、遥か、地上の、彼が、全く、意に介していなかった、場所から、放った、一撃によって。
「……ありえない」
カイザーの、口から、絞り出すような、声が、漏れた。
「フィールドの、外側から……? 間接的な、地形操作、だと……? そんなこと、この世界の、どんな、法則にも、書かれてはいなかった……!」
彼の、常識が、彼の、理解が、彼の、築き上げてきた、全ての、知識が。
リクという、イレギュラーの、さらに、その、規格外の、発想の前に、完全に、崩壊した。
ゴゴゴゴゴゴ……!
《アヴァロン》の、巨大な、城体が、大きく、軋む。
そして、これまで、水平を、完璧に、保っていた、その、白亜の城が。
ゆっくりと、しかし、確実に、その、バランスを、崩し、巨大な、傾きを、見せ始めたのだ。
城の、内部では、パニックが、起きていた。
壁に、亀裂が走り、豪華な、調度品が、床を、滑り落ちていく。
城の、防衛を、担っていた、ガーディアンたちも、制御を失い、次々と、機能停止に、陥っていく。
そして、その、影響は、カイザーが、自信を持って、展開していた、あの、スキル封じのフィールドにも、及んだ。
『王権領域』。
それは、アヴァロンの、浮遊システムの一部を、無理やり、転用して、作り出された、禁断の、力。
その、大元である、浮遊システムが、機能不全に、陥ったことで、フィールドもまた、その、力を、維持できなくなったのだ。
玉座の間の、スクリーンに、新たな、絶望的な、メッセージが、表示される。
【警告:『王権領域』、機能停止。法則書き換えプロトコル、強制解除】
カイザーは、自らの、最強の、切り札が、破られたことを、悟った。
それも、彼が、予想だにしていなかった、あまりにも、迂遠で、そして、あまりにも、致命的な、方法で。
彼の、顔に、浮かんだのは、怒りでも、悲しみでもない。
自らの、理解を、完全に、超えた、現象を、前にした、人間の、純粋な。
――絶望の色だった。
地上では、その、変化を、誰もが、感じ取っていた。
僕たちを、縛り付けていた、あの、重苦しい、圧力が、ふっと、消え失せたのだ。
「……お?」
ゴードンが、自分の、身体を、確かめるように、動かす。
「体が……軽い! スキルも、使えるぞ!」
「本当です! フィールドが、消えました!」
ミモリさんの、声が、弾む。
そして、僕の、視界からも、あの、忌々しい、赤い×印が、消えていた。
大地との、繋がりが、戻ってくる。
僕の、ユニークスキル【地形編集】が、再び、その、力を、取り戻したのだ。
僕は、天を、仰いだ。
雲の切れ間から、見える、白亜の城。
それは、もはや、神々しい、天空の、要塞ではなかった。
ただ、ゆっくりと、死を、待つだけの、巨大な、鉄の、棺桶。
「……カイザーさん」
僕は、静かに、呟いた。
「これが、僕の、答えです」
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