無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした

夏見ナイ

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第68話 エピローグ② 数年後、それぞれの未来

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あれから、数年の時が流れた。
俺たちが創り上げた、新しい世界は、穏やかで、そして、力強い、発展を、遂げていた。
神々の、気まぐれな干渉も、世界を蝕む、致命的なバグも、もう、ない。
生命は、ただ、その、与えられた可能性を、自由に、謳歌していた。

かつての、魔王城があった場所には、今、新しい、世界の、中心となる、白亜の美しい都『アストライア』が、築かれている。
そこでは、人間、エルフ、ドワーフ、獣人、そして、魔族、全ての種族が、手を取り合い、笑い合いながら、暮らしていた。
その、奇跡の都を、治めるのは、賢王として、民に、深く、敬愛される、元英雄アレス。
彼の、公正で、思慮深い統治は、この、新しい世界の、確かな、礎となっていた。
「……カイト。君が、時々、持ち込んでくる、妙な『娯楽』のせいで、最近、城の仕事が、滞って、困るのだが」
玉座の間で、アレスは、俺が、元の世界の知識を元に、再現した『ボードゲーム』に、夢中になりながら、苦笑している。
彼の傍らには、忠実な臣下として、ヴォルグとリリスが、控えている。
ヴォルグは、連合軍の、総司令官として、その、屈強な力で、国の守りを、固め。
リリスは、その、類稀なる、知性で、宰相として、アレスの政務を、完璧に、補佐していた。
彼らもまた、それぞれの、新しい、生きる場所を、見つけたのだ。

ドワーフの国では、ギルバートが、まだまだ、現役で、槌を振るい、若い職人たちに、その技を、伝えている。
銀の森では、エルロンド長老が、穏やかな余生を送り、新しい世代のエルフたちが、他の種族との、積極的な、交流を、始めている。
グライフ氏は、その、卓越した商才で、新世界の、物流と、経済を、力強く、支えてくれていた。
かつて、俺たちが、関わった、全ての人々が、それぞれの場所で、幸せに、暮らしている。
そのことが、俺にとって、何よりの、喜びだった。

そして、俺は、というと。
俺は、この世界の、どんな、王侯貴族よりも、自由で、そして、贅沢な、毎日を、送っていた。
アストライアの、都を見下ろせる、小高い丘の上に、小さな、しかし、居心地の良い、家を建てた。
そこが、俺の、城だ。

「海斗さん、お茶が、入りましたよ」
柔らかな、陽光が差し込む、リビングで、ルナが、手作りの、ハーブティーを、運んできてくれる。
彼女の、その、慈愛に満ちた微笑みは、もはや、俺の日常に、なくてはならない、宝物だ。
「おう、サンキュー、ルナ! あ、俺の分の、クッキーも、残しとけよ!」
庭の、ハンモックで、昼寝をしていた、フレアが、その匂いを、嗅ぎつけて、駆け込んでくる。
彼女の、その、太陽のような、明るい笑顔もまた、俺の、かけがえのない、宝物。

そう。
俺は、最終的に、二人を、選んだ。
いや、選んだ、というよりは、二人から、選ばれた、と言う方が、正しいのかもしれない。
「……海斗さんが、一人だけなんて、選べるはずが、ありません。わたくしたちは、三人で、一つなのですから」
「そうそう! カイトは、欲張りだからな! 俺とルナ、両方がいなきゃ、ダメなんだよ!」
そう言って、笑い合った、あの日から。
俺たちは、三人で、一つの、家族となった。
それは、この、新しい世界の、新しい、愛の形。
俺たちの、周りには、いつも、穏やかで、温かくて、そして、少しだけ、騒がしい、幸せな時間が、流れている。

俺は、もう、世界の、管理者ではない。
その権能は、新しい世界が、安定した時点で、世界そのものに、返還した。
この世界は、もう、誰か一人の、支配者が、必要ではないのだから。
今の、俺のスキルは、かつての、地味だった、【システム解析】に、戻っている。
だが、それで、いい。
俺は、もう、特別な力など、必要としていない。

ただ、時々、この世界の、あちこちで、発生する、小さな、小さな、『バグ』を、見つけては、こっそりと、修正して回るのが、俺の、今の、唯一の、趣味であり、役割だった。
それは、農作物の、品種改良の、手伝いだったり。
若い、恋人たちの、すれ違いを、仲裁することだったり。
子供たちの、危険な、遊びを、未然に、防ぐことだったり。
どれもが、取るに足らない、ささやかな、出来事。
だが、その、一つ一つが、この世界が、確かに、生きている、という、証なのだ。

俺は、淹れてもらった、ハーブティーを、一口、飲んだ。
その、優しい、甘さが、身体中に、染み渡っていく。
窓の外では、子供たちの、元気な、笑い声が聞こえる。
俺たちが、命を懸けて、守り抜いた、平和な、日常。
これ以上の、幸せが、あるだろうか。
俺は、心から、そう、思った。
この、かけがえのない、仲間たちと、愛する、二人の女性と、共に。
俺の、第二の人生は、始まったばかりなのだ。
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