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第六話 癒やしの湯とふかふかの寝台
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あの涙の昼食の後、私たちはテラスで言葉少なに過ごした。
カイザーは何も聞いてこなかったし、私も何も話さなかった。ただ、気まずい沈黙ではなかった。穏やかな風が頬を撫で、眼下の雲がゆっくりと流れていくのを眺めていると、不思議と心が落ち着いていく。
張り詰めていた緊張の糸が、少しだけ緩んだのかもしれない。
「日が傾いてきたな」
カイザーがぽつりと呟いた。見れば、太陽が雲海の向こうに沈みかけており、空は美しいグラデーションを描いていた。
「疲れただろう。部屋に戻って休むといい。湯浴みの準備もできている」
湯浴み。
その言葉に、私の体は無意識にこわばった。王城での沐浴は、私にとって苦行の一つだったからだ。聖女は常に身を清めていなければならない、という名目で、季節に関わらず冷たい水で体を清めることを強いられた。それは儀式であり、安らぎとは程遠いものだった。
私の反応に気づいたのか、カイザーはわずかに眉をひそめた。
「……何か問題でも?」
「い、いえ。ただ……」
どう説明すればいいのか分からず、言葉に詰まる。
カイザーは私の戸惑いを見透かしたように、静かに立ち上がった。
「案内しよう」
有無を言わせぬ口調で、彼は私の部屋へと歩き出す。私はまた、彼の後をついていくしかなかった。
自室に戻り、昨日彼が指し示した浴室の扉の前に立つ。美しい彫刻が施された扉は、それだけで一つの芸術品のようだ。
「ここだ」
カイザーが扉に手を触れると、それは音もなく滑るように開いた。
中に足を踏み入れた瞬間、私は自分の目を疑った。
そこは、浴室という言葉では表現できないほど、広大で豪華な空間だった。床も壁も、磨き上げられた白い大理石でできている。天井は高く、中央には水晶のシャンデリアが輝いていた。そして何より目を引いたのは、部屋の奥にある巨大な湯船だった。窓が大きく取られており、沈みゆく夕日と茜色の雲海を眺めながら湯に浸かれるようになっている。
湯船には乳白色の湯がなみなみと満たされ、赤い花びらがいくつも浮かんでいた。あたりには、甘く優しい香りが満ちている。
「……これは」
呆然と立ち尽くす私に、カイザーが説明する。
「湯には薬草を溶かしてある。疲労回復に効果があるはずだ。着替えと手拭いはそこに」
彼が指さした先には、小さな椅子があり、その上にはふかふかの真っ白なタオルと、柔らかな生地でできた寝間着が畳んで置かれていた。どこまでも、至れり尽くせりだ。
私は、この過剰なもてなしの意味が分からず、ただ混乱していた。
「あの……」
「なんだ」
「聖女の沐浴は、本来、身の穢れを祓うための儀式です。このような贅沢は……」
許されない。そう続けようとした言葉を、カイザーの静かな声が遮った。
「これは儀式ではない」
彼は真っ直ぐに私を見つめて言った。
「これは、お前のためのものだ。お前の心と体の疲れを癒やすための湯だ。誰に遠慮する必要もない。ゆっくり浸かってくるといい」
彼の瞳には、有無を言わせぬ力があった。私は何も言い返せず、ただ小さく頷くことしかできない。
カイザーはそれに満足したように頷くと、静かに部屋を出て行った。ぱたん、と扉が閉まり、広すぎる空間に私一人が取り残される。
しばらく、私はその場に立ち尽くしていた。
本当に、いいのだろうか。
こんな、夢のような場所で。夢のような時間を過ごして。
おそるおそる、湯船に近づく。指先を湯に浸してみると、心地よい温かさがじんわりと伝わってきた。
私は意を決し、身に纏っていたワンピースを脱いだ。そして、ゆっくりと、その温かい湯の中へと体を進める。
「……あっ」
思わず、声が漏れた。
体が、とろけてしまいそうなほどの心地よさ。
王城の冷たい水とは全く違う。体の芯までじんわりと温め、こわばっていた筋肉がゆっくりと解きほぐされていくのが分かる。肉体的な疲労だけではない。ずっと私の心を蝕んでいた、冷たい孤独や絶望までもが、この湯に溶けて消えていくような錯覚さえ覚えた。
窓の外では、最後の光を放ちながら太陽が沈んでいく。空は深い藍色に変わり、一番星が瞬き始めた。
なんて、美しいのだろう。
昼食の時のように、また涙が込み上げてきそうになる。けれど、今度は泣かなかった。泣いてしまっては、この美しい景色が滲んでしまうから。
私はただ、この温かさと静けさを、全身で味わっていた。
生まれて初めて、「湯浴み」がこんなにも心地よいものなのだと知った。
どれくらいの時間、そうしていたのだろう。
湯から上がると、体が驚くほど軽くなっていた。用意されていたタオルは、雲のように柔らかく、私の肌を優しく包み込む。新しい寝間着も、まるで高級な絹のように滑らかな肌触りだった。
部屋に戻ると、暖炉には再び火が入れられており、室内は穏やかな暖かさに満ちていた。
そして、部屋の中央にあるベッドが、完璧に整えられていることに気づく。これもカイザーが魔法でしてくれたのだろうか。
昼間の疲れと、湯浴みの心地よさで、もう瞼が重い。
私は吸い寄せられるようにベッドへ向かい、その中に体を滑り込ませた。
ふわり、と。
昨日も感じた、体を優しく受け止めてくれる感触。シーツは清潔で、陽の光のような匂いがした。
王城の硬いベッドでは、毎晩のように悪夢にうなされた。聖女としての重圧、人々の冷たい視線、アルフォンス王子の蔑むような瞳。夢の中ですら、安らげる場所はなかった。
でも、ここでは。
この雲のように柔らかい寝台では、もしかしたら。
もしかしたら、穏やかな夢が見られるかもしれない。
そんな、淡い期待が胸に芽生える。
警戒心は、まだ消えていない。カイザーの真意も分からない。
けれど、彼のくれる優しさが、私の凍てついた心を少しずつ、確実に溶かしているのも事実だった。
この生活は、一体なんなのだろう。
甘美な罠か。それとも、気まぐれな竜が与えてくれた、束の間の休息か。
答えの出ない問いを抱えたまま、私の意識は心地よい眠りの海へと、静かに沈んでいった。
カイザーは何も聞いてこなかったし、私も何も話さなかった。ただ、気まずい沈黙ではなかった。穏やかな風が頬を撫で、眼下の雲がゆっくりと流れていくのを眺めていると、不思議と心が落ち着いていく。
張り詰めていた緊張の糸が、少しだけ緩んだのかもしれない。
「日が傾いてきたな」
カイザーがぽつりと呟いた。見れば、太陽が雲海の向こうに沈みかけており、空は美しいグラデーションを描いていた。
「疲れただろう。部屋に戻って休むといい。湯浴みの準備もできている」
湯浴み。
その言葉に、私の体は無意識にこわばった。王城での沐浴は、私にとって苦行の一つだったからだ。聖女は常に身を清めていなければならない、という名目で、季節に関わらず冷たい水で体を清めることを強いられた。それは儀式であり、安らぎとは程遠いものだった。
私の反応に気づいたのか、カイザーはわずかに眉をひそめた。
「……何か問題でも?」
「い、いえ。ただ……」
どう説明すればいいのか分からず、言葉に詰まる。
カイザーは私の戸惑いを見透かしたように、静かに立ち上がった。
「案内しよう」
有無を言わせぬ口調で、彼は私の部屋へと歩き出す。私はまた、彼の後をついていくしかなかった。
自室に戻り、昨日彼が指し示した浴室の扉の前に立つ。美しい彫刻が施された扉は、それだけで一つの芸術品のようだ。
「ここだ」
カイザーが扉に手を触れると、それは音もなく滑るように開いた。
中に足を踏み入れた瞬間、私は自分の目を疑った。
そこは、浴室という言葉では表現できないほど、広大で豪華な空間だった。床も壁も、磨き上げられた白い大理石でできている。天井は高く、中央には水晶のシャンデリアが輝いていた。そして何より目を引いたのは、部屋の奥にある巨大な湯船だった。窓が大きく取られており、沈みゆく夕日と茜色の雲海を眺めながら湯に浸かれるようになっている。
湯船には乳白色の湯がなみなみと満たされ、赤い花びらがいくつも浮かんでいた。あたりには、甘く優しい香りが満ちている。
「……これは」
呆然と立ち尽くす私に、カイザーが説明する。
「湯には薬草を溶かしてある。疲労回復に効果があるはずだ。着替えと手拭いはそこに」
彼が指さした先には、小さな椅子があり、その上にはふかふかの真っ白なタオルと、柔らかな生地でできた寝間着が畳んで置かれていた。どこまでも、至れり尽くせりだ。
私は、この過剰なもてなしの意味が分からず、ただ混乱していた。
「あの……」
「なんだ」
「聖女の沐浴は、本来、身の穢れを祓うための儀式です。このような贅沢は……」
許されない。そう続けようとした言葉を、カイザーの静かな声が遮った。
「これは儀式ではない」
彼は真っ直ぐに私を見つめて言った。
「これは、お前のためのものだ。お前の心と体の疲れを癒やすための湯だ。誰に遠慮する必要もない。ゆっくり浸かってくるといい」
彼の瞳には、有無を言わせぬ力があった。私は何も言い返せず、ただ小さく頷くことしかできない。
カイザーはそれに満足したように頷くと、静かに部屋を出て行った。ぱたん、と扉が閉まり、広すぎる空間に私一人が取り残される。
しばらく、私はその場に立ち尽くしていた。
本当に、いいのだろうか。
こんな、夢のような場所で。夢のような時間を過ごして。
おそるおそる、湯船に近づく。指先を湯に浸してみると、心地よい温かさがじんわりと伝わってきた。
私は意を決し、身に纏っていたワンピースを脱いだ。そして、ゆっくりと、その温かい湯の中へと体を進める。
「……あっ」
思わず、声が漏れた。
体が、とろけてしまいそうなほどの心地よさ。
王城の冷たい水とは全く違う。体の芯までじんわりと温め、こわばっていた筋肉がゆっくりと解きほぐされていくのが分かる。肉体的な疲労だけではない。ずっと私の心を蝕んでいた、冷たい孤独や絶望までもが、この湯に溶けて消えていくような錯覚さえ覚えた。
窓の外では、最後の光を放ちながら太陽が沈んでいく。空は深い藍色に変わり、一番星が瞬き始めた。
なんて、美しいのだろう。
昼食の時のように、また涙が込み上げてきそうになる。けれど、今度は泣かなかった。泣いてしまっては、この美しい景色が滲んでしまうから。
私はただ、この温かさと静けさを、全身で味わっていた。
生まれて初めて、「湯浴み」がこんなにも心地よいものなのだと知った。
どれくらいの時間、そうしていたのだろう。
湯から上がると、体が驚くほど軽くなっていた。用意されていたタオルは、雲のように柔らかく、私の肌を優しく包み込む。新しい寝間着も、まるで高級な絹のように滑らかな肌触りだった。
部屋に戻ると、暖炉には再び火が入れられており、室内は穏やかな暖かさに満ちていた。
そして、部屋の中央にあるベッドが、完璧に整えられていることに気づく。これもカイザーが魔法でしてくれたのだろうか。
昼間の疲れと、湯浴みの心地よさで、もう瞼が重い。
私は吸い寄せられるようにベッドへ向かい、その中に体を滑り込ませた。
ふわり、と。
昨日も感じた、体を優しく受け止めてくれる感触。シーツは清潔で、陽の光のような匂いがした。
王城の硬いベッドでは、毎晩のように悪夢にうなされた。聖女としての重圧、人々の冷たい視線、アルフォンス王子の蔑むような瞳。夢の中ですら、安らげる場所はなかった。
でも、ここでは。
この雲のように柔らかい寝台では、もしかしたら。
もしかしたら、穏やかな夢が見られるかもしれない。
そんな、淡い期待が胸に芽生える。
警戒心は、まだ消えていない。カイザーの真意も分からない。
けれど、彼のくれる優しさが、私の凍てついた心を少しずつ、確実に溶かしているのも事実だった。
この生活は、一体なんなのだろう。
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