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第六十三話 共通の敵
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レオンが魔族の地下牢に投獄されてから三日が過ぎた。
薄暗く湿った牢の中。食事は固い黒パンと濁った水だけ。だがレオンは少しも焦ってはいなかった。
彼はただ静かに、時が来るのを待っていた。
ゼノヴィアは必ずもう一度自分の前に現れる。
彼はそう確信していた。
そして、その確信は四日目の朝、現実のものとなった。
ギィ、と。
牢の重い鉄の扉が音を立てて開かれた。
そこに立っていたのは、やはり魔将軍ゼノヴィアその人だった。
彼女は一人だった。護衛の兵士も連れていない。
その手には、一つの水晶玉が握られていた。
「……少し調べさせてもらったわ」
ゼノヴィアは牢の中に入ってくると、冷たい声で言った。
「あなたの言うことの裏をね」
彼女は水晶玉に魔力を込める。すると水晶玉が淡い光を放ち、その表面にいくつかの文字や映像が浮かび上がった。
「魔王軍の残党。確かに不審な動きをしている者たちがいるわね。特に魔王の側近だった、あの好戦的な獣人族の将軍……バルバロス。彼が最近姿をくらませている」
その名にレオンは眉をひそめた。
バルバロス。魔王軍の中でも特に残忍で血を好むことで知られた将軍だ。魔王が倒された後も徹底抗戦を叫んでいた過激派の筆頭。
彼が教皇と手を組んだというのか。
「そして、教皇」
ゼノヴィアは続ける。
「彼もここ数ヶ月、奇妙な動きを見せている。各地の古代遺跡から何かを運び出させているようね。その『何か』が一体何なのかまでは、まだ掴めていないけれど」
彼女は一度言葉を切ると、その赤い瞳でレオンを射抜くように見つめた。
「……あなたの話。あながちただの戯言ではないのかもしれないわね」
その言葉は、彼女がレオンの話を信じ始めたということを示していた。
レオンは静かに答えた。
「私は最初から真実しか語っていません」
「……ふん」
ゼノヴィアは鼻を鳴らした。
「だとしても、よ。それが我々魔族と何の関係があるというの? 教皇が魔王軍の残党と手を組んで、黒竜と聖女を討つつもりなら、それはそれで結構なことじゃない。我らにとって厄介な存在が一度に三つも消えてくれるのだから」
そのあまりにも冷徹な論理。
だが、レオンは動じなかった。
「あなたは本当にそう思いますか?」
彼は静かに問い返した。
「教皇は黒竜と聖女を排除した後、どうするでしょう。魔王軍の残党といつまでも仲良く手を取り合っていると思いますか?」
「……」
「ありえません。彼は必ず裏切る。そして用済みになったバルバロスたちを始末するでしょう。彼はそれだけの力と狡猾さを持っている」
レオンの言葉。
それはゼノヴィアも分かっているはずの事実だった。
「そしてその後は? 邪魔者を全て消し去った教皇が次に何を目指すか。……あなたほどの賢い方なら分かるはずです」
その答え。
それは魔族の支配。いや、もっと言えば、この世界そのものの完全な支配だ。
教皇は人間以外の全ての種族を異端と見なし、排除しようとするだろう。
ゼノヴィアの美しい顔が、わずかに歪んだ。
「……だとしても、よ」
彼女はまだ抵抗を試みる。
「我々があなたたち人間と手を組む理由にはならないわ。我々は我々のやり方で、教皇の野望を阻止するまでよ」
「できますか? 本当に?」
レオンは畳み掛ける。
「今の魔族は一枚岩ではない。バルバロスのような過激派もいれば、あなたのような穏健派もいる。教皇は、その内部の対立を利用してくるでしょう。あなた方が一つにまとまる前に、各個撃破されて終わりです」
そのあまりにも的確な指摘。
ゼノヴィアは、ぐっと言葉に詰まった。
レオンは立ち上がった。
そして牢の鉄格子のすぐそばまで歩み寄ると、ゼノヴィアの赤い瞳を真っ直ぐに見つめ返した。
「ゼノヴィア殿。これはもう人間とか魔族とか、そういう次元の話ではないのです」
彼の声。
その声には、勇者としての揺るぎない信念が込められていた。
「これはこの世界に生きる全ての自由な魂たちの戦いです。たった一人の狂信者の歪んだ野望から、私たちの未来を守るための戦いなのです」
彼の熱い言葉。
それがゼノヴィアの氷の心を、確かに溶かしていく。
「……あなたと黒竜と聖女。たった三人で教皇に勝てるとでも言うの?」
彼女の問い。それはもはや拒絶の言葉ではなかった。
ただの純粋な疑問だった。
レオンはにやりと笑った。
「三人ではありません。我々の背後には最強の援軍がいます」
「援軍……?」
「ええ」
レオンは自信に満ちた声で言い切った。
「―――古の竜族たちが、です」
その一言。
ゼノヴィアの赤い瞳が、信じられないというように大きく、大きく見開かれた。
伝説の存在。
神話の中でしか語られることのない最強の種族。
彼らが味方。
そのあまりにも大きすぎる切り札。
それがゼノヴィアの最後のためらいを打ち砕く決定打となった。
彼女はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、やがて天を仰ぐと深いため息をついた。
そして、諦めたように呟いた。
「……分かったわ」
その声は静かだったが、確かな決意の響きを持っていた。
「あなたの話、乗ってあげましょう」
共通の敵。
その存在が、決して交わることのなかった勇者と魔将の手を、今、結びつけようとしていた。
薄暗く湿った牢の中。食事は固い黒パンと濁った水だけ。だがレオンは少しも焦ってはいなかった。
彼はただ静かに、時が来るのを待っていた。
ゼノヴィアは必ずもう一度自分の前に現れる。
彼はそう確信していた。
そして、その確信は四日目の朝、現実のものとなった。
ギィ、と。
牢の重い鉄の扉が音を立てて開かれた。
そこに立っていたのは、やはり魔将軍ゼノヴィアその人だった。
彼女は一人だった。護衛の兵士も連れていない。
その手には、一つの水晶玉が握られていた。
「……少し調べさせてもらったわ」
ゼノヴィアは牢の中に入ってくると、冷たい声で言った。
「あなたの言うことの裏をね」
彼女は水晶玉に魔力を込める。すると水晶玉が淡い光を放ち、その表面にいくつかの文字や映像が浮かび上がった。
「魔王軍の残党。確かに不審な動きをしている者たちがいるわね。特に魔王の側近だった、あの好戦的な獣人族の将軍……バルバロス。彼が最近姿をくらませている」
その名にレオンは眉をひそめた。
バルバロス。魔王軍の中でも特に残忍で血を好むことで知られた将軍だ。魔王が倒された後も徹底抗戦を叫んでいた過激派の筆頭。
彼が教皇と手を組んだというのか。
「そして、教皇」
ゼノヴィアは続ける。
「彼もここ数ヶ月、奇妙な動きを見せている。各地の古代遺跡から何かを運び出させているようね。その『何か』が一体何なのかまでは、まだ掴めていないけれど」
彼女は一度言葉を切ると、その赤い瞳でレオンを射抜くように見つめた。
「……あなたの話。あながちただの戯言ではないのかもしれないわね」
その言葉は、彼女がレオンの話を信じ始めたということを示していた。
レオンは静かに答えた。
「私は最初から真実しか語っていません」
「……ふん」
ゼノヴィアは鼻を鳴らした。
「だとしても、よ。それが我々魔族と何の関係があるというの? 教皇が魔王軍の残党と手を組んで、黒竜と聖女を討つつもりなら、それはそれで結構なことじゃない。我らにとって厄介な存在が一度に三つも消えてくれるのだから」
そのあまりにも冷徹な論理。
だが、レオンは動じなかった。
「あなたは本当にそう思いますか?」
彼は静かに問い返した。
「教皇は黒竜と聖女を排除した後、どうするでしょう。魔王軍の残党といつまでも仲良く手を取り合っていると思いますか?」
「……」
「ありえません。彼は必ず裏切る。そして用済みになったバルバロスたちを始末するでしょう。彼はそれだけの力と狡猾さを持っている」
レオンの言葉。
それはゼノヴィアも分かっているはずの事実だった。
「そしてその後は? 邪魔者を全て消し去った教皇が次に何を目指すか。……あなたほどの賢い方なら分かるはずです」
その答え。
それは魔族の支配。いや、もっと言えば、この世界そのものの完全な支配だ。
教皇は人間以外の全ての種族を異端と見なし、排除しようとするだろう。
ゼノヴィアの美しい顔が、わずかに歪んだ。
「……だとしても、よ」
彼女はまだ抵抗を試みる。
「我々があなたたち人間と手を組む理由にはならないわ。我々は我々のやり方で、教皇の野望を阻止するまでよ」
「できますか? 本当に?」
レオンは畳み掛ける。
「今の魔族は一枚岩ではない。バルバロスのような過激派もいれば、あなたのような穏健派もいる。教皇は、その内部の対立を利用してくるでしょう。あなた方が一つにまとまる前に、各個撃破されて終わりです」
そのあまりにも的確な指摘。
ゼノヴィアは、ぐっと言葉に詰まった。
レオンは立ち上がった。
そして牢の鉄格子のすぐそばまで歩み寄ると、ゼノヴィアの赤い瞳を真っ直ぐに見つめ返した。
「ゼノヴィア殿。これはもう人間とか魔族とか、そういう次元の話ではないのです」
彼の声。
その声には、勇者としての揺るぎない信念が込められていた。
「これはこの世界に生きる全ての自由な魂たちの戦いです。たった一人の狂信者の歪んだ野望から、私たちの未来を守るための戦いなのです」
彼の熱い言葉。
それがゼノヴィアの氷の心を、確かに溶かしていく。
「……あなたと黒竜と聖女。たった三人で教皇に勝てるとでも言うの?」
彼女の問い。それはもはや拒絶の言葉ではなかった。
ただの純粋な疑問だった。
レオンはにやりと笑った。
「三人ではありません。我々の背後には最強の援軍がいます」
「援軍……?」
「ええ」
レオンは自信に満ちた声で言い切った。
「―――古の竜族たちが、です」
その一言。
ゼノヴィアの赤い瞳が、信じられないというように大きく、大きく見開かれた。
伝説の存在。
神話の中でしか語られることのない最強の種族。
彼らが味方。
そのあまりにも大きすぎる切り札。
それがゼノヴィアの最後のためらいを打ち砕く決定打となった。
彼女はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、やがて天を仰ぐと深いため息をついた。
そして、諦めたように呟いた。
「……分かったわ」
その声は静かだったが、確かな決意の響きを持っていた。
「あなたの話、乗ってあげましょう」
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