79 / 100
第七十九話 民衆の声
しおりを挟む
武器を捨て、呆然と立ち尽くす兵士たち。
そして、何が真実なのか分からず、ただ混乱に陥る民衆。
広場は奇妙な虚脱感に満ちた静寂に包まれていた。
私の言葉は確かに彼らの洗脳を解いた。だが、それは彼らから信じるべき「物語」を奪い去ったことと同義だった。
拠り所を失った人々の心は、あまりにも脆く、そして不安定だった。
この膠着した状況を打ち破ったのは、一つのか細い、しかし芯の通った声だった。
「―――私は、信じます」
声の主は、群衆の中にいた一人の若い母親だった。その腕には、先ほど私の光で泣き止んだばかりの赤ん坊が、すやすやと眠っている。
彼女は一歩前に出ると、その澄んだ瞳で私を真っ直ぐに見つめた。
「私は、難しいことは分かりません。教皇様が何を考えているのかも。竜が善なのか悪なのかも」
彼女は静かに語り始めた。
「ですが、一つだけ分かることがあります。それは、あなた様のその光が、私のこの子を救ってくれたということです」
彼女は腕の中の赤ん坊を愛おしそうに見つめる。
「この子は生まれつき体が弱く、ずっと熱にうなされていました。どんな薬も効かなかった。ですが、先ほどのあなたの温かい光を浴びて……この子の熱はすっかり下がりました。こんなに穏やかな寝顔、見るのは初めてです」
その言葉。
それは、どんな雄弁な理論よりも人々の心を打った。
母親は再び私に向き直ると、その場に深く、深くひざまずいた。
「ありがとうございます……! 本当にありがとうございます、聖女様!」
その心からの感謝の祈り。
それが引き金になった。
彼女のその純粋な信仰の光が、周りの人々の心に次々と伝播していく。
「……そうだ」
一人の老人が呟いた。
「わしも長年患っていた腰の痛みが、すっかり消えてしもうた……」
「私の息子の戦いの傷も……!」
「ああ、あの光は本物だ! あれこそ我らが奇跡と呼んだ、聖女様の光だ!」
一人、また一人と民衆が気づき始める。
言葉や理屈ではない。
自らの体が体験した、その温かい奇跡。
それこそが何よりも雄弁な真実の証だったのだ。
教皇が擁立した偽りの聖女セレスティーヌ。
彼女のか細い光では決して成し得なかった、本物の奇跡。
その圧倒的な差。
人々の心の中で、どちらが本物の聖女なのか、その答えはもう出ていた。
「我らは……間違っていた……!」
誰かが叫んだ。
「我らは教皇の甘言に騙され、本物の聖女様に刃を向けようとしていたのだ!」
その声は後悔と自責の念に震えていた。
そして、その声はやがて一つの大きなうねりとなって広場全体を飲み込んでいった。
「そうだ! 我らの聖女様はアリア様だけだ!」
「アリア様こそ真の聖女だ!」
「我らをお許しください、アリア様!」
民衆は次々とその場にひざまずき、私に向かって祈りを捧げ始めた。
それはもう洗脳による狂信ではない。
自らの意思で選び取った、本物の信仰の姿だった。
そのあまりにも劇的な変化。
私はただ呆然と、その光景を見つめていた。
私の祈りが届いた。
私の想いが彼らの心を動かしたのだ。
胸の奥から熱いものが込み上げてくる。
隣に立つカイザーが、私の手をそっと握ってくれた。
その温もりが私に力を与えてくれる。
レオンもゼノヴィアも、驚きと、そして安堵が入り混じった複雑な表情で、この民衆の心の革命を見守っていた。
だが、この状況を快く思わない者たちも、もちろんいた。
「……愚かな民衆どもが」
広場を見下ろす大聖堂のバルコニー。
そこにいつの間にか数人の人影が現れていた。
漆黒のローブに身を包んだ異端審問官たち。
そして、その中央に立つ一人の男。
黄金の鎧に身を包んだ、聖騎士団長だった。
彼の顔は怒りと屈辱に醜く歪んでいる。
「……惑わされるな! あれは魔女の妖術だ! 目を覚ませ、貴様ら!」
彼が拡声の魔道具で必死に叫ぶ。
だが、もはや彼の声に耳を貸す者は誰もいなかった。
民衆の心は完全に私の方へと傾いていたのだ。
「……こうなれば力ずくで黙らせるまで」
聖騎士団長は忌々しげに呟くと、その手に持った剣を天に掲げた。
「聖騎士団に告ぐ! これより、この場にいる全ての異端者と、それに与する愚民どもを、神の御名において粛清する!」
そのあまりにも冷酷な命令。
彼らは民衆ごと、私たちを葬り去るつもりなのだ。
大聖堂の屋根や窓から、聖騎士団の兵士たちが次々と姿を現し、その弓や魔法の杖を我々民衆に向ける。
広場に再び緊張が走る。
民衆が恐怖に顔を引きつらせた、その時だった。
広場の入り口の方から、一つの大きな声が響き渡った。
「―――それ以上動くな! 聖騎士団!」
その声。
私は聞き覚えがあった。
群衆がモーセの十戒のように左右に割れる。
その道の向こうから、馬に乗った一人の騎士がゆっくりと現れた。
その鎧はボロボロで、その顔には深い疲労の色が浮かんでいる。
だが、その瞳だけは正義の光を失ってはいなかった。
それはレオンの副官であり、王国騎士団の中でも良識派として知られていた騎士だった。
そして彼の後ろには。
武器を捨てたはずの王国騎士団の兵士たちが再び剣を手に、しかし今度は民衆を守るようにずらりと並んでいた。
民衆の声が。
そして私の言葉が。
彼らの騎士としての誇りを呼び覚ましたのだ。
事態は新たな局面を迎えようとしていた。
そして、何が真実なのか分からず、ただ混乱に陥る民衆。
広場は奇妙な虚脱感に満ちた静寂に包まれていた。
私の言葉は確かに彼らの洗脳を解いた。だが、それは彼らから信じるべき「物語」を奪い去ったことと同義だった。
拠り所を失った人々の心は、あまりにも脆く、そして不安定だった。
この膠着した状況を打ち破ったのは、一つのか細い、しかし芯の通った声だった。
「―――私は、信じます」
声の主は、群衆の中にいた一人の若い母親だった。その腕には、先ほど私の光で泣き止んだばかりの赤ん坊が、すやすやと眠っている。
彼女は一歩前に出ると、その澄んだ瞳で私を真っ直ぐに見つめた。
「私は、難しいことは分かりません。教皇様が何を考えているのかも。竜が善なのか悪なのかも」
彼女は静かに語り始めた。
「ですが、一つだけ分かることがあります。それは、あなた様のその光が、私のこの子を救ってくれたということです」
彼女は腕の中の赤ん坊を愛おしそうに見つめる。
「この子は生まれつき体が弱く、ずっと熱にうなされていました。どんな薬も効かなかった。ですが、先ほどのあなたの温かい光を浴びて……この子の熱はすっかり下がりました。こんなに穏やかな寝顔、見るのは初めてです」
その言葉。
それは、どんな雄弁な理論よりも人々の心を打った。
母親は再び私に向き直ると、その場に深く、深くひざまずいた。
「ありがとうございます……! 本当にありがとうございます、聖女様!」
その心からの感謝の祈り。
それが引き金になった。
彼女のその純粋な信仰の光が、周りの人々の心に次々と伝播していく。
「……そうだ」
一人の老人が呟いた。
「わしも長年患っていた腰の痛みが、すっかり消えてしもうた……」
「私の息子の戦いの傷も……!」
「ああ、あの光は本物だ! あれこそ我らが奇跡と呼んだ、聖女様の光だ!」
一人、また一人と民衆が気づき始める。
言葉や理屈ではない。
自らの体が体験した、その温かい奇跡。
それこそが何よりも雄弁な真実の証だったのだ。
教皇が擁立した偽りの聖女セレスティーヌ。
彼女のか細い光では決して成し得なかった、本物の奇跡。
その圧倒的な差。
人々の心の中で、どちらが本物の聖女なのか、その答えはもう出ていた。
「我らは……間違っていた……!」
誰かが叫んだ。
「我らは教皇の甘言に騙され、本物の聖女様に刃を向けようとしていたのだ!」
その声は後悔と自責の念に震えていた。
そして、その声はやがて一つの大きなうねりとなって広場全体を飲み込んでいった。
「そうだ! 我らの聖女様はアリア様だけだ!」
「アリア様こそ真の聖女だ!」
「我らをお許しください、アリア様!」
民衆は次々とその場にひざまずき、私に向かって祈りを捧げ始めた。
それはもう洗脳による狂信ではない。
自らの意思で選び取った、本物の信仰の姿だった。
そのあまりにも劇的な変化。
私はただ呆然と、その光景を見つめていた。
私の祈りが届いた。
私の想いが彼らの心を動かしたのだ。
胸の奥から熱いものが込み上げてくる。
隣に立つカイザーが、私の手をそっと握ってくれた。
その温もりが私に力を与えてくれる。
レオンもゼノヴィアも、驚きと、そして安堵が入り混じった複雑な表情で、この民衆の心の革命を見守っていた。
だが、この状況を快く思わない者たちも、もちろんいた。
「……愚かな民衆どもが」
広場を見下ろす大聖堂のバルコニー。
そこにいつの間にか数人の人影が現れていた。
漆黒のローブに身を包んだ異端審問官たち。
そして、その中央に立つ一人の男。
黄金の鎧に身を包んだ、聖騎士団長だった。
彼の顔は怒りと屈辱に醜く歪んでいる。
「……惑わされるな! あれは魔女の妖術だ! 目を覚ませ、貴様ら!」
彼が拡声の魔道具で必死に叫ぶ。
だが、もはや彼の声に耳を貸す者は誰もいなかった。
民衆の心は完全に私の方へと傾いていたのだ。
「……こうなれば力ずくで黙らせるまで」
聖騎士団長は忌々しげに呟くと、その手に持った剣を天に掲げた。
「聖騎士団に告ぐ! これより、この場にいる全ての異端者と、それに与する愚民どもを、神の御名において粛清する!」
そのあまりにも冷酷な命令。
彼らは民衆ごと、私たちを葬り去るつもりなのだ。
大聖堂の屋根や窓から、聖騎士団の兵士たちが次々と姿を現し、その弓や魔法の杖を我々民衆に向ける。
広場に再び緊張が走る。
民衆が恐怖に顔を引きつらせた、その時だった。
広場の入り口の方から、一つの大きな声が響き渡った。
「―――それ以上動くな! 聖騎士団!」
その声。
私は聞き覚えがあった。
群衆がモーセの十戒のように左右に割れる。
その道の向こうから、馬に乗った一人の騎士がゆっくりと現れた。
その鎧はボロボロで、その顔には深い疲労の色が浮かんでいる。
だが、その瞳だけは正義の光を失ってはいなかった。
それはレオンの副官であり、王国騎士団の中でも良識派として知られていた騎士だった。
そして彼の後ろには。
武器を捨てたはずの王国騎士団の兵士たちが再び剣を手に、しかし今度は民衆を守るようにずらりと並んでいた。
民衆の声が。
そして私の言葉が。
彼らの騎士としての誇りを呼び覚ましたのだ。
事態は新たな局面を迎えようとしていた。
6
あなたにおすすめの小説
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる