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第80話:連合軍結成
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俺が灼熱の砂漠でサンドワーム・リッチとの死闘を繰り広げている頃、世界の他の場所でも反撃の狼煙が上がっていた。
北方の万年雪山、ドワーフの国『アイゼンガルド』。
フロスト・ジャイアントの王が率いる巨人族の軍勢は、ドワーフたちが誇る難攻不落の城塞都市を、氷河期の再来のごとき猛吹雪で包囲していた。
ドワーフの騎士団は勇敢に戦った。だが、神話級の力を持つ巨人の王の前ではその抵抗も空しく、防衛線は崩壊寸前だった。
誰もが国の滅亡を覚悟した、その時。
空から一体の飛竜が、嵐のように舞い降りた。
その背から飛び降りたのは、燃えるような赤い髪を持つ一人のドワーフの女傑。そして、彼女が率いるオリハルコンの武具で武装した十体の鋼鉄の巨人たち。
「――待たせたな、親父殿!」
リズベットは、アイゼンガルドの王であり彼女の父親でもある老王の前に立つと、ニカッと笑った。
そして彼女は故郷を蹂躙する巨人たちに向き直り、その手に持つ神匠の銘が入ったウォーハンマーを天に掲げた。
「アタシの国の庭でデカい顔してんじゃねえぞ、氷漬けのトカゲどもが! 神匠リズベット様がまとめてスクラップにしてやる!」
彼女の雄叫びを合図に、ガイア・ガーディアン部隊が無慈悲な鉄の津波となって巨人族の軍勢へと突撃していった。
一方、エルフの国『翠玉の森』。
呪いの植物『デモンズ・アイビー』は、森の中心部からその邪悪な蔓を恐るべき速度で広げていた。蔓に触れた木々は生命力を吸われて枯れ果て、動物たちは苦しみながら倒れていく。エルフの賢者たちも、そのあまりに強力な呪いの前になすすべもなかった。
森が永遠の闇に閉ざされようとしていた、その時。
森の中心部、汚染された聖なる泉のほとりに、一人のエルフの乙女が静かに舞い降りた。
銀色の髪を風になびかせ、その手には一枚のエメラルドのように輝く葉が握られている。
「……ごめんなさい、待たせたわね。私の愛しい故郷」
シルフィは汚染され、ヘドロのように黒ずんだ泉の水を悲しげに見つめた。
そして彼女は、その水の中に躊躇なくその身を投じた。
彼女が持つ奇跡の霊薬『エリクサーリーフ』と共に。
「我が命に代えても、この森は私が浄化する!」
彼女の自己犠牲の覚悟。その聖なる意志に応えるかのように、エリクサーリーフは眩いほどの生命の光を放った。
光は汚染された泉を一瞬にして元の清らかな姿へと戻し、そして光の波紋となって森全体へと広がっていった。
邪悪なデモンズ・アイビーは、その聖なる光を浴びて悲鳴を上げるように塵となって消滅していった。
砂漠で、雪山で、そして森で。
俺たち三人は、それぞれの場所でそれぞれのやり方で、邪教団が放った災厄を打ち破った。
その報せは瞬く間に大陸中を駆け巡った。
アルカディアの王とその仲間たちが、神話級の厄災をわずか数日で完全に鎮めてしまった。
その事実は、絶望に沈んでいた世界中の人々に何よりも大きな希望の光を与えた。
そして、俺の世界への呼びかけは空虚な理想論では終わらなかった。
サンドワーム・リッチを討ち滅ぼし、砂漠の王国を救った俺の元に、最初に駆けつけたのは意外な人物だった。
「……見事な戦いぶりだった、アルフォンス殿」
砂煙の向こうから一糸乱れぬ隊列を組んで現れたのは、双頭の鷲の紋章を掲げたグライフ帝国の軍勢。
そして、その先頭に立ち馬上から俺に敬意を表していたのは、かつて俺と対峙したあのクラウス将軍だった。
「クラウス殿……。なぜ、あなたがここに?」
俺の問いに、彼は少しだけ誇らしげに、しかしどこか吹っ切れたような表情で答えた。
「ヴァルケンハインは貴殿に敗北した後、すべての責任を取り自ら命を絶った。皇帝陛下は己の過ちを悟られ、再び私をこの任に就かせてくださったのだ。――貴殿と交渉するために」
彼は馬から降りると俺の前に立ち、深く頭を下げた。
「アルフォンス殿。いや、アルフォンス国王陛下。貴殿の世界への呼びかけ、しかとこの耳で聞いた。我らグライフ帝国も、もはやちっぽけな領土や覇権を争っている場合ではない。この世界の存亡の危機に際し、我々は貴殿と共に戦うことを誓おう」
それは、大陸最強の軍事国家が俺たちアルカディアを、対等な、そして導き手となるべき盟主として認めた瞬間だった。
帝国の決断は、雪崩のように他の国々にも影響を与えた。
俺たちが元々属していた王国も、ドワーフの国も、エルフの国も、そして大陸中の大小様々な国家や部族が、次々と俺たちの旗の下に集結することを表明した。
対邪教団連合軍。
種族も国境も、過去の遺恨さえも越えた、この星のすべての生命が手を取り合った史上最大の軍隊が、ここに結成されたのだ。
そして、その総司令官として誰もが俺の名を推挙した。
数週間後。
アルカディアは連合軍の総司令部として、空前の活気に満ち溢れていた。
帝国の鋼鉄の騎士がエルフの森の射手と肩を並べ、ドワーフの重装兵が砂漠の王国の軽装兵と戦術を語り合っている。
かつては考えられもしなかった光景がそこにはあった。
俺は王の執務室で、各国の将軍たちと共に巨大な世界地図を前に作戦会議を開いていた。
シルフィとリズベットもそれぞれの使命を果たし、英雄として誇らしげに俺の隣に立っている。
俺たちはもはや孤独な戦いを強いられてはいなかった。
世界中の希望と力が、今このアルカディアに集結している。
「皆、聞いてくれ」
俺は集まった将軍たちを見渡し、静かに、しかし力強く言った。「俺たちの敵は世界の闇に潜む邪教団『黄昏の蛇』。奴らの目的は邪神を復活させ、この世界を無に帰すことだ」
「だが、俺たちは決して屈しない。俺たちの手で、この世界の夜明けを取り戻す!」
うおおおおおおおっ!
執務室は国々の違いを越えた、一つの力強い雄叫びに包まれた。
邪教団との最後の戦い。
世界の運命を賭けた聖戦の火蓋が、今切って落とされた。
俺は頼もしい世界中の仲間たちと共に、その長くて厳しい戦いへと身を投じていく。
この愛すべき世界を守り抜くために。
北方の万年雪山、ドワーフの国『アイゼンガルド』。
フロスト・ジャイアントの王が率いる巨人族の軍勢は、ドワーフたちが誇る難攻不落の城塞都市を、氷河期の再来のごとき猛吹雪で包囲していた。
ドワーフの騎士団は勇敢に戦った。だが、神話級の力を持つ巨人の王の前ではその抵抗も空しく、防衛線は崩壊寸前だった。
誰もが国の滅亡を覚悟した、その時。
空から一体の飛竜が、嵐のように舞い降りた。
その背から飛び降りたのは、燃えるような赤い髪を持つ一人のドワーフの女傑。そして、彼女が率いるオリハルコンの武具で武装した十体の鋼鉄の巨人たち。
「――待たせたな、親父殿!」
リズベットは、アイゼンガルドの王であり彼女の父親でもある老王の前に立つと、ニカッと笑った。
そして彼女は故郷を蹂躙する巨人たちに向き直り、その手に持つ神匠の銘が入ったウォーハンマーを天に掲げた。
「アタシの国の庭でデカい顔してんじゃねえぞ、氷漬けのトカゲどもが! 神匠リズベット様がまとめてスクラップにしてやる!」
彼女の雄叫びを合図に、ガイア・ガーディアン部隊が無慈悲な鉄の津波となって巨人族の軍勢へと突撃していった。
一方、エルフの国『翠玉の森』。
呪いの植物『デモンズ・アイビー』は、森の中心部からその邪悪な蔓を恐るべき速度で広げていた。蔓に触れた木々は生命力を吸われて枯れ果て、動物たちは苦しみながら倒れていく。エルフの賢者たちも、そのあまりに強力な呪いの前になすすべもなかった。
森が永遠の闇に閉ざされようとしていた、その時。
森の中心部、汚染された聖なる泉のほとりに、一人のエルフの乙女が静かに舞い降りた。
銀色の髪を風になびかせ、その手には一枚のエメラルドのように輝く葉が握られている。
「……ごめんなさい、待たせたわね。私の愛しい故郷」
シルフィは汚染され、ヘドロのように黒ずんだ泉の水を悲しげに見つめた。
そして彼女は、その水の中に躊躇なくその身を投じた。
彼女が持つ奇跡の霊薬『エリクサーリーフ』と共に。
「我が命に代えても、この森は私が浄化する!」
彼女の自己犠牲の覚悟。その聖なる意志に応えるかのように、エリクサーリーフは眩いほどの生命の光を放った。
光は汚染された泉を一瞬にして元の清らかな姿へと戻し、そして光の波紋となって森全体へと広がっていった。
邪悪なデモンズ・アイビーは、その聖なる光を浴びて悲鳴を上げるように塵となって消滅していった。
砂漠で、雪山で、そして森で。
俺たち三人は、それぞれの場所でそれぞれのやり方で、邪教団が放った災厄を打ち破った。
その報せは瞬く間に大陸中を駆け巡った。
アルカディアの王とその仲間たちが、神話級の厄災をわずか数日で完全に鎮めてしまった。
その事実は、絶望に沈んでいた世界中の人々に何よりも大きな希望の光を与えた。
そして、俺の世界への呼びかけは空虚な理想論では終わらなかった。
サンドワーム・リッチを討ち滅ぼし、砂漠の王国を救った俺の元に、最初に駆けつけたのは意外な人物だった。
「……見事な戦いぶりだった、アルフォンス殿」
砂煙の向こうから一糸乱れぬ隊列を組んで現れたのは、双頭の鷲の紋章を掲げたグライフ帝国の軍勢。
そして、その先頭に立ち馬上から俺に敬意を表していたのは、かつて俺と対峙したあのクラウス将軍だった。
「クラウス殿……。なぜ、あなたがここに?」
俺の問いに、彼は少しだけ誇らしげに、しかしどこか吹っ切れたような表情で答えた。
「ヴァルケンハインは貴殿に敗北した後、すべての責任を取り自ら命を絶った。皇帝陛下は己の過ちを悟られ、再び私をこの任に就かせてくださったのだ。――貴殿と交渉するために」
彼は馬から降りると俺の前に立ち、深く頭を下げた。
「アルフォンス殿。いや、アルフォンス国王陛下。貴殿の世界への呼びかけ、しかとこの耳で聞いた。我らグライフ帝国も、もはやちっぽけな領土や覇権を争っている場合ではない。この世界の存亡の危機に際し、我々は貴殿と共に戦うことを誓おう」
それは、大陸最強の軍事国家が俺たちアルカディアを、対等な、そして導き手となるべき盟主として認めた瞬間だった。
帝国の決断は、雪崩のように他の国々にも影響を与えた。
俺たちが元々属していた王国も、ドワーフの国も、エルフの国も、そして大陸中の大小様々な国家や部族が、次々と俺たちの旗の下に集結することを表明した。
対邪教団連合軍。
種族も国境も、過去の遺恨さえも越えた、この星のすべての生命が手を取り合った史上最大の軍隊が、ここに結成されたのだ。
そして、その総司令官として誰もが俺の名を推挙した。
数週間後。
アルカディアは連合軍の総司令部として、空前の活気に満ち溢れていた。
帝国の鋼鉄の騎士がエルフの森の射手と肩を並べ、ドワーフの重装兵が砂漠の王国の軽装兵と戦術を語り合っている。
かつては考えられもしなかった光景がそこにはあった。
俺は王の執務室で、各国の将軍たちと共に巨大な世界地図を前に作戦会議を開いていた。
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俺たちはもはや孤独な戦いを強いられてはいなかった。
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「皆、聞いてくれ」
俺は集まった将軍たちを見渡し、静かに、しかし力強く言った。「俺たちの敵は世界の闇に潜む邪教団『黄昏の蛇』。奴らの目的は邪神を復活させ、この世界を無に帰すことだ」
「だが、俺たちは決して屈しない。俺たちの手で、この世界の夜明けを取り戻す!」
うおおおおおおおっ!
執務室は国々の違いを越えた、一つの力強い雄叫びに包まれた。
邪教団との最後の戦い。
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