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第九話 氷の仮面と温かいスープ
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私の言葉に、ゼノン公爵はペンを置いた。
そして初めて、体をこちらに向け、椅子に深く座り直す。その金色の瞳が、真正面から私を捉えた。感情のない、ガラス玉のような瞳。それに射抜かれると、私の心の中まで全て見透かされているような気分になる。
「話、とは何だ」
「…なぜ、私を助けてくださったのですか」
ずっと胸の内にあった疑問を、私はようやく口にした。
「あの場で私を庇うことは、公爵閣下にとって何の利益にもならないはずです。下手をすれば、王家との間に亀裂を生む危険さえあった」
私の問いに、彼はしばらく黙っていた。
ただ、彼の周りの静寂が、より一層深くなったように感じられる。
やがて、彼は短く、そして核心だけを告げた。
「お前の力が、必要だからだ」
「…私の、力」
「ああ。『嘘を聞き分ける』能力。それは、使い方次第で国さえ動かす武器になる」
彼の言葉に、嘘の音はなかった。
やはり、そうだったのか。彼は私という人間ではなく、私の持つ稀有な能力に価値を見出したのだ。
「これは、取引だ。アリーシャ・フォン・クライノート」
彼は、初めて私の名を呼んだ。
「俺は、お前に安住の地と身の安全を保障する。その代わり、お前は俺の『耳』になれ。俺の意のままに動き、その能力で俺を助けろ」
それは、あまりにも一方的で、傲慢な要求だった。
しかし、その言葉は不思議と私の胸にすんなりと落ちた。
利用される。それは、決して心地よいものではない。だが、明確な役割を与えられるということは、居場所を与えられるということと同義だった。
誰からも必要とされず、ただ疎まれて生きてきた私にとって、それは初めての経験だった。
「…婚約者、というのも、そのための」
「ああ。お前を公的に庇護下に置き、自由に動かすための最も手っ取り早い口実だ。体裁さえ整えれば、王家も迂闊に手は出せん」
全てが、計算ずく。彼の行動に、情が入り込む余地など一切ない。
分かっていたことだ。それでも、胸の奥がちくりと痛んだ。
私は、この人に何を期待していたのだろう。
「分かりました」
私は静かに頭を下げた。
「その取引、お受けいたします。私は、あなたの『耳』になりましょう」
私の返答に、ゼノン公爵は満足したように微かに頷いた。
「話はそれだけか」
「はい」
「なら、ちょうどいい。夕食にする」
彼は立ち上がると、腕まくりしていたシャツの袖を直し始めた。その仕草には、一切の無駄がない。
「え…」
「お前も来い」
「ですが、食事はいつも部屋で…」
「俺の『婚約者』が、主人と一度も食卓を共にしないというのは不自然だろう。これも体裁の一つだ」
彼はそう言うと、私に構わず執務室の扉へと向かう。
私は慌てて、その後を追った。
この氷のような男の隣で、食事が喉を通るだろうか。
新たな緊張が、私の全身を支配していた。
案内されたのは、息を呑むほどに広大な食堂だった。
天井からは、星の光を集めたようなシャンデリアが下がり、長い長いテーブルの上には、寸分の狂いもなく食器が並べられている。
私たちは、その長いテーブルの両端に、それぞれ案内された。
途方もなく、遠い。
彼の顔は、テーブルの向こうで豆粒のように小さく見えた。
やがて、給仕たちが音もなく料理を運び始めた。スープ、前菜、魚料理。まるで儀式のように、一皿ずつ運ばれては下げられていく。
会話は、一切なかった。
聞こえるのは、銀食器が皿に触れる、かすかな音だけ。
その静寂は、私の部屋で感じる安らぎとは全く違う、重苦しく、息の詰まるものだった。
私は、目の前の料理の味をほとんど感じられなかった。ただ、マナー違反にならないように、機械的に口へ運ぶだけだ。
ゼノン公爵は、表情一つ変えず、淡々と食事を進めている。彼は、この息詰まる沈黙を何とも思わないのだろうか。
あるいは、彼にとってはこれが日常なのかもしれない。
感情のない、音のない世界。それが彼の生きる場所なのだ。
そんなことを考えているうちに、メインの肉料理が運ばれてきた。
仔羊のローストに、濃厚なソースがかけられている。付け合わせには、数種類の焼き野菜。そして、その中に、茶色いキノコが数切れ、添えられていた。
それを見た瞬間、私の動きが止まった。
ヴェル茸。独特の土臭い香りと、ぬるりとした食感を持つキノコ。
私が、この世で最も苦手な食べ物だった。
幼い頃、無理やり食べさせられて気分を悪くして以来、見るのも嫌な食材。クライノート家では、継母もリゼットもそれを知っていて、わざと私の皿にだけヴェル茸を乗せた。私が顔をしかめるのを見て、楽しむために。
私は、フォークとナイフを握りしめた。
ここで残すのは、行儀が悪いだろう。この屋敷の主人の前で、そのような無作法は許されない。
大丈夫。味など、どうせ分かりはしないのだから。
私は覚悟を決め、キノコにナイフを当てようとした。
その、瞬間だった。
「下げろ」
テーブルの向こうから、低く、静かな声が響いた。
声の主は、ゼノン公爵だった。
私は顔を上げる。彼は、私を見てはいなかった。視線は、皿に控える給仕長に向けられている。
給仕長は、困惑した表情で主人を見返した。
「…閣下?何か、お気に召しませんでしたでしょうか」
「その皿を、だ」
ゼノン公爵は、自分の皿ではなく、私の皿を顎で示した。
「今すぐに、だ」
有無を言わせぬ響きだった。
給仕長は慌てて私のもとへ駆け寄ると、まだ一口も手をつけていない肉料理の皿を、恐る恐る下げていった。
食堂に、再び気まずい沈黙が落ちる。
私は、何が起きたのか理解できなかった。
なぜ、私の皿を?
「あの、公爵閣下…」
「…どうした」
「なぜ…」
「俺が、ヴェル茸を好かん」
彼は、そう言って、自分の皿に乗っていたキノコを、フォークの先で無造作に皿の隅へ追いやった。
「視界に入るのも不愉快だ」
その言葉。
私の耳に、それは微かな、本当に微かな不協和音となって届いた。
だが、それは今まで私が聞いてきた、悪意や嫉妬に満ちた耳障りな音とは全く違っていた。
調律の狂った楽器が、ほんの少しだけ、ためらうように鳴ったような。
ぎこちなく、不器用な、嘘の音。
彼は、嘘をついている。
彼はヴェル茸が嫌いなのではない。
私のために、この皿を下げさせたのだ。
では、なぜ。彼は私の苦手なものを、知っているのだろう。
クライノート家の誰かが、エルヴァイン公爵家に情報を渡した?いや、ありえない。彼らが、私を気遣うような真似をするはずがない。
分からない。
分からないが、事実だけがそこにある。
この氷の仮面を被った男は、私を気遣ってくれた。そして、その優しさを隠すために、不器用な嘘をついた。
その事実に気づいた瞬間、私の胸の奥に、小さな温かい火が灯った。
それは、美味しいスープを飲んだ時よりも、ずっとずっと深く、心に染み渡る温かさだった。
結局、その後の食事も、最後まで会話はなかった。
しかし、その沈黙は、もはや息の詰まるものではなくなっていた。
テーブルの向こうで食事を続ける、静寂の主。
私は、彼の横顔をそっと盗み見た。
彼の金色の瞳に、感情は映らない。
けれど、もう私には分かっていた。
あの氷の仮面の下には、確かに人の心が隠されているのだと。
その夜、私は久しぶりに、穏やかな夢を見た気がした。
そして初めて、体をこちらに向け、椅子に深く座り直す。その金色の瞳が、真正面から私を捉えた。感情のない、ガラス玉のような瞳。それに射抜かれると、私の心の中まで全て見透かされているような気分になる。
「話、とは何だ」
「…なぜ、私を助けてくださったのですか」
ずっと胸の内にあった疑問を、私はようやく口にした。
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ただ、彼の周りの静寂が、より一層深くなったように感じられる。
やがて、彼は短く、そして核心だけを告げた。
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「…私の、力」
「ああ。『嘘を聞き分ける』能力。それは、使い方次第で国さえ動かす武器になる」
彼の言葉に、嘘の音はなかった。
やはり、そうだったのか。彼は私という人間ではなく、私の持つ稀有な能力に価値を見出したのだ。
「これは、取引だ。アリーシャ・フォン・クライノート」
彼は、初めて私の名を呼んだ。
「俺は、お前に安住の地と身の安全を保障する。その代わり、お前は俺の『耳』になれ。俺の意のままに動き、その能力で俺を助けろ」
それは、あまりにも一方的で、傲慢な要求だった。
しかし、その言葉は不思議と私の胸にすんなりと落ちた。
利用される。それは、決して心地よいものではない。だが、明確な役割を与えられるということは、居場所を与えられるということと同義だった。
誰からも必要とされず、ただ疎まれて生きてきた私にとって、それは初めての経験だった。
「…婚約者、というのも、そのための」
「ああ。お前を公的に庇護下に置き、自由に動かすための最も手っ取り早い口実だ。体裁さえ整えれば、王家も迂闊に手は出せん」
全てが、計算ずく。彼の行動に、情が入り込む余地など一切ない。
分かっていたことだ。それでも、胸の奥がちくりと痛んだ。
私は、この人に何を期待していたのだろう。
「分かりました」
私は静かに頭を下げた。
「その取引、お受けいたします。私は、あなたの『耳』になりましょう」
私の返答に、ゼノン公爵は満足したように微かに頷いた。
「話はそれだけか」
「はい」
「なら、ちょうどいい。夕食にする」
彼は立ち上がると、腕まくりしていたシャツの袖を直し始めた。その仕草には、一切の無駄がない。
「え…」
「お前も来い」
「ですが、食事はいつも部屋で…」
「俺の『婚約者』が、主人と一度も食卓を共にしないというのは不自然だろう。これも体裁の一つだ」
彼はそう言うと、私に構わず執務室の扉へと向かう。
私は慌てて、その後を追った。
この氷のような男の隣で、食事が喉を通るだろうか。
新たな緊張が、私の全身を支配していた。
案内されたのは、息を呑むほどに広大な食堂だった。
天井からは、星の光を集めたようなシャンデリアが下がり、長い長いテーブルの上には、寸分の狂いもなく食器が並べられている。
私たちは、その長いテーブルの両端に、それぞれ案内された。
途方もなく、遠い。
彼の顔は、テーブルの向こうで豆粒のように小さく見えた。
やがて、給仕たちが音もなく料理を運び始めた。スープ、前菜、魚料理。まるで儀式のように、一皿ずつ運ばれては下げられていく。
会話は、一切なかった。
聞こえるのは、銀食器が皿に触れる、かすかな音だけ。
その静寂は、私の部屋で感じる安らぎとは全く違う、重苦しく、息の詰まるものだった。
私は、目の前の料理の味をほとんど感じられなかった。ただ、マナー違反にならないように、機械的に口へ運ぶだけだ。
ゼノン公爵は、表情一つ変えず、淡々と食事を進めている。彼は、この息詰まる沈黙を何とも思わないのだろうか。
あるいは、彼にとってはこれが日常なのかもしれない。
感情のない、音のない世界。それが彼の生きる場所なのだ。
そんなことを考えているうちに、メインの肉料理が運ばれてきた。
仔羊のローストに、濃厚なソースがかけられている。付け合わせには、数種類の焼き野菜。そして、その中に、茶色いキノコが数切れ、添えられていた。
それを見た瞬間、私の動きが止まった。
ヴェル茸。独特の土臭い香りと、ぬるりとした食感を持つキノコ。
私が、この世で最も苦手な食べ物だった。
幼い頃、無理やり食べさせられて気分を悪くして以来、見るのも嫌な食材。クライノート家では、継母もリゼットもそれを知っていて、わざと私の皿にだけヴェル茸を乗せた。私が顔をしかめるのを見て、楽しむために。
私は、フォークとナイフを握りしめた。
ここで残すのは、行儀が悪いだろう。この屋敷の主人の前で、そのような無作法は許されない。
大丈夫。味など、どうせ分かりはしないのだから。
私は覚悟を決め、キノコにナイフを当てようとした。
その、瞬間だった。
「下げろ」
テーブルの向こうから、低く、静かな声が響いた。
声の主は、ゼノン公爵だった。
私は顔を上げる。彼は、私を見てはいなかった。視線は、皿に控える給仕長に向けられている。
給仕長は、困惑した表情で主人を見返した。
「…閣下?何か、お気に召しませんでしたでしょうか」
「その皿を、だ」
ゼノン公爵は、自分の皿ではなく、私の皿を顎で示した。
「今すぐに、だ」
有無を言わせぬ響きだった。
給仕長は慌てて私のもとへ駆け寄ると、まだ一口も手をつけていない肉料理の皿を、恐る恐る下げていった。
食堂に、再び気まずい沈黙が落ちる。
私は、何が起きたのか理解できなかった。
なぜ、私の皿を?
「あの、公爵閣下…」
「…どうした」
「なぜ…」
「俺が、ヴェル茸を好かん」
彼は、そう言って、自分の皿に乗っていたキノコを、フォークの先で無造作に皿の隅へ追いやった。
「視界に入るのも不愉快だ」
その言葉。
私の耳に、それは微かな、本当に微かな不協和音となって届いた。
だが、それは今まで私が聞いてきた、悪意や嫉妬に満ちた耳障りな音とは全く違っていた。
調律の狂った楽器が、ほんの少しだけ、ためらうように鳴ったような。
ぎこちなく、不器用な、嘘の音。
彼は、嘘をついている。
彼はヴェル茸が嫌いなのではない。
私のために、この皿を下げさせたのだ。
では、なぜ。彼は私の苦手なものを、知っているのだろう。
クライノート家の誰かが、エルヴァイン公爵家に情報を渡した?いや、ありえない。彼らが、私を気遣うような真似をするはずがない。
分からない。
分からないが、事実だけがそこにある。
この氷の仮面を被った男は、私を気遣ってくれた。そして、その優しさを隠すために、不器用な嘘をついた。
その事実に気づいた瞬間、私の胸の奥に、小さな温かい火が灯った。
それは、美味しいスープを飲んだ時よりも、ずっとずっと深く、心に染み渡る温かさだった。
結局、その後の食事も、最後まで会話はなかった。
しかし、その沈黙は、もはや息の詰まるものではなくなっていた。
テーブルの向こうで食事を続ける、静寂の主。
私は、彼の横顔をそっと盗み見た。
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