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88話:戦場には行かせない
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「出撃だ!」
ギルバート様の力強い号令が中庭に響き渡った。五百の騎士たちが雄叫びと共にそれに呼応する。その地響きのような声は、私がいる城館の部屋まで届き、窓ガラスを微かに震わせた。
私は窓辺に立ち、出撃していく騎士団の姿を固唾を飲んで見つめていた。
エルミール王国が、一万の軍勢で攻めてくる。
その衝撃的な事実をギルバート様から聞かされたのは、昨夜のことだった。
彼は、いつものように私の部屋を訪れると、静かに、そしてありのままの事実を告げた。その表情はこれまで見たことがないほど険しく、その金の瞳の奥には冷たい決意の炎が燃えていた。
「…戦争になるのですね」
私の声は震えていた。
「ああ。あの愚かな王子が最後の過ちを犯した」
戦争。
その言葉の持つ、あまりにも重い響き。
人が人を殺し、血が流れる。私が生まれ育った国と、私を受け入れてくれたこの場所が、今、戦火を交えようとしている。
そして、その原因が私にある。
その事実に、私の心は張り裂けそうだった。
私がここにいなければ、こんなことにはならなかった。私の存在が二つの国を、そして私が愛する人を戦いへと駆り立ててしまったのだ。
「私の…せいです…」
「違う」
私の自己否定を、彼は即座に、そして強く遮った。
「これは俺とあの男の問題だ。お前は何も気にする必要はない」
彼はそう言ったが、そんなことできるはずもなかった。
私は、ただ守られているだけの人形ではいたくなかった。
「私にも何かできることはありませんか!」
私は必死に彼に訴えた。
「私には聖女の力があります。文献によれば、その力は傷を癒すこともできると…。もしそれが本当なら、私は負傷した騎士の方々のお役に立てるかもしれません!」
そうだ。あの力は、ただ魔物を浄化するだけではない。
人を癒し、命を救う力にもなるはずだ。
それならば私も戦える。剣を取らずとも、この戦いに参加できる。
「戦場へ私も連れて行ってください!」
それは、私の魂からの叫びだった。
しかし、その願いは彼の冷たい一言によって無惨に打ち砕かれた。
「ならん」
その声は静かだったが、絶対的な拒絶の響きを持っていた。
「お前を、あの血生臭い場所に絶対に行かせはしない」
「ですが、なぜです!私は足手まといになるつもりは…!」
「足手まといになるからではない!」
彼は珍しく声を荒げた。その金の瞳が痛みに歪んでいる。
「俺が嫌なのだ」
彼は絞り出すような声で言った。
「お前のその清らかな手を血で汚させたくない。お前のその優しい瞳に人が死ぬ様を映させたくない。お前の命を削るかもしれない、あの力を使わせたくない」
それは、総大将としての合理的な判断ではなかった。
ただ一人の男としての、愛する女を危険から遠ざけたいという切実な願いだった。
「リリアンナ。お前にとっての戦場はここだ」
彼は私の肩を優しく掴んだ。
「この砦を守り、俺たちが帰ってくる場所を温かく保っていてくれること。それがお前にしかできない最も重要な役目だ。分かるな?」
彼の真剣な眼差しに、私は何も言い返せなくなってしまった。
彼は私を信じて、この砦を託そうとしている。
彼のいない間、この場所を守ることが私の戦いなのだと。
「…分かりました」
私は涙をこらえながら、こくりと頷いた。
「お早いお帰りを、お待ちしております。温かいスープをたくさん用意して」
私の答えに、彼はようやくその険しい表情をわずかに和らげた。
「ああ。約束する」
そして今、彼は騎士団の先頭に立ち、戦場へと向かおうとしている。
窓の外で、騎士団がゆっくりと動き始めた。黒い鉄の奔流が、雪景色の中を国境へと向かっていく。
私は、窓ガラスにそっと手を触れた。
そのガラスの向こうにいる愛しい人の背中に、声にならないエールを送る。
(どうかご無事で)
(そして、必ず帰ってきてください)
私の祈りが届いたかのように、先頭を行くギルバート様が一度だけこちらを振り返った気がした。
私は、もう泣かなかった。
彼に託された役目を果たさなければならない。
この砦は私が守る。
私はスカートの裾を翻し、厨房へと向かった。
私の戦場はここにあるのだから。
騎士たちが勝利して帰還した時に、最高の笑顔と最高の食事で迎えられるように。
それが私にできる、精一杯の戦いだった。
窓の外では、雪が再び静かに降り始めていた。
それは、これから始まる戦いの激しさを覆い隠すかのように、どこまでも優しく、そして白く世界を染め上げていくのだった。第87話:帝国、迎撃へ
エルミール王国が一万の軍勢を国境へと向けている。
その報せは冬の吹雪よりも速く、ガルヴァニア帝国全土を駆け巡った。それは小国が大国に牙を剥くという、自殺行為に等しい暴挙だった。
帝都ヴァルハラの政務院は、蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
「エルミールの王子はついに狂ったか!」
「一万だと? あの小国にそれだけの兵を維持する国力があったとは驚きだ」
「いや、問題は数ではない。質だ。凶作続きの国の兵など、赤子の手をひねるようなものだろう」
楽観論が飛び交う中、皇帝レオポルトは玉座の上で静かに地図を睨みつけていた。その鷲のような瞳にはいつものような好奇の色はなく、絶対君主としての冷徹な光だけが宿っている。
「…シュヴァルツ辺境伯からの報告はまだか」
皇帝の低い声に、宰相が即座に応えた。
「はっ。今朝方、早馬が到着いたしました。辺境伯はすでに臨戦態勢に入っており、『帝国の威信に懸け、侵略者は一人残らず駆逐する』との力強い伝言でございます」
「ふん。あの男のことだ。俺の許可など待たずに、とうに動き出しているだろう」
皇帝は鼻で笑った。ギルバートの性格は、誰よりも彼が一番よく理解している。
「陛下。いかがいたしますか。帝国軍本隊を援軍として派遣なさいますか?」
一人の将軍が進言する。
「シュヴァルツ騎士団は精鋭ですが、その数はおよそ五百。対する敵は一万。数の上では圧倒的に不利かと…」
その言葉に、皇帝はゆっくりと首を横に振った。
「不要だ」
その一言は、絶対的な自信に満ちていた。
「お前たちはまだ分かっておらんのか。今のギルバートはただの黒騎士ではない。そして今のシュヴァルツ領は、ただの辺境ではないのだ」
彼は玉座から立ち上がると、集まった大臣や将軍たちを見渡した。
「あの男は今、己の至宝を、己の世界の全てを守るために戦おうとしている。その覚悟を決めたギルバートがどれほどの力を発揮するか。お前たちには想像もつくまい」
皇帝の脳裏には、あの夜会の光景が浮かんでいた。
リリアンナという少女を守るために自分にさえ牙を剥いた、あの男の執着。
愛するものを守るという一点において、あの男の強さはもはや人の領域を超えている。
「それに」
皇帝は意味深な笑みを浮かべた。
「シュヴァルツ領には我らの黒騎士だけでなく、もう一つの、遥かに強力な『切り札』があるではないか」
聖女リリアンナ。
厄災級の魔獣さえも一瞬で浄化したという、奇跡の力。
その力が本当に伝説通りのものならば、一万の軍勢など赤子の群れに等しい。
「これは面白い見世物になりそうだ」
皇帝は心底楽しそうに言った。
「ギルバートの『力』と聖女の『奇跡』。その両方がエルミールの愚かな王子に、現実というものを教えてやることだろう」
皇帝は宰相に向き直ると、最終的な決定を下した。
「全軍に通達せよ。エルミール王国との国境紛争に関しては全てをシュヴァルツ辺境伯に一任する。帝国軍は一切の介入を禁ずる。ただし」
彼はそこで言葉を切り、冷たい光を目に宿した。
「国境の守備隊は現在の三倍に増強せよ。エルミールの敗残兵が、一匹たりとも帝国の土を踏むことがないようにな」
それはエルミール王国を見捨てるという、冷酷な宣言だった。
勝敗は始まる前から決している。あとは愚かな国が、どのような無様な最期を迎えるかを見届けるだけ。
皇帝の勅命は、直ちに帝国全土へと伝達された。
ガルヴァニア帝国はシュヴァルツ辺境伯ギルバートを対エルミール戦の総大将として正式に任命。彼に国境地帯における全権を委任した。
その報せがシュヴァルツ砦に届いた時、ギルバートはすでに出撃の準備を終えていた。
砦の中庭には、黒一色の鎧に身を固めた五百の精鋭騎士たちが静かに整列している。その一人一人の顔には緊張感と共に、絶対的な勝利への確信が浮かんでいた。
彼らは知っている。自分たちの主がどれほど偉大な指揮官であるかを。
そして自分たちが守るべきもののために、どれほどの力を発揮できるかを。
ギルバートは兜を被る前に、一度だけリリアンナがいるであろう城館の窓を見上げた。
(待っていてくれ、リリアンナ)
心の中で彼は静かに語りかけた。
(お前が愛したこの穏やかな場所を、俺が必ず守り抜いてみせる)
彼は兜を深く被ると、愛馬ナイトメアに跨った。
そして抜き放った長剣を天に掲げ、騎士団に向かって高らかに叫んだ。
「出撃だ! エルミールの愚か者どもに帝国の鉄槌を! 我らが正義を、見せつけてやれ!」
「「「おおおおお!」」」
五百の雄叫びが、冬の空に木霊した。
エルミール王国、一万の軍勢。
対するシュヴァルツ騎士団、五百。
圧倒的な数の差。しかし、その戦いの結末を疑う者は帝国側には誰一人としていなかった。
黒騎士が率いる帝国最強の刃。
その刃が今、自らの巣を荒らそうとする愚かな侵略者を一片残らず切り刻むために、静かに動き始めた。
ギルバート様の力強い号令が中庭に響き渡った。五百の騎士たちが雄叫びと共にそれに呼応する。その地響きのような声は、私がいる城館の部屋まで届き、窓ガラスを微かに震わせた。
私は窓辺に立ち、出撃していく騎士団の姿を固唾を飲んで見つめていた。
エルミール王国が、一万の軍勢で攻めてくる。
その衝撃的な事実をギルバート様から聞かされたのは、昨夜のことだった。
彼は、いつものように私の部屋を訪れると、静かに、そしてありのままの事実を告げた。その表情はこれまで見たことがないほど険しく、その金の瞳の奥には冷たい決意の炎が燃えていた。
「…戦争になるのですね」
私の声は震えていた。
「ああ。あの愚かな王子が最後の過ちを犯した」
戦争。
その言葉の持つ、あまりにも重い響き。
人が人を殺し、血が流れる。私が生まれ育った国と、私を受け入れてくれたこの場所が、今、戦火を交えようとしている。
そして、その原因が私にある。
その事実に、私の心は張り裂けそうだった。
私がここにいなければ、こんなことにはならなかった。私の存在が二つの国を、そして私が愛する人を戦いへと駆り立ててしまったのだ。
「私の…せいです…」
「違う」
私の自己否定を、彼は即座に、そして強く遮った。
「これは俺とあの男の問題だ。お前は何も気にする必要はない」
彼はそう言ったが、そんなことできるはずもなかった。
私は、ただ守られているだけの人形ではいたくなかった。
「私にも何かできることはありませんか!」
私は必死に彼に訴えた。
「私には聖女の力があります。文献によれば、その力は傷を癒すこともできると…。もしそれが本当なら、私は負傷した騎士の方々のお役に立てるかもしれません!」
そうだ。あの力は、ただ魔物を浄化するだけではない。
人を癒し、命を救う力にもなるはずだ。
それならば私も戦える。剣を取らずとも、この戦いに参加できる。
「戦場へ私も連れて行ってください!」
それは、私の魂からの叫びだった。
しかし、その願いは彼の冷たい一言によって無惨に打ち砕かれた。
「ならん」
その声は静かだったが、絶対的な拒絶の響きを持っていた。
「お前を、あの血生臭い場所に絶対に行かせはしない」
「ですが、なぜです!私は足手まといになるつもりは…!」
「足手まといになるからではない!」
彼は珍しく声を荒げた。その金の瞳が痛みに歪んでいる。
「俺が嫌なのだ」
彼は絞り出すような声で言った。
「お前のその清らかな手を血で汚させたくない。お前のその優しい瞳に人が死ぬ様を映させたくない。お前の命を削るかもしれない、あの力を使わせたくない」
それは、総大将としての合理的な判断ではなかった。
ただ一人の男としての、愛する女を危険から遠ざけたいという切実な願いだった。
「リリアンナ。お前にとっての戦場はここだ」
彼は私の肩を優しく掴んだ。
「この砦を守り、俺たちが帰ってくる場所を温かく保っていてくれること。それがお前にしかできない最も重要な役目だ。分かるな?」
彼の真剣な眼差しに、私は何も言い返せなくなってしまった。
彼は私を信じて、この砦を託そうとしている。
彼のいない間、この場所を守ることが私の戦いなのだと。
「…分かりました」
私は涙をこらえながら、こくりと頷いた。
「お早いお帰りを、お待ちしております。温かいスープをたくさん用意して」
私の答えに、彼はようやくその険しい表情をわずかに和らげた。
「ああ。約束する」
そして今、彼は騎士団の先頭に立ち、戦場へと向かおうとしている。
窓の外で、騎士団がゆっくりと動き始めた。黒い鉄の奔流が、雪景色の中を国境へと向かっていく。
私は、窓ガラスにそっと手を触れた。
そのガラスの向こうにいる愛しい人の背中に、声にならないエールを送る。
(どうかご無事で)
(そして、必ず帰ってきてください)
私の祈りが届いたかのように、先頭を行くギルバート様が一度だけこちらを振り返った気がした。
私は、もう泣かなかった。
彼に託された役目を果たさなければならない。
この砦は私が守る。
私はスカートの裾を翻し、厨房へと向かった。
私の戦場はここにあるのだから。
騎士たちが勝利して帰還した時に、最高の笑顔と最高の食事で迎えられるように。
それが私にできる、精一杯の戦いだった。
窓の外では、雪が再び静かに降り始めていた。
それは、これから始まる戦いの激しさを覆い隠すかのように、どこまでも優しく、そして白く世界を染め上げていくのだった。第87話:帝国、迎撃へ
エルミール王国が一万の軍勢を国境へと向けている。
その報せは冬の吹雪よりも速く、ガルヴァニア帝国全土を駆け巡った。それは小国が大国に牙を剥くという、自殺行為に等しい暴挙だった。
帝都ヴァルハラの政務院は、蜂の巣をつついたような騒ぎとなった。
「エルミールの王子はついに狂ったか!」
「一万だと? あの小国にそれだけの兵を維持する国力があったとは驚きだ」
「いや、問題は数ではない。質だ。凶作続きの国の兵など、赤子の手をひねるようなものだろう」
楽観論が飛び交う中、皇帝レオポルトは玉座の上で静かに地図を睨みつけていた。その鷲のような瞳にはいつものような好奇の色はなく、絶対君主としての冷徹な光だけが宿っている。
「…シュヴァルツ辺境伯からの報告はまだか」
皇帝の低い声に、宰相が即座に応えた。
「はっ。今朝方、早馬が到着いたしました。辺境伯はすでに臨戦態勢に入っており、『帝国の威信に懸け、侵略者は一人残らず駆逐する』との力強い伝言でございます」
「ふん。あの男のことだ。俺の許可など待たずに、とうに動き出しているだろう」
皇帝は鼻で笑った。ギルバートの性格は、誰よりも彼が一番よく理解している。
「陛下。いかがいたしますか。帝国軍本隊を援軍として派遣なさいますか?」
一人の将軍が進言する。
「シュヴァルツ騎士団は精鋭ですが、その数はおよそ五百。対する敵は一万。数の上では圧倒的に不利かと…」
その言葉に、皇帝はゆっくりと首を横に振った。
「不要だ」
その一言は、絶対的な自信に満ちていた。
「お前たちはまだ分かっておらんのか。今のギルバートはただの黒騎士ではない。そして今のシュヴァルツ領は、ただの辺境ではないのだ」
彼は玉座から立ち上がると、集まった大臣や将軍たちを見渡した。
「あの男は今、己の至宝を、己の世界の全てを守るために戦おうとしている。その覚悟を決めたギルバートがどれほどの力を発揮するか。お前たちには想像もつくまい」
皇帝の脳裏には、あの夜会の光景が浮かんでいた。
リリアンナという少女を守るために自分にさえ牙を剥いた、あの男の執着。
愛するものを守るという一点において、あの男の強さはもはや人の領域を超えている。
「それに」
皇帝は意味深な笑みを浮かべた。
「シュヴァルツ領には我らの黒騎士だけでなく、もう一つの、遥かに強力な『切り札』があるではないか」
聖女リリアンナ。
厄災級の魔獣さえも一瞬で浄化したという、奇跡の力。
その力が本当に伝説通りのものならば、一万の軍勢など赤子の群れに等しい。
「これは面白い見世物になりそうだ」
皇帝は心底楽しそうに言った。
「ギルバートの『力』と聖女の『奇跡』。その両方がエルミールの愚かな王子に、現実というものを教えてやることだろう」
皇帝は宰相に向き直ると、最終的な決定を下した。
「全軍に通達せよ。エルミール王国との国境紛争に関しては全てをシュヴァルツ辺境伯に一任する。帝国軍は一切の介入を禁ずる。ただし」
彼はそこで言葉を切り、冷たい光を目に宿した。
「国境の守備隊は現在の三倍に増強せよ。エルミールの敗残兵が、一匹たりとも帝国の土を踏むことがないようにな」
それはエルミール王国を見捨てるという、冷酷な宣言だった。
勝敗は始まる前から決している。あとは愚かな国が、どのような無様な最期を迎えるかを見届けるだけ。
皇帝の勅命は、直ちに帝国全土へと伝達された。
ガルヴァニア帝国はシュヴァルツ辺境伯ギルバートを対エルミール戦の総大将として正式に任命。彼に国境地帯における全権を委任した。
その報せがシュヴァルツ砦に届いた時、ギルバートはすでに出撃の準備を終えていた。
砦の中庭には、黒一色の鎧に身を固めた五百の精鋭騎士たちが静かに整列している。その一人一人の顔には緊張感と共に、絶対的な勝利への確信が浮かんでいた。
彼らは知っている。自分たちの主がどれほど偉大な指揮官であるかを。
そして自分たちが守るべきもののために、どれほどの力を発揮できるかを。
ギルバートは兜を被る前に、一度だけリリアンナがいるであろう城館の窓を見上げた。
(待っていてくれ、リリアンナ)
心の中で彼は静かに語りかけた。
(お前が愛したこの穏やかな場所を、俺が必ず守り抜いてみせる)
彼は兜を深く被ると、愛馬ナイトメアに跨った。
そして抜き放った長剣を天に掲げ、騎士団に向かって高らかに叫んだ。
「出撃だ! エルミールの愚か者どもに帝国の鉄槌を! 我らが正義を、見せつけてやれ!」
「「「おおおおお!」」」
五百の雄叫びが、冬の空に木霊した。
エルミール王国、一万の軍勢。
対するシュヴァルツ騎士団、五百。
圧倒的な数の差。しかし、その戦いの結末を疑う者は帝国側には誰一人としていなかった。
黒騎士が率いる帝国最強の刃。
その刃が今、自らの巣を荒らそうとする愚かな侵略者を一片残らず切り刻むために、静かに動き始めた。
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