81 / 100
第81話 ささやかな不安
しおりを挟む
結婚式への準備が最終段階へと入っていく。
招待状は大切な人たちの元へと届けられ、返信の葉書が毎日、新居の郵便受けに雪のように舞い込んできた。
その一枚一枚に書かれた温かい祝福の言葉を読むたびに、俺たちの胸は幸せで満たされた。
式で流す音楽が決まり、会場を彩る花が選ばれ、そして俺の礼服もルナのドレスに合わせた完璧な一着が仕立て上がった。
全てが順調だった。
あまりにも順調すぎた。
まるで完璧に描かれた脚本の上を、寸分の狂いもなく歩いているかのように。
その完璧すぎる幸福の中で。
俺の心に、ほんのちいさな黒い染みのようなものが生まれ始めていた。
それは不安、という名前の感情だった。
夜、一人で書斎にいる時や、診療所でふとした瞬間に。
その不安は予告なく、俺の心を支配する。
俺は本当にこのままでいいのだろうか。
ルナほどの気高く、美しく、そして心優しい女性が、俺のような何の取り柄もない元平民の男と結婚して。
本当に彼女は幸せになれるのだろうか。
俺は彼女を一生、守り、支え続けることができるのだろうか。
アウレリアの聖者。名誉子爵。
そんな借り物の肩書きを剥がしてしまえば、俺はただのユキ・アスカワだ。
特別な力を持っているだけで、中身は前世の何事も成し遂げられなかったしがない会社員と何も変わっていない。
そんな俺がシルフィード公爵家の唯一の姫君を妻に迎える。
そのあまりにも重い事実に、俺は今更ながら怖気づいてしまっていたのかもしれない。
幸せすぎることが、逆に怖い。
この夢のような毎日が、ある朝目が覚めたら全て消えてなくなってしまうのではないか。
そんなありもしない恐怖に、俺は一人苛まれていた。
もちろん、そんな弱音をルナ本人に吐けるはずもなかった。
彼女は今、人生で最も輝かしい瞬間を迎えようとしているのだ。
俺がそんな顔を見せれば、彼女を不安にさせてしまう。
俺は必死に、その心の内の小さな染みを隠し続けた。
だが、彼女は見抜いていた。
俺のそのささやかな変化を。
その夜、俺は新居の書斎で診療所のカルテの整理をしていた。
結婚式が近いからとアルフォンス公爵が、しばらくの間診療所を休診にするよう手配してくれたのだ。
だが俺は、何かをしていないと余計なことを考えてしまいそうで落ち着かなかった。
コンコン、と。
控えめなノックの音と共に、ルナが部屋に入ってきた。
その手には温かいミルクティーの入った、お揃いのマグカップが二つ。
「ユキ、あまり根を詰めすぎてはいけませんわ」
彼女はそう言うと、俺の隣にそっと腰を下ろした。
そして俺の分のマグカップをテーブルに置きながら、静かな、しかし芯の通った声で言った。
「…何か悩んでいることがあるのでしょう?」
そのあまりにも真っ直ぐな問いかけ。
俺は一瞬、言葉に詰まった。
「いや、そんなことは…」
俺がいつものように誤魔化そうとすると、彼女はそっと俺の手に自分の手を重ねた。
その手はひんやりとしていて、彼女自身もまた緊張していることが伝わってきた。
「嘘はお嫌いですわ」
彼女は俺の目をじっと見つめてきた。
その瞳には俺の心の奥底まで全てを見透かすような、深い深い愛情が宿っていた。
「わたくしはユキの妻になる女ですのよ。貴方の喜びも、悲しみも、そしてその不安さえも、全て分かち合いたいのです。…どうか、わたくしを頼ってくださいまし」
そのあまりにも真摯な言葉に、俺が必死に築いていた心の壁が音を立てて崩れ落ちていった。
ああ、俺はまた同じ過ちを繰り返すところだった。
このかけがえのないパートナーを信じずに、一人で全てを抱え込もうとしていた。
俺は、ふぅ、と長く深いため息をついた。
そして観念して、自分の情けない胸の内を全て彼女に打ち明けた。
俺がどれだけ自分に自信がないか。
俺がどれだけ彼女を幸せにできるか、不安に思っているか。
そして、この幸せすぎる毎日がいつか壊れてしまうのではないかと怯えていること。
俺のその弱々しい告白を。
彼女はただ黙って、静かに最後まで聞いてくれた。
そして俺が全てを話し終えると、彼女は重ねていた手を俺の頬へと移動させた。
そして母が子を慈しむように、優しくその頬を撫でた。
「…馬鹿な方」
彼女の口からこぼれ落ちたのは、呆れたような、しかしどこまでも愛おしさに満ちた呟きだった。
「ユキはまだご自分の価値を、何も分かっておいでではないのですね」
彼女は俺の目をもう一度、真っ直ぐに見つめ返した。
「わたくしが愛したのは、聖者様でも子爵閣下でもございませんわ。ただ一人の、誰よりも優しく、誰よりも温かい、ユキ・アスカワという殿方です」
その言葉は、俺の一番柔らかい場所に温かい光のように染み込んでいく。
「わたくしが幸せかどうか、ですって? そんなこと、決まっておりますわ。貴方がただ隣で笑っていてくださる。それだけでわたくしは、世界で一番の幸せ者なのです」
「そして…」
彼女は言葉を続けた。
その瞳には絶対的な、揺るぎない光が灯っていた。
「この幸せが壊れるですって? ふふっ。ありえませんわ」
彼女はくすりと悪戯っぽく笑った。
「もし、私たちの幸せを壊そうとするものが現れたのなら…」
彼女は俺の胸に、ぴとり、とその白い額を押し当てた。
そして囁いた。
「わたくしがこの命に代えても、ユキをお守りいたしますから」
そのあまりにも力強く、そしてあまりにも愛おしい誓いの言葉。
俺の心の中の、最後の小さな染みもその言葉で完全に浄化されてしまった。
そうだ。
俺は一人じゃない。
俺にはこの、世界で一番強くて優しい最高のパートナーがついているのだ。
俺が彼女を守る。
そして彼女も俺を守ってくれる。
二人でいれば俺たちは無敵だ。
俺はもう何も言わなかった。
ただ目の前の、愛おしすぎる未来の妻を力の限り強く、強く抱きしめた。
彼女もまた、俺の背中にしっかりと腕を回してくる。
その確かな温もりを感じながら、俺はもう二度と迷わないと心に誓った。
ささやかな不安は、彼女の絶対的な愛の前で完全に溶けて消えた。
俺たちの絆はまた一つ試練を乗り越え、より強く、そしてより深いものへと変わっていった。
俺は腕の中の温もりをもう一度確かめるように抱きしめ直した。
結婚式まであと僅か。
俺の心はもう、一点の曇りもなく晴れ渡っていた。
招待状は大切な人たちの元へと届けられ、返信の葉書が毎日、新居の郵便受けに雪のように舞い込んできた。
その一枚一枚に書かれた温かい祝福の言葉を読むたびに、俺たちの胸は幸せで満たされた。
式で流す音楽が決まり、会場を彩る花が選ばれ、そして俺の礼服もルナのドレスに合わせた完璧な一着が仕立て上がった。
全てが順調だった。
あまりにも順調すぎた。
まるで完璧に描かれた脚本の上を、寸分の狂いもなく歩いているかのように。
その完璧すぎる幸福の中で。
俺の心に、ほんのちいさな黒い染みのようなものが生まれ始めていた。
それは不安、という名前の感情だった。
夜、一人で書斎にいる時や、診療所でふとした瞬間に。
その不安は予告なく、俺の心を支配する。
俺は本当にこのままでいいのだろうか。
ルナほどの気高く、美しく、そして心優しい女性が、俺のような何の取り柄もない元平民の男と結婚して。
本当に彼女は幸せになれるのだろうか。
俺は彼女を一生、守り、支え続けることができるのだろうか。
アウレリアの聖者。名誉子爵。
そんな借り物の肩書きを剥がしてしまえば、俺はただのユキ・アスカワだ。
特別な力を持っているだけで、中身は前世の何事も成し遂げられなかったしがない会社員と何も変わっていない。
そんな俺がシルフィード公爵家の唯一の姫君を妻に迎える。
そのあまりにも重い事実に、俺は今更ながら怖気づいてしまっていたのかもしれない。
幸せすぎることが、逆に怖い。
この夢のような毎日が、ある朝目が覚めたら全て消えてなくなってしまうのではないか。
そんなありもしない恐怖に、俺は一人苛まれていた。
もちろん、そんな弱音をルナ本人に吐けるはずもなかった。
彼女は今、人生で最も輝かしい瞬間を迎えようとしているのだ。
俺がそんな顔を見せれば、彼女を不安にさせてしまう。
俺は必死に、その心の内の小さな染みを隠し続けた。
だが、彼女は見抜いていた。
俺のそのささやかな変化を。
その夜、俺は新居の書斎で診療所のカルテの整理をしていた。
結婚式が近いからとアルフォンス公爵が、しばらくの間診療所を休診にするよう手配してくれたのだ。
だが俺は、何かをしていないと余計なことを考えてしまいそうで落ち着かなかった。
コンコン、と。
控えめなノックの音と共に、ルナが部屋に入ってきた。
その手には温かいミルクティーの入った、お揃いのマグカップが二つ。
「ユキ、あまり根を詰めすぎてはいけませんわ」
彼女はそう言うと、俺の隣にそっと腰を下ろした。
そして俺の分のマグカップをテーブルに置きながら、静かな、しかし芯の通った声で言った。
「…何か悩んでいることがあるのでしょう?」
そのあまりにも真っ直ぐな問いかけ。
俺は一瞬、言葉に詰まった。
「いや、そんなことは…」
俺がいつものように誤魔化そうとすると、彼女はそっと俺の手に自分の手を重ねた。
その手はひんやりとしていて、彼女自身もまた緊張していることが伝わってきた。
「嘘はお嫌いですわ」
彼女は俺の目をじっと見つめてきた。
その瞳には俺の心の奥底まで全てを見透かすような、深い深い愛情が宿っていた。
「わたくしはユキの妻になる女ですのよ。貴方の喜びも、悲しみも、そしてその不安さえも、全て分かち合いたいのです。…どうか、わたくしを頼ってくださいまし」
そのあまりにも真摯な言葉に、俺が必死に築いていた心の壁が音を立てて崩れ落ちていった。
ああ、俺はまた同じ過ちを繰り返すところだった。
このかけがえのないパートナーを信じずに、一人で全てを抱え込もうとしていた。
俺は、ふぅ、と長く深いため息をついた。
そして観念して、自分の情けない胸の内を全て彼女に打ち明けた。
俺がどれだけ自分に自信がないか。
俺がどれだけ彼女を幸せにできるか、不安に思っているか。
そして、この幸せすぎる毎日がいつか壊れてしまうのではないかと怯えていること。
俺のその弱々しい告白を。
彼女はただ黙って、静かに最後まで聞いてくれた。
そして俺が全てを話し終えると、彼女は重ねていた手を俺の頬へと移動させた。
そして母が子を慈しむように、優しくその頬を撫でた。
「…馬鹿な方」
彼女の口からこぼれ落ちたのは、呆れたような、しかしどこまでも愛おしさに満ちた呟きだった。
「ユキはまだご自分の価値を、何も分かっておいでではないのですね」
彼女は俺の目をもう一度、真っ直ぐに見つめ返した。
「わたくしが愛したのは、聖者様でも子爵閣下でもございませんわ。ただ一人の、誰よりも優しく、誰よりも温かい、ユキ・アスカワという殿方です」
その言葉は、俺の一番柔らかい場所に温かい光のように染み込んでいく。
「わたくしが幸せかどうか、ですって? そんなこと、決まっておりますわ。貴方がただ隣で笑っていてくださる。それだけでわたくしは、世界で一番の幸せ者なのです」
「そして…」
彼女は言葉を続けた。
その瞳には絶対的な、揺るぎない光が灯っていた。
「この幸せが壊れるですって? ふふっ。ありえませんわ」
彼女はくすりと悪戯っぽく笑った。
「もし、私たちの幸せを壊そうとするものが現れたのなら…」
彼女は俺の胸に、ぴとり、とその白い額を押し当てた。
そして囁いた。
「わたくしがこの命に代えても、ユキをお守りいたしますから」
そのあまりにも力強く、そしてあまりにも愛おしい誓いの言葉。
俺の心の中の、最後の小さな染みもその言葉で完全に浄化されてしまった。
そうだ。
俺は一人じゃない。
俺にはこの、世界で一番強くて優しい最高のパートナーがついているのだ。
俺が彼女を守る。
そして彼女も俺を守ってくれる。
二人でいれば俺たちは無敵だ。
俺はもう何も言わなかった。
ただ目の前の、愛おしすぎる未来の妻を力の限り強く、強く抱きしめた。
彼女もまた、俺の背中にしっかりと腕を回してくる。
その確かな温もりを感じながら、俺はもう二度と迷わないと心に誓った。
ささやかな不安は、彼女の絶対的な愛の前で完全に溶けて消えた。
俺たちの絆はまた一つ試練を乗り越え、より強く、そしてより深いものへと変わっていった。
俺は腕の中の温もりをもう一度確かめるように抱きしめ直した。
結婚式まであと僅か。
俺の心はもう、一点の曇りもなく晴れ渡っていた。
15
あなたにおすすめの小説
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。
猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。
もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。
すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。
主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。
――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました――
風景が目まぐるしく移り変わる。
天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。
移り変わる景色こそは、
第一天 ヴィロン。
第二天 ラキア。
第三天 シャハクィム。
第四天 ゼブル。
第五天 マオン。
第六天 マコン。
それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。
気付けば明星は、玉座に座っていた。
そこは天の最高位。
第七天 アラボト。
そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。
――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる