87 / 100
第87話:最後の聖女
しおりを挟む
王都アヴァロンは、もはや死の都と化していた。
街の至る所で炎が上がり、黒い煙が空を覆っている。破壊された家屋、打ち捨てられた馬車。道にはおびただしい数の死体が転がり、カラスの群れがその肉をついばんでいた。
そんな地獄のような光景の中を、一体の巨大な魔物が悠々と闊歩していた。それはキメラだった。獅子の体に山羊の頭、そして蛇の尾を持つ伝説の合成獣。その口からは絶えず炎が吐き出され、残された建物を容赦なく破壊していく。
そのキメラの前に、一人の少女がたった一人で立ちはだかっていた。
純白のローブは血と泥で汚れ、ところどころが焼け焦げている。艶やかだった金色の髪は乱れ、その美しい顔には深い疲労と絶望の色が刻まれていた。
聖女リリア。
彼女は手に持った聖なる錫杖を、震える手で、しかし固く握りしめていた。
「……まだです……。私がいる限り……この先へは行かせません……!」
彼女の背後には、王宮へと続く最後の避難通路があった。その中にはまだ逃げ遅れた数百人の民たちが息を潜めている。彼女は三日三晩、たった一人でこの場所を守り続けていたのだ。
【名称:リリア・アークライト】
【職業:聖女】
【レベル:35】
【状態:極度の魔力枯渇、致命的な疲労、精神的限界】
【スキル:上級治癒魔法、広範囲聖属性結界、神罰の光】
彼女のステータスは、もはや風前の灯火だった。魔力はほぼ底をつき、その体は立っているのがやっとの状態。それでも、彼女の瞳からはまだ聖女としての最後の誇りの光が消えてはいなかった。
「グルオオオオ!」
キメラが苛立ちの咆哮を上げた。目の前のちっぽけな人間の女が、何度倒しても何度でも立ち上がってくる。その粘り強さに、獣の理性も限界に達しつつあった。
キメラは、その三つの口を大きく開け、灼熱の炎、凍てつく吹雪、そして猛毒の霧を同時にリリアへと向かって吐き出した。
「【ホーリー・フィールド】!」
リリアが最後の力を振り絞って叫ぶ。彼女の体から淡い、しかし神々しい光の障壁が展開され、三つの属性攻撃をかろうじて防ぎきった。
だが、その代償は大きかった。結界は激しい音を立てて砕け散り、リリアはその場にがくりと膝をついた。
「……うっ……!」
口から血がこぼれ落ちる。もう限界だった。
キメラは好機とばかりに、その巨大な鉤爪をリリアの頭上へと振り下ろした。
(……ああ……ここまで、なのですね……)
リリアの脳裏に、走馬灯のように様々な光景が浮かび上がる。
民から聖女として称えられた日々。
勇者と共に魔王軍と戦った栄光の日々。
そして。
一人の不器用で優しい幼馴染の笑顔。
(……アレン……)
もし、もう一度あなたに会えるのなら。
私はただ一言。
「ごめんなさい」と、伝えたい。
リリアは迫り来る死を前に、静かに目を閉じた。
その、瞬間だった。
空気を切り裂くような鋭い音が二つ。
「ギャウッ!?」
キメラが苦痛の叫びを上げた。その両目に二本の銀色のダガーが深々と突き刺さっていたのだ。
視力を奪われたキメラが苦し紛れに暴れ狂う。
そして、リリアの目の前に一つの影が音もなく舞い降りた。
銀色の髪を風になびかせ、その手には血に濡れたダガーを逆手に握りしめている。
「……あなたは……」
リリアがかすれた声で尋ねる。
「大丈夫ですか。もう心配いりません」
その少女――ルナは、振り返りもせずに、しかし力強い声でそう告げた。
「な、なぜ……あなたが、ここに……」
「アレン様が、あなたを助けろって」
ルナのその一言。
その言葉に含まれた愛しい名前。
『アレン』。
その名前を聞いた瞬間、リリアの心の中で張り詰めていた最後の糸がぷつりと切れた。
「……アレン……アレン……!」
彼女は子供のように彼の名前を呼びながら、声を上げて泣きじゃくった。
その涙は安堵か、後悔か。それとも喜びか。
彼女自身にも、もう分からなかった。
暴れ狂うキメラの前に、さらに二つの人影が立ちはだかる。
一人は緑の髪のエルフ。その手には月光のように輝く美しい魔剣が握られている。
もう一人はピンクブロンドの髪の令嬢。その杖の先には天罰の雷が渦を巻いていた。
「……さて、と。でかいだけの雑種だな。一瞬で塵にしてやる」
「この聖なる都を汚した罪、その身をもって償っていただきましょう!」
シルフィとフィオナが同時に動いた。
シルフィの魔剣がキメラの足を断ち切り、フィオナの雷がその翼を焼き尽くす。
そして、リリアが倒れ込んだその場所に、最後の人影がゆっくりと、しかし確かな足取りで歩み寄ってきた。
それは、彼女が夢にまで見た男の姿だった。
以前よりもずっと逞しくなった背中。
自信に満ちた穏やかな表情。
彼は泣きじゃくるリリアの前に静かに膝をついた。そして、何も言わずにその肩に自分のマントをそっとかけた。
「……リリア」
彼の声が聞こえる。
「……よく、頑張ったな」
その、あまりにも優しい声。
その、あまりにも温かい温もり。
リリアは彼の姿を見て、涙で霞む視界の中、ただただ彼の名前を呼び続けることしかできなかった。
絶望の淵に立たされていた最後の聖女は、辺境から来た英雄とその仲間たちによって、ついに救い出されたのだった。
街の至る所で炎が上がり、黒い煙が空を覆っている。破壊された家屋、打ち捨てられた馬車。道にはおびただしい数の死体が転がり、カラスの群れがその肉をついばんでいた。
そんな地獄のような光景の中を、一体の巨大な魔物が悠々と闊歩していた。それはキメラだった。獅子の体に山羊の頭、そして蛇の尾を持つ伝説の合成獣。その口からは絶えず炎が吐き出され、残された建物を容赦なく破壊していく。
そのキメラの前に、一人の少女がたった一人で立ちはだかっていた。
純白のローブは血と泥で汚れ、ところどころが焼け焦げている。艶やかだった金色の髪は乱れ、その美しい顔には深い疲労と絶望の色が刻まれていた。
聖女リリア。
彼女は手に持った聖なる錫杖を、震える手で、しかし固く握りしめていた。
「……まだです……。私がいる限り……この先へは行かせません……!」
彼女の背後には、王宮へと続く最後の避難通路があった。その中にはまだ逃げ遅れた数百人の民たちが息を潜めている。彼女は三日三晩、たった一人でこの場所を守り続けていたのだ。
【名称:リリア・アークライト】
【職業:聖女】
【レベル:35】
【状態:極度の魔力枯渇、致命的な疲労、精神的限界】
【スキル:上級治癒魔法、広範囲聖属性結界、神罰の光】
彼女のステータスは、もはや風前の灯火だった。魔力はほぼ底をつき、その体は立っているのがやっとの状態。それでも、彼女の瞳からはまだ聖女としての最後の誇りの光が消えてはいなかった。
「グルオオオオ!」
キメラが苛立ちの咆哮を上げた。目の前のちっぽけな人間の女が、何度倒しても何度でも立ち上がってくる。その粘り強さに、獣の理性も限界に達しつつあった。
キメラは、その三つの口を大きく開け、灼熱の炎、凍てつく吹雪、そして猛毒の霧を同時にリリアへと向かって吐き出した。
「【ホーリー・フィールド】!」
リリアが最後の力を振り絞って叫ぶ。彼女の体から淡い、しかし神々しい光の障壁が展開され、三つの属性攻撃をかろうじて防ぎきった。
だが、その代償は大きかった。結界は激しい音を立てて砕け散り、リリアはその場にがくりと膝をついた。
「……うっ……!」
口から血がこぼれ落ちる。もう限界だった。
キメラは好機とばかりに、その巨大な鉤爪をリリアの頭上へと振り下ろした。
(……ああ……ここまで、なのですね……)
リリアの脳裏に、走馬灯のように様々な光景が浮かび上がる。
民から聖女として称えられた日々。
勇者と共に魔王軍と戦った栄光の日々。
そして。
一人の不器用で優しい幼馴染の笑顔。
(……アレン……)
もし、もう一度あなたに会えるのなら。
私はただ一言。
「ごめんなさい」と、伝えたい。
リリアは迫り来る死を前に、静かに目を閉じた。
その、瞬間だった。
空気を切り裂くような鋭い音が二つ。
「ギャウッ!?」
キメラが苦痛の叫びを上げた。その両目に二本の銀色のダガーが深々と突き刺さっていたのだ。
視力を奪われたキメラが苦し紛れに暴れ狂う。
そして、リリアの目の前に一つの影が音もなく舞い降りた。
銀色の髪を風になびかせ、その手には血に濡れたダガーを逆手に握りしめている。
「……あなたは……」
リリアがかすれた声で尋ねる。
「大丈夫ですか。もう心配いりません」
その少女――ルナは、振り返りもせずに、しかし力強い声でそう告げた。
「な、なぜ……あなたが、ここに……」
「アレン様が、あなたを助けろって」
ルナのその一言。
その言葉に含まれた愛しい名前。
『アレン』。
その名前を聞いた瞬間、リリアの心の中で張り詰めていた最後の糸がぷつりと切れた。
「……アレン……アレン……!」
彼女は子供のように彼の名前を呼びながら、声を上げて泣きじゃくった。
その涙は安堵か、後悔か。それとも喜びか。
彼女自身にも、もう分からなかった。
暴れ狂うキメラの前に、さらに二つの人影が立ちはだかる。
一人は緑の髪のエルフ。その手には月光のように輝く美しい魔剣が握られている。
もう一人はピンクブロンドの髪の令嬢。その杖の先には天罰の雷が渦を巻いていた。
「……さて、と。でかいだけの雑種だな。一瞬で塵にしてやる」
「この聖なる都を汚した罪、その身をもって償っていただきましょう!」
シルフィとフィオナが同時に動いた。
シルフィの魔剣がキメラの足を断ち切り、フィオナの雷がその翼を焼き尽くす。
そして、リリアが倒れ込んだその場所に、最後の人影がゆっくりと、しかし確かな足取りで歩み寄ってきた。
それは、彼女が夢にまで見た男の姿だった。
以前よりもずっと逞しくなった背中。
自信に満ちた穏やかな表情。
彼は泣きじゃくるリリアの前に静かに膝をついた。そして、何も言わずにその肩に自分のマントをそっとかけた。
「……リリア」
彼の声が聞こえる。
「……よく、頑張ったな」
その、あまりにも優しい声。
その、あまりにも温かい温もり。
リリアは彼の姿を見て、涙で霞む視界の中、ただただ彼の名前を呼び続けることしかできなかった。
絶望の淵に立たされていた最後の聖女は、辺境から来た英雄とその仲間たちによって、ついに救い出されたのだった。
2
あなたにおすすめの小説
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
貴族に無茶苦茶なことを言われたのでやけくそな行動をしたら、戦争賠償として引き抜かれました。
詰んだ
ファンタジー
エルクス王国の魔法剣士で重鎮のキースは、うんざりしていた。
王国とは名ばかりで、元老院の貴族が好き勝手なこと言っている。
そしてついに国力、戦力、人材全てにおいて圧倒的な戦力を持つヴォルクス皇国に、戦争を仕掛けるという暴挙に出た。
勝てるわけのない戦争に、「何とか勝て!」と言われたが、何もできるはずもなく、あっという間に劣勢になった。
日を追うごとに悪くなる戦況に、キースへのあたりがひどくなった。
むしゃくしゃしたキースは、一つの案を思いついた。
その案を実行したことによって、あんなことになるなんて、誰も想像しなかった。
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる