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第十五話 力の源泉、黒曜石の変容
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黒曜石のような滑らかな素材で覆われた通路を進むにつれて、オブシディアンが感じる魔力の波動はますます強くなっていった。それはリッチ・ロードが放っていた禍々しい負の魔力とは対極にあるような、純粋で、しかし圧倒的なエネルギーの奔流だった。空気がビリビリと震え、オブシディアンの影のような身体すらも、その波動に共鳴するように微かに揺らめいている。
通路の突き当たりには、他の扉とは明らかに異なる、巨大な黒曜石の扉が聳え立っていた。扉の表面には、これまで見てきた古代文様よりもさらに複雑で、緻密な模様が刻まれており、それ自体が淡い光を放っている。オブシディアンが近づくと、扉は音もなく静かに左右にスライドし、内部の光景が露わになった。
そこは、巨大なドーム状の空間だった。壁も床も天井も、通路と同じく滑らかな黒曜石でできており、継ぎ目ひとつ見当たらない。そして、部屋の中央には、その空間を満たす強大な魔力の源――直径5メートルはあろうかという、巨大な青白い結晶体が浮遊していた。
結晶体は、まるで呼吸するかのように、ゆっくりと明滅を繰り返している。その表面には無数の古代文様が流れ、内部からは計り知れないほどの魔力が絶えず放出されていた。これが、ゴブリンが言っていた「力の源泉」か。この古代遺跡全体の動力源、あるいは核となる存在なのだろう。
部屋には、ガーディアンのような守護者の姿は見当たらない。しかし、油断はできなかった。この空間自体が、侵入者を拒む罠や仕掛けで満ちている可能性もある。オブシディアンは【隠密】と【影殻】を維持したまま、慎重に部屋の中へと足を踏み入れた。
結晶体に近づくにつれて、魔力の奔流はさらに激しくなる。まるで嵐の中にいるようだ。オブシディアンのMPゲージが、スキルを使っていないにも関わらず、わずかずつ減少していく。この空間にいるだけで、魔力を消耗するらしい。長居は危険かもしれない。
(しかし、このエネルギー…これを【捕食吸収】できれば…)
オブシディアンの思考は、自然とそちらに向いていた。リッチ・ロードの魔力や、エンシェント・ガーディアンのエネルギーとは比較にならない、純粋で強大な力の塊。これを吸収できれば、どれほどの成長が見込めるだろうか?
リスクは計り知れない。リッチ・ロードの魔力吸収ですら、激しい抵抗と消耗があったのだ。この「力の源泉」のエネルギーを直接吸収しようとすれば、最悪の場合、自身の存在が保てずに消滅してしまう可能性すらある。
だが、オブシディアンは、そのリスクよりも、得られるであろう力への渇望を強く感じていた。最強を目指すならば、ここで躊躇うわけにはいかない。
オブシディアンは意を決し、【影走】で一気に中央の結晶体へと接近した。そして、浮遊する巨大な結晶体の表面に、影の身体を押し付ける。
(【捕食吸収 Lv.3】!)
スキルを発動した瞬間、オブシディアンの全身を、これまで経験したことのないほどの凄まじいエネルギーの奔流が貫いた。
「グゥオオオオオオオオオオッ!?」
意識が飛びそうになるほどの衝撃。まるで、自分が巨大な滝壺に飲み込まれ、無限の水の奔流に揉まれているかのようだ。MPゲージとHPゲージが、凄まじい勢いで減少し始める。同時に、膨大なエネルギーと、それに付随する情報が、オブシディアンのキャパシティを超えて流れ込んでくる。
それは、この遺跡が建造された時代の記憶、古代の錬金術師たちの思念、世界の法則に関する断片的な知識、そして、スライムという種族の根源に関わるかもしれない、原始的な生命エネルギーの記憶――。
(耐えろ…! 吸収しろ…! この力を、俺のものにするんだ!)
オブシディアンは、消えかかりそうになる意識を必死に繋ぎ止め、力の奔流に抗いながら、吸収を続ける。【自己修復 Lv.3】と【捕食】による回復が追いつかないほどの消耗。MPが底を突きかける。アイテムの魔力回復薬(小)を瞬時に使用するが、焼け石に水だ。
まずい、このままでは消滅する…!
その瞬間、オブシディアンの内部の核――シャドウ・スライムへと進化した際に紫色の光を帯びた黒曜石のような核――が、激しく明滅を始めた。そして、核自体が、力の源泉から流れ込む膨大なエネルギーを、まるでブラックホールのように吸い込み始めたのだ。
核がエネルギーを吸収するにつれて、オブシディアンの身体の消耗がわずかに緩和される。そして、吸収されたエネルギーは、核の中で圧縮・精製され、オブシディアン自身の力へと変換されていく。
『警告:許容量を超えるエネルギーを吸収しています』
『核(コア)システムが過負荷状態です』
『緊急自己進化プロセスを試行します…失敗』
『スキル統合による最適化を開始します…』
システムメッセージが高速で流れる。オブシディアンの身体は、黒紫色の光と青白い光が激しく入り混じり、明滅を繰り返している。その姿は、もはやシャドウ・スライムとは呼べない、不安定で混沌としたエネルギーの塊のようだ。
『スキル【捕食 Lv.3】と【自己修復 Lv.3】が臨界点に到達』
『スキル【影殻 Lv.1】と【魔法耐性(小) Lv.1】が融合を開始』
『核(コア)によるエネルギー変換率が上昇…』
どれほどの時間が経過したのか。オブシディアンの意識は朦朧としていたが、力の奔流は徐々に収まりつつあった。そして、ついに。
『力の源泉からのエネルギー吸収を完了しました』
『核(コア)によるエネルギー変換プロセスを完了』
『身体構造の安定化を確認』
『スキルの進化・統合が完了しました』
『特殊スキル【魔力変換炉 Lv.1】を獲得しました』
『スキル【捕食吸収 Lv.1】を獲得しました (捕食Lv.3 + 自己修復Lv.3 より進化)』
『スキル【影護 Lv.1】を獲得しました (影殻Lv.1 + 魔法耐性(小)Lv.1 より進化)』
『称号【源泉に触れし者】を獲得しました』
光が収まり、オブシディアンはゆっくりと結晶体から離れた。身体は元のシャドウ・スライムの姿に戻っているが、その内側には、以前とは比較にならないほどの力が満ちているのを感じた。
ステータスを確認すると、レベルは上がっていないものの、能力値、特に魔力容量と魔法防御力が大幅に上昇していた。そして、スキルリストが大きく変化している。
【捕食】と【自己修復】が統合され、【捕食吸収】という新たなスキルになっている。これは、初期に持っていたスキルの上位版だろうか? 吸収効率や回復効果が向上しているのかもしれない。【影殻】と【魔法耐性】も統合され、【影護】というスキルになった。これは物理・魔法双方への防御スキルだろうか?
そして、最も気になるのが【魔力変換炉】。おそらく、核(コア)がエネルギーを吸収・変換した結果、獲得したスキルだろう。周囲の魔力を吸収して自身のMPに変換したり、あるいは吸収したエネルギーを別の形に変換したりできるのかもしれない。これは、今後の活動において非常に重要なスキルとなりそうだ。
(生き残った…そして、さらに強くなった)
オブシディアンは、安堵と達成感に包まれながら、改めて中央の結晶体を見上げた。表面の輝きは以前よりも少し弱まっているように見えるが、それでもなお強大な魔力を放ち続けている。完全に吸収しきったわけではないようだ。
そして、吸収した情報の中に、気になる断片があった。この遺跡、そして力の源泉は、古代の錬金術師たちが「究極の生命体」を創造するために作り出した施設の一部であるらしい。そして、その実験体として、最も原始的で、最も変異の可能性を秘めた存在――スライム――が用いられていた、と。
(俺がスライムを選んだのは、偶然ではなかった…?)
壁画にあったスライムのような生物の絵。力の源泉のエネルギーに対する核の反応。全てが繋がった気がした。この遺跡は、オブシディアンにとって、まさに運命的な場所だったのかもしれない。
『…誰か、来る』
ふと、オブシディアンは新たな気配を察知した。遺跡の入り口の方から、複数のプレイヤーらしき足音が近づいてきている。【隠密】スキルで気配を探ると、その数は5人。装備から察するに、それなりのレベルのパーティのようだ。彼らもこの「力の源泉」を目指してきたのだろうか?
(潮時か…)
オブシディアンは、これ以上の長居は無用と判断した。力の源泉からエネルギーを吸収し、多くの情報を得た。今は一旦、この遺跡から離れ、新たな力を試し、情報を整理する時間が必要だ。
オブシディアンは【影走】を発動し、部屋の隅にある影へと滑り込むと、【影擬態 Lv.2】で完全に同化した。そして、プレイヤーたちがこの部屋に到着する前に、別の通路から静かに離脱を開始した。
古代遺跡での探索と強化は、オブシディアンを新たなステージへと押し上げた。しかし、それは同時に、プレイヤー社会からの注目を集めるきっかけにもなりつつあった。
---
**【プレイヤー掲示板:ERO攻略・雑談スレ Part.15】**
784: 名無しの冒険者
最近、「微睡みの森」の奥地や、その先の古い遺跡みたいなとこで、妙な黒いスライムに遭遇したって報告が複数上がってるな。
785: 名無しの冒険者
ああ、あれだろ? プレイヤー名の『Obsidian』ってやつ。俺のフレもパーティで襲われて、擬態?みたいなスキルで逃げられたって言ってたわ。やけに素早かったらしい。
786: 名無しの冒険者
ただのスライムじゃないのか? 魔物プレイヤーだとしたら、結構レベル高いのかもな。あの辺の敵、普通に強いし。
787: 名無しの冒険者
ソロで活動してるっぽいんだよな。魔物プレイヤーってだけで珍しいのに、ソロで遺跡探索とか…変態かよ。
788: 名無しの冒険者
PKギルド「レッドキャップス」が、「見つけ次第狩る」って声明出してたぞw 魔物種族は目の敵にしてるからな、あいつら。
789: 名無しの冒険者
Obsidian、見かけたら注意だな。関わらないのが吉か。
---
オブシディアンが知らないところで、彼の存在は少しずつ、しかし確実にプレイヤーたちの間で噂になり始めていた。孤独な影の狩人は、否応なく世界の注目を集め始めていたのだ。
名前: オブシディアン
種族: シャドウ・スライム
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 源泉に触れし者
所属: 未定義
【能力値】
体力: 15
魔力容量: 25
物理攻撃力: 2
物理防御力: 9
魔法攻撃力: 6
魔法防御力: 15
素早さ: 9
【スキル】
・捕食吸収 Lv.1 (捕食Lv.3 + 自己修復Lv.3 より進化)
・影擬態 Lv.2
・微光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・影走 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・木材生成 Lv.1
・糸生成 Lv.1
・毒耐性(小) Lv.1
・影護 Lv.1 (影殻Lv.1 + 魔法耐性(小)Lv.1 より進化)
・隠密 Lv.1
・爪撃 Lv.1
・毒液噴射 Lv.1
・斬撃耐性(微) Lv.1
・石材操作(微) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(小) Lv.1
・炎耐性(微) Lv.1
・魔力変換炉 Lv.1
通路の突き当たりには、他の扉とは明らかに異なる、巨大な黒曜石の扉が聳え立っていた。扉の表面には、これまで見てきた古代文様よりもさらに複雑で、緻密な模様が刻まれており、それ自体が淡い光を放っている。オブシディアンが近づくと、扉は音もなく静かに左右にスライドし、内部の光景が露わになった。
そこは、巨大なドーム状の空間だった。壁も床も天井も、通路と同じく滑らかな黒曜石でできており、継ぎ目ひとつ見当たらない。そして、部屋の中央には、その空間を満たす強大な魔力の源――直径5メートルはあろうかという、巨大な青白い結晶体が浮遊していた。
結晶体は、まるで呼吸するかのように、ゆっくりと明滅を繰り返している。その表面には無数の古代文様が流れ、内部からは計り知れないほどの魔力が絶えず放出されていた。これが、ゴブリンが言っていた「力の源泉」か。この古代遺跡全体の動力源、あるいは核となる存在なのだろう。
部屋には、ガーディアンのような守護者の姿は見当たらない。しかし、油断はできなかった。この空間自体が、侵入者を拒む罠や仕掛けで満ちている可能性もある。オブシディアンは【隠密】と【影殻】を維持したまま、慎重に部屋の中へと足を踏み入れた。
結晶体に近づくにつれて、魔力の奔流はさらに激しくなる。まるで嵐の中にいるようだ。オブシディアンのMPゲージが、スキルを使っていないにも関わらず、わずかずつ減少していく。この空間にいるだけで、魔力を消耗するらしい。長居は危険かもしれない。
(しかし、このエネルギー…これを【捕食吸収】できれば…)
オブシディアンの思考は、自然とそちらに向いていた。リッチ・ロードの魔力や、エンシェント・ガーディアンのエネルギーとは比較にならない、純粋で強大な力の塊。これを吸収できれば、どれほどの成長が見込めるだろうか?
リスクは計り知れない。リッチ・ロードの魔力吸収ですら、激しい抵抗と消耗があったのだ。この「力の源泉」のエネルギーを直接吸収しようとすれば、最悪の場合、自身の存在が保てずに消滅してしまう可能性すらある。
だが、オブシディアンは、そのリスクよりも、得られるであろう力への渇望を強く感じていた。最強を目指すならば、ここで躊躇うわけにはいかない。
オブシディアンは意を決し、【影走】で一気に中央の結晶体へと接近した。そして、浮遊する巨大な結晶体の表面に、影の身体を押し付ける。
(【捕食吸収 Lv.3】!)
スキルを発動した瞬間、オブシディアンの全身を、これまで経験したことのないほどの凄まじいエネルギーの奔流が貫いた。
「グゥオオオオオオオオオオッ!?」
意識が飛びそうになるほどの衝撃。まるで、自分が巨大な滝壺に飲み込まれ、無限の水の奔流に揉まれているかのようだ。MPゲージとHPゲージが、凄まじい勢いで減少し始める。同時に、膨大なエネルギーと、それに付随する情報が、オブシディアンのキャパシティを超えて流れ込んでくる。
それは、この遺跡が建造された時代の記憶、古代の錬金術師たちの思念、世界の法則に関する断片的な知識、そして、スライムという種族の根源に関わるかもしれない、原始的な生命エネルギーの記憶――。
(耐えろ…! 吸収しろ…! この力を、俺のものにするんだ!)
オブシディアンは、消えかかりそうになる意識を必死に繋ぎ止め、力の奔流に抗いながら、吸収を続ける。【自己修復 Lv.3】と【捕食】による回復が追いつかないほどの消耗。MPが底を突きかける。アイテムの魔力回復薬(小)を瞬時に使用するが、焼け石に水だ。
まずい、このままでは消滅する…!
その瞬間、オブシディアンの内部の核――シャドウ・スライムへと進化した際に紫色の光を帯びた黒曜石のような核――が、激しく明滅を始めた。そして、核自体が、力の源泉から流れ込む膨大なエネルギーを、まるでブラックホールのように吸い込み始めたのだ。
核がエネルギーを吸収するにつれて、オブシディアンの身体の消耗がわずかに緩和される。そして、吸収されたエネルギーは、核の中で圧縮・精製され、オブシディアン自身の力へと変換されていく。
『警告:許容量を超えるエネルギーを吸収しています』
『核(コア)システムが過負荷状態です』
『緊急自己進化プロセスを試行します…失敗』
『スキル統合による最適化を開始します…』
システムメッセージが高速で流れる。オブシディアンの身体は、黒紫色の光と青白い光が激しく入り混じり、明滅を繰り返している。その姿は、もはやシャドウ・スライムとは呼べない、不安定で混沌としたエネルギーの塊のようだ。
『スキル【捕食 Lv.3】と【自己修復 Lv.3】が臨界点に到達』
『スキル【影殻 Lv.1】と【魔法耐性(小) Lv.1】が融合を開始』
『核(コア)によるエネルギー変換率が上昇…』
どれほどの時間が経過したのか。オブシディアンの意識は朦朧としていたが、力の奔流は徐々に収まりつつあった。そして、ついに。
『力の源泉からのエネルギー吸収を完了しました』
『核(コア)によるエネルギー変換プロセスを完了』
『身体構造の安定化を確認』
『スキルの進化・統合が完了しました』
『特殊スキル【魔力変換炉 Lv.1】を獲得しました』
『スキル【捕食吸収 Lv.1】を獲得しました (捕食Lv.3 + 自己修復Lv.3 より進化)』
『スキル【影護 Lv.1】を獲得しました (影殻Lv.1 + 魔法耐性(小)Lv.1 より進化)』
『称号【源泉に触れし者】を獲得しました』
光が収まり、オブシディアンはゆっくりと結晶体から離れた。身体は元のシャドウ・スライムの姿に戻っているが、その内側には、以前とは比較にならないほどの力が満ちているのを感じた。
ステータスを確認すると、レベルは上がっていないものの、能力値、特に魔力容量と魔法防御力が大幅に上昇していた。そして、スキルリストが大きく変化している。
【捕食】と【自己修復】が統合され、【捕食吸収】という新たなスキルになっている。これは、初期に持っていたスキルの上位版だろうか? 吸収効率や回復効果が向上しているのかもしれない。【影殻】と【魔法耐性】も統合され、【影護】というスキルになった。これは物理・魔法双方への防御スキルだろうか?
そして、最も気になるのが【魔力変換炉】。おそらく、核(コア)がエネルギーを吸収・変換した結果、獲得したスキルだろう。周囲の魔力を吸収して自身のMPに変換したり、あるいは吸収したエネルギーを別の形に変換したりできるのかもしれない。これは、今後の活動において非常に重要なスキルとなりそうだ。
(生き残った…そして、さらに強くなった)
オブシディアンは、安堵と達成感に包まれながら、改めて中央の結晶体を見上げた。表面の輝きは以前よりも少し弱まっているように見えるが、それでもなお強大な魔力を放ち続けている。完全に吸収しきったわけではないようだ。
そして、吸収した情報の中に、気になる断片があった。この遺跡、そして力の源泉は、古代の錬金術師たちが「究極の生命体」を創造するために作り出した施設の一部であるらしい。そして、その実験体として、最も原始的で、最も変異の可能性を秘めた存在――スライム――が用いられていた、と。
(俺がスライムを選んだのは、偶然ではなかった…?)
壁画にあったスライムのような生物の絵。力の源泉のエネルギーに対する核の反応。全てが繋がった気がした。この遺跡は、オブシディアンにとって、まさに運命的な場所だったのかもしれない。
『…誰か、来る』
ふと、オブシディアンは新たな気配を察知した。遺跡の入り口の方から、複数のプレイヤーらしき足音が近づいてきている。【隠密】スキルで気配を探ると、その数は5人。装備から察するに、それなりのレベルのパーティのようだ。彼らもこの「力の源泉」を目指してきたのだろうか?
(潮時か…)
オブシディアンは、これ以上の長居は無用と判断した。力の源泉からエネルギーを吸収し、多くの情報を得た。今は一旦、この遺跡から離れ、新たな力を試し、情報を整理する時間が必要だ。
オブシディアンは【影走】を発動し、部屋の隅にある影へと滑り込むと、【影擬態 Lv.2】で完全に同化した。そして、プレイヤーたちがこの部屋に到着する前に、別の通路から静かに離脱を開始した。
古代遺跡での探索と強化は、オブシディアンを新たなステージへと押し上げた。しかし、それは同時に、プレイヤー社会からの注目を集めるきっかけにもなりつつあった。
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**【プレイヤー掲示板:ERO攻略・雑談スレ Part.15】**
784: 名無しの冒険者
最近、「微睡みの森」の奥地や、その先の古い遺跡みたいなとこで、妙な黒いスライムに遭遇したって報告が複数上がってるな。
785: 名無しの冒険者
ああ、あれだろ? プレイヤー名の『Obsidian』ってやつ。俺のフレもパーティで襲われて、擬態?みたいなスキルで逃げられたって言ってたわ。やけに素早かったらしい。
786: 名無しの冒険者
ただのスライムじゃないのか? 魔物プレイヤーだとしたら、結構レベル高いのかもな。あの辺の敵、普通に強いし。
787: 名無しの冒険者
ソロで活動してるっぽいんだよな。魔物プレイヤーってだけで珍しいのに、ソロで遺跡探索とか…変態かよ。
788: 名無しの冒険者
PKギルド「レッドキャップス」が、「見つけ次第狩る」って声明出してたぞw 魔物種族は目の敵にしてるからな、あいつら。
789: 名無しの冒険者
Obsidian、見かけたら注意だな。関わらないのが吉か。
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オブシディアンが知らないところで、彼の存在は少しずつ、しかし確実にプレイヤーたちの間で噂になり始めていた。孤独な影の狩人は、否応なく世界の注目を集め始めていたのだ。
名前: オブシディアン
種族: シャドウ・スライム
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 源泉に触れし者
所属: 未定義
【能力値】
体力: 15
魔力容量: 25
物理攻撃力: 2
物理防御力: 9
魔法攻撃力: 6
魔法防御力: 15
素早さ: 9
【スキル】
・捕食吸収 Lv.1 (捕食Lv.3 + 自己修復Lv.3 より進化)
・影擬態 Lv.2
・微光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・影走 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・木材生成 Lv.1
・糸生成 Lv.1
・毒耐性(小) Lv.1
・影護 Lv.1 (影殻Lv.1 + 魔法耐性(小)Lv.1 より進化)
・隠密 Lv.1
・爪撃 Lv.1
・毒液噴射 Lv.1
・斬撃耐性(微) Lv.1
・石材操作(微) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(小) Lv.1
・炎耐性(微) Lv.1
・魔力変換炉 Lv.1
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