ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第二十一話 嘆きの湿地帯へ

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古戦場跡の乾いた風と血錆の匂いを後にし、オブシディアンは新たな目的地「嘆きの湿地帯」を目指していた。「微睡みの森」を抜け、さらに奥地へと進む。森の様相は再び変化し、地面はぬかるみ、空気は重く湿り気を帯びてきた。木々の種類も変わり、マングローブのような気根を伸ばす木や、柳のように枝垂れた不気味な樹木が増えてくる。

【嗅覚強化】スキルが捉えるのは、腐った植物と泥の匂い、そして微かに硫黄のような刺激臭。時折、ゲコゲコというカエルの鳴き声や、ブーンという羽虫の音が聞こえてくるが、全体的には森よりも静かで、陰鬱な雰囲気が漂っていた。

やがて、視界が開け、広大な湿地帯が姿を現した。見渡す限り、濁った水と泥、そして点在する葦(あし)や枯れ木。空は相変わらず低く垂れ込め、霧のような靄(もや)が立ち込めて視界が悪い。足元は不安定で、少し踏み込むとズブリと泥濘(ぬかるみ)に足を取られそうだ。ここが「嘆きの湿地帯」か。その名の通り、どこか物悲しく、生命の活気よりも停滞と腐敗の気配が強い場所だった。

(視界が悪く、足場も悪い…隠密行動には向いているが、戦闘はやりづらそうだな)

オブシディアンは、まず湿地帯の環境に適応する必要があると感じた。彼は【影走 Lv.2】で、比較的地面が固い場所を選びながら、慎重に湿地帯へと足を踏み入れる。【魔力変換炉】は常に稼働させ、MP回復に努める。

しばらく進むと、さっそくモンスターに遭遇した。濁った水の中から、ぬるりとした緑色の触手が数本伸びてきて、オブシディアンに絡みつこうとしてきたのだ。

『スワンプ・テンタクル Lv.10』

水棲の触手モンスター。レベルは10。オブシディアンは【影護】で触手の打撃を防ぎつつ、【爪撃】で反撃する。しかし、触手は水中から次々と現れ、数も多い。粘液で動きを封じようともしてくる。

(水中からの攻撃は厄介だ…)

オブシディアンは【跳躍】で触手の攻撃範囲から逃れ、距離を取った。そして、【石材操作(微)】で近くにあった手頃な岩を持ち上げ、触手が出現している水面目掛けて叩きつけた。

バシャァン!

水飛沫が上がり、衝撃で触手たちの動きが一瞬止まる。その隙に、オブシディアンは【毒液噴射】を水中に向けて放った。毒液が濁った水に広がり、触手たちが苦しむように蠢くのが見えた。

(よし、毒は効くようだな)

オブシディアンは、毒で弱った触手たちを【捕食吸収 Lv.1】で一体ずつ吸収していく。水中の本体らしきものまで完全に吸収すると、経験値と素材、そして新たなスキル情報が流れ込んできた。

『スワンプ・テンタクル Lv.10を捕食しました』
『経験値を90獲得しました』
『スキル【水中活動(微) Lv.1】を獲得しました』
『スキル【粘液噴射 Lv.1】を獲得しました』
『素材「沼地の触手」「粘着性の粘液嚢」を獲得しました』

【水中活動(微)】。これは大きい。このスキルがあれば、浅い水域なら、ある程度自由に動けるようになるかもしれない。湿地帯の探索において、行動範囲が格段に広がるだろう。【粘液噴射】も、相手の足止めに使えそうだ。

オブシディアンは早速【水中活動(微)】を試してみた。濁った水の中に身体を沈めてみると、息苦しさ(スライムなので呼吸は不要だが)や水圧による不快感はほとんど感じない。水中で身体を動かすことも、陸上ほどではないが可能だ。これなら、水中に潜んで敵を待ち伏せたり、水路を利用して移動したりすることもできるかもしれない。

次にオブシディアンは【影擬態 Lv.2】を応用してみることにした。目標は、「水面」。濁った水の色と、波紋の揺らめきをイメージして擬態する。

すると、オブシディアンの影のような身体が、水面に薄く広がり、周囲の水と完全に同化した。水面に浮かぶ枯葉やゴミと見分けがつかない。これなら、水上から近づく敵や、空を飛ぶ敵に対して、完璧な奇襲が可能だろう。

(擬態の応用範囲が広がったな…この湿地帯は、俺にとって有利な地形かもしれない)

新たなスキルと戦術を得たオブシディアンは、湿地帯の探索を再開した。視界の悪い霧の中を【隠密 Lv.2】で進み、水路は【水中活動(微)】で潜行する。時には【影擬態】で水面や泥濘に同化し、獲物を待ち伏せる。

遭遇するモンスターも、湿地帯特有のものばかりだった。泥の中から現れる人型のモンスター『マッド・ゴーレム Lv.10』、毒々しい色の鱗を持つ巨大な蛇『ポイズン・アナコンダ Lv.11』、麻痺性の唾液を吐きかける大型のトカゲ『パラライズ・リザード Lv.10』など。

マッド・ゴーレムは物理防御が高かったが、動きが鈍いため、【石材操作】や【粘液噴射】で動きを止め、核(コア)と思われる部分を狙って【捕食吸収】した。ポイズン・アナコンダの毒は【毒耐性(小)】で軽減し、【爪撃】と【影走】によるヒットアンドアウェイで削り倒した。パラライズ・リザードの麻痺唾液は厄介だったが、【影護】で防御しつつ、距離を取って【毒液噴射】で弱らせてから仕留めた。

これらのモンスターを捕食することで、オブシディアンは新たなスキルや耐性を獲得していった。

『マッド・ゴーレム Lv.10を捕食しました』
『経験値を95獲得しました』
『スキル【泥操作(微) Lv.1】を獲得しました』
『素材「汚泥の核」「湿地の土塊」を獲得しました』

『ポイズン・アナコンダ Lv.11を捕食しました』
『経験値を140獲得しました』
『スキル【毒耐性(小)】が【毒耐性(中)】に進化しました』
『素材「大蛇の毒牙」「極彩色の蛇皮」を獲得しました』

『パラライズ・リザード Lv.10を捕食しました』
『経験値を100獲得しました』
『スキル【麻痺耐性(微) Lv.1】を獲得しました』
『素材「麻痺腺」「硬質のリザードの鱗」を獲得しました』

【毒耐性】は(中)に進化し、新たに【麻痺耐性(微)】も獲得。これで湿地帯の主要な脅威である毒と麻痺への対策はかなり進んだ。【泥操作(微)】は、【石材操作】の湿地帯版といったところか。足場を作ったり、相手の動きを封じたりするのに役立ちそうだ。

順調にレベルも上がり、レベル12に到達した。

『レベルが12に上がりました』
『体力+1、魔力容量+1、物理防御力+1、魔法攻撃力+1、素早さ+1』
『スキル【捕食吸収】がLv.2に上がりました』
『スキル【爪撃】がLv.2に上がりました』

【捕食吸収 Lv.2】は、吸収速度、回復量、そして知識獲得の効率がさらに向上したように感じる。【爪撃 Lv.2】は威力が増し、MP消費もわずかに減少した。

湿地帯での狩りを通して、オブシディアンは着実に力を増していた。しかし、このエリアにはまだ見ぬ強敵や、隠された秘密があるはずだ。オブシディアンは【魔力変換炉】でMPを回復させながら、さらに湿地帯の奥深く、霧が濃く立ち込める未知の領域へと進んでいく。

その頃、EROのプレイヤーコミュニティでは、オブシディアンに関する情報が錯綜していた。銀翼騎士団との交戦情報に加え、「嘆きの湿地帯」での目撃情報も上がり始めていたのだ。

---
**【プレイヤー掲示板:Obsidian討伐・情報共有スレ Part.3】**

255: 名無しの冒険者
おい、Obsidianの奴、今度は「嘆きの湿地帯」に出没してるらしいぞ! フレが水面に擬態してるとこから奇襲されて、パーティ半壊したって…

256: 名無しの冒険者
湿地帯とか、あいつの独壇場じゃねえか…? 毒とか麻痺とか効かなさそうだし、擬態されたら見つけられんだろ。

257: レッドキャップスの団員
フン、湿地帯だろうが関係ねえ! 我々レッドキャップスが奴を狩る! 懸賞金もさらに上乗せされたからな! 腕に覚えのある奴は協力しろ!

258: 名無しの冒険者
レッドキャップスwww 銀翼ですら失敗したのに、お前らに狩れるわけないだろw

259: 情報屋@ERO
Obsidianに関する最新情報まとめ:種族シャドウ・スライム(進化形?)、レベル11以上(推定)、スキル多数(擬態、高速移動、アンデッド召喚、毒、自己修復、物理・魔法防御スキル等)、単独でLv10パーティや銀翼騎士団(の一部)を撃退。現在「嘆きの湿地帯」に出没中。非常に危険。接触は非推奨。懸賞金総額は既にプラチナ級。

260: 名無しの冒険者
プラチナ級の懸賞金…やべえな。トップランカー数人がかりでもキツいレベルじゃん。もはやレイドボス扱いだな。

---

オブシディアン本人の知らぬ間に、その首にかかる懸賞金は跳ね上がり、討伐を目指すプレイヤーたちの動きも活発化していた。嘆きの湿地帯は、オブシディアンにとって格好の狩り場であると同時に、新たな脅威が迫る危険な場所にもなりつつあった。黒曜石の影は、迫りくる悪意に気づかぬまま、ただ己の進化を求めて、霧深き湿地の奥へと進む。

名前: オブシディアン
種族: シャドウ・スライム
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 源泉に触れし者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 19
魔力容量: 22
物理攻撃力: 4
物理防御力: 10
魔法攻撃力: 7
魔法防御力: 17
素早さ: 12

【スキル】
・捕食吸収 Lv.2
・影擬態 Lv.2
・微光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・影走 Lv.2
・嗅覚強化 Lv.1
・木材生成 Lv.1
・糸生成 Lv.1
・毒耐性(中) Lv.1
・影護 Lv.1
・隠密 Lv.2
・爪撃 Lv.2
・毒液噴射 Lv.1
・斬撃耐性(微) Lv.1
・石材操作(微) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(小) Lv.1
・炎耐性(微) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・魔力変換炉 Lv.1
・統率力(微) Lv.1
・水中活動(微) Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・泥操作(微) Lv.1
・麻痺耐性(微) Lv.1
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