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第三十話 知識は力、影は深く
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「竜の顎」の奥深く、人知れず存在する小さな洞窟の中。オブシディアンは、アビス・スライムとしての不定形の身体を静かに横たえ、その意識の全てを内部の核(コア)へと集中させていた。目的は、これまでに【捕食吸収】によって蓄積してきた膨大な「知識の断片」の解析と整理、そして、スキル統合による新たな力の獲得だ。
核(コア)は、深淵の核と融合したことで、単なるエネルギー貯蔵器官やスキル制御の中枢を超えた、高度な情報処理能力を獲得していた。【深淵の核 Lv.1】スキルに意識を向け、「古代言語」と「竜の伝承」をキーワードにして情報検索と統合を命じると、核は紫色の光を明滅させながら、静かに、しかし高速で演算を開始した。
オブシディアンの意識の中に、膨大な情報が奔流のように流れ込み、組み合わさり、意味を成していく。リッチ・ロードの魔術知識、エンシェント・ガーディアンの古代文明の記憶、ワイバーンの竜種としての本能、石碑に刻まれた難解な文字、アーク・メイジの日誌の断片的な記述、そして、これまで捕食してきた数多のモンスターやプレイヤーたちの経験と知識…。それらが、核(コア)という超高性能なプロセッサによって、驚くべき速度で解析・分類・統合されていく。
(見える…読める…!)
最初に形になったのは、古代言語の基本的な構造だった。文字の形、発音(のイメージ)、そして基本的な単語の意味。「火」「水」「風」「土」といった元素、「生」「死」「魂」「力」といった概念、「我」「汝」「彼」「此処」といった指示語。パズルのピースがはまるように、知識の断片が繋がり、オブシディアンは古代言語の基礎を理解し始めていた。
『スキル【古代言語解読(初級) Lv.1】を獲得しました』
ついに、知識の蓄積がスキルという形になった! これで、「アーク・メイジの日誌」や「古代魔術の断章」、「破損した石版」の内容を、時間はかかるかもしれないが、自力で解読できるようになったのだ。これは計り知れない進歩だ。
オブシディアンは早速、石碑から吸収した「竜の伝承」に関する情報を、【古代言語解読(初級)】スキルを用いて解析し始めた。
『…古き竜は眠る…試練を越えし者のみ、その叡智に触れる資格を得ん…』
『第一の試練、風切りの頂にて空の王の爪痕を捧げよ…』
『第二の試練、灼熱の心臓にて竜の涙を灯せ…』
『第三の試練、深淵の祭壇にて古き血の誓いを…』
断片的ではあるが、具体的な試練の内容が判明した。「風切りの頂」はおそらくこの山岳地帯のどこかだろう。「空の王の爪痕」は、ワイバーンやグリフォンから得た素材(鋭利な鉤爪など)が該当するかもしれない。「灼熱の心臓」「竜の涙」「深淵の祭壇」「古き血の誓い」…これらが何を指すのかは、まだ分からない。他の遺物(日誌や断章)の解読を進めれば、判明するかもしれない。
(試練を乗り越えれば、古代竜の巣穴へ入れる…そして、その叡智に触れられる…)
それは、オブシディアンにとって、更なる進化や強力なスキル獲得、そして世界の秘密への接近を意味するだろう。目標は明確になった。
次に、オブシディアンはスキル統合の試みに意識を移した。核(コア)を通じて、自身が持つ各スキル――その根源的な情報と機能――にアクセスする。そして、それらを組み合わせ、新たな効果を生み出すことをイメージする。
まずは、比較的単純な組み合わせから試してみた。【毒液噴射 Lv.1】と【酸液生成 Lv.1】。どちらも液体を噴射する攻撃スキルだ。これらを一つに束ね、より強力な腐食効果を持つ液体を生み出すことはできないか?
核(コア)に働きかけ、二つのスキルの情報を融合させる。MPを消費し、核が紫と緑の光を明滅させる。そして…。
『スキル【毒液噴射 Lv.1】と【酸液生成 Lv.1】の統合に成功しました』
『新スキル【腐食溶解液 Lv.1】を獲得しました』
成功した! 新たなスキル【腐食溶解液】。おそらく、毒による持続ダメージと酸による直接的な溶解ダメージを併せ持つ、より強力な攻撃スキルだろう。これは大きな武器になる。
勢いを得たオブシディアンは、次に主力スキルである影系スキルの統合に挑戦した。【影擬態 Lv.2】【隠密 Lv.2】【影走 Lv.2】。これらはオブシディアンの生存と奇襲戦術の根幹をなすスキルだ。これらを統合できれば、隠密性と機動性が一体となった、究極の潜伏・移動スキルが生まれるかもしれない。
核(コア)に三つのスキル情報をロードし、融合を試みる。しかし、今度は先ほどよりも遥かに大きな抵抗があった。それぞれのスキルが持つ特性が複雑に絡み合い、単純には統合できないようだ。MPの消費も激しい。
(やはり、簡単ではないか…だが!)
オブシディアンは諦めなかった。核(コア)の処理能力を最大限に引き出し、スキルの根源的な要素――「影」という概念そのもの――に焦点を当て、再構築を試みる。「影に溶け込み」「気配を消し」「影を渡る」。これらの機能を、一つのスキルとしてシームレスに連携させるイメージ。
核(コア)が激しく明滅し、オブシディアンの身体そのものが揺らめく。膨大なMPが消費されていくが、【深淵の核】による自動回復がそれを支える。そして、長い時間の(ように感じられた)試行錯誤の末…。
『スキル【影擬態 Lv.2】【隠密 Lv.2】【影走 Lv.2】の統合に成功しました』
『新スキル【影潜行 Lv.1】を獲得しました』
ついに、影系スキルの統合にも成功した! 新スキル【影潜行】。その詳細はまだ不明だが、スキル名からして、影の中を完全に気配なく、高速で移動できるような能力だろう。これは、オブシディアンのプレイスタイルを根底から変える可能性を秘めている。
スキル統合に成功したことで、オブシディアンのスキルリストは整理され、より洗練されたものになった。数よりも質。強力なオリジナルスキルこそが、今後の戦いを有利に進める鍵となるだろう。
オブシディアンが知識の解析とスキル統合に没頭している間にも、外部の時間は流れていた。【蟲の共鳴】スキルが、遠くから複数の気配がこの洞窟のある岩山に近づいてきているのを捉えていた。強力なモンスターか、あるいは…プレイヤーか。
(そろそろ、出る頃合いか)
オブシディアンは、核(コア)による情報処理を一旦中断し、立ち上がった(不定形なのでイメージだが)。古代言語の解読はまだ途中だが、試練に関する手がかりは得られた。スキル統合によって新たな力も手に入れた。準備は整ったと言えるだろう。
オブシディアンは【石材操作(小)】で塞いでいた洞窟の入り口を開け、外の様子を窺う。風は相変わらず強く、空は高く澄んでいる。そして、遠くの空に、複数の黒い点がこちらへ向かってきているのが見えた。ワイバーンやグリフォンではない。もっと小型で、しかし統制の取れた動き。おそらく、偵察型の飛行モンスターを使役するプレイヤー、あるいは特殊な飛行スキルを持つプレイヤーの一団だろう。銀翼騎士団の追手か、あるいは別の勢力か。
(どちらにせよ、長居は無用だ)
オブシディアンは、新たなスキル【影潜行 Lv.1】を発動した。瞬間、オブシディアンの身体は周囲の影へと完全に溶け込み、その存在感は完全に消失した。そして、まるで影そのものが滑るように、音もなく、驚くべき速度で崖を下り始めた。
古代竜の試練、未解読の遺物、そして迫りくる追手の影。オブシディアンの孤独な旅は、新たな局面を迎え、さらに加速していく。黒曜石の影は、誰にも捉えられることなく、世界の深淵を潜り続ける。
名前: オブシディアン
種族: アビス・スライム
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵を宿す者, 竜殺し
所属: 未定義
【能力値】
体力: 25
魔力容量: 31
物理攻撃力: 8
物理防御力: 15
魔法攻撃力: 10
魔法防御力: 21
素早さ: 17
【スキル】
・捕食吸収 Lv.2
・影潜行 Lv.1 (影擬態Lv.2 + 隠密Lv.2 + 影走Lv.2 より統合進化)
・微光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・木材生成 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・竜鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1 (毒液噴射Lv.1 + 酸液生成Lv.1 より統合進化)
・物理耐性(小) Lv.1
・石材操作(小) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(小) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の核 Lv.1
・統率力(微) Lv.1
・水中活動(微) Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・泥操作(微) Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1
・威圧 Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語解読(初級) Lv.1
核(コア)は、深淵の核と融合したことで、単なるエネルギー貯蔵器官やスキル制御の中枢を超えた、高度な情報処理能力を獲得していた。【深淵の核 Lv.1】スキルに意識を向け、「古代言語」と「竜の伝承」をキーワードにして情報検索と統合を命じると、核は紫色の光を明滅させながら、静かに、しかし高速で演算を開始した。
オブシディアンの意識の中に、膨大な情報が奔流のように流れ込み、組み合わさり、意味を成していく。リッチ・ロードの魔術知識、エンシェント・ガーディアンの古代文明の記憶、ワイバーンの竜種としての本能、石碑に刻まれた難解な文字、アーク・メイジの日誌の断片的な記述、そして、これまで捕食してきた数多のモンスターやプレイヤーたちの経験と知識…。それらが、核(コア)という超高性能なプロセッサによって、驚くべき速度で解析・分類・統合されていく。
(見える…読める…!)
最初に形になったのは、古代言語の基本的な構造だった。文字の形、発音(のイメージ)、そして基本的な単語の意味。「火」「水」「風」「土」といった元素、「生」「死」「魂」「力」といった概念、「我」「汝」「彼」「此処」といった指示語。パズルのピースがはまるように、知識の断片が繋がり、オブシディアンは古代言語の基礎を理解し始めていた。
『スキル【古代言語解読(初級) Lv.1】を獲得しました』
ついに、知識の蓄積がスキルという形になった! これで、「アーク・メイジの日誌」や「古代魔術の断章」、「破損した石版」の内容を、時間はかかるかもしれないが、自力で解読できるようになったのだ。これは計り知れない進歩だ。
オブシディアンは早速、石碑から吸収した「竜の伝承」に関する情報を、【古代言語解読(初級)】スキルを用いて解析し始めた。
『…古き竜は眠る…試練を越えし者のみ、その叡智に触れる資格を得ん…』
『第一の試練、風切りの頂にて空の王の爪痕を捧げよ…』
『第二の試練、灼熱の心臓にて竜の涙を灯せ…』
『第三の試練、深淵の祭壇にて古き血の誓いを…』
断片的ではあるが、具体的な試練の内容が判明した。「風切りの頂」はおそらくこの山岳地帯のどこかだろう。「空の王の爪痕」は、ワイバーンやグリフォンから得た素材(鋭利な鉤爪など)が該当するかもしれない。「灼熱の心臓」「竜の涙」「深淵の祭壇」「古き血の誓い」…これらが何を指すのかは、まだ分からない。他の遺物(日誌や断章)の解読を進めれば、判明するかもしれない。
(試練を乗り越えれば、古代竜の巣穴へ入れる…そして、その叡智に触れられる…)
それは、オブシディアンにとって、更なる進化や強力なスキル獲得、そして世界の秘密への接近を意味するだろう。目標は明確になった。
次に、オブシディアンはスキル統合の試みに意識を移した。核(コア)を通じて、自身が持つ各スキル――その根源的な情報と機能――にアクセスする。そして、それらを組み合わせ、新たな効果を生み出すことをイメージする。
まずは、比較的単純な組み合わせから試してみた。【毒液噴射 Lv.1】と【酸液生成 Lv.1】。どちらも液体を噴射する攻撃スキルだ。これらを一つに束ね、より強力な腐食効果を持つ液体を生み出すことはできないか?
核(コア)に働きかけ、二つのスキルの情報を融合させる。MPを消費し、核が紫と緑の光を明滅させる。そして…。
『スキル【毒液噴射 Lv.1】と【酸液生成 Lv.1】の統合に成功しました』
『新スキル【腐食溶解液 Lv.1】を獲得しました』
成功した! 新たなスキル【腐食溶解液】。おそらく、毒による持続ダメージと酸による直接的な溶解ダメージを併せ持つ、より強力な攻撃スキルだろう。これは大きな武器になる。
勢いを得たオブシディアンは、次に主力スキルである影系スキルの統合に挑戦した。【影擬態 Lv.2】【隠密 Lv.2】【影走 Lv.2】。これらはオブシディアンの生存と奇襲戦術の根幹をなすスキルだ。これらを統合できれば、隠密性と機動性が一体となった、究極の潜伏・移動スキルが生まれるかもしれない。
核(コア)に三つのスキル情報をロードし、融合を試みる。しかし、今度は先ほどよりも遥かに大きな抵抗があった。それぞれのスキルが持つ特性が複雑に絡み合い、単純には統合できないようだ。MPの消費も激しい。
(やはり、簡単ではないか…だが!)
オブシディアンは諦めなかった。核(コア)の処理能力を最大限に引き出し、スキルの根源的な要素――「影」という概念そのもの――に焦点を当て、再構築を試みる。「影に溶け込み」「気配を消し」「影を渡る」。これらの機能を、一つのスキルとしてシームレスに連携させるイメージ。
核(コア)が激しく明滅し、オブシディアンの身体そのものが揺らめく。膨大なMPが消費されていくが、【深淵の核】による自動回復がそれを支える。そして、長い時間の(ように感じられた)試行錯誤の末…。
『スキル【影擬態 Lv.2】【隠密 Lv.2】【影走 Lv.2】の統合に成功しました』
『新スキル【影潜行 Lv.1】を獲得しました』
ついに、影系スキルの統合にも成功した! 新スキル【影潜行】。その詳細はまだ不明だが、スキル名からして、影の中を完全に気配なく、高速で移動できるような能力だろう。これは、オブシディアンのプレイスタイルを根底から変える可能性を秘めている。
スキル統合に成功したことで、オブシディアンのスキルリストは整理され、より洗練されたものになった。数よりも質。強力なオリジナルスキルこそが、今後の戦いを有利に進める鍵となるだろう。
オブシディアンが知識の解析とスキル統合に没頭している間にも、外部の時間は流れていた。【蟲の共鳴】スキルが、遠くから複数の気配がこの洞窟のある岩山に近づいてきているのを捉えていた。強力なモンスターか、あるいは…プレイヤーか。
(そろそろ、出る頃合いか)
オブシディアンは、核(コア)による情報処理を一旦中断し、立ち上がった(不定形なのでイメージだが)。古代言語の解読はまだ途中だが、試練に関する手がかりは得られた。スキル統合によって新たな力も手に入れた。準備は整ったと言えるだろう。
オブシディアンは【石材操作(小)】で塞いでいた洞窟の入り口を開け、外の様子を窺う。風は相変わらず強く、空は高く澄んでいる。そして、遠くの空に、複数の黒い点がこちらへ向かってきているのが見えた。ワイバーンやグリフォンではない。もっと小型で、しかし統制の取れた動き。おそらく、偵察型の飛行モンスターを使役するプレイヤー、あるいは特殊な飛行スキルを持つプレイヤーの一団だろう。銀翼騎士団の追手か、あるいは別の勢力か。
(どちらにせよ、長居は無用だ)
オブシディアンは、新たなスキル【影潜行 Lv.1】を発動した。瞬間、オブシディアンの身体は周囲の影へと完全に溶け込み、その存在感は完全に消失した。そして、まるで影そのものが滑るように、音もなく、驚くべき速度で崖を下り始めた。
古代竜の試練、未解読の遺物、そして迫りくる追手の影。オブシディアンの孤独な旅は、新たな局面を迎え、さらに加速していく。黒曜石の影は、誰にも捉えられることなく、世界の深淵を潜り続ける。
名前: オブシディアン
種族: アビス・スライム
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵を宿す者, 竜殺し
所属: 未定義
【能力値】
体力: 25
魔力容量: 31
物理攻撃力: 8
物理防御力: 15
魔法攻撃力: 10
魔法防御力: 21
素早さ: 17
【スキル】
・捕食吸収 Lv.2
・影潜行 Lv.1 (影擬態Lv.2 + 隠密Lv.2 + 影走Lv.2 より統合進化)
・微光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・木材生成 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・竜鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1 (毒液噴射Lv.1 + 酸液生成Lv.1 より統合進化)
・物理耐性(小) Lv.1
・石材操作(小) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(小) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の核 Lv.1
・統率力(微) Lv.1
・水中活動(微) Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・泥操作(微) Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1
・威圧 Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語解読(初級) Lv.1
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