ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第五十一話 世界樹の森、光の洗礼

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新大陸アストライア。その生命力に満ち溢れた大地は、オブシディアンにとって未知の発見と、そして新たな「糧」に満ちた領域だった。フローラル・デヴァウラーを捕食し、【自己再生(中) Lv.1】や【光合成(微) Lv.1】といったスキルを獲得したオブシディアンは、この大陸の環境への適応をさらに進めるべく、探索を続けていた。

【光合成】スキルは、日中の活動において非常に有用だった。太陽光(あるいはこの世界の光源)を浴びることで、MPとHPが僅かながら持続的に回復していく。これは【深淵の心臓】によるMP自動回復が低下しているアストライアにおいては、地味ながらも大きな助けとなった。

オブシディアンは、巨大な植物が鬱蒼(うっそう)と茂るエリアへと足を踏み入れた。まるで世界樹の根元に広がる森のようだ。幹の太さが数十メートルはあろうかという巨木が天を突き、その枝葉は空を覆い隠している。木々の間には、太い蔓(つる)が網の目のように張り巡らされ、地面には発光する苔や奇妙なシダ類が密生していた。空気は濃密な生命エネルギーで満たされている。

(この森…尋常ではない生命力だ。そして、光の属性を感じる…?)

【エレメンタル知識(四大)】を持つオブシディアンは、この森に満ちるエネルギーが、単なる生命力だけでなく、清浄な「光」の属性を強く帯びていることに気づいた。それは、オブシディアンが持つ深淵の力とは対極にある性質だ。

【蟲の共鳴 Lv.1】で周囲を探ると、木々の梢(こずえ)や花の陰に、小さな光の粒のような存在が多数潜んでいるのが分かった。彼らは警戒心が強く、オブシディアンの接近を感知すると、すぐに姿を隠してしまう。おそらく、光の精霊か、それに類する存在だろう。

(光属性の敵…俺にとっては相性が悪い可能性があるな)

【聖属性耐性(微)】は獲得したが、それが光属性全般に有効かは不明だ。オブシディアンは警戒レベルを引き上げ、【混沌変異 Lv.2】で周囲の木の幹の影と同化しながら、慎重に森の奥へと進む。

しばらく進むと、開けた場所に一体のモンスターがいた。それは、鹿のような優美な姿をしているが、その身体は透き通るような白い光でできており、頭部には枝分かれした光の角(つの)が生えている。体長は3メートルほど。その存在自体が、周囲に清浄な光のオーラを放っている。

『ルミナス・スタッグ Lv.21』

レベルは21。光属性のエレメンタル、あるいは聖獣のような存在か。ルミナス・スタッグは、オブシディアンの【混沌変異】による擬態を見破り、その大きな瞳で真っ直ぐにこちらを見据えてきた。敵意はないようだが、強い警戒心と、オブシディアンの持つ深淵の力に対する拒絶のようなものを感じた。

(見えているのか…光属性は、闇や影に隠れる者を見通す力があるのかもしれないな)

オブシディアンは擬態を解除し、カオス・アビスの姿を現した。漆黒の身体と、それとは対照的な純白の光を放つ鹿。両者は、互いの異質さを認識し、静かに対峙する。

先に動いたのはルミナス・スタッグだった。光の角をオブシディアンに向け、そこから眩いばかりの光線を放ってきた。聖なる浄化の光。オブシディアンは【影潜行】(混沌変異の機能)で回避しようとするが、光線はオブシディアンを追尾するように軌道を変え、その身体の一部を掠めた。

ジュワッ!

激しい痛みと共に、掠めた部分が白く変色し、わずかに溶解するような感覚があった。【金剛鱗 Lv.1】と【聖属性耐性(微)】がダメージを軽減してはいるが、それでも無視できない威力だ。闇や深淵の属性を持つオブシディアンにとって、この純粋な光エネルギーは毒なのだろう。

(これは、厄介だ…!)

オブシディアンは【影潜行】で距離を取り、反撃の手段を考える。【腐食溶解液】や【爪撃】といった物理・酸・毒系の攻撃は、おそらく光の身体を持つ相手には効果が薄いだろう。【火炎ブレス】は有効かもしれないが、相手の動きは素早く、当てるのは容易ではない。

(ならば…こちらも光で対抗するか?)

オブシディアンは【生物発光 Lv.1】スキルを試してみた。身体の一部から、深海アンコウの提灯のような、青白い光を発する。しかし、ルミナス・スタッグの放つ聖なる光の前では、それはあまりにも弱々しく、何の対抗にもならなかった。

(ならば、創造するか…光を打ち消す「闇」を!)

オブシディアンは【万物創造(中級) Lv.1】を発動。自身の持つ深淵のエネルギーと、周囲の物質(影や闇のエネルギーを含む)を組み合わせて、「光を吸収・減衰させる性質を持つ黒曜石」のような物質を生成し、それを盾として前方に展開した。

ルミナス・スタッグが再び光線を放つが、オブシディアンが生み出した闇の盾は、その光エネルギーのかなりの部分を吸収し、威力を減衰させた。

(いける!)

オブシディアンは闇の盾を構えながら、ルミナス・スタッグへと接近する。スタッグは光の角から連続で光弾を放ったり、光の衝撃波を放ったりしてくるが、闇の盾と【金剛鱗】、【聖属性耐性】によって、オブシディアンは着実に距離を詰めていく。

そして、ついにスタッグの懐に飛び込んだオブシディアンは、【虚無捕食 Lv.2】を発動した。光の身体を持つ存在であろうと、【虚無捕食】の前には関係ない。空間ごと、その存在エネルギーを喰らい尽くす。

「キュオオオォォン…」

ルミナス・スタッグは、悲しげな鳴き声を上げながら、その光の身体をオブシディアンの中へと吸い込まれ、消滅していった。流れ込んでくるのは、純粋な光のエネルギーと、森の生命と調和する知識、そして、光属性魔法の断片的な情報。

『ルミナス・スタッグ Lv.21を捕食しました』
『経験値を1100獲得しました』
『スキル【光属性耐性(微) Lv.1】を獲得しました』(【聖属性耐性(微)】と統合・強化)
『スキル【浄化の光 Lv.1】を獲得しました』
『スキル【森との同調 Lv.1】を獲得しました』
『素材「光の角の欠片」「聖なる獣の毛皮」「生命の結晶(中)」を獲得しました』

ついに光属性への耐性を獲得! これで、聖・光属性攻撃への対策はかなり強化された。【浄化の光】は回復や状態異常解除系のスキルだろうか? 【森との同調】は、この森での活動を補助するスキルかもしれない。

(光属性の敵も、喰らえば我が力となる…)

オブシディアンは、自身の適応能力と成長速度に、改めて自信を深めた。このアストライア大陸もまた、彼にとっては巨大な餌場に過ぎないのかもしれない。

オブシディアンは、さらに森の奥へと探索を進めた。途中、【混沌変異】で一時的に翼を生やし、空からの偵察も試みた。眼下に広がる広大な樹海、点在する古代遺跡らしき建造物、そして、遥か遠くに霞んで見える巨大な浮遊島々。この大陸には、まだまだ多くの秘密が眠っていることを確信させた。

森の奥深くで、オブシディアンはひときわ巨大な樹木を発見した。その幹には、古代の祭壇で見たものと同じような、水晶が埋め込まれており、周囲には清浄な魔力が満ちている。そして、その木の根元には、小さな祠(ほこら)のようなものがあり、中には風化した石板が置かれていた。

(これも、「始原の石板」の手がかりか?)

オブシディアンは石板に近づき、【古代言語完全解読】スキルでそこに刻まれた文字を読み解いた。

『…星々の力が衰えし時、始原の石板は砕け、その欠片はアストライアの各地に散った…』
『一つは、天を衝く世界樹の根元に…』
『一つは、空を漂う古き都の玉座に…』
『一つは、大地を喰らう巨獣の腹の中に…』
『欠片を集めし者、世界の理を知る者となるべし…』

(始原の石板は、砕けて各地に散らばっているのか…そして、その一つがこの近くに?)

「天を衝く世界樹」とは、まさにこの巨大な樹木のことだろう。オブシディアンは、木の根元や周囲を丹念に調べ始めた。【蟲の共鳴】や【熱源感知】も駆使し、隠された場所を探す。

そして、巨大な木の根が絡み合った奥、苔むした岩の下に、微かな魔力反応があるのを発見した。岩を【物質生成】で慎重に取り除くと、そこには手のひらほどの大きさの、淡い光を放つ石板の欠片が埋まっていた。

『アイテム「始原の石板の欠片(樹)」を獲得しました』

ついに、世界の秘密に繋がる重要アイテムの一つを手に入れた。オブシディアンは、興奮を抑えながら、その欠片をインベントリにしまい込んだ。他の欠片の場所も示唆されている。空の都、巨獣の腹の中…今後の探索目標が明確になった。

オブシディアンが石板の欠片を手にしたその時、【蟲の共鳴】が、森の外縁部、境界門に近い方向で、再び激しい戦闘の気配を捉えた。創世戦争の戦火は、まだアストライアにまでは及んでいないようだが、斥候部隊や先遣隊同士の小競り合いが始まっているのかもしれない。そして、その中には、オブシディアンの存在を嗅ぎつけ、この森へと向かおうとする者たちの気配も、微かにだが感じられた。

(…騒がしくなってきたな)

オブシディアンは、石板の欠片を手に入れた今、この森に長居する必要はないと判断した。次なる目標は、「空を漂う古き都」か、「大地を喰らう巨獣」か。どちらも容易な相手ではないだろう。

黒曜石の影は、世界樹の森を後にし、再び動き出す。始原の石板の欠片を巡る争奪戦が、あるいは既に始まっているのかもしれない。その中で、オブシディアンは誰よりも先んじ、世界の真実へと手を伸ばすことができるのか。彼の探求は、新たな段階へと移行しようとしていた。

名前: オブシディアン
種族: カオス・アビス (ユニーク種族)
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵の使徒, 竜殺し, 風を征す者, 炎心を識る者, ヒュドラ・ベイン, 叡智を探求する者, 英雄殺し, 聖域侵犯者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 48
魔力容量: 65
物理攻撃力: 15
物理防御力: 30
魔法攻撃力: 23
魔法防御力: 40
素早さ: 33

【スキル】
・虚無捕食 Lv.2
・混沌変異 Lv.2
・生物発光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・金剛鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1
・物理耐性(小) Lv.1
・万物創造(中級) Lv.1
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(大) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の心臓 Lv.1
・軍団指揮 Lv.1
・水中浮遊機動 Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1
・王者のカリスマ Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語完全解読
・魅了耐性(微) Lv.1
・突風耐性(小) Lv.1
・風操作(小) Lv.1
・火炎耐性(極) Lv.1
・熱源感知 Lv.1
・エレメンタル知識(四大) Lv.1
・自己再生(中) Lv.1
・火炎ブレス Lv.1
・墨噴射 Lv.1
・三叉槍術(初級) Lv.1
・古代魔術耐性(微) Lv.1
・見張り Lv.1
・電撃耐性(小) Lv.1
・聖属性耐性(微) Lv.1 -> (小) Lv.1 (光属性耐性(微)と統合・強化)
・光学兵器制御 Lv.1
・古代戦略知識 Lv.1
・固有スキル【深淵領域 Lv.2】
・固有スキル【因果歪曲(微) Lv.2】
・光合成(微) Lv.1
・浄化の光 Lv.1
・森との同調 Lv.1
・魅了の花粉 Lv.1
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