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第七十四話 光と闇の交差点
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「終焉の光(エンド・オブ・ライト)!」
アルトが聖剣アルティウスを天に掲げ、叫んだ。彼の全身から放たれる黄金色の光は極限まで高まり、天から降り注ぐ光の柱となって、オブシディアンがいる地点目掛けて落下してくる。それは、聖なる力の究極顕現。あらゆる闇と混沌を浄化し、消滅させる意志が込められた、英雄の最後にして最大の奥義だった。
(…なるほど、これが英雄の輝きか)
オブシディアンは、迫りくる光の柱を冷静に見据えていた。回避は不可能。受け止めるしかない。彼は【深淵領域 Lv.3】を自身の周囲に極限まで凝縮させ、絶対的な闇の空間を作り出す。同時に、【混沌変異 Lv.3】で自身の身体構造を、光エネルギーを吸収・変換することに特化した形態――まるでブラックホールのような、光すら呑み込む漆黒の球体――へと変化させた。【金剛鱗 Lv.1】、【聖属性耐性(小) Lv.1】、【ブレス耐性(大) Lv.1】(エネルギー攻撃全般への耐性として応用)、そして【超再生(小) Lv.1】も最大稼働させる。
さらに、オブシディアンは最後の切り札を切った。
(【因果歪曲(小) Lv.1】…発動。「聖属性攻撃によるダメージを、深淵エネルギーへと変換する確率」を最大化)
核(コア)に激しい負荷がかかり、MPがごっそりと削られる。しかし、オブシディアンは躊躇しない。この一撃を受け止め、そして喰らうために。
次の瞬間、黄金色の光の柱が、漆黒の球体と化したオブシディアンを完全に飲み込んだ。
ズウウウウウウウン……!!!
凄まじい光と闇の衝突。世界が白と黒に塗りつぶされ、衝撃波が戦場全体を吹き飛ばす。周囲にいたプレイヤーやNPCは、その余波だけで吹き飛ばされ、あるいは消滅していく。境界門の石材すらも砕け散り、空間そのものが悲鳴を上げているかのようだ。
光の柱の中心で、オブシディアンは壮絶なエネルギーの奔流に耐えていた。聖なる光が彼の深淵の身体を焼き、浄化しようと激しく作用する。HPゲージは猛烈な勢いで減少し、核(コア)も軋みを上げる。しかし、同時に、【因果歪曲】によって捻じ曲げられた法則が働き、聖なるエネルギーの一部が、オブシディアンの核(コア)に取り込まれ、深淵エネルギーへと変換されていく。
破壊と再生、浄化と吸収が、オブシディアンの中で激しく繰り返される。それは、存在そのものを賭けた綱渡り。一歩間違えれば、光に呑まれて消滅するか、あるいは変換したエネルギーに耐えきれず自壊するかのどちらかだった。
(…耐えろ…喰らえ…!)
オブシディアンは、カオス・アビスとしての本能と、探求者としての強靭な意志で、この極限状態を耐え抜いた。
やがて、黄金色の光の柱が、その輝きを失い始めた。アルトの最後の力が尽きたのだ。光が完全に消え去った後、そこには、所々が白く変色し、激しく損傷しながらも、なお存在を保ち続ける漆黒の球体――オブシディアン――が残っていた。
(…受けきった…か)
オブシディアンは【超再生】で急速に身体を修復しながら、元の不定形なカオス・アビスの姿へと戻る。そして、力尽きて地面に膝をつくアルトへと、ゆっくりと近づいていった。
アルトは、もはや聖剣を支えにする力も残っていないようだった。しかし、その瞳には、まだ諦めない意志の光が宿っている。
「…なぜ…なぜ、貴様のような存在が…」
オブシディアンは、答える代わりに、静かに【虚無捕食 Lv.3】を発動した。アルトの身体を、その英雄の魂ごと、深淵の闇が包み込んでいく。
「…光は…希望は…消え…ない…」
最期の言葉と共に、アルトの姿は完全にオブシディアンの中へと吸収された。流れ込んでくるのは、純粋な聖なるエネルギー、英雄としての記憶と誇り、人々を守りたいという強い想い、そして…彼が受け継いだという古代の英雄の魂、その根源的な情報。
『プレイヤー「アルト」 Lv.40 (Lord Commander / Hero Incarnate) を捕食しました』
『経験値を測定不能な量獲得しました』
『レベルが42まで上がりました』
『称号【光を喰らう闇】を獲得しました』
『スキル【聖剣技(英雄級) Lv.1】を…獲得に失敗しました。適性・魂の拒絶』
『スキル【英雄のカリスマ Lv.1】を獲得しました』(【王者のカリスマ】と統合・進化)
『スキル【不屈の魂 Lv.1】を獲得しました』(【精神耐性(大)】と統合・強化)
『スキル【聖属性耐性(小)】が【聖属性耐性(中)】に進化しました』
『スキル【光属性親和(微)】が【光属性親和(小)】に進化しました』
『スキル【古代英雄譚知識 Lv.1】を獲得しました』
『素材「英雄の魂の残滓」「砕けた聖剣の破片」「希望の紋章」を獲得しました』
『重要情報「古代の英雄と魔王に関する伝承」を獲得しました』
『重要情報「”魂の器”に関する研究データ(アルト由来)」を獲得しました』
『ミッション「混沌の調律」:特異点「英雄の魂を宿すプレイヤー」の無力化を確認。進行度 3/3』
『ミッション「混沌の調律」達成。報酬として、世界の法則に関する高度情報アクセス権限レベル1、及び進化促進因子「カオス・オリジン」を付与します』
ミッション達成。レベルは一気に42まで上昇し、スキルも大幅に強化された。特に【英雄のカリスマ】と【不屈の魂】は、オブシディアンの能力をさらに引き上げるだろう。【聖属性耐性】も(中)になり、もはや弱点とは言えなくなったかもしれない。そして、報酬として得られた「世界の法則に関する高度情報アクセス権限レベル1」と「カオス・オリジン」。これらが何をもたらすのか、非常に興味深い。
オブシディアンがアルトを捕食したことで、戦場の空気は完全に変わった。秩序陣営の希望の星は消え去り、残った兵士たちは戦意を喪失して撤退を開始した。混沌陣営も、オブシディアンという規格外の存在を前に、勝利を喜ぶよりも、次なる脅威への恐怖からか、深追いすることなく陣形を立て直している。
(これで、ミッションは完了か…)
オブシディアンは、静まり返った戦場を見渡した。多くの命(データ)が失われ、大地は傷つき、境界門も半壊している。これが、調律者が望んだ「安定化」なのだろうか? オブシディアンには疑問が残った。
(だが、俺の目的は果たした。知識、力、そして進化の因子…)
オブシディアンは、報酬として得られた「カオス・オリジン」に意識を向けた。それは、彼の核(コア)――深淵の心臓――の中に存在する、純粋な混沌のエネルギーの種子のようなものだった。これを活性化させれば、カオス・アビスは更なる進化を遂げることができるらしい。
(進化…するか)
オブシディアンは、この戦場で、今すぐ進化することを決意した。英雄アルトとの戦いを通して、彼は自身の力の限界と、更なる高みへの渇望を改めて認識していたからだ。
オブシディアンは、戦場の中央、半壊した境界門の前に降り立ち、核(コア)の中のカオス・オリジンに意識を集中させた。そして、自身の持つ深淵の力、捕食によって得た全てのエネルギーと知識、そして始原の石板から得た世界の理の一部を、その種子へと注ぎ込んでいく。
核(コア)が、これまでとは比較にならないほどの凄まじい光と闇を放ち始めた。オブシディアンの身体は再び不定形のエネルギー体へと還元され、その中心で、新たな存在が産声を上げようとしていた。それは、単なる進化ではない。混沌と秩序、光と闇、創造と破壊、その全てを内包し、超越する可能性を秘めた、唯一無二の存在への変貌。
周囲の空間が歪み、世界の法則が軋みを上げる。戦場に残っていた僅かなプレイヤーやNPCたちは、その異様な光景を遠巻きに、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
黒曜石の影は、英雄の光をも喰らい、今、最終形態へと至ろうとしている。その進化の先に待つものは何か。そして、彼は、この混沌の世界に何をもたらすのか。物語は、ついにクライマックスへと向かう。
アルトが聖剣アルティウスを天に掲げ、叫んだ。彼の全身から放たれる黄金色の光は極限まで高まり、天から降り注ぐ光の柱となって、オブシディアンがいる地点目掛けて落下してくる。それは、聖なる力の究極顕現。あらゆる闇と混沌を浄化し、消滅させる意志が込められた、英雄の最後にして最大の奥義だった。
(…なるほど、これが英雄の輝きか)
オブシディアンは、迫りくる光の柱を冷静に見据えていた。回避は不可能。受け止めるしかない。彼は【深淵領域 Lv.3】を自身の周囲に極限まで凝縮させ、絶対的な闇の空間を作り出す。同時に、【混沌変異 Lv.3】で自身の身体構造を、光エネルギーを吸収・変換することに特化した形態――まるでブラックホールのような、光すら呑み込む漆黒の球体――へと変化させた。【金剛鱗 Lv.1】、【聖属性耐性(小) Lv.1】、【ブレス耐性(大) Lv.1】(エネルギー攻撃全般への耐性として応用)、そして【超再生(小) Lv.1】も最大稼働させる。
さらに、オブシディアンは最後の切り札を切った。
(【因果歪曲(小) Lv.1】…発動。「聖属性攻撃によるダメージを、深淵エネルギーへと変換する確率」を最大化)
核(コア)に激しい負荷がかかり、MPがごっそりと削られる。しかし、オブシディアンは躊躇しない。この一撃を受け止め、そして喰らうために。
次の瞬間、黄金色の光の柱が、漆黒の球体と化したオブシディアンを完全に飲み込んだ。
ズウウウウウウウン……!!!
凄まじい光と闇の衝突。世界が白と黒に塗りつぶされ、衝撃波が戦場全体を吹き飛ばす。周囲にいたプレイヤーやNPCは、その余波だけで吹き飛ばされ、あるいは消滅していく。境界門の石材すらも砕け散り、空間そのものが悲鳴を上げているかのようだ。
光の柱の中心で、オブシディアンは壮絶なエネルギーの奔流に耐えていた。聖なる光が彼の深淵の身体を焼き、浄化しようと激しく作用する。HPゲージは猛烈な勢いで減少し、核(コア)も軋みを上げる。しかし、同時に、【因果歪曲】によって捻じ曲げられた法則が働き、聖なるエネルギーの一部が、オブシディアンの核(コア)に取り込まれ、深淵エネルギーへと変換されていく。
破壊と再生、浄化と吸収が、オブシディアンの中で激しく繰り返される。それは、存在そのものを賭けた綱渡り。一歩間違えれば、光に呑まれて消滅するか、あるいは変換したエネルギーに耐えきれず自壊するかのどちらかだった。
(…耐えろ…喰らえ…!)
オブシディアンは、カオス・アビスとしての本能と、探求者としての強靭な意志で、この極限状態を耐え抜いた。
やがて、黄金色の光の柱が、その輝きを失い始めた。アルトの最後の力が尽きたのだ。光が完全に消え去った後、そこには、所々が白く変色し、激しく損傷しながらも、なお存在を保ち続ける漆黒の球体――オブシディアン――が残っていた。
(…受けきった…か)
オブシディアンは【超再生】で急速に身体を修復しながら、元の不定形なカオス・アビスの姿へと戻る。そして、力尽きて地面に膝をつくアルトへと、ゆっくりと近づいていった。
アルトは、もはや聖剣を支えにする力も残っていないようだった。しかし、その瞳には、まだ諦めない意志の光が宿っている。
「…なぜ…なぜ、貴様のような存在が…」
オブシディアンは、答える代わりに、静かに【虚無捕食 Lv.3】を発動した。アルトの身体を、その英雄の魂ごと、深淵の闇が包み込んでいく。
「…光は…希望は…消え…ない…」
最期の言葉と共に、アルトの姿は完全にオブシディアンの中へと吸収された。流れ込んでくるのは、純粋な聖なるエネルギー、英雄としての記憶と誇り、人々を守りたいという強い想い、そして…彼が受け継いだという古代の英雄の魂、その根源的な情報。
『プレイヤー「アルト」 Lv.40 (Lord Commander / Hero Incarnate) を捕食しました』
『経験値を測定不能な量獲得しました』
『レベルが42まで上がりました』
『称号【光を喰らう闇】を獲得しました』
『スキル【聖剣技(英雄級) Lv.1】を…獲得に失敗しました。適性・魂の拒絶』
『スキル【英雄のカリスマ Lv.1】を獲得しました』(【王者のカリスマ】と統合・進化)
『スキル【不屈の魂 Lv.1】を獲得しました』(【精神耐性(大)】と統合・強化)
『スキル【聖属性耐性(小)】が【聖属性耐性(中)】に進化しました』
『スキル【光属性親和(微)】が【光属性親和(小)】に進化しました』
『スキル【古代英雄譚知識 Lv.1】を獲得しました』
『素材「英雄の魂の残滓」「砕けた聖剣の破片」「希望の紋章」を獲得しました』
『重要情報「古代の英雄と魔王に関する伝承」を獲得しました』
『重要情報「”魂の器”に関する研究データ(アルト由来)」を獲得しました』
『ミッション「混沌の調律」:特異点「英雄の魂を宿すプレイヤー」の無力化を確認。進行度 3/3』
『ミッション「混沌の調律」達成。報酬として、世界の法則に関する高度情報アクセス権限レベル1、及び進化促進因子「カオス・オリジン」を付与します』
ミッション達成。レベルは一気に42まで上昇し、スキルも大幅に強化された。特に【英雄のカリスマ】と【不屈の魂】は、オブシディアンの能力をさらに引き上げるだろう。【聖属性耐性】も(中)になり、もはや弱点とは言えなくなったかもしれない。そして、報酬として得られた「世界の法則に関する高度情報アクセス権限レベル1」と「カオス・オリジン」。これらが何をもたらすのか、非常に興味深い。
オブシディアンがアルトを捕食したことで、戦場の空気は完全に変わった。秩序陣営の希望の星は消え去り、残った兵士たちは戦意を喪失して撤退を開始した。混沌陣営も、オブシディアンという規格外の存在を前に、勝利を喜ぶよりも、次なる脅威への恐怖からか、深追いすることなく陣形を立て直している。
(これで、ミッションは完了か…)
オブシディアンは、静まり返った戦場を見渡した。多くの命(データ)が失われ、大地は傷つき、境界門も半壊している。これが、調律者が望んだ「安定化」なのだろうか? オブシディアンには疑問が残った。
(だが、俺の目的は果たした。知識、力、そして進化の因子…)
オブシディアンは、報酬として得られた「カオス・オリジン」に意識を向けた。それは、彼の核(コア)――深淵の心臓――の中に存在する、純粋な混沌のエネルギーの種子のようなものだった。これを活性化させれば、カオス・アビスは更なる進化を遂げることができるらしい。
(進化…するか)
オブシディアンは、この戦場で、今すぐ進化することを決意した。英雄アルトとの戦いを通して、彼は自身の力の限界と、更なる高みへの渇望を改めて認識していたからだ。
オブシディアンは、戦場の中央、半壊した境界門の前に降り立ち、核(コア)の中のカオス・オリジンに意識を集中させた。そして、自身の持つ深淵の力、捕食によって得た全てのエネルギーと知識、そして始原の石板から得た世界の理の一部を、その種子へと注ぎ込んでいく。
核(コア)が、これまでとは比較にならないほどの凄まじい光と闇を放ち始めた。オブシディアンの身体は再び不定形のエネルギー体へと還元され、その中心で、新たな存在が産声を上げようとしていた。それは、単なる進化ではない。混沌と秩序、光と闇、創造と破壊、その全てを内包し、超越する可能性を秘めた、唯一無二の存在への変貌。
周囲の空間が歪み、世界の法則が軋みを上げる。戦場に残っていた僅かなプレイヤーやNPCたちは、その異様な光景を遠巻きに、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
黒曜石の影は、英雄の光をも喰らい、今、最終形態へと至ろうとしている。その進化の先に待つものは何か。そして、彼は、この混沌の世界に何をもたらすのか。物語は、ついにクライマックスへと向かう。
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