外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ

文字の大きさ
66 / 79

第66話 素材探しの冒険・森の章

しおりを挟む
(※プロット85話~88話を分割して描写)

国王たちに見送られ、俺たち三人は王城の裏手にある、王家専用の転移門の前に立っていた。
最初の目的地は、『破邪の聖剣』の柄となる「世界樹の聖なる枝」が眠るという、王国の北方に広がる「迷いの大森林」だ。

「この転移門は、森林の入り口まで繋がっています。ですが、その奥は古代の魔法によって守られており、人の足では踏み入ることができません」
リリアが、少し不安げに説明する。
「大丈夫だ」
イグナが、自信満々に胸を張る。
「我が記憶が確かなら、この森の中心には、聖なる力を持つ者だけが通れる、隠された道があるはずだ。リリア、貴様の出番だぞ」
「はい!」

転移門が眩い光を放ち、次の瞬間、俺たちの体は鬱蒼とした巨大な樹々に囲まれた、静かな森の入り口へと転移していた。
空気の密度が違う。生命の気配が、あまりにも濃密だ。一本一本の木が、それ自体に意志を持っているかのように、荘厳なオーラを放っていた。

「すごい……これが、迷いの大森林……」
俺が圧倒されていると、リリアが一歩前に出た。
彼女は目を閉じ、深く息を吸い込むと、その身に宿る聖なる力に意識を集中させる。
すると、彼女の体が淡い光を放ち始め、その光に呼応するように、森の奥から、微かな風が吹いてきた。それは、まるで森がリリアを歓迎し、手招きしているかのようだった。

「……こちらです」
リリアは目を開けると、確信を持って、獣道すらない森の奥へと歩き出した。
俺とイグナは、黙ってその後に続く。
不思議なことに、俺たちが進むと、それまで行く手を阻んでいた茨や下草が、ひとりでに道を空けていく。リリアの聖なる力に、森が敬意を払っているのだ。

数時間、歩き続いただろうか。
森はますます深くなり、周囲は神秘的な静寂に包まれていた。
そんな中、俺たちは昼食のために、開けた場所で休憩を取ることにした。
「さて、と。腹ごしらえでもするか」
俺が背負っていたリュックから、王城で持たせてもらった保存食のパンと干し肉を取り出す。

「アルト、火を」
イグナが当然のように命令するので、俺は苦笑しながら、魔法で小さな焚き火をおこした。
火で炙った干し肉を、三人で分け合って食べる。
「ふむ。質素だが、外で食う飯というのも悪くないな」
「こうして、外で食事をするのは、とても久しぶりですわ」
イグナとリリアは、言い争いをすることもなく、ただ穏やかな時間を楽しんでいるようだった。

この旅は、ただ素材を探すだけではない。
こうして、三人で協力し、同じ釜の飯ならぬ、同じ焚き火の肉を食べる。その一つ一つの経験が、俺たちの絆を、より強く、確かなものにしていくのを感じていた。

食事を終え、再び歩き始めた俺たちの前に、突如として一体の魔物が姿を現した。
森の守護者と呼ばれる、巨大な熊の姿をした魔物「フォレストガーディアン」だ。その体は、硬い樹皮のようなもので覆われ、鋭い爪はミスリル銀のように輝いている。
「侵入者には、容赦しない」
地響きのような声が、俺たちの頭上に響いた。

「我が出る」
イグナが前に出ようとするのを、俺が手で制した。
「ここは、俺に任せてくれ」
俺はリュックから、道中で【アイテム錬成】を使って即席で作っておいた、小さな鉄の球体を数個取り出した。
「イグナもリリアも、下がってて」

俺はフォレストガーディアンに向き直ると、その鉄球を魔物の足元へと投げつけた。
鉄球は地面に転がると、カチリ、と小さな音を立てる。
次の瞬間、鉄球から強力な粘着質の糸が無数に射出され、フォレストガーディアンの両足を絡め取った。

「なっ……!?」
動けなくなった魔物が、驚きの声を上げる。
「これは、ただの粘着糸じゃない。俺の魔力で編み上げてるから、君の力じゃ切れないはずだ」
俺は、もう一つの球体を投げた。それは、魔物の目の前で弾け、強烈な眠りを誘う香りをあたりに撒き散らす。
フォレストガーディアンは、抵抗する間もなく、その巨体を揺らし、やがて、どしんと音を立ててその場に倒れ込み、穏やかな寝息を立て始めた。

「……すごい」
リリアが、感嘆の声を漏らす。
「アルトさん、あなた、戦っても強かったのですね」
「いや、これは戦いじゃない。ただ、少しだけ足止めさせてもらっただけだよ」
俺は眠る魔物に近づくと、その頭を優しく撫でた。
「ごめんな、驚かせて。俺たちは、この森を荒らしに来たわけじゃないんだ」

俺の言葉が届いたのか、フォレストガーディアンは、眠りながらも穏やかな表情になったように見えた。
イグナが、少しだけ感心したような、面白そうな顔で俺を見ている。
「ふん。力だけが、全てではないということか。少しは、見直してやったぞ、アルト」

俺たちは、眠る守護者の横を通り過ぎ、再び森の奥を目指す。
この先に待つ、世界樹の聖域へ。
三人の心を一つにして、俺たちの冒険は、まだ始まったばかりだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

処理中です...