10 / 94
第十話 初めての畑
しおりを挟む
奇跡の泉を手に入れたことで、私たちの生活には確かな目標が生まれた。それは、この不毛の地に私たちの手で畑を作り、食料を自給自足することだ。
「まずは、この泉の近くに場所を確保しましょう。日当たりが良く、水を運びやすい平地が望ましい」
ギルバートは冷静に周囲を見渡し、すぐに最適な場所を見つけ出した。泉の南側に広がる、わずかな緩やかな斜面。ここなら一日中、陽の光を浴びることができるだろう。
彼はどこから見つけてきたのか、鍬の代わりになりそうな丈夫な木の枝と平たい石を手に、早速土地を耕し始めた。鍛え上げられた腕の筋肉が盛り上がり、硬い地面を力強く打ち付けていく。
「私も手伝います」
私が申し出ると、ギルバートは汗を拭いながら振り返り、困ったように眉を下げた。
「いえ、アリシア様はそのような力仕事をなさる必要はありません。貴女様の繊細な手が、荒れてしまう」
その過保護ともいえる言葉に、私は少しむず痒いような嬉しいような気持ちになる。
『我ガ手伝ウ!』
フェンはそう言うと、自慢の前足で地面を勢いよく掘り返し始めた。しかし、それは手伝いというよりは穴掘り遊びに近く、土が私の顔に飛んでくる。
「こら、フェン」
私が笑いながら言うと、フェンはばつが悪そうに耳を垂れた。
和やかな雰囲気とは裏腹に、開墾作業は困難を極めた。この辺境の大地は、私たちの想像以上に固く、生命を拒絶していた。大きな石が次々と顔を出し、ギルバートの力をもってしても、作業は遅々として進まない。
数時間が経過し、ようやく畳二畳ほどの広さを耕し終えた頃には、ギルバートの額には玉のような汗が浮かんでいた。
「これは…骨が折れますな。この調子では、十分な広さの畑を作るのに何日かかるか」
彼の疲れた様子を見て、私の胸はちくりと痛んだ。私だけが、何もせずに見ているだけではいけない。泉を蘇らせた時のことを思い出す。あの時、私は水に触れた。ならば、土にも同じことができるのではないだろうか。
「ギルバート。私に、少しだけやらせてください」
私は彼の隣にしゃがみこみ、ごつごつとした土塊にそっと手を触れた。
「土も、きっと生きているはずです。ただ、今は疲れて眠っているだけなのだと思います。だから、私が起こしてあげたいんです」
ギルバートは私の真剣な瞳を見て、何も言わずに頷いた。彼は一歩下がり、私に場所を譲ってくれる。
私は目を閉じ、両手を大地につけた。指先から、土の冷たさと硬さが伝わってくる。その奥にある、かすかな生命の脈動を感じ取ろうと意識を集中させた。
起きて。
お願い。あなたの力を見せて。
私の願いに応えるように、手のひらから翠色の光があふれ出す。光は大地に吸い込まれるように染み渡り、魔法のような変化を引き起こした。
カチカチに固まっていた土が、まるで柔らかなスポンジのようにふかふかと盛り上がっていく。行く手を阻んでいた石ころは、砂のように細かくなって土に溶け込み、土全体が生命力に満ちた豊かな黒土へと変わっていくのが分かった。土からは、雨上がりの森のような、懐かしい生命の香りが立ち上った。
「これは……大地そのものを、作り変えているのか」
ギルバートが、目の前の光景を信じられないといった様子で呟いた。フェンも、ふかふかになった土の上を気持ちよさそうに駆け回っている。
光が収まる頃には、私たちの目の前には十坪ほどの、見事な畑が完成していた。
「すごい……」
私は自分の手を見つめた。この小さな手の中に、こんなにも大きな力が眠っていたなんて。
私は革鞄の中から、大切にしまっていた小さな布袋を取り出した。中には、王宮の庭の隅で、誰にも見向きもされずに咲いていた野菜やハーブの花から、こっそり集めておいた種が入っていた。追放される時、咄嗟に鞄に入れたものだ。
「こんなものしかありませんが…」
私が申し訳なさそうに言うと、ギルバートは心から優しい顔で微笑んだ。
「いいえ。それは、この地における何よりも素晴らしい宝物です。アリシア様」
私はその言葉に勇気づけられ、一粒一粒、丁寧に種を蒔いていった。カブ、ニンジン、そして数種類の葉物野菜の種。最後に、泉から汲んできた魔力を帯びた水をたっぷりと注いだ。
奇跡は、その直後から始まった。
種を蒔いた場所から、ぷくりと小さな芽が顔を出す。それはみるみるうちに双葉となり、ぐんぐんと茎を伸ばし始めた。
私たちは、その場から動くことができなかった。ただ、目の前で繰り広げられる生命の神秘を、息を呑んで見守るだけだった。
陽が傾き始める頃には、畑は青々とした葉で覆われていた。そして、土の中からは、丸々と太った真っ白なカブが、恥ずかしそうに頭を覗かせている。
たった一日。いや、半日で、作物が収穫できるまでに育ってしまったのだ。王都のどんな肥沃な土地で育てたものよりも、ずっと色が濃く、生命力に満ち溢れている。
私はおそるおそるカブを一つ引き抜いた。ずしりと重い。泥を軽く払うと、現れたのは真珠のように艶やかな白い肌だった。
その夜、私たちは洞窟でささやかな収穫祭を開いた。焚き火で熱した石の上で、スライスしたカブと鹿肉を焼く。焼かれたカブからは、信じられないほど甘い香りが立ち上った。
焼きあがったばかりのカブを口に運ぶ。
「……美味しい」
思わず、声が漏れた。驚くほど甘くて、瑞々しい。繊維はきめ細かく、口の中でとろけるようだ。
「ええ、最高ですな。これほどの美味は、王宮の晩餐会でも味わったことがありません」
ギルバートも目を丸くして感動している。
『ウマイ!』
フェンも尻尾をちぎれんばかりに振って、夢中でカブを頬張っていた。
自分の力が、こんなにも美味しいものを生み出し、大切な人たちを笑顔にできる。その事実が、私の心を温かい幸福感で満たした。
ここは、絶望の地などではない。
私たちの手で、何でも生み出せる、可能性に満ちた約束の地なのだ。
この小さな畑が、後に大陸一と謳われる最強の農業国家『エデン』の、記念すべき第一歩となったことを、この時の私たちはまだ知らなかった。
「まずは、この泉の近くに場所を確保しましょう。日当たりが良く、水を運びやすい平地が望ましい」
ギルバートは冷静に周囲を見渡し、すぐに最適な場所を見つけ出した。泉の南側に広がる、わずかな緩やかな斜面。ここなら一日中、陽の光を浴びることができるだろう。
彼はどこから見つけてきたのか、鍬の代わりになりそうな丈夫な木の枝と平たい石を手に、早速土地を耕し始めた。鍛え上げられた腕の筋肉が盛り上がり、硬い地面を力強く打ち付けていく。
「私も手伝います」
私が申し出ると、ギルバートは汗を拭いながら振り返り、困ったように眉を下げた。
「いえ、アリシア様はそのような力仕事をなさる必要はありません。貴女様の繊細な手が、荒れてしまう」
その過保護ともいえる言葉に、私は少しむず痒いような嬉しいような気持ちになる。
『我ガ手伝ウ!』
フェンはそう言うと、自慢の前足で地面を勢いよく掘り返し始めた。しかし、それは手伝いというよりは穴掘り遊びに近く、土が私の顔に飛んでくる。
「こら、フェン」
私が笑いながら言うと、フェンはばつが悪そうに耳を垂れた。
和やかな雰囲気とは裏腹に、開墾作業は困難を極めた。この辺境の大地は、私たちの想像以上に固く、生命を拒絶していた。大きな石が次々と顔を出し、ギルバートの力をもってしても、作業は遅々として進まない。
数時間が経過し、ようやく畳二畳ほどの広さを耕し終えた頃には、ギルバートの額には玉のような汗が浮かんでいた。
「これは…骨が折れますな。この調子では、十分な広さの畑を作るのに何日かかるか」
彼の疲れた様子を見て、私の胸はちくりと痛んだ。私だけが、何もせずに見ているだけではいけない。泉を蘇らせた時のことを思い出す。あの時、私は水に触れた。ならば、土にも同じことができるのではないだろうか。
「ギルバート。私に、少しだけやらせてください」
私は彼の隣にしゃがみこみ、ごつごつとした土塊にそっと手を触れた。
「土も、きっと生きているはずです。ただ、今は疲れて眠っているだけなのだと思います。だから、私が起こしてあげたいんです」
ギルバートは私の真剣な瞳を見て、何も言わずに頷いた。彼は一歩下がり、私に場所を譲ってくれる。
私は目を閉じ、両手を大地につけた。指先から、土の冷たさと硬さが伝わってくる。その奥にある、かすかな生命の脈動を感じ取ろうと意識を集中させた。
起きて。
お願い。あなたの力を見せて。
私の願いに応えるように、手のひらから翠色の光があふれ出す。光は大地に吸い込まれるように染み渡り、魔法のような変化を引き起こした。
カチカチに固まっていた土が、まるで柔らかなスポンジのようにふかふかと盛り上がっていく。行く手を阻んでいた石ころは、砂のように細かくなって土に溶け込み、土全体が生命力に満ちた豊かな黒土へと変わっていくのが分かった。土からは、雨上がりの森のような、懐かしい生命の香りが立ち上った。
「これは……大地そのものを、作り変えているのか」
ギルバートが、目の前の光景を信じられないといった様子で呟いた。フェンも、ふかふかになった土の上を気持ちよさそうに駆け回っている。
光が収まる頃には、私たちの目の前には十坪ほどの、見事な畑が完成していた。
「すごい……」
私は自分の手を見つめた。この小さな手の中に、こんなにも大きな力が眠っていたなんて。
私は革鞄の中から、大切にしまっていた小さな布袋を取り出した。中には、王宮の庭の隅で、誰にも見向きもされずに咲いていた野菜やハーブの花から、こっそり集めておいた種が入っていた。追放される時、咄嗟に鞄に入れたものだ。
「こんなものしかありませんが…」
私が申し訳なさそうに言うと、ギルバートは心から優しい顔で微笑んだ。
「いいえ。それは、この地における何よりも素晴らしい宝物です。アリシア様」
私はその言葉に勇気づけられ、一粒一粒、丁寧に種を蒔いていった。カブ、ニンジン、そして数種類の葉物野菜の種。最後に、泉から汲んできた魔力を帯びた水をたっぷりと注いだ。
奇跡は、その直後から始まった。
種を蒔いた場所から、ぷくりと小さな芽が顔を出す。それはみるみるうちに双葉となり、ぐんぐんと茎を伸ばし始めた。
私たちは、その場から動くことができなかった。ただ、目の前で繰り広げられる生命の神秘を、息を呑んで見守るだけだった。
陽が傾き始める頃には、畑は青々とした葉で覆われていた。そして、土の中からは、丸々と太った真っ白なカブが、恥ずかしそうに頭を覗かせている。
たった一日。いや、半日で、作物が収穫できるまでに育ってしまったのだ。王都のどんな肥沃な土地で育てたものよりも、ずっと色が濃く、生命力に満ち溢れている。
私はおそるおそるカブを一つ引き抜いた。ずしりと重い。泥を軽く払うと、現れたのは真珠のように艶やかな白い肌だった。
その夜、私たちは洞窟でささやかな収穫祭を開いた。焚き火で熱した石の上で、スライスしたカブと鹿肉を焼く。焼かれたカブからは、信じられないほど甘い香りが立ち上った。
焼きあがったばかりのカブを口に運ぶ。
「……美味しい」
思わず、声が漏れた。驚くほど甘くて、瑞々しい。繊維はきめ細かく、口の中でとろけるようだ。
「ええ、最高ですな。これほどの美味は、王宮の晩餐会でも味わったことがありません」
ギルバートも目を丸くして感動している。
『ウマイ!』
フェンも尻尾をちぎれんばかりに振って、夢中でカブを頬張っていた。
自分の力が、こんなにも美味しいものを生み出し、大切な人たちを笑顔にできる。その事実が、私の心を温かい幸福感で満たした。
ここは、絶望の地などではない。
私たちの手で、何でも生み出せる、可能性に満ちた約束の地なのだ。
この小さな畑が、後に大陸一と謳われる最強の農業国家『エデン』の、記念すべき第一歩となったことを、この時の私たちはまだ知らなかった。
190
あなたにおすすめの小説
あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。
秋月一花
恋愛
「すまないね、レディ。僕には愛しい婚約者がいるんだ。そんなに見つめられても、君とデートすることすら出来ないんだ」
「え? 私、あなたのことを見つめていませんけれど……?」
「なにを言っているんだい、さっきから熱い視線をむけていたじゃないかっ」
「あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です」
あなたの護衛を見つめていました。だって好きなのだもの。見つめるくらいは許して欲しい。恋人になりたいなんて身分違いのことを考えないから、それだけはどうか。
「……やっぱり今日も格好いいわ、ライナルト様」
うっとりと呟く私に、ライナルト様はぎょっとしたような表情を浮かべて――それから、
「――俺のことが怖くないのか?」
と話し掛けられちゃった! これはライナルト様とお話しするチャンスなのでは?
よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう!
夫が愛人を離れに囲っているようなので、私も念願の猫様をお迎えいたします
葉柚
恋愛
ユフィリア・マーマレード伯爵令嬢は、婚約者であるルードヴィッヒ・コンフィチュール辺境伯と無事に結婚式を挙げ、コンフィチュール伯爵夫人となったはずであった。
しかし、ユフィリアの夫となったルードヴィッヒはユフィリアと結婚する前から離れの屋敷に愛人を住まわせていたことが使用人たちの口から知らされた。
ルードヴィッヒはユフィリアには目もくれず、離れの屋敷で毎日過ごすばかり。結婚したというのにユフィリアはルードヴィッヒと簡単な挨拶は交わしてもちゃんとした言葉を交わすことはなかった。
ユフィリアは決意するのであった。
ルードヴィッヒが愛人を離れに囲うなら、自分は前々からお迎えしたかった猫様を自室に迎えて愛でると。
だが、ユフィリアの決意をルードヴィッヒに伝えると思いもよらぬ事態に……。
使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
完璧すぎると言われ婚約破棄された令嬢、冷徹公爵と白い結婚したら選ばれ続けました
鷹 綾
恋愛
「君は完璧すぎて、可愛げがない」
その理不尽な理由で、王都の名門令嬢エリーカは婚約を破棄された。
努力も実績も、すべてを否定された――はずだった。
だが彼女は、嘆かなかった。
なぜなら婚約破棄は、自由の始まりだったから。
行き場を失ったエリーカを迎え入れたのは、
“冷徹”と噂される隣国の公爵アンクレイブ。
条件はただ一つ――白い結婚。
感情を交えない、合理的な契約。
それが最善のはずだった。
しかし、エリーカの有能さは次第に国を変え、
彼女自身もまた「役割」ではなく「選択」で生きるようになる。
気づけば、冷徹だった公爵は彼女を誰よりも尊重し、
誰よりも守り、誰よりも――選び続けていた。
一方、彼女を捨てた元婚約者と王都は、
エリーカを失ったことで、静かに崩れていく。
婚約破棄ざまぁ×白い結婚×溺愛。
完璧すぎる令嬢が、“選ばれる側”から“選ぶ側”へ。
これは、復讐ではなく、
選ばれ続ける未来を手に入れた物語。
---
「何の取り柄もない姉より、妹をよこせ」と婚約破棄されましたが、妹を守るためなら私は「国一番の淑女」にでも這い上がってみせます
放浪人
恋愛
「何の取り柄もない姉はいらない。代わりに美しい妹をよこせ」
没落伯爵令嬢のアリアは、婚約者からそう告げられ、借金のカタに最愛の妹を奪われそうになる。 絶望の中、彼女が頼ったのは『氷の公爵』と恐れられる冷徹な男、クラウスだった。
「私の命、能力、生涯すべてを差し上げます。だから金を貸してください!」
妹を守るため、悪魔のような公爵と契約を結んだアリア。 彼女に課せられたのは、地獄のような淑女教育と、危険な陰謀が渦巻く社交界への潜入だった。 しかし、アリアは持ち前の『瞬間記憶能力』と『度胸』を武器に覚醒する。
自分を捨てた元婚約者を論破して地獄へ叩き落とし、意地悪なライバル令嬢を返り討ちにし、やがては国の危機さえも救う『国一番の淑女』へと駆け上がっていく!
一方、冷酷だと思われていた公爵は、泥の中でも強く咲くアリアの姿に心を奪われ――? 「お前がいない世界など不要だ」 契約から始まった関係が、やがて国中を巻き込む極上の溺愛へと変わる。
地味で無能と呼ばれた令嬢が、最強の旦那様と幸せを掴み取る、痛快・大逆転シンデレラストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる