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第四十四話 最初の衝突
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ギルバートは、まるで大地に根を張った古木のように、微動だにしなかった。たった一人で十数人の兵士と対峙しているというのに、その姿には一切の気負いも焦りもない。ただ、静かな闘志だけが、鞘から抜かれた剣のように鋭い輝きを放っていた。
「な、何を突っ立っている!かかれ!あの男を斬り殺せ!」
バッカス子爵が、ヒステリックに叫んだ。しかし、兵士たちは動けなかった。彼らの多くは、かつて王国騎士団に所属していた者たちだ。目の前に立つ男が誰なのか、その実力がどれほどのものか、嫌というほど知っている。
『王国最強の剣』ギルバート・アークライト。
彼に剣を向けるということは、自ら死ににいくのと同義だ。その恐怖が、兵士たちの足を縫い付けていた。
「臆するな!相手はたった一人だ!それに、奴はもはや国を裏切った反逆者にすぎん!」
バッカス子爵の怒声に、兵士の一人が意を決したように雄叫びを上げた。
「うおおおっ!」
彼は、恐怖を振り払うかのようにギルバートへと斬りかかった。その動きに呼応し、他の兵士たちも次々と剣を構えて突撃する。
その光景を見ていた私は、思わず息を呑んだ。しかし、ギルバートは、迫り来る剣の嵐を前にして、静かに目を閉じた。
次の瞬間、彼の姿が掻き消えた。
いや、消えたのではない。常人には捉えきれないほどの速度で、動いたのだ。
最初に斬りかかってきた兵士の剣を、最小限の動きで受け流す。兵士は体勢を崩し、無防備な脇腹を晒した。ギルバートの剣の柄が、そこに的確に叩き込まれる。
「ぐっ……!」
兵士は短い呻き声を上げ、地面に崩れ落ちた。
ギルバートは、決して刃を使わなかった。剣の腹で相手の武器を弾き、柄で急所を打ち、時には足払いで転倒させる。その動きは、まるで流れる水のように滑らかで、一切の無駄がない。兵士たちの攻撃は、誰一人として彼の衣の裾を掠めることすらできなかった。
それは、もはや戦闘ではなく、熟練の剣士が素人たちを指導する演武のようだった。
「な……」
「嘘だろ……」
兵士たちは、次々と戦闘能力を奪われ、地面に転がっていく。彼らの顔には、痛みよりも、理解を超えた現象を目の当たりにしたかのような、純粋な驚愕の色が浮かんでいた。
ほんの数十秒。
瞬きをする間に、全ての兵士が地面に倒れ伏していた。誰一人として命を落とした者はいなかったが、立ち上がれる者もまた、一人もいなかった。
谷間には、再び静寂が訪れた。
エデンの民は、皆、呆然とその光景を見つめている。ギルバートの強さを知ってはいたが、これほどまでとは。その圧倒的な実力は、味方でさえも畏怖させるほどのものだった。
その場に立っているのは、ギルバートと、そして腰を抜かしてへたり込んでいるバッカス子爵だけだった。
ギルバートは、倒れた兵士たちを一瞥すると、ゆっくりとバッカス子爵へと歩み寄った。カツ、カツ、という彼の足音が、子爵の耳には死の宣告のように聞こえただろう。
「ひ、ひぃぃっ!来るな!化け物め!」
バッカス子爵は、情けなく悲鳴を上げながら、尻餅をついたまま後ずさった。その姿は、先ほどまでの尊大な徴税官の威厳など、見る影もなかった。
ギルバートは、彼の目の前で足を止めると、血一滴ついていない剣の切っ先を、その喉元にぴたりと突きつけた。
「……さて。子爵殿」
彼の声は、絶対零度の氷のように冷たかった。
「もう一度、お聞きしよう。貴殿は、このエデンに何を求めて来られたのかな?」
「も、申し訳ありませんでした!わ、私はただ、国王陛下の命令で……!」
「言い訳は聞かぬ」
ギルバートの声が、さらに温度を下げた。
「その汚らわしい舌で、二度とアリシア様の名を呼ぶな。その濁った目で、二度とエデンの民を見るな。そして、その矮小な魂で、二度とこの聖なる地の土を踏むな」
それは、宣告だった。
「命までは取らん。だが、その代わりに、今日のことを骨の髄まで刻み込んで帰るがいい。このエデンは、クローデル王国が手を出して良い場所ではない。そして、女王アリシア様は、貴様のような小役人が気安く口にして良いお方ではない、と」
彼はそう言うと、剣を鞘に収めた。
「……消えろ。二度と、我々の前に姿を現すな」
バッカス子爵は、許されたと分かると、這うようにしてその場から逃げ出した。倒れていた兵士たちも、互いに肩を貸し合いながら、ほうほうの体で馬へと駆け寄り、我先にと南の方角へ逃げ去っていく。
彼らが去った後には、いくつかの武器と、そして彼らが落としていった王国の旗だけが、惨めに残されていた。
エデンの民から、わっと歓声が上がった。
「ギルバート様、万歳!」
「すげえ!一人で、王国軍を追い返しちまった!」
皆が、英雄の帰還を祝うかのように、ギルバートの周りに集まろうとした。
しかし、彼はその賞賛には目もくれず、ただまっすぐに私の元へと歩み寄った。そして、私の前に立つと、深く頭を下げた。
「アリシア様。お見苦しいところをお見せいたしました。ですが、貴女様の御前で、血を流すわけにはいきませんでしたので」
その声は、いつもの穏やかな忠臣のものに戻っていた。
私は、彼の圧倒的な強さと、私への深い忠誠心に、胸がいっぱいになった。
「いいえ。あなたは、エデンを守ってくれました。ありがとう、ギルバート」
私が心からの感謝を伝えると、彼の厳しい表情が、ほんの少しだけ和らいだ。
最初の衝突は、私たちの完全な勝利で終わった。
しかし、私たちは知っていた。これは、終わりではない。始まりに過ぎないのだと。
今日の出来事は、必ずやクローデル王国に伝わるだろう。そして、王国は、このエデンを明確な「敵」として認識するに違いない。
私たちの平和な楽園は、否応なく、国家間の争いという大きな渦の中へと巻き込まれていく。
その予感が、勝利の喜びに沸くエデンの空に、小さな影を落としていた。
「な、何を突っ立っている!かかれ!あの男を斬り殺せ!」
バッカス子爵が、ヒステリックに叫んだ。しかし、兵士たちは動けなかった。彼らの多くは、かつて王国騎士団に所属していた者たちだ。目の前に立つ男が誰なのか、その実力がどれほどのものか、嫌というほど知っている。
『王国最強の剣』ギルバート・アークライト。
彼に剣を向けるということは、自ら死ににいくのと同義だ。その恐怖が、兵士たちの足を縫い付けていた。
「臆するな!相手はたった一人だ!それに、奴はもはや国を裏切った反逆者にすぎん!」
バッカス子爵の怒声に、兵士の一人が意を決したように雄叫びを上げた。
「うおおおっ!」
彼は、恐怖を振り払うかのようにギルバートへと斬りかかった。その動きに呼応し、他の兵士たちも次々と剣を構えて突撃する。
その光景を見ていた私は、思わず息を呑んだ。しかし、ギルバートは、迫り来る剣の嵐を前にして、静かに目を閉じた。
次の瞬間、彼の姿が掻き消えた。
いや、消えたのではない。常人には捉えきれないほどの速度で、動いたのだ。
最初に斬りかかってきた兵士の剣を、最小限の動きで受け流す。兵士は体勢を崩し、無防備な脇腹を晒した。ギルバートの剣の柄が、そこに的確に叩き込まれる。
「ぐっ……!」
兵士は短い呻き声を上げ、地面に崩れ落ちた。
ギルバートは、決して刃を使わなかった。剣の腹で相手の武器を弾き、柄で急所を打ち、時には足払いで転倒させる。その動きは、まるで流れる水のように滑らかで、一切の無駄がない。兵士たちの攻撃は、誰一人として彼の衣の裾を掠めることすらできなかった。
それは、もはや戦闘ではなく、熟練の剣士が素人たちを指導する演武のようだった。
「な……」
「嘘だろ……」
兵士たちは、次々と戦闘能力を奪われ、地面に転がっていく。彼らの顔には、痛みよりも、理解を超えた現象を目の当たりにしたかのような、純粋な驚愕の色が浮かんでいた。
ほんの数十秒。
瞬きをする間に、全ての兵士が地面に倒れ伏していた。誰一人として命を落とした者はいなかったが、立ち上がれる者もまた、一人もいなかった。
谷間には、再び静寂が訪れた。
エデンの民は、皆、呆然とその光景を見つめている。ギルバートの強さを知ってはいたが、これほどまでとは。その圧倒的な実力は、味方でさえも畏怖させるほどのものだった。
その場に立っているのは、ギルバートと、そして腰を抜かしてへたり込んでいるバッカス子爵だけだった。
ギルバートは、倒れた兵士たちを一瞥すると、ゆっくりとバッカス子爵へと歩み寄った。カツ、カツ、という彼の足音が、子爵の耳には死の宣告のように聞こえただろう。
「ひ、ひぃぃっ!来るな!化け物め!」
バッカス子爵は、情けなく悲鳴を上げながら、尻餅をついたまま後ずさった。その姿は、先ほどまでの尊大な徴税官の威厳など、見る影もなかった。
ギルバートは、彼の目の前で足を止めると、血一滴ついていない剣の切っ先を、その喉元にぴたりと突きつけた。
「……さて。子爵殿」
彼の声は、絶対零度の氷のように冷たかった。
「もう一度、お聞きしよう。貴殿は、このエデンに何を求めて来られたのかな?」
「も、申し訳ありませんでした!わ、私はただ、国王陛下の命令で……!」
「言い訳は聞かぬ」
ギルバートの声が、さらに温度を下げた。
「その汚らわしい舌で、二度とアリシア様の名を呼ぶな。その濁った目で、二度とエデンの民を見るな。そして、その矮小な魂で、二度とこの聖なる地の土を踏むな」
それは、宣告だった。
「命までは取らん。だが、その代わりに、今日のことを骨の髄まで刻み込んで帰るがいい。このエデンは、クローデル王国が手を出して良い場所ではない。そして、女王アリシア様は、貴様のような小役人が気安く口にして良いお方ではない、と」
彼はそう言うと、剣を鞘に収めた。
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「ギルバート様、万歳!」
「すげえ!一人で、王国軍を追い返しちまった!」
皆が、英雄の帰還を祝うかのように、ギルバートの周りに集まろうとした。
しかし、彼はその賞賛には目もくれず、ただまっすぐに私の元へと歩み寄った。そして、私の前に立つと、深く頭を下げた。
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