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第93話 届いた光
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ミストラル村からの温かい祈りの光。それは俺の絶望に沈みかけていた魂を、優しく、しかし力強く引き上げてくれた。
特にエリアナの祈りは他とは比べ物にならないほど純粋で強大だった。それはまだ蕾の状態ではあるが、聖女セシリアにも匹敵するほどの『星の器』としての巫女の力の片鱗。
その光が俺の魂の奥底で枯渇しかけていた創生の力と共鳴を始めた。
『……ルーク』
セシリアの声が再び響く。
『彼女の祈りが道を開きました。今ならできます。あなたと私、そしてあの村の巫女。三つの光を一つに束ねれば、奇跡を起こせます』
(三つの光……?)
『ええ。あなたの『創生』の力。私の『聖なる』力。そして彼女の『祈り』の力。その全てを今、この場に集めるのです!』
セシリアの言葉はもはやただの通信ではなかった。それは俺の魂を導き、その力を最大限に引き出すための祝詞となっていた。
俺の体の中で何かが変わっていく。ミストラル村からの祈りの光が俺の魂を回路として、聖女セシリアの聖なる力と結びついていく。三つの異なる源流から発せられた光が、俺という存在の中心で一つの巨大な渦となり始めた。
「……う……おおおおっ……!」
俺の体から再び光が溢れ出した。
それはマハトと戦った時の燃えるような黄金のオーラとは違う。もっと穏やかで清らかで、そしてどこまでも温かい純白の光。
「ルーク!?」
仲間たちが驚愕の声を上げる。彼らには俺の身に何が起きているのか理解できなかった。だが、その光が絶望的な状況を覆す最後の希望の光であることだけは感じ取っていた。
俺の隣でノエルが信じられないといった顔で呟いた。
「……なんだい、これは……。彼のポーションから感じていた、あの『祈りの味』。その正体はこれだったのか……。彼の力はただの生命エネルギーじゃない。人々の想いを、祈りを、力に変換する触媒だったんだ……!」
その通りだった。
俺の作る創生水がなぜ泥の味がするのか。なぜ俺にしか作れないのか。その全ての答えが今、ここに示されようとしていた。
俺の力は俺個人の力ではない。俺を信じ慕ってくれる全ての人々の想いが、俺というフィルターを通して具現化したもの。だからその味には人々の営みの象徴である大地の味がしたのだ。
純白の光はますますその輝きを増していく。
俺はゆっくりと立ち上がった。全身を苛んでいた痛みは完全に消え去っていた。体の中には静かで、しかし無限とも思えるほどの力が満ち溢れている。
邪神は俺の変化に気づいたようだった。その虚無の瞳が初めて俺という存在を、明確な『敵』として認識した。
「グルオオオオオ……!」
邪神は王都への攻撃を中断し、その巨大な顎を俺に向けて開いた。その喉の奥で世界を無に帰すほどの闇のブレスが渦を巻き始める。
絶望的な破壊の力が俺一人に集中する。
だが、今の俺に恐怖はなかった。
俺は静かに手を前にかざした。そして、俺の、俺たちの全ての力をその一点に集約させていく。
俺の手のひらに小さな光の点が生まれた。
それは最初は蛍ほどのか細い光だった。だが、ミストラルの祈りを、セシリアの祈りを、そしてこの場で俺の無事を祈る仲間たちの想いを次々と吸い上げてその輝きを増していく。
光は凝縮され、収束し、やがて一つの形を取り始めた。
それは一滴の雫の形をしていた。
黄金色に輝く聖水。
いや、もはやそれは聖水という言葉ですら表現しきれない。
全ての希望と全ての祈りが結晶化した、奇跡そのもの。
俺は、その黄金の雫を手のひらでそっと包み込んだ。
邪神の闇のブレスが放たれようとしていた。
世界が終わる。
その刹那。
俺は黄金の雫を邪神に向かって、ただ静かに解き放った。
特にエリアナの祈りは他とは比べ物にならないほど純粋で強大だった。それはまだ蕾の状態ではあるが、聖女セシリアにも匹敵するほどの『星の器』としての巫女の力の片鱗。
その光が俺の魂の奥底で枯渇しかけていた創生の力と共鳴を始めた。
『……ルーク』
セシリアの声が再び響く。
『彼女の祈りが道を開きました。今ならできます。あなたと私、そしてあの村の巫女。三つの光を一つに束ねれば、奇跡を起こせます』
(三つの光……?)
『ええ。あなたの『創生』の力。私の『聖なる』力。そして彼女の『祈り』の力。その全てを今、この場に集めるのです!』
セシリアの言葉はもはやただの通信ではなかった。それは俺の魂を導き、その力を最大限に引き出すための祝詞となっていた。
俺の体の中で何かが変わっていく。ミストラル村からの祈りの光が俺の魂を回路として、聖女セシリアの聖なる力と結びついていく。三つの異なる源流から発せられた光が、俺という存在の中心で一つの巨大な渦となり始めた。
「……う……おおおおっ……!」
俺の体から再び光が溢れ出した。
それはマハトと戦った時の燃えるような黄金のオーラとは違う。もっと穏やかで清らかで、そしてどこまでも温かい純白の光。
「ルーク!?」
仲間たちが驚愕の声を上げる。彼らには俺の身に何が起きているのか理解できなかった。だが、その光が絶望的な状況を覆す最後の希望の光であることだけは感じ取っていた。
俺の隣でノエルが信じられないといった顔で呟いた。
「……なんだい、これは……。彼のポーションから感じていた、あの『祈りの味』。その正体はこれだったのか……。彼の力はただの生命エネルギーじゃない。人々の想いを、祈りを、力に変換する触媒だったんだ……!」
その通りだった。
俺の作る創生水がなぜ泥の味がするのか。なぜ俺にしか作れないのか。その全ての答えが今、ここに示されようとしていた。
俺の力は俺個人の力ではない。俺を信じ慕ってくれる全ての人々の想いが、俺というフィルターを通して具現化したもの。だからその味には人々の営みの象徴である大地の味がしたのだ。
純白の光はますますその輝きを増していく。
俺はゆっくりと立ち上がった。全身を苛んでいた痛みは完全に消え去っていた。体の中には静かで、しかし無限とも思えるほどの力が満ち溢れている。
邪神は俺の変化に気づいたようだった。その虚無の瞳が初めて俺という存在を、明確な『敵』として認識した。
「グルオオオオオ……!」
邪神は王都への攻撃を中断し、その巨大な顎を俺に向けて開いた。その喉の奥で世界を無に帰すほどの闇のブレスが渦を巻き始める。
絶望的な破壊の力が俺一人に集中する。
だが、今の俺に恐怖はなかった。
俺は静かに手を前にかざした。そして、俺の、俺たちの全ての力をその一点に集約させていく。
俺の手のひらに小さな光の点が生まれた。
それは最初は蛍ほどのか細い光だった。だが、ミストラルの祈りを、セシリアの祈りを、そしてこの場で俺の無事を祈る仲間たちの想いを次々と吸い上げてその輝きを増していく。
光は凝縮され、収束し、やがて一つの形を取り始めた。
それは一滴の雫の形をしていた。
黄金色に輝く聖水。
いや、もはやそれは聖水という言葉ですら表現しきれない。
全ての希望と全ての祈りが結晶化した、奇跡そのもの。
俺は、その黄金の雫を手のひらでそっと包み込んだ。
邪神の闇のブレスが放たれようとしていた。
世界が終わる。
その刹那。
俺は黄金の雫を邪神に向かって、ただ静かに解き放った。
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