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第24話:工房の稼働と、ジンからの第一報
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ダンジョン内に設置された簡易工房は、予想以上の効果を発揮し始めていた。
最初は、コアが用意したマニュアル(絵文字だらけの超簡易版)を見ながら、恐る恐る溶解炉や金床(かなとこ)に触れていたゴブジだったが、彼の隠れた才能――手先の器用さと、新しいことを学ぶ吸収力――がここで開花した。
ジンから盗賊の技を学ぶ合間に、工房で黙々と作業を続け、数日後には、驚くべきことに、集めた鉄鉱石の欠片から、粗末ながらも実用的な「鉄の矢じり」や「補強用の鉄板」を作り出せるようになっていたのだ。
「ほう…これは大したものだな、ゴブジ。」
俺が、彼が作り上げた鉄の矢じり(まだ形は歪だが、鋭さは十分にある)を手に取って感心すると、ゴブジは照れたように、しかし誇らしげに胸を張った。
「ヒヒ…ジン先生の教えが、いいから…」
どうやら、ジンの悪態混じりの指導が、意外な形で彼の職人魂(?)に火をつけたらしい。
さらに、ゴブジはスケルトンの硬い骨を削り出し、鋭利な「骨のダガー」や「骨の槍先」を作り始めた。これらは、鉄製のものよりは脆いが、錆びないという利点があり、スケルトン兵自身の武装強化にも繋がる。
低品質魔石も、コアの指導の下、粉末状に加工され、松明の代わりとなる「微光石」や、回復泉の効果をわずかに高めるための添加剤として利用されるようになった。ゴミ同然だった素材が、次々と価値あるリソースへと生まれ変わっていく。
「素晴らしい…! これぞ内部リソース循環だ!」
俺は、工房で黙々と作業するゴブジの姿と、保管庫に積み上げられていく加工済み素材のリストをダッシュボードで確認し、満足気に頷いた。DPを消費せずに戦力を強化できるこのシステムは、今後のダンジョン運営において大きな武器となるだろう。ゴブゾウによる素材収集・運搬、ゴブジによる加工、そしてゴブキチ率いる部隊による運用。それぞれの役割が噛み合い、効率的なサイクルが回り始めている。
ゴブキチの訓練も、多少の波はあるものの、着実に進んでいた。スケルトン部隊との連携は向上し、複雑な指示にも対応できるようになってきた。コアによるペナルティ電撃の回数も、明らかに減ってきている。リナによる文字・数字の授業も、遅々としてではあるが、ゴブキチとゴブジは自分の名前くらいは書けるようになったようだ。(ゴブゾウは相変わらずだが…)
ミスリル銀と魔力水晶の採掘も順調で、保管庫には相当量の高価値資源が蓄積されつつあった。DPも、安定した防衛と自然回復により、850DPまで回復。目標の1500DPにはまだ遠いが、地下二階層着工への期待感は高まっていた。
そして、ジンがフロンティアへ出発してから、ちょうど一週間が経過した日のことだった。
コア安置室で、俺が次の罠コンボのアイデア(ジンが提案した『回転床+壁プレス』)を練っていると、コアが警告を発した。
『マスター! ジンから定時連絡です! 暗号通信を受信しました!』
ついに来たか!
俺は、他の作業を中断し、コアに通信内容の解読と表示を命じた。
『解読完了。内容は以下の通りです。
「マスターへ。こちらジン。ガルバス会長への接触に成功した。予想外にすんなり会えたぜ。どうやら、娘(ミリア)の失踪で半狂乱になってたところに、俺の持ってきた『娘は無事』という情報が、唯一の希望になったらしい。メッセージは渡した。会長の返答は…『取引に応じる。娘の安全が最優先だ。ただし、お前たちの素性と目的を明確にしろ。信用できる相手か、こちらでも判断させてもらう必要がある』とのことだ。次の指示をくれ。なお、町の様子を探った限り、娘の失踪は公にはなっていないようだ。内密に捜索しているらしい。以上」
』
「…接触成功! 取引に応じる、か!」
俺は思わず拳を握った。第一関門突破だ。ジンも、思った以上にうまくやってくれたようだ。会長が半狂乱だった、というのも幸いしたのかもしれない。
(だが、問題は次だ。「素性と目的を明確にしろ」「信用できる相手か判断する」…当然の要求だが、どう応える?)
ダンジョンマスターであること、ミリアを保護した経緯(森で偶然見つけた、という嘘)、そして取引の内容(安全な返還と引き換えに、ガルバス商会との交易ルートを確立したいこと)。これらを、どこまで、どのように伝えるべきか。
下手に素性を明かせば、危険視され、王国やギルドに通報されるリスクがある。かといって、情報を隠しすぎれば、信用されずに交渉決裂となる可能性もある。
(難しい駆け引きだな…)
俺は、リナとジン(本体はダンジョン内にいる)を呼び出し、状況を共有し、意見を求めた。
「…会長の気持ち、分かる気がするわ。自分の娘が誘拐されたかもしれない状況で、正体不明の相手から『取引』なんて持ちかけられたら、疑心暗鬼になるのも当然よ。まずは、ミリアちゃんが無事であることを証明するのが先じゃないかしら? 例えば、彼女の身に着けていたものの一部を送るとか…」
リナが、母親のような(?)視点で提案する。
「ふん、甘ぇな、姉ちゃん。そんなんじゃ、まだ信用されねえよ。相手は大商人だぜ? こっちがどれだけの『力』を持っているか、そして、敵に回すとどれだけ面倒なことになるか、暗に示してやる必要もあるんじゃねえか?」
ジンが、裏社会の住人らしい視点で反論する。
「力を見せつける…か。だが、それは相手を脅しているのと同じだ。逆効果になる可能性もある。」
俺は、二人の意見を聞きながら、最適解を模索する。
(リナの言う通り、まずは安心させることが重要だ。だが、ジンの言う通り、舐められてもいけない。安心と、ある程度の『畏敬』。その両方を、同時に与える必要がある…)
「よし、方針は決まった。コア、ジンへの返信を作成しろ。」
俺は、コアに指示を出し、返信内容を口述し始めた。
『ジンへ。よくやった。次の指示だ。
1. ミリア嬢が無事である証拠として、彼女が身に着けていた髪飾り(俺が事前に預かっていたもの)を会長に渡せ。その際、「娘さんの髪飾りです。我々は、彼女の持ち物には一切手をつけておりません」と伝えろ。紳士的な対応をアピールする。
2. 我々の素性については、「我々は、辺境の地で独自の『力』を持つ、中立的な組織である」とだけ伝えろ。ダンジョンのことは伏せろ。「ミリア嬢は、森で危険な目に遭っていたところを、我々が偶然保護した。身代金目的ではない。我々は、ガルバス商会との間に、友好的かつ互恵的な関係を築きたいと願っている」と強調しろ。
3. 取引の内容については、「まずは、ミリア嬢の安全な返還が最優先。その上で、我々が持つ『貴重な資源』(ミスリルや魔力水晶のことだ)の安定供給と引き換えに、ガルバス商会との長期的な交易パートナーシップを結びたい」と提案しろ。資源のサンプルとして、加工前の小さなミスリル銀の欠片を一つ渡せ。相手に我々の持つポテンシャルを匂わせる。
4. 会長がこれらの条件に同意するか、あるいは更なる情報を求めてくるか、返答を持ち帰れ。決して、こちらから譲歩したり、焦ったりするな。あくまで対等な立場での交渉を心がけろ。
5. 万が一、交渉が決裂し、危険を感じた場合は、すぐに連絡し、身の安全を最優先に行動しろ。脱出用の転移アイテム(緊急用・使い捨て)も用意しておく。
以上だ。健闘を祈る。』
「…どうだ? これで。」
俺は、リナとジンに意見を求めた。
「…なるほど。安心させつつ、こちらの持つ力(資源)をチラつかせ、対等な交渉に持ち込む…悪くないんじゃないかしら。」リナが頷く。
「ふん、まあ、落とし所としてはそんなもんか。相手の出方次第だが、これでボールは向こうに渡ったわけだ。」ジンも、一応納得したようだ。
「よし、コア、この内容でジンに送信しろ。転移アイテムも、すぐに彼の元へ転送しておけ。」
『承知いたしました。メッセージ送信、及びアイテム転送を実行します。』
これで、再びボールはジンと、そしてガルバス会長へと渡った。彼らの次のアクションを待つしかない。
だが、俺はこの待機時間を無駄にするつもりはなかった。
ミスリル銀という「交渉カード」の価値を、さらに高める必要がある。
「コア、工房の設備を強化する。ミスリル銀をインゴットに精錬するための、より高温に対応した溶解炉と、鋳型(いがた)が必要だ。コストは?」
『ミスリル対応溶解炉、及びインゴット用鋳型の設置ですね。合わせて150DPが必要です。』
「よし、設置しろ。ゴブジには、精錬技術も習得させる。マニュアルを用意してくれ。」
『了解しました。工房設備の強化、及びゴブジへの新規タスク付与を実行します。』
DPは、これで850 - 150 = 700DPとなった。
ガルバス商会との交渉がまとまれば、精錬済みのミスリルインゴットは、原石よりも遥かに高値で取引できるはずだ。先行投資として、十分に価値はあるだろう。
俺は、ダッシュボードの「ガルバス商会交渉ログ」に進捗を記録しながら、工房で新たな設備の設置と、ゴブジの奮闘(今度は金属精錬だ!)が始まるのを見守った。
外部との接触は、常にリスクと隣り合わせだ。だが、それを乗り越えた先には、大きなリターンが待っている。
俺のホワイトダンジョン計画は、今、内部の最適化だけでなく、外部世界との接続という、新たなステージへと足を踏み入れようとしていた。
ジンからの次の連絡が、吉報となることを祈りつつ。そして、その吉報がもたらすであろう、新たな展開に備えながら。ダンジョンマスターとしての俺の仕事は、ますます複雑化し、そして面白くなっていくのだった。
最初は、コアが用意したマニュアル(絵文字だらけの超簡易版)を見ながら、恐る恐る溶解炉や金床(かなとこ)に触れていたゴブジだったが、彼の隠れた才能――手先の器用さと、新しいことを学ぶ吸収力――がここで開花した。
ジンから盗賊の技を学ぶ合間に、工房で黙々と作業を続け、数日後には、驚くべきことに、集めた鉄鉱石の欠片から、粗末ながらも実用的な「鉄の矢じり」や「補強用の鉄板」を作り出せるようになっていたのだ。
「ほう…これは大したものだな、ゴブジ。」
俺が、彼が作り上げた鉄の矢じり(まだ形は歪だが、鋭さは十分にある)を手に取って感心すると、ゴブジは照れたように、しかし誇らしげに胸を張った。
「ヒヒ…ジン先生の教えが、いいから…」
どうやら、ジンの悪態混じりの指導が、意外な形で彼の職人魂(?)に火をつけたらしい。
さらに、ゴブジはスケルトンの硬い骨を削り出し、鋭利な「骨のダガー」や「骨の槍先」を作り始めた。これらは、鉄製のものよりは脆いが、錆びないという利点があり、スケルトン兵自身の武装強化にも繋がる。
低品質魔石も、コアの指導の下、粉末状に加工され、松明の代わりとなる「微光石」や、回復泉の効果をわずかに高めるための添加剤として利用されるようになった。ゴミ同然だった素材が、次々と価値あるリソースへと生まれ変わっていく。
「素晴らしい…! これぞ内部リソース循環だ!」
俺は、工房で黙々と作業するゴブジの姿と、保管庫に積み上げられていく加工済み素材のリストをダッシュボードで確認し、満足気に頷いた。DPを消費せずに戦力を強化できるこのシステムは、今後のダンジョン運営において大きな武器となるだろう。ゴブゾウによる素材収集・運搬、ゴブジによる加工、そしてゴブキチ率いる部隊による運用。それぞれの役割が噛み合い、効率的なサイクルが回り始めている。
ゴブキチの訓練も、多少の波はあるものの、着実に進んでいた。スケルトン部隊との連携は向上し、複雑な指示にも対応できるようになってきた。コアによるペナルティ電撃の回数も、明らかに減ってきている。リナによる文字・数字の授業も、遅々としてではあるが、ゴブキチとゴブジは自分の名前くらいは書けるようになったようだ。(ゴブゾウは相変わらずだが…)
ミスリル銀と魔力水晶の採掘も順調で、保管庫には相当量の高価値資源が蓄積されつつあった。DPも、安定した防衛と自然回復により、850DPまで回復。目標の1500DPにはまだ遠いが、地下二階層着工への期待感は高まっていた。
そして、ジンがフロンティアへ出発してから、ちょうど一週間が経過した日のことだった。
コア安置室で、俺が次の罠コンボのアイデア(ジンが提案した『回転床+壁プレス』)を練っていると、コアが警告を発した。
『マスター! ジンから定時連絡です! 暗号通信を受信しました!』
ついに来たか!
俺は、他の作業を中断し、コアに通信内容の解読と表示を命じた。
『解読完了。内容は以下の通りです。
「マスターへ。こちらジン。ガルバス会長への接触に成功した。予想外にすんなり会えたぜ。どうやら、娘(ミリア)の失踪で半狂乱になってたところに、俺の持ってきた『娘は無事』という情報が、唯一の希望になったらしい。メッセージは渡した。会長の返答は…『取引に応じる。娘の安全が最優先だ。ただし、お前たちの素性と目的を明確にしろ。信用できる相手か、こちらでも判断させてもらう必要がある』とのことだ。次の指示をくれ。なお、町の様子を探った限り、娘の失踪は公にはなっていないようだ。内密に捜索しているらしい。以上」
』
「…接触成功! 取引に応じる、か!」
俺は思わず拳を握った。第一関門突破だ。ジンも、思った以上にうまくやってくれたようだ。会長が半狂乱だった、というのも幸いしたのかもしれない。
(だが、問題は次だ。「素性と目的を明確にしろ」「信用できる相手か判断する」…当然の要求だが、どう応える?)
ダンジョンマスターであること、ミリアを保護した経緯(森で偶然見つけた、という嘘)、そして取引の内容(安全な返還と引き換えに、ガルバス商会との交易ルートを確立したいこと)。これらを、どこまで、どのように伝えるべきか。
下手に素性を明かせば、危険視され、王国やギルドに通報されるリスクがある。かといって、情報を隠しすぎれば、信用されずに交渉決裂となる可能性もある。
(難しい駆け引きだな…)
俺は、リナとジン(本体はダンジョン内にいる)を呼び出し、状況を共有し、意見を求めた。
「…会長の気持ち、分かる気がするわ。自分の娘が誘拐されたかもしれない状況で、正体不明の相手から『取引』なんて持ちかけられたら、疑心暗鬼になるのも当然よ。まずは、ミリアちゃんが無事であることを証明するのが先じゃないかしら? 例えば、彼女の身に着けていたものの一部を送るとか…」
リナが、母親のような(?)視点で提案する。
「ふん、甘ぇな、姉ちゃん。そんなんじゃ、まだ信用されねえよ。相手は大商人だぜ? こっちがどれだけの『力』を持っているか、そして、敵に回すとどれだけ面倒なことになるか、暗に示してやる必要もあるんじゃねえか?」
ジンが、裏社会の住人らしい視点で反論する。
「力を見せつける…か。だが、それは相手を脅しているのと同じだ。逆効果になる可能性もある。」
俺は、二人の意見を聞きながら、最適解を模索する。
(リナの言う通り、まずは安心させることが重要だ。だが、ジンの言う通り、舐められてもいけない。安心と、ある程度の『畏敬』。その両方を、同時に与える必要がある…)
「よし、方針は決まった。コア、ジンへの返信を作成しろ。」
俺は、コアに指示を出し、返信内容を口述し始めた。
『ジンへ。よくやった。次の指示だ。
1. ミリア嬢が無事である証拠として、彼女が身に着けていた髪飾り(俺が事前に預かっていたもの)を会長に渡せ。その際、「娘さんの髪飾りです。我々は、彼女の持ち物には一切手をつけておりません」と伝えろ。紳士的な対応をアピールする。
2. 我々の素性については、「我々は、辺境の地で独自の『力』を持つ、中立的な組織である」とだけ伝えろ。ダンジョンのことは伏せろ。「ミリア嬢は、森で危険な目に遭っていたところを、我々が偶然保護した。身代金目的ではない。我々は、ガルバス商会との間に、友好的かつ互恵的な関係を築きたいと願っている」と強調しろ。
3. 取引の内容については、「まずは、ミリア嬢の安全な返還が最優先。その上で、我々が持つ『貴重な資源』(ミスリルや魔力水晶のことだ)の安定供給と引き換えに、ガルバス商会との長期的な交易パートナーシップを結びたい」と提案しろ。資源のサンプルとして、加工前の小さなミスリル銀の欠片を一つ渡せ。相手に我々の持つポテンシャルを匂わせる。
4. 会長がこれらの条件に同意するか、あるいは更なる情報を求めてくるか、返答を持ち帰れ。決して、こちらから譲歩したり、焦ったりするな。あくまで対等な立場での交渉を心がけろ。
5. 万が一、交渉が決裂し、危険を感じた場合は、すぐに連絡し、身の安全を最優先に行動しろ。脱出用の転移アイテム(緊急用・使い捨て)も用意しておく。
以上だ。健闘を祈る。』
「…どうだ? これで。」
俺は、リナとジンに意見を求めた。
「…なるほど。安心させつつ、こちらの持つ力(資源)をチラつかせ、対等な交渉に持ち込む…悪くないんじゃないかしら。」リナが頷く。
「ふん、まあ、落とし所としてはそんなもんか。相手の出方次第だが、これでボールは向こうに渡ったわけだ。」ジンも、一応納得したようだ。
「よし、コア、この内容でジンに送信しろ。転移アイテムも、すぐに彼の元へ転送しておけ。」
『承知いたしました。メッセージ送信、及びアイテム転送を実行します。』
これで、再びボールはジンと、そしてガルバス会長へと渡った。彼らの次のアクションを待つしかない。
だが、俺はこの待機時間を無駄にするつもりはなかった。
ミスリル銀という「交渉カード」の価値を、さらに高める必要がある。
「コア、工房の設備を強化する。ミスリル銀をインゴットに精錬するための、より高温に対応した溶解炉と、鋳型(いがた)が必要だ。コストは?」
『ミスリル対応溶解炉、及びインゴット用鋳型の設置ですね。合わせて150DPが必要です。』
「よし、設置しろ。ゴブジには、精錬技術も習得させる。マニュアルを用意してくれ。」
『了解しました。工房設備の強化、及びゴブジへの新規タスク付与を実行します。』
DPは、これで850 - 150 = 700DPとなった。
ガルバス商会との交渉がまとまれば、精錬済みのミスリルインゴットは、原石よりも遥かに高値で取引できるはずだ。先行投資として、十分に価値はあるだろう。
俺は、ダッシュボードの「ガルバス商会交渉ログ」に進捗を記録しながら、工房で新たな設備の設置と、ゴブジの奮闘(今度は金属精錬だ!)が始まるのを見守った。
外部との接触は、常にリスクと隣り合わせだ。だが、それを乗り越えた先には、大きなリターンが待っている。
俺のホワイトダンジョン計画は、今、内部の最適化だけでなく、外部世界との接続という、新たなステージへと足を踏み入れようとしていた。
ジンからの次の連絡が、吉報となることを祈りつつ。そして、その吉報がもたらすであろう、新たな展開に備えながら。ダンジョンマスターとしての俺の仕事は、ますます複雑化し、そして面白くなっていくのだった。
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さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
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