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第57話:忘れられた神殿へ
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カルト教団「深淵を覗く者たち」の真の目的――王都地下に眠る「歪みの源流」の封印解除――を知った俺たちは、彼らの計画を阻止するため、次なる目的地を「忘れられた神殿」に定めた。研究日誌によれば、その神殿には封印を制御する「鍵」が隠されているという。教団よりも先にそれを確保、あるいは無力化しなければならない。
忘れられた神殿は、王都グランフォールから北へ数日ほどの距離にある、険しい山岳地帯の奥深くに位置する古代遺跡だ。ギルドの情報や、王子を通じて得た王宮の記録によれば、かつては天空に近い場所に建てられた壮麗な神殿だったが、地殻変動か、あるいは古代の「何か」によって、その大部分が山中に埋没し、現在では一部の入り口と、地下に広がる広大な遺構だけが残されているという。内部は複雑な構造で、強力な古代の罠や守護者(ゴーレムや、未知の魔物)が生息しており、未踏破エリアも多い危険な場所とされている。以前シャロンが言っていたように、「時空結晶」のような希少な鉱物が産出するという噂もあるが、その危険性から、ギルドも積極的な調査を控えている状況だった。
「まさに、カルト教団が秘密裏に活動するには、うってつけの場所というわけね」
セーフハウスで作戦会議を開きながら、シャロンは神殿の地図(これも彼女がどこからか入手したものだ)を広げて言った。「警備も手薄だろうし、内部の構造を知る者も少ない。彼らが制御装置の場所にたどり着くのも、時間の問題かもしれないわ」
「ならば、我々も急がねばならんな」クラウスが、決意を込めて言う。「だが、準備は万全か? 地下道での戦いでは、我々は連携によって勝利できたが、神殿の守護者はさらに強力かもしれん」
「そこは、抜かりありませんよ」俺は自信を持って答える。「この数日間で、リリアさんが対遺跡・対ゴーレム用の装備をいくつか開発してくれましたから」
俺の言葉を受け、リリアが目を輝かせながら、テーブルの上にいくつかの新しい魔道具を並べて見せた。
「じゃじゃーん! まずはこれ! 『ゴーレム・スレイヤー・ボルト』!」
彼女が取り出したのは、特殊な金属で作られた、弩(クロスボウ)用の矢のようなものだ。先端には、青白い光を放つ小さな魔石が埋め込まれている。
『対象:ゴーレム・スレイヤー・ボルト(試作品)
分類:魔道具>弾薬(対ゴーレム用)
状態:正常
効果:着弾時に内部の魔石が起動し、高周波の魔力振動を発生させる。ゴーレムの装甲や内部回路にダメージを与え、特に接合部や制御系に効果が高い。使い捨て。
備考:リリア・クローバー開発。対ゴーレム戦を想定。ユズルの【デバッガー】情報(ゴーレムの弱点・バグ)を参考に設計。』
「ユズルさんの情報にあった、ゴーレムの関節部とか、制御系のバグを突くための専用弾だよ! これをクラウスさんのクロスボウ(これも私が改良した特別製!)で撃ち込めば、硬い装甲のゴーレムだって、イチコロ……のはず!」
「ほう、これは頼もしいな」クラウスは、ボルトを手に取り、感心したように眺めている。
「それから、これ! 『アンチ・マジック・フィールド発生器(小型)』!」
リリアが次に取り出したのは、手のひらサイズの金属製の円盤だ。
『対象:アンチ・マジック・フィールド発生器(小型・試作品)
分類:魔道具>防御・妨害用
状態:正常(連続稼働時間に制限あり)
効果:半径数メートル程度の範囲に、一時的に魔法効果を減衰・無効化するフィールドを展開する。古代の罠(魔法系)や、敵の魔法攻撃に対する防御に有効。エネルギー消費大。
備考:リリア・クローバー開発。王宮の技術情報を参考に小型化・改良。エネルギー効率と持続時間に課題あり。』
「遺跡の魔法罠とか、敵の魔法使い対策だよ! 完全には防げないかもしれないけど、あるとないとじゃ大違いだと思うんだ!」
「そして、これが私の自信作! 『マルチ・センサー・ゴーグル』!」
最後にリリアが取り出したのは、大きなレンズが付いた、少しゴツいデザインのゴーグルだった。
『対象:マルチ・センサー・ゴーグル(試作品)
分類:魔道具>探索・分析用
状態:正常
機能:暗視機能、熱源感知、魔力流可視化、構造解析(限定的)、通信機能(短距離)
備考:リリア・クローバー開発。複数のセンサー機能を集約した多機能ゴーグル。ユズルの【デバッガー】能力を補助し、情報共有を円滑化することを目的とする。バッテリー持続時間と情報処理能力に限界あり。』
「これをつければ、暗い遺跡の中でもよく見えるし、熱源や魔力の流れも分かるんだ! それに、ユズルさんが見つけた『バグ情報』とかを、このゴーグルを通じて、みんなにリアルタイムで表示できたらいいなって思って!」
(……すごい。短期間でこれだけのものを……)
俺は、リリアの才能と開発力に改めて舌を巻いた。彼女の存在は、俺たちのパーティーの戦力を、飛躍的に向上させてくれている。特に、マルチ・センサー・ゴーグルは、俺の【デバッガー】能力をパーティー全体で共有するための、画期的なインターフェースとなり得る可能性を秘めている。
「リリアさん、素晴らしいです! これなら、神殿の攻略も……!」
「まあ、どれもまだ試作品だから、実際に使ってみないと分からないけどね」リリアは、少し照れたように笑う。「でも、みんなの役に立てるように、頑張って作ったんだ!」
「君の力は、我々にとって不可欠だ、リリア嬢」クラウスが、真剣な表情で言う。
「ええ、本当にね。これだけのものを短期間で作るとは……あなた、王宮のどの研究者よりも優秀かもしれないわ」シャロンも、素直に感嘆の声を漏らした。
新たな装備と、高まった士気。俺たちは、忘れられた神殿へと向かう準備を整えた。シャロンの情報によれば、神殿への入り口は複数存在するが、カルト教団が利用している可能性のあるルートは限られているという。俺たちは、彼らの動きを追いつつ、同時に神殿内部の構造を探るため、比較的安全と思われる(あくまで比較的だが)隠し通路のようなルートから侵入することにした。
◆
数日後。俺たちは、険しい山道を登り、ついに忘れられた神殿の入り口の一つへとたどり着いた。そこは、巨大な岩壁に半ば埋もれた、古代の石造りの門だった。風化が進み、蔦が絡みついているが、かつての壮麗さを偲ばせる精巧な彫刻が施されている。
「ここが、シャロンさんの言っていた隠し通路への入り口ですか?」俺は、周囲を警戒しながら尋ねる。
「ええ。表向きの入り口とは別の、おそらくは神官か、特別な関係者だけが使っていた通路でしょうね」シャロンは、門の前に立ち、その表面を注意深く観察している。「見たところ、物理的な罠はなさそうだけど……魔法的な封印か、認証システムが残っているかもしれないわ」
俺は【デバッガー】スキルで門をスキャンする。
(……やはり、認証システムだ。あの地下道の水晶と同じタイプの、思考パターン認証か? いや、これは違う……特定の『印』か『アイテム』を要求しているようだ……)
『対象:古代神殿の封印扉
分類:建造物>扉(特殊・認証機能付き)
状態:閉鎖(認証待ち)
機能:特定の『聖印』または『認証キーアイテム』を所持する者のみ、通行を許可する。
備考:古代の神殿を守るための基本的なセキュリティシステム。認証キーがなければ、物理的・魔法的な破壊は困難。ただし、認証システムの制御回路に、僅かな『脆弱性(バグ)』が存在する可能性あり。』
「認証キーが必要なようです。何か、心当たりはありますか?」俺はシャロンに尋ねる。
「いいえ、残念ながら」シャロンは首を振る。「でも、『バグ』があるなら、あなたの出番じゃないかしら?」
「……やってみます」
俺は、扉の認証システムに【バグ発見】と【コード・ライティング】を試みる。地下道の水晶の時とは違い、今回は思考パターンではなく、アイテム認証だ。システムの構造も異なるだろう。
(……認証キーのデータ照合プロセス……ここに、特定のダミーデータ(Null値のようなもの)を受け入れてしまうバグがある! これなら……!)
俺は、【コード・ライティング】で、認証システムに「ダミーの認証キーデータ」を送り込むイメージで、コードを書き込んだ!
ギィ……という、わずかな駆動音と共に、重厚な石の扉が、ゆっくりと内側へと開き始めた!
「……よし!」
今回も、比較的スムーズに突破できた。【コード・ライティング】スキルも、徐々に扱いに慣れてきたようだ。
俺たちは、開いた扉の奥へと足を踏み入れる。そこは、神殿の内部へと続く、長い下り階段だった。壁には、やはり浄化石が埋め込まれており、神聖な、しかしどこか物悲しい空気が漂っている。
「ここから先は、完全に未知の領域よ」シャロンが警告する。「地図もないし、どんな危険が待ち受けているか分からない。慎重に進みましょう」
俺たちは、リリアが開発したマルチ・センサー・ゴーグルを装着し、互いの視界情報(限定的だが)や、センサー情報を共有しながら、神殿の内部へと進んでいった。ゴーグルの暗視機能と魔力流可視化機能は、この薄暗く、魔力が満ちた環境では非常に有効だった。
(このゴーグル……すごいな。リリアさんの才能は、本当に計り知れない)
階段を下りきると、そこには広大な空間が広がっていた。かつては、巨大な神殿のホールだったのだろうか。天井は崩落しかけており、巨大な柱が倒れ、瓦礫が散乱している。そして、その瓦礫の合間を縫うように、奇妙な植物が生い茂り、不気味な輝きを放つキノコのようなものが群生していた。
「……空気が、重い」クラウスが、顔を顰めて呟く。「魔力汚染……というよりは、もっと異質な……」
「うん……なんだか、ゾワゾワする感じ……」リリアも、不安そうに周囲を見回す。
俺も、ゴーグルに表示される魔力データを注視する。
(……確かに、魔力汚染とは違う。もっと、こう……精神に干渉してくるような、淀んだエネルギー? それに、熱源感知に反応がある……瓦礫の影に、何かが潜んでいる!)
「敵襲! 瓦礫の影!」
俺が叫んだ瞬間、瓦礫の影から、複数の影が飛び出してきた!
それは、これまで見たことのない、異形の魔物だった。蜘蛛のような多脚に、昆虫のような複眼、そして爬虫類のような鱗を持つ、悪夢に出てきそうな合成生物(キメラ)。その数は五体。鋭い爪と牙を剥き出しにして、俺たちへと襲いかかってきた!
『対象:歪んだ実験体(仮称:キメラ・スパイダー)×5
分類:魔物?>合成生物?(起源不明)
状態:凶暴、強い敵意
ステータス:Lv 18~20
スキル:【跳躍】【毒爪】【糸吐き(粘着・麻痺)】【異常再生(低)】
特性:不規則な動き、高い敏捷性、精神汚染への耐性?
備考:古代の実験、あるいは魔力汚染によって生み出された異形の存在? 動きが素早く、毒や糸による状態異常攻撃が厄介。弱点は火炎系?』
(レベルが高い! しかも、動きが読みにくい!)
狂信者と同じように、その動きには予測不能な部分が多い。そして、毒と麻痺効果を持つ糸は、非常に厄介だ!
「クラウスさん、前衛を! リリアさん、解毒剤と麻痺回復の準備! シャロンさん、側面から撹乱を!」俺は即座に指示を出す!
「了解!」
「わ、わかった!」
「……面白そうな相手ね」
戦闘開始! キメラ・スパイダーたちは、壁や天井を自在に駆け回りながら、素早い動きで翻弄し、粘着性の糸や毒爪で攻撃してくる!
「くっ、動きが速い!」クラウスは、盾で糸を防ぎながらも、その変則的な動きに苦戦している。
「きゃっ!」リリアの足元に糸が絡みつき、動きが鈍る!
(まずい! このままでは……!)
俺は、キメラ・スパイダーたちの動きとスキルを【バグ発見】で解析する!
(……糸吐き攻撃の予備動作に、僅かな癖がある! 複眼の視覚処理にも、特定の角度に死角が……!)
「クラウスさん! 敵が糸を吐く直前、僅かに腹部が膨らみます! それが合図です!」
「リリアさん! 麻痺回復薬をクラウスさんに! 粘着糸は、火で炙れば溶けるはず!」
「シャロンさん! 敵の真上、あるいは真下からの攻撃が有効です! 複眼には死角があります!」
俺からの情報を元に、パーティーの動きが変わる!
クラウスは、敵の予備動作を見切り、盾で的確に糸を防ぎ、カウンターの剣撃を見舞う!
リリアは、クラウスに麻痺回復薬を投げ渡し、さらに携帯型の小型火炎放射器(これも彼女の新作だ!)で、足元の糸を焼き切る!
シャロンは、壁を駆け上がり、天井から逆さまになって、キメラ・スパイダーの死角である背後から強襲! 双剣が、その硬そうな甲殻を貫く!
連携が、再び機能し始めた! しかし、敵の数はまだ多い。そして、奴らには僅かながら再生能力もある。消耗戦は避けたい。
(弱点は火炎系……か。リリアさんの火炎放射器だけでは、火力が足りない……何か、他に手は……?)
俺は、周囲の環境に目を向けた。瓦礫、奇妙な植物、そして……不気味な輝きを放つキノコ。
(あのキノコ……【情報読取】!)
『対象:発火性胞子茸(仮称)
分類:植物? 菌類?
状態:成熟(胞子放出準備完了)
特性:強い衝撃、または特定の魔力波に反応して、可燃性の高い胞子を大量に放出する。胞子は空気中で自然発火、または引火し、小規模な爆発を引き起こす。
備考:古代遺跡の特殊な環境下で進化した危険な菌類。近づきすぎないこと。』
(……これだ!)
俺は、リリアに叫んだ!
「リリアさん! あの光るキノコ! あれに、火炎放射器の火を当ててください! 少し離れて!」
「え? あのキノコに? 危なくない?」
「大丈夫です! 信じて!」
リリアは、一瞬ためらったが、俺の言葉を信じて、キノコめがけて火炎放射器の炎を放った!
炎がキノコに触れた瞬間――
ボォォォン!!!
キノコは、内部に溜め込んでいた可燃性の胞子を一気に放出し、それが炎に引火! 広範囲にわたって、灼熱の爆風が巻き起こった!
「ギャアアアア!!!」
キメラ・スパイダーたちは、その熱と衝撃に巻き込まれ、次々と断末魔の叫び声を上げて燃え上がっていく! 火炎系が弱点だったのは確かで、その効果は絶大だった!
爆風が収まった後には、黒焦げになったキメラ・スパイダーたちの残骸だけが残されていた。
「……やった……の?」リリアが、呆然と呟く。
「……凄まじい威力だな。危うく我々も巻き込まれるところだったぞ」クラウスが、額の汗を拭いながら言う。
「……ふふ、面白いことを考えるわね、あなたは」シャロンが、感心したように俺を見る。
俺も、予想以上の威力に少し肝を冷やしたが、結果的に敵を一掃できたことに安堵した。
(環境利用……これも、デバッグの一種と言えるかもしれないな)
忘れられた神殿は、その入り口からして、これまでのダンジョンとは比較にならない危険度を持っていた。だが、俺たちの連携と、俺の【デバッガー】スキル、そしてリリアの魔道具があれば、きっと攻略できるはずだ。
俺たちは、警戒を解かずに、再び神殿の奥へと進み始めた。
この先には、どんな守護者が、どんな罠が、そしてどんな「バグ」が待ち受けているのだろうか?
そして、カルト教団は、今どこで何をしているのか?
俺たちの、本当の神殿攻略が、今、始まった。
忘れられた神殿は、王都グランフォールから北へ数日ほどの距離にある、険しい山岳地帯の奥深くに位置する古代遺跡だ。ギルドの情報や、王子を通じて得た王宮の記録によれば、かつては天空に近い場所に建てられた壮麗な神殿だったが、地殻変動か、あるいは古代の「何か」によって、その大部分が山中に埋没し、現在では一部の入り口と、地下に広がる広大な遺構だけが残されているという。内部は複雑な構造で、強力な古代の罠や守護者(ゴーレムや、未知の魔物)が生息しており、未踏破エリアも多い危険な場所とされている。以前シャロンが言っていたように、「時空結晶」のような希少な鉱物が産出するという噂もあるが、その危険性から、ギルドも積極的な調査を控えている状況だった。
「まさに、カルト教団が秘密裏に活動するには、うってつけの場所というわけね」
セーフハウスで作戦会議を開きながら、シャロンは神殿の地図(これも彼女がどこからか入手したものだ)を広げて言った。「警備も手薄だろうし、内部の構造を知る者も少ない。彼らが制御装置の場所にたどり着くのも、時間の問題かもしれないわ」
「ならば、我々も急がねばならんな」クラウスが、決意を込めて言う。「だが、準備は万全か? 地下道での戦いでは、我々は連携によって勝利できたが、神殿の守護者はさらに強力かもしれん」
「そこは、抜かりありませんよ」俺は自信を持って答える。「この数日間で、リリアさんが対遺跡・対ゴーレム用の装備をいくつか開発してくれましたから」
俺の言葉を受け、リリアが目を輝かせながら、テーブルの上にいくつかの新しい魔道具を並べて見せた。
「じゃじゃーん! まずはこれ! 『ゴーレム・スレイヤー・ボルト』!」
彼女が取り出したのは、特殊な金属で作られた、弩(クロスボウ)用の矢のようなものだ。先端には、青白い光を放つ小さな魔石が埋め込まれている。
『対象:ゴーレム・スレイヤー・ボルト(試作品)
分類:魔道具>弾薬(対ゴーレム用)
状態:正常
効果:着弾時に内部の魔石が起動し、高周波の魔力振動を発生させる。ゴーレムの装甲や内部回路にダメージを与え、特に接合部や制御系に効果が高い。使い捨て。
備考:リリア・クローバー開発。対ゴーレム戦を想定。ユズルの【デバッガー】情報(ゴーレムの弱点・バグ)を参考に設計。』
「ユズルさんの情報にあった、ゴーレムの関節部とか、制御系のバグを突くための専用弾だよ! これをクラウスさんのクロスボウ(これも私が改良した特別製!)で撃ち込めば、硬い装甲のゴーレムだって、イチコロ……のはず!」
「ほう、これは頼もしいな」クラウスは、ボルトを手に取り、感心したように眺めている。
「それから、これ! 『アンチ・マジック・フィールド発生器(小型)』!」
リリアが次に取り出したのは、手のひらサイズの金属製の円盤だ。
『対象:アンチ・マジック・フィールド発生器(小型・試作品)
分類:魔道具>防御・妨害用
状態:正常(連続稼働時間に制限あり)
効果:半径数メートル程度の範囲に、一時的に魔法効果を減衰・無効化するフィールドを展開する。古代の罠(魔法系)や、敵の魔法攻撃に対する防御に有効。エネルギー消費大。
備考:リリア・クローバー開発。王宮の技術情報を参考に小型化・改良。エネルギー効率と持続時間に課題あり。』
「遺跡の魔法罠とか、敵の魔法使い対策だよ! 完全には防げないかもしれないけど、あるとないとじゃ大違いだと思うんだ!」
「そして、これが私の自信作! 『マルチ・センサー・ゴーグル』!」
最後にリリアが取り出したのは、大きなレンズが付いた、少しゴツいデザインのゴーグルだった。
『対象:マルチ・センサー・ゴーグル(試作品)
分類:魔道具>探索・分析用
状態:正常
機能:暗視機能、熱源感知、魔力流可視化、構造解析(限定的)、通信機能(短距離)
備考:リリア・クローバー開発。複数のセンサー機能を集約した多機能ゴーグル。ユズルの【デバッガー】能力を補助し、情報共有を円滑化することを目的とする。バッテリー持続時間と情報処理能力に限界あり。』
「これをつければ、暗い遺跡の中でもよく見えるし、熱源や魔力の流れも分かるんだ! それに、ユズルさんが見つけた『バグ情報』とかを、このゴーグルを通じて、みんなにリアルタイムで表示できたらいいなって思って!」
(……すごい。短期間でこれだけのものを……)
俺は、リリアの才能と開発力に改めて舌を巻いた。彼女の存在は、俺たちのパーティーの戦力を、飛躍的に向上させてくれている。特に、マルチ・センサー・ゴーグルは、俺の【デバッガー】能力をパーティー全体で共有するための、画期的なインターフェースとなり得る可能性を秘めている。
「リリアさん、素晴らしいです! これなら、神殿の攻略も……!」
「まあ、どれもまだ試作品だから、実際に使ってみないと分からないけどね」リリアは、少し照れたように笑う。「でも、みんなの役に立てるように、頑張って作ったんだ!」
「君の力は、我々にとって不可欠だ、リリア嬢」クラウスが、真剣な表情で言う。
「ええ、本当にね。これだけのものを短期間で作るとは……あなた、王宮のどの研究者よりも優秀かもしれないわ」シャロンも、素直に感嘆の声を漏らした。
新たな装備と、高まった士気。俺たちは、忘れられた神殿へと向かう準備を整えた。シャロンの情報によれば、神殿への入り口は複数存在するが、カルト教団が利用している可能性のあるルートは限られているという。俺たちは、彼らの動きを追いつつ、同時に神殿内部の構造を探るため、比較的安全と思われる(あくまで比較的だが)隠し通路のようなルートから侵入することにした。
◆
数日後。俺たちは、険しい山道を登り、ついに忘れられた神殿の入り口の一つへとたどり着いた。そこは、巨大な岩壁に半ば埋もれた、古代の石造りの門だった。風化が進み、蔦が絡みついているが、かつての壮麗さを偲ばせる精巧な彫刻が施されている。
「ここが、シャロンさんの言っていた隠し通路への入り口ですか?」俺は、周囲を警戒しながら尋ねる。
「ええ。表向きの入り口とは別の、おそらくは神官か、特別な関係者だけが使っていた通路でしょうね」シャロンは、門の前に立ち、その表面を注意深く観察している。「見たところ、物理的な罠はなさそうだけど……魔法的な封印か、認証システムが残っているかもしれないわ」
俺は【デバッガー】スキルで門をスキャンする。
(……やはり、認証システムだ。あの地下道の水晶と同じタイプの、思考パターン認証か? いや、これは違う……特定の『印』か『アイテム』を要求しているようだ……)
『対象:古代神殿の封印扉
分類:建造物>扉(特殊・認証機能付き)
状態:閉鎖(認証待ち)
機能:特定の『聖印』または『認証キーアイテム』を所持する者のみ、通行を許可する。
備考:古代の神殿を守るための基本的なセキュリティシステム。認証キーがなければ、物理的・魔法的な破壊は困難。ただし、認証システムの制御回路に、僅かな『脆弱性(バグ)』が存在する可能性あり。』
「認証キーが必要なようです。何か、心当たりはありますか?」俺はシャロンに尋ねる。
「いいえ、残念ながら」シャロンは首を振る。「でも、『バグ』があるなら、あなたの出番じゃないかしら?」
「……やってみます」
俺は、扉の認証システムに【バグ発見】と【コード・ライティング】を試みる。地下道の水晶の時とは違い、今回は思考パターンではなく、アイテム認証だ。システムの構造も異なるだろう。
(……認証キーのデータ照合プロセス……ここに、特定のダミーデータ(Null値のようなもの)を受け入れてしまうバグがある! これなら……!)
俺は、【コード・ライティング】で、認証システムに「ダミーの認証キーデータ」を送り込むイメージで、コードを書き込んだ!
ギィ……という、わずかな駆動音と共に、重厚な石の扉が、ゆっくりと内側へと開き始めた!
「……よし!」
今回も、比較的スムーズに突破できた。【コード・ライティング】スキルも、徐々に扱いに慣れてきたようだ。
俺たちは、開いた扉の奥へと足を踏み入れる。そこは、神殿の内部へと続く、長い下り階段だった。壁には、やはり浄化石が埋め込まれており、神聖な、しかしどこか物悲しい空気が漂っている。
「ここから先は、完全に未知の領域よ」シャロンが警告する。「地図もないし、どんな危険が待ち受けているか分からない。慎重に進みましょう」
俺たちは、リリアが開発したマルチ・センサー・ゴーグルを装着し、互いの視界情報(限定的だが)や、センサー情報を共有しながら、神殿の内部へと進んでいった。ゴーグルの暗視機能と魔力流可視化機能は、この薄暗く、魔力が満ちた環境では非常に有効だった。
(このゴーグル……すごいな。リリアさんの才能は、本当に計り知れない)
階段を下りきると、そこには広大な空間が広がっていた。かつては、巨大な神殿のホールだったのだろうか。天井は崩落しかけており、巨大な柱が倒れ、瓦礫が散乱している。そして、その瓦礫の合間を縫うように、奇妙な植物が生い茂り、不気味な輝きを放つキノコのようなものが群生していた。
「……空気が、重い」クラウスが、顔を顰めて呟く。「魔力汚染……というよりは、もっと異質な……」
「うん……なんだか、ゾワゾワする感じ……」リリアも、不安そうに周囲を見回す。
俺も、ゴーグルに表示される魔力データを注視する。
(……確かに、魔力汚染とは違う。もっと、こう……精神に干渉してくるような、淀んだエネルギー? それに、熱源感知に反応がある……瓦礫の影に、何かが潜んでいる!)
「敵襲! 瓦礫の影!」
俺が叫んだ瞬間、瓦礫の影から、複数の影が飛び出してきた!
それは、これまで見たことのない、異形の魔物だった。蜘蛛のような多脚に、昆虫のような複眼、そして爬虫類のような鱗を持つ、悪夢に出てきそうな合成生物(キメラ)。その数は五体。鋭い爪と牙を剥き出しにして、俺たちへと襲いかかってきた!
『対象:歪んだ実験体(仮称:キメラ・スパイダー)×5
分類:魔物?>合成生物?(起源不明)
状態:凶暴、強い敵意
ステータス:Lv 18~20
スキル:【跳躍】【毒爪】【糸吐き(粘着・麻痺)】【異常再生(低)】
特性:不規則な動き、高い敏捷性、精神汚染への耐性?
備考:古代の実験、あるいは魔力汚染によって生み出された異形の存在? 動きが素早く、毒や糸による状態異常攻撃が厄介。弱点は火炎系?』
(レベルが高い! しかも、動きが読みにくい!)
狂信者と同じように、その動きには予測不能な部分が多い。そして、毒と麻痺効果を持つ糸は、非常に厄介だ!
「クラウスさん、前衛を! リリアさん、解毒剤と麻痺回復の準備! シャロンさん、側面から撹乱を!」俺は即座に指示を出す!
「了解!」
「わ、わかった!」
「……面白そうな相手ね」
戦闘開始! キメラ・スパイダーたちは、壁や天井を自在に駆け回りながら、素早い動きで翻弄し、粘着性の糸や毒爪で攻撃してくる!
「くっ、動きが速い!」クラウスは、盾で糸を防ぎながらも、その変則的な動きに苦戦している。
「きゃっ!」リリアの足元に糸が絡みつき、動きが鈍る!
(まずい! このままでは……!)
俺は、キメラ・スパイダーたちの動きとスキルを【バグ発見】で解析する!
(……糸吐き攻撃の予備動作に、僅かな癖がある! 複眼の視覚処理にも、特定の角度に死角が……!)
「クラウスさん! 敵が糸を吐く直前、僅かに腹部が膨らみます! それが合図です!」
「リリアさん! 麻痺回復薬をクラウスさんに! 粘着糸は、火で炙れば溶けるはず!」
「シャロンさん! 敵の真上、あるいは真下からの攻撃が有効です! 複眼には死角があります!」
俺からの情報を元に、パーティーの動きが変わる!
クラウスは、敵の予備動作を見切り、盾で的確に糸を防ぎ、カウンターの剣撃を見舞う!
リリアは、クラウスに麻痺回復薬を投げ渡し、さらに携帯型の小型火炎放射器(これも彼女の新作だ!)で、足元の糸を焼き切る!
シャロンは、壁を駆け上がり、天井から逆さまになって、キメラ・スパイダーの死角である背後から強襲! 双剣が、その硬そうな甲殻を貫く!
連携が、再び機能し始めた! しかし、敵の数はまだ多い。そして、奴らには僅かながら再生能力もある。消耗戦は避けたい。
(弱点は火炎系……か。リリアさんの火炎放射器だけでは、火力が足りない……何か、他に手は……?)
俺は、周囲の環境に目を向けた。瓦礫、奇妙な植物、そして……不気味な輝きを放つキノコ。
(あのキノコ……【情報読取】!)
『対象:発火性胞子茸(仮称)
分類:植物? 菌類?
状態:成熟(胞子放出準備完了)
特性:強い衝撃、または特定の魔力波に反応して、可燃性の高い胞子を大量に放出する。胞子は空気中で自然発火、または引火し、小規模な爆発を引き起こす。
備考:古代遺跡の特殊な環境下で進化した危険な菌類。近づきすぎないこと。』
(……これだ!)
俺は、リリアに叫んだ!
「リリアさん! あの光るキノコ! あれに、火炎放射器の火を当ててください! 少し離れて!」
「え? あのキノコに? 危なくない?」
「大丈夫です! 信じて!」
リリアは、一瞬ためらったが、俺の言葉を信じて、キノコめがけて火炎放射器の炎を放った!
炎がキノコに触れた瞬間――
ボォォォン!!!
キノコは、内部に溜め込んでいた可燃性の胞子を一気に放出し、それが炎に引火! 広範囲にわたって、灼熱の爆風が巻き起こった!
「ギャアアアア!!!」
キメラ・スパイダーたちは、その熱と衝撃に巻き込まれ、次々と断末魔の叫び声を上げて燃え上がっていく! 火炎系が弱点だったのは確かで、その効果は絶大だった!
爆風が収まった後には、黒焦げになったキメラ・スパイダーたちの残骸だけが残されていた。
「……やった……の?」リリアが、呆然と呟く。
「……凄まじい威力だな。危うく我々も巻き込まれるところだったぞ」クラウスが、額の汗を拭いながら言う。
「……ふふ、面白いことを考えるわね、あなたは」シャロンが、感心したように俺を見る。
俺も、予想以上の威力に少し肝を冷やしたが、結果的に敵を一掃できたことに安堵した。
(環境利用……これも、デバッグの一種と言えるかもしれないな)
忘れられた神殿は、その入り口からして、これまでのダンジョンとは比較にならない危険度を持っていた。だが、俺たちの連携と、俺の【デバッガー】スキル、そしてリリアの魔道具があれば、きっと攻略できるはずだ。
俺たちは、警戒を解かずに、再び神殿の奥へと進み始めた。
この先には、どんな守護者が、どんな罠が、そしてどんな「バグ」が待ち受けているのだろうか?
そして、カルト教団は、今どこで何をしているのか?
俺たちの、本当の神殿攻略が、今、始まった。
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ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
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そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
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※本作は他サイトでも掲載しています
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
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けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
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気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
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これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
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かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
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異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
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