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第1章
世界の半分を敵に回した宣戦布告
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日本の巡視艇や護衛艦に襲いかかってきていた武装漁船に襲いかかった国籍不明(?)のゼロ戦とおぼしき戦闘機の数々。
また後方に控えていた龍国の軍艦にも襲いかかってくる魚雷とミサイル。
その様子を上空からライブ中継をしている航空機がいた。
この「月光」と思しき双発戦闘機は第二次世界大戦中、日本帝国海軍の夜間戦闘機として活躍した航空機だ。
今回、沖縄の上空に現れた機体では特徴的な機首の4本のアンテナはなく、キャノピーも支柱の多い従来のものではなく、継ぎ目の少ない現代的な一体型のキャノピーになっていた。
上空の月光のコックピットが映し出されるが、旧態然としたそれではなく、最新鋭の戦闘機に多く見られる大きめなディスプレーが中央にあり、その左右には小型のモニター(スマホかタブレット?)が複数あり計器の代わりをしていた。
操縦桿は中央から生えているものではなく、右手の手元にあるサイドスティック型でゲーム機のジョイスティックの様な物が生えていた。
後部座席も映されるが、こちらも座席正面にある大きなモニターを中心に、左右に配置されたキーボードやコントローラーが映し出された。
旧態然とした外観とは異なり、明らかに最新鋭と思われるコックピットは大きな違和感があった。
機体下部に取り付けられていた外部カメラが遥か下方で繰り広げられる地獄模様を写していた。
この映像はある所を経由してリアルタイムで全世界に同時配信されていた。
我先に逃げ回る武装漁船、海に投げ出された偽装漁民の救助に奔走する日本の自衛隊。
自国の民兵を見捨てて逃げる龍国の軍艦に次々と突き刺さる魚雷やミサイルの数々。
大爆発を起こし撃沈する龍国のミサイル駆逐艦。
ゼロ戦を目指して襲いかかってくるミサイルも全くゼロ戦を捉えることがなく、虚しく海中に没していくなか、ゼロ戦から発射されたとおぼしき小型の高速ミサイル(?)は次々と龍国の戦闘機にヒットしていく。
中には急降下して直接、バルカン砲でゼロ戦を撃墜しようと突撃してくる龍国戦闘機も出てくるが、異様な機動で交わし、機体に取り付けられた12.7mm機関銃で火だるまにされる。
幸い、機銃の弾丸を逃れた龍国戦闘機も離脱するところで後方から追いかけてくる誘導弾と思しき高速弾が次々と突き刺さっていく。
・・・こうして龍国の偽装武装漁船の日本の巡視艇や護衛艦に対する攻撃から始まった一連の戦闘は幕を閉じた。
ここで実況画面は切り替わり、一人の年配の男性が映し出された。
年の頃は60代前半、精悍な顔つきに短髪だが整えられた白髪。さらにこれも整えられた口髭と顎髭を蓄えた男性であった。
地の底から響きわたるような低音ボイスで、
『我々は川北重工業、私はその最高責任者の川北耕三だ。
沖縄には私どもの貴重な工場や研究所、守るべき家族、大事な仲間、財産がある。
それを違法に侵略、破壊、略奪しようとする者は例えそれが国家だろうと、ただの盗賊だろうと関係なくこれを排除する。
日本国が我々を守ってくれないのであれば、我々は自らの生存権をかけて我らの敵と戦う。
この世に正義と悪があるのであれば、この戦いは間違いなく正義だ。
我々は私と家族や仲間たちの生存をかけて命がけで戦う。
仮に死んだとしても先祖にはこう言える。
「戦って死にました」と、「家族を守ろうと戦って死にました」と。
命が惜しくないなら、この世の“正義“と戦う気があるなら、容赦はしないので死ぬ気でかかってくるがいい。
なお、諸君らの上空を旋回しているゼロ戦の形をした最新鋭の戦闘機には我々のもつ全ての技術と情熱をつぎ込んで作った「核」が動力として搭載されている。
君らのレーダーにはそのゼロ戦の姿が映っていないだろう。
つまり我らはその「核」を諸君らの国の奥深くまで人知れず届けることが可能なのだ。
賢明な指導者であればこの意味が分かるはずだ。
諸君らは我々に対し、宣戦布告も警告も何も行うことなく、卑怯かつ悪辣な先制攻撃を行った。
それも一人二人ではなく、何百人もだ。
また、諸君らの海軍の軍艦までが我々に対して発砲した事実は既にインターネットで世界に配信した。
この結果を招いたのは諸君らの責任だ。
その様子はリアルタイムで見ていた世界中の人が証人になってくれるだろう。
この戦闘行為による結果の全ての責任は全て君たちにある。
もし、龍国政府がこの卑怯極まりない先制攻撃と武装した偽装漁民を使った侵略行為に加担していないと言うのであれば、即刻、今回の暴挙の首謀者を拘束し、日本国政府に引き渡せ。以上だ。』
この放送は、英語、中国語、フランス語、スペイン語、など各国の言葉に翻訳されインターネットで各国に向けて即座に配信された。
かくして、川北重工業という「一企業」は世界の半分に影響力と支配を及ぼすGDP世界一位の残虐な開発半独裁国家に宣戦布告をしたのだった。
また後方に控えていた龍国の軍艦にも襲いかかってくる魚雷とミサイル。
その様子を上空からライブ中継をしている航空機がいた。
この「月光」と思しき双発戦闘機は第二次世界大戦中、日本帝国海軍の夜間戦闘機として活躍した航空機だ。
今回、沖縄の上空に現れた機体では特徴的な機首の4本のアンテナはなく、キャノピーも支柱の多い従来のものではなく、継ぎ目の少ない現代的な一体型のキャノピーになっていた。
上空の月光のコックピットが映し出されるが、旧態然としたそれではなく、最新鋭の戦闘機に多く見られる大きめなディスプレーが中央にあり、その左右には小型のモニター(スマホかタブレット?)が複数あり計器の代わりをしていた。
操縦桿は中央から生えているものではなく、右手の手元にあるサイドスティック型でゲーム機のジョイスティックの様な物が生えていた。
後部座席も映されるが、こちらも座席正面にある大きなモニターを中心に、左右に配置されたキーボードやコントローラーが映し出された。
旧態然とした外観とは異なり、明らかに最新鋭と思われるコックピットは大きな違和感があった。
機体下部に取り付けられていた外部カメラが遥か下方で繰り広げられる地獄模様を写していた。
この映像はある所を経由してリアルタイムで全世界に同時配信されていた。
我先に逃げ回る武装漁船、海に投げ出された偽装漁民の救助に奔走する日本の自衛隊。
自国の民兵を見捨てて逃げる龍国の軍艦に次々と突き刺さる魚雷やミサイルの数々。
大爆発を起こし撃沈する龍国のミサイル駆逐艦。
ゼロ戦を目指して襲いかかってくるミサイルも全くゼロ戦を捉えることがなく、虚しく海中に没していくなか、ゼロ戦から発射されたとおぼしき小型の高速ミサイル(?)は次々と龍国の戦闘機にヒットしていく。
中には急降下して直接、バルカン砲でゼロ戦を撃墜しようと突撃してくる龍国戦闘機も出てくるが、異様な機動で交わし、機体に取り付けられた12.7mm機関銃で火だるまにされる。
幸い、機銃の弾丸を逃れた龍国戦闘機も離脱するところで後方から追いかけてくる誘導弾と思しき高速弾が次々と突き刺さっていく。
・・・こうして龍国の偽装武装漁船の日本の巡視艇や護衛艦に対する攻撃から始まった一連の戦闘は幕を閉じた。
ここで実況画面は切り替わり、一人の年配の男性が映し出された。
年の頃は60代前半、精悍な顔つきに短髪だが整えられた白髪。さらにこれも整えられた口髭と顎髭を蓄えた男性であった。
地の底から響きわたるような低音ボイスで、
『我々は川北重工業、私はその最高責任者の川北耕三だ。
沖縄には私どもの貴重な工場や研究所、守るべき家族、大事な仲間、財産がある。
それを違法に侵略、破壊、略奪しようとする者は例えそれが国家だろうと、ただの盗賊だろうと関係なくこれを排除する。
日本国が我々を守ってくれないのであれば、我々は自らの生存権をかけて我らの敵と戦う。
この世に正義と悪があるのであれば、この戦いは間違いなく正義だ。
我々は私と家族や仲間たちの生存をかけて命がけで戦う。
仮に死んだとしても先祖にはこう言える。
「戦って死にました」と、「家族を守ろうと戦って死にました」と。
命が惜しくないなら、この世の“正義“と戦う気があるなら、容赦はしないので死ぬ気でかかってくるがいい。
なお、諸君らの上空を旋回しているゼロ戦の形をした最新鋭の戦闘機には我々のもつ全ての技術と情熱をつぎ込んで作った「核」が動力として搭載されている。
君らのレーダーにはそのゼロ戦の姿が映っていないだろう。
つまり我らはその「核」を諸君らの国の奥深くまで人知れず届けることが可能なのだ。
賢明な指導者であればこの意味が分かるはずだ。
諸君らは我々に対し、宣戦布告も警告も何も行うことなく、卑怯かつ悪辣な先制攻撃を行った。
それも一人二人ではなく、何百人もだ。
また、諸君らの海軍の軍艦までが我々に対して発砲した事実は既にインターネットで世界に配信した。
この結果を招いたのは諸君らの責任だ。
その様子はリアルタイムで見ていた世界中の人が証人になってくれるだろう。
この戦闘行為による結果の全ての責任は全て君たちにある。
もし、龍国政府がこの卑怯極まりない先制攻撃と武装した偽装漁民を使った侵略行為に加担していないと言うのであれば、即刻、今回の暴挙の首謀者を拘束し、日本国政府に引き渡せ。以上だ。』
この放送は、英語、中国語、フランス語、スペイン語、など各国の言葉に翻訳されインターネットで各国に向けて即座に配信された。
かくして、川北重工業という「一企業」は世界の半分に影響力と支配を及ぼすGDP世界一位の残虐な開発半独裁国家に宣戦布告をしたのだった。
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