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第2章
エネルギー革命
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龍国は海外に多くの拠点を築き、ホルムズ海峡やマラッカ海峡を事実上制圧、そこを通過する日本国籍のタンカーなどは龍国海軍や彼らの影響下にある海賊の嫌がらせや襲撃に悩まされていた。
この事により、日本本土や東南アジア諸国などでの原油価格は大幅に値上がりし、龍国は中東からの原油をほぼ独占。
原油を使った周辺国への経済支配を強めていたのだった。
川北エナジーはバイオマス燃料の量産に成功していたが、それらの多くは南海都市周辺に点在するメガフロート上で主に使われ、日本本土や周辺諸国などにも少量輸出されていたのだが、日本本土で使う原油の全てを賄うほどの量は作られていなかった。
日本では売国左派や環境左派などの大規模な妨害工作もあり、原子力発電が事実上使用困難となっていて2020年を超える頃には火力発電が総発電量の7割以上を占めるという異常事態に陥っていた。
2009年から一時政権を摂っていた民共党は放射能汚染の危険性を理由に全国の原子力発電所全てを停止し、太陽光発電や風力発電、波力発電などの再生可能エネルギーへの転換を大々的に推進した。
マスコミも「日本版、グリーンニューディール」と散々持ち上げた。
これは当時のアメリカの動きにも連動していたのだが、日本でも太陽電池による売電の買取価格を高く設定した結果、当時の「中国」製の粗悪な太陽電池が大量に日本に設置された。
これは日本各地の至る所に山を切り拓いて設置された為、景観の悪化以外にも災害時の土砂崩れの発生や太陽電池の破損による公害、電気代の高騰など多くの問題を引き起こした。
風力発電も国内で製造された太陽電池はまだ品質的に良かったのだが、中国資本により買収された市町村などで設置された物などは品質的に問題のある中国製が大量に設置され、汚職の問題や巨大な風車による低音騒音や振動問題、廃棄物問題などを多数引き起こした。
また、波力発電も漁業従事者とのトラブルなども多数発生し、また災害時などでは設備が破損する問題なども起こり、各地で導入されていた計画も頓挫するものが多くなっていた。
このように日本で起こった「グリーンニューディール(グリーンセクシー)政策」は民共党が政権を追われる2012年ごろにはすっかり下火となってしまっていたのだった。
結局、日本は火力発電依存にならざるを得なかったわけだが、川北エナジーが生産を開始したバイオマス燃料は川北が技術流出を嫌がり、日本本土での生産は一切認めなかったということもあって、民共党に代わって政権を取り戻した自由済民党政権は川北のメガフロートとバイオマス燃料の培養プール、燃料の精製工場などの事業に対して年間、2兆円の補助金を給付し国家を挙げて燃料の増産に力を入れていくことになった。
だが、国内で賄うにしてもあまりにも石油の使用量が多く、多少増産した程度では賄いきれないこともあり、川北は「新たなエネルギー源の開発が急務だ」という結論に行き着く。
その結果、行き着いたのが「近年、実証実験が完了した核融合発電を実用化出来ないものか」というものだった。
そこで、川北重工と川北エナジーが最優先で取り組んでいたのが、「核融合発電の実用化」であった。
その制御に今回開発した開発支援AIのノウハウが早速使われたのだが、魔理沙・霊夢コンビは川北やその他の企業が南海新都市に保有するスーパーコンピューターの大半をなんと3年近くも独占的に活用し、日米共同の開発陣(ライジングサンダー)の総力を挙げて開発に成功させたのだった。
核融合自体は2025年には実証実験がほぼ完了していたのだが、商用化するにはまだ規模が大きく、発電コストや発電初期に使用する電力もバカ高だったのだが、この国際的な実証実験に早い段階から関わっていた川北エナジーは実証実験が完了したと同時に実用化へ向けて取り組むことになった。
川北本体とアメリカの投資家などから莫大な開発費用を得て、日米の開発陣の総力戦で小型軽量化に挑んだわけだが、魔理沙と霊夢はここで意外な可能性を提示した。
それは、「核融合炉は小型化すればするほど安定させ易い可能性が高い」というものだった。
当初、川北は新開発の核融合炉を大型の発電所などでのみ使う目的で開発していたのだが、小型化を目指した方が開発もし易いということを受けて、急遽戦略の見直しに入った。
2022年、川北は実質的な「軍隊」を立ち上げようとしていたのだが、そこで使用する航空機や艦船、中距離弾道ミサイルなどの動力として小型核融合炉を用いてはどうかという案がその軍部から出された。
その提案に応じて、開発部は新開発の小型核融合炉の重量は200kg以下を目標とすることに決めた。
核融合は核分裂と違い、核分裂を使った従来の原子力発電のように暴走しての爆発というのは起こらない。
制御に失敗すると「失火」して停止するだけだからだ。
その点、安全ということが言えるのだが、何かあった時には放射性物質を内部に閉じ込めねばならないことや、仕組み上、膨大な熱を発するのでそれらを効率よく封じ込める必要があるのだ。
熱と衝撃を封じ込める方策は内部の炉にあたる部分の周囲を真空化し、炉自体も磁力で浮かせることであらかた解決。
外殻はセラミックと高張力鋼板と超硬質セラミック素材などの複合材で覆った。
内部の炉の組み立てには正に超絶クラスの微細な精密加工技術が要求され、特に最初の頃は作れども作れども安定した核融合が起きず開発陣の頭を悩ませていた。
だが最強の開発AIと日本とアメリカの最高の開発チームの10年にも及ぶ悪戦苦闘の結果、2035年に遂に量産化にこぎ着けた。
それまで核融合を起こすには32機のレーザーで燃料物質を圧縮し爆縮させる方式を使っていたのだが、小型化した炉では精度が不足していて、ナノ秒単位での超精密なタイミングでのレーザー照射をコントロールすることで安定した爆縮が得られるということが分かり、小型かつ高出力レーザー発振器を独自に開発、その制御プログラムも開発し、膨大なシミュレーションとテストを繰り返し実用にこぎ着けたのだった。
大型の船舶や地域で使う発電設備の開発はこの技術の応用なので比較的早期に実現し、それらの核融合炉は40ftコンテナに収められ、量産されるのだった。
新規で作られたこの小型の核融合炉は「パワーセルユニット」と命名された。
このパワーセルユニットは映画「ター◯ネーター」で登場したT800などの動力として胸に収まっていた小型の発電ユニットだと思えば分かりやすい。
当初、核融合炉で問題になっていた中性子線の問題もクリアされ、外部に磁力や熱も漏れにくい構造になっているため、航空機や潜水艦に搭載することも可能であったり、都市などの電力の供給や巨大な艦船の動力源とすることも可能。
また燃料の補給もほぼ不要なのでこれまで石油やバイオマス燃料による火力発電に頼っていた発電に代わるベース電源として活用された。
都市や工場などに供給する電力を発電する核融合炉の初号機は南海都市群に隣接した新設のメガフロートに設置され、その様子は大々的に報道され、何回都市では大きな祝賀パーティも催された。
当時、龍国によって中東からのシーレーン(オイルロード)が封鎖され、オイルの調達価格の上昇に苦慮する日本や太平洋島嶼国、オーストラリア、インド、東南アジア諸国などにとって核融合炉の開発成功と量産化は奇跡の福音となったのだった。
この事により、日本本土や東南アジア諸国などでの原油価格は大幅に値上がりし、龍国は中東からの原油をほぼ独占。
原油を使った周辺国への経済支配を強めていたのだった。
川北エナジーはバイオマス燃料の量産に成功していたが、それらの多くは南海都市周辺に点在するメガフロート上で主に使われ、日本本土や周辺諸国などにも少量輸出されていたのだが、日本本土で使う原油の全てを賄うほどの量は作られていなかった。
日本では売国左派や環境左派などの大規模な妨害工作もあり、原子力発電が事実上使用困難となっていて2020年を超える頃には火力発電が総発電量の7割以上を占めるという異常事態に陥っていた。
2009年から一時政権を摂っていた民共党は放射能汚染の危険性を理由に全国の原子力発電所全てを停止し、太陽光発電や風力発電、波力発電などの再生可能エネルギーへの転換を大々的に推進した。
マスコミも「日本版、グリーンニューディール」と散々持ち上げた。
これは当時のアメリカの動きにも連動していたのだが、日本でも太陽電池による売電の買取価格を高く設定した結果、当時の「中国」製の粗悪な太陽電池が大量に日本に設置された。
これは日本各地の至る所に山を切り拓いて設置された為、景観の悪化以外にも災害時の土砂崩れの発生や太陽電池の破損による公害、電気代の高騰など多くの問題を引き起こした。
風力発電も国内で製造された太陽電池はまだ品質的に良かったのだが、中国資本により買収された市町村などで設置された物などは品質的に問題のある中国製が大量に設置され、汚職の問題や巨大な風車による低音騒音や振動問題、廃棄物問題などを多数引き起こした。
また、波力発電も漁業従事者とのトラブルなども多数発生し、また災害時などでは設備が破損する問題なども起こり、各地で導入されていた計画も頓挫するものが多くなっていた。
このように日本で起こった「グリーンニューディール(グリーンセクシー)政策」は民共党が政権を追われる2012年ごろにはすっかり下火となってしまっていたのだった。
結局、日本は火力発電依存にならざるを得なかったわけだが、川北エナジーが生産を開始したバイオマス燃料は川北が技術流出を嫌がり、日本本土での生産は一切認めなかったということもあって、民共党に代わって政権を取り戻した自由済民党政権は川北のメガフロートとバイオマス燃料の培養プール、燃料の精製工場などの事業に対して年間、2兆円の補助金を給付し国家を挙げて燃料の増産に力を入れていくことになった。
だが、国内で賄うにしてもあまりにも石油の使用量が多く、多少増産した程度では賄いきれないこともあり、川北は「新たなエネルギー源の開発が急務だ」という結論に行き着く。
その結果、行き着いたのが「近年、実証実験が完了した核融合発電を実用化出来ないものか」というものだった。
そこで、川北重工と川北エナジーが最優先で取り組んでいたのが、「核融合発電の実用化」であった。
その制御に今回開発した開発支援AIのノウハウが早速使われたのだが、魔理沙・霊夢コンビは川北やその他の企業が南海新都市に保有するスーパーコンピューターの大半をなんと3年近くも独占的に活用し、日米共同の開発陣(ライジングサンダー)の総力を挙げて開発に成功させたのだった。
核融合自体は2025年には実証実験がほぼ完了していたのだが、商用化するにはまだ規模が大きく、発電コストや発電初期に使用する電力もバカ高だったのだが、この国際的な実証実験に早い段階から関わっていた川北エナジーは実証実験が完了したと同時に実用化へ向けて取り組むことになった。
川北本体とアメリカの投資家などから莫大な開発費用を得て、日米の開発陣の総力戦で小型軽量化に挑んだわけだが、魔理沙と霊夢はここで意外な可能性を提示した。
それは、「核融合炉は小型化すればするほど安定させ易い可能性が高い」というものだった。
当初、川北は新開発の核融合炉を大型の発電所などでのみ使う目的で開発していたのだが、小型化を目指した方が開発もし易いということを受けて、急遽戦略の見直しに入った。
2022年、川北は実質的な「軍隊」を立ち上げようとしていたのだが、そこで使用する航空機や艦船、中距離弾道ミサイルなどの動力として小型核融合炉を用いてはどうかという案がその軍部から出された。
その提案に応じて、開発部は新開発の小型核融合炉の重量は200kg以下を目標とすることに決めた。
核融合は核分裂と違い、核分裂を使った従来の原子力発電のように暴走しての爆発というのは起こらない。
制御に失敗すると「失火」して停止するだけだからだ。
その点、安全ということが言えるのだが、何かあった時には放射性物質を内部に閉じ込めねばならないことや、仕組み上、膨大な熱を発するのでそれらを効率よく封じ込める必要があるのだ。
熱と衝撃を封じ込める方策は内部の炉にあたる部分の周囲を真空化し、炉自体も磁力で浮かせることであらかた解決。
外殻はセラミックと高張力鋼板と超硬質セラミック素材などの複合材で覆った。
内部の炉の組み立てには正に超絶クラスの微細な精密加工技術が要求され、特に最初の頃は作れども作れども安定した核融合が起きず開発陣の頭を悩ませていた。
だが最強の開発AIと日本とアメリカの最高の開発チームの10年にも及ぶ悪戦苦闘の結果、2035年に遂に量産化にこぎ着けた。
それまで核融合を起こすには32機のレーザーで燃料物質を圧縮し爆縮させる方式を使っていたのだが、小型化した炉では精度が不足していて、ナノ秒単位での超精密なタイミングでのレーザー照射をコントロールすることで安定した爆縮が得られるということが分かり、小型かつ高出力レーザー発振器を独自に開発、その制御プログラムも開発し、膨大なシミュレーションとテストを繰り返し実用にこぎ着けたのだった。
大型の船舶や地域で使う発電設備の開発はこの技術の応用なので比較的早期に実現し、それらの核融合炉は40ftコンテナに収められ、量産されるのだった。
新規で作られたこの小型の核融合炉は「パワーセルユニット」と命名された。
このパワーセルユニットは映画「ター◯ネーター」で登場したT800などの動力として胸に収まっていた小型の発電ユニットだと思えば分かりやすい。
当初、核融合炉で問題になっていた中性子線の問題もクリアされ、外部に磁力や熱も漏れにくい構造になっているため、航空機や潜水艦に搭載することも可能であったり、都市などの電力の供給や巨大な艦船の動力源とすることも可能。
また燃料の補給もほぼ不要なのでこれまで石油やバイオマス燃料による火力発電に頼っていた発電に代わるベース電源として活用された。
都市や工場などに供給する電力を発電する核融合炉の初号機は南海都市群に隣接した新設のメガフロートに設置され、その様子は大々的に報道され、何回都市では大きな祝賀パーティも催された。
当時、龍国によって中東からのシーレーン(オイルロード)が封鎖され、オイルの調達価格の上昇に苦慮する日本や太平洋島嶼国、オーストラリア、インド、東南アジア諸国などにとって核融合炉の開発成功と量産化は奇跡の福音となったのだった。
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