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第2章
龍国の勃興
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龍国の前身国家である、旧共産党政権の中国社会主義人民共和国は中国本土の他にチベットやウイグル等に侵略しそれらを領土に加えていたのだが、龍国は誕生から26年間で西欧諸国、中東諸国、アフリカ諸国、東南アジア諸国、アメリカ、日本、台湾、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英国連邦と英国に対して強力に浸透工作を展開していた。
彼らのやり方は旧共産党のそれを凌ぐほどしたたかで、2035年くらいまでは膨張する龍国経済の資金力にモノを言わせ、それら諸国に対しては経済的な結び付きを強めていた。
2012年に勃発した龍共内戦で1億人とも2億人とも言われる経済難民や戦争難民が龍国から周辺諸国やアメリカや他の先進国に流れ込んだわけだが、当時のそれら諸国は難民に対して非常に寛容でほぼ彼ら全てを受け入れていた。
それらを主導していたのは国連の人権理事会であったわけだが、ここは以前から龍国(旧中国)の資金にズブズブにやられてしまっていて、龍国にほぼ乗っ取られてしまっていた。
それらの動きを嫌ったアメリカなどは国連への分担金の支払いを停止したりしたものの、そのことが新たに常任理事国となった龍国の発言力を強める結果となってしまっていた。
この大規模な難民の受け入れにより、20年ほど経った頃にはそれぞれの国の中でその難民出身者が政府の各所に入り込んでいた。
それらの人は全てが全て龍国に対して協力的というわけではなかった。
元々が内戦などで迫害されて国を追われた人々なのだからそれは当然なのだが、龍国は彼らに対して「金」「女」「権力」「脅迫」を駆使して強引に龍国に対する協力者に仕立てていった。
金や権力に弱い者に対してはソレを与えることで協力者にし、従わない者に対しては弱みを握り脅迫してでも協力者に仕立てていった。
また、それでも非協力的な人には国に残した親戚・家族などを平気で人質にとり、脅すことで強引に協力者へと仕立てていった。
西側の先進諸国に対しても数多くそれらの工作員が浸透していったわけだが、彼らは特に経済界や財界に対して働きかけ、龍国への企業進出と投資を大々的に呼びかけた。
特に各国のマスコミはそれらの動きを大々的に後押しし、それに呼応した経済界も龍国に対して大きな支援や経済援助、投資、企業進出をするのだった。
ヨーロッパではEUからの英国の離脱と共に、緊縮財政が祟ったことによる経済の収縮が起こり、日本の「失われた30年」に匹敵するほどの経済的停滞を起こっていた。
つまり、当時、経済的に好調だったのは龍国と日本(のごく一部)だけだったわけだ。
龍国は、周辺諸国や先進国への浸透工作として「禁断の手法」へと手を出していく。
「臓器売買ビジネスの掌握」だ。
龍国がまず手を付けたのはウイグルとチベット人に対する弾圧だった。
ウイグル人とチベット人は過酷な環境での労働を強いられていたが、反抗的な人物は「再教育施設」と呼ばれた明るい監獄で徹底的な洗脳教育を施された。
また、仲間同士で密告が奨励され、仲間同士の信頼関係は崩壊、場合によっては子が親を売ることまで起こった。
全てのウイグル人とチベット人はDNA情報を取られ、どこかでそのDNAに適合する臓器の要望が出た場合、「失踪」し二度と帰って来なかった。
当然、ウイグルとチベットでは龍国の誕生に伴う内戦で大規模な反乱が起こったが、外国からの援助もなく、ほどなく武力により鎮圧された。
それらにより、なんとそれぞれの国で国民の約1/3が死亡、もしくは「失踪」したのだった。
龍国政府はこれらで得た「臓器」を金儲けだけでなく、各国の首脳や経済界の大物や各界の大物を釣り上げるために使った。
特にイスラム教を信じる国々のVIPにとって、同じくイスラム教徒で酒や豚肉を摂っていなかったウイグル人の臓器は重宝されたのだった。
また、龍国は国内が過去の強引な乱開発と公害の放置により農作物への汚染が進んだので、経済的に支配を進めた東南アジア諸国に対して自国民に食べさせる穀物や畜産物の生産を推し進め、それらの生産で得た食料品は龍国が優先的に安く買い上げる仕組みを作らせた。
ただ、それでもまだ足りないので、南シナ海や龍国の沿岸部で魚の養殖に力を入れた。
もちろん、その養殖技術を龍国に移転させたのも、日本の業者や大学の研究機関だった。
特にマグロやウナギなど、高級魚は非常に高価に売れるのでその技術開発と生産の強化には力を入れた。
龍国はここでも各国の政府に働きかけ、それぞれの国民を奴隷のように使うのだった。
また、それぞれの国で当然ながら反乱やデモやテロなどが起こるが、それらについては龍国の特殊部隊が派遣され、現地警察や軍に紛れ込む形で、地元住民を弾圧していった。
特に現地住民への弾圧は、香港での独立運動を制圧した経験を活かし、地元の警察官を使うのではなく、他所から派遣した警官や軍の特殊部隊員を使った。
理由は現地の警官では手心を加えてしまうため、そこに住んでいない者を積極的に使えば非常に残虐なことも平気で行うことが出来るからだ。
また、彼らは特に西側諸国から入り込んできたマスコミに対して極めて暴力的だった。
彼らに自由に報道されてしまうと、要らぬ波風が立ってしまったり、特にアメリカやイギリス、EUなどの人権団体や保守派などからの批判にさらされてしまうので、「国内」で何が起こっているのかが外に漏れることを徹底的に止めた。
このように反対派に対してはかなり強引な弾圧を加え、逆らう者は「再教育施設」に送り込み、洗脳が完了するまで外に出さなかった。
だが、龍国の手先となって動く者には地位と利権を与え、基本的には国内のことは国内でまとめさせるようにした。
このようにして物語が始まった2040年ごろには龍国は東南アジア諸国のほぼ全域に対して非常に強力な支配体制を築き上げることに成功していたのだった。
彼らのやり方は旧共産党のそれを凌ぐほどしたたかで、2035年くらいまでは膨張する龍国経済の資金力にモノを言わせ、それら諸国に対しては経済的な結び付きを強めていた。
2012年に勃発した龍共内戦で1億人とも2億人とも言われる経済難民や戦争難民が龍国から周辺諸国やアメリカや他の先進国に流れ込んだわけだが、当時のそれら諸国は難民に対して非常に寛容でほぼ彼ら全てを受け入れていた。
それらを主導していたのは国連の人権理事会であったわけだが、ここは以前から龍国(旧中国)の資金にズブズブにやられてしまっていて、龍国にほぼ乗っ取られてしまっていた。
それらの動きを嫌ったアメリカなどは国連への分担金の支払いを停止したりしたものの、そのことが新たに常任理事国となった龍国の発言力を強める結果となってしまっていた。
この大規模な難民の受け入れにより、20年ほど経った頃にはそれぞれの国の中でその難民出身者が政府の各所に入り込んでいた。
それらの人は全てが全て龍国に対して協力的というわけではなかった。
元々が内戦などで迫害されて国を追われた人々なのだからそれは当然なのだが、龍国は彼らに対して「金」「女」「権力」「脅迫」を駆使して強引に龍国に対する協力者に仕立てていった。
金や権力に弱い者に対してはソレを与えることで協力者にし、従わない者に対しては弱みを握り脅迫してでも協力者に仕立てていった。
また、それでも非協力的な人には国に残した親戚・家族などを平気で人質にとり、脅すことで強引に協力者へと仕立てていった。
西側の先進諸国に対しても数多くそれらの工作員が浸透していったわけだが、彼らは特に経済界や財界に対して働きかけ、龍国への企業進出と投資を大々的に呼びかけた。
特に各国のマスコミはそれらの動きを大々的に後押しし、それに呼応した経済界も龍国に対して大きな支援や経済援助、投資、企業進出をするのだった。
ヨーロッパではEUからの英国の離脱と共に、緊縮財政が祟ったことによる経済の収縮が起こり、日本の「失われた30年」に匹敵するほどの経済的停滞を起こっていた。
つまり、当時、経済的に好調だったのは龍国と日本(のごく一部)だけだったわけだ。
龍国は、周辺諸国や先進国への浸透工作として「禁断の手法」へと手を出していく。
「臓器売買ビジネスの掌握」だ。
龍国がまず手を付けたのはウイグルとチベット人に対する弾圧だった。
ウイグル人とチベット人は過酷な環境での労働を強いられていたが、反抗的な人物は「再教育施設」と呼ばれた明るい監獄で徹底的な洗脳教育を施された。
また、仲間同士で密告が奨励され、仲間同士の信頼関係は崩壊、場合によっては子が親を売ることまで起こった。
全てのウイグル人とチベット人はDNA情報を取られ、どこかでそのDNAに適合する臓器の要望が出た場合、「失踪」し二度と帰って来なかった。
当然、ウイグルとチベットでは龍国の誕生に伴う内戦で大規模な反乱が起こったが、外国からの援助もなく、ほどなく武力により鎮圧された。
それらにより、なんとそれぞれの国で国民の約1/3が死亡、もしくは「失踪」したのだった。
龍国政府はこれらで得た「臓器」を金儲けだけでなく、各国の首脳や経済界の大物や各界の大物を釣り上げるために使った。
特にイスラム教を信じる国々のVIPにとって、同じくイスラム教徒で酒や豚肉を摂っていなかったウイグル人の臓器は重宝されたのだった。
また、龍国は国内が過去の強引な乱開発と公害の放置により農作物への汚染が進んだので、経済的に支配を進めた東南アジア諸国に対して自国民に食べさせる穀物や畜産物の生産を推し進め、それらの生産で得た食料品は龍国が優先的に安く買い上げる仕組みを作らせた。
ただ、それでもまだ足りないので、南シナ海や龍国の沿岸部で魚の養殖に力を入れた。
もちろん、その養殖技術を龍国に移転させたのも、日本の業者や大学の研究機関だった。
特にマグロやウナギなど、高級魚は非常に高価に売れるのでその技術開発と生産の強化には力を入れた。
龍国はここでも各国の政府に働きかけ、それぞれの国民を奴隷のように使うのだった。
また、それぞれの国で当然ながら反乱やデモやテロなどが起こるが、それらについては龍国の特殊部隊が派遣され、現地警察や軍に紛れ込む形で、地元住民を弾圧していった。
特に現地住民への弾圧は、香港での独立運動を制圧した経験を活かし、地元の警察官を使うのではなく、他所から派遣した警官や軍の特殊部隊員を使った。
理由は現地の警官では手心を加えてしまうため、そこに住んでいない者を積極的に使えば非常に残虐なことも平気で行うことが出来るからだ。
また、彼らは特に西側諸国から入り込んできたマスコミに対して極めて暴力的だった。
彼らに自由に報道されてしまうと、要らぬ波風が立ってしまったり、特にアメリカやイギリス、EUなどの人権団体や保守派などからの批判にさらされてしまうので、「国内」で何が起こっているのかが外に漏れることを徹底的に止めた。
このように反対派に対してはかなり強引な弾圧を加え、逆らう者は「再教育施設」に送り込み、洗脳が完了するまで外に出さなかった。
だが、龍国の手先となって動く者には地位と利権を与え、基本的には国内のことは国内でまとめさせるようにした。
このようにして物語が始まった2040年ごろには龍国は東南アジア諸国のほぼ全域に対して非常に強力な支配体制を築き上げることに成功していたのだった。
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