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第2章
日海軍の「戦略空母」
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ここで少し「戦略空母 赤城」についてお話ししておこう。
この空母の戦術的な目標は、小国であれば一国分に相当するほどの量の航空隊を搭載し、敵と日本国との間、もしくは付近に停泊し、敵機からの日本国本土や日本国所属の艦船、航空機など攻撃や脅威を防ぐことだ。
カンタンに言えば「敵の攻撃手段や侵攻手段を赤城でぶっこわーす!」だ。
だが「戦略空母」という名前を冠したのは、もちろん其れ相応の理由がある。
そもそも空母の存在目的は戦略的な目的とは切り離せないものだ。
「遠隔地への戦力投射」というのが通常の空母の存在意義なのだが、赤城の場合はそれ以外にも役目がある。
それは「都市機能」としての役目だ。
甲板上に3本存在する3500m級滑走路などは大型のジェット旅客機の発着を可能とするので民間の航空機の運用をしながら、ゼロ戦の運用が可能となる。
また、停止していれば多数の船舶の停泊も可能だし、数万人単位で居住可能な“街”も存在している。
小都市程度の都市インフラを備え、また病院なども完備しているので病院船としての機能も備えている。
災害の多い日本という国には本来、このような機能を持つ船が多数必要なハズだったのだ。
敵の立場になってみれば、いかにこの「赤城」が脅威か分かると思う。
ある日突然、目の前に一国規模の航空兵力が出現する可能性があるわけなのだから。
対艦ミサイルなどへの対処もこの赤城はかなり特殊なものだった。
そもそもが、極めて撃たれ強い素材(難燃化発泡材が構造物の主材料)で構成されている事に加え、甲板上に多数のスペースを持つことが可能なので、その気になればPAC-3やTHAADやアイアンドームなど対空防御兵器を大量に甲板上に置いたり、対空車両などを大量に置くことなどで強力な防御力を得ることが出来る。
その気になれば甲板上に即席の街を作ることさえ可能。
だが、本来の使用目的は「戦闘」に必要な機材や戦闘員、さらにはその家族など丸ごとを一箇所にまとめ移動させるものである。
だからこそ「戦略空母」という名前なのだが、普通の空母との大きな違いは、平時は「街」「空港」「港」、戦時は「空母」「要塞」、災害時は「避難先や病院船や倉庫」として多用途に活用出来るということだ。
つまり、この赤城は純粋な軍事目的で作られたわけではなく、仮に終戦を迎えたとしても前線に張り付いたままで国境監視の役目を負うことになるかもしれないし、また南海新都市の一部として経済活動に邁進することになるかもしれない。
そういうフレキシブルな使い方が可能な点が今までの空母とは大きく違うのだ。
通常の兵器だと、戦時以外は基本的に維持費のみがかかる経済的には負担でしかない存在な訳だが、
赤城の場合だと、平時は日本海の大和堆辺りの漁場付近に行っておいて、付近で操業している漁船の休憩地として燃料の補給や娯楽や良質な宿や食事を提供したり、
風光明媚な場所付近に移動して大規模な観光客の誘致に使っても良い。
また、太平洋の日本近海に大量に眠る海底資源の採掘の拠点として活用してもよい。
この様に経済的に活用する方法がいくらでも存在するわけだ。
仮に赤字になるような運用をする場合でも、日本国の公共事業に絡ませてやることで赤字を補填してもらうということも十分あり得る。
経済的にも活用する方法があるわけだが、軍事的にはもっと多くの活用法がある。
敵国からの侵略経路の要衝にこの赤城を移動させておけば難攻不落の要塞が突然現れる。
仮に龍国から軍事的な侵攻を受けている第三国がいたとして、その国の正式な要請があれば、国境や領海など関係なく大規模な戦力を他国にまで展開することも可能となってくる。
これなどは国内で日本に武力を持たせることを妨害しようとする工作員たちやおバカなデュープスが「軍隊を海外に送るのは憲法9条違反だ!」「軍靴の足音が聞こえる!」「他国に対する明らかな侵略行為だ!」「軍国主義への明らかな動きだ!」「戦前回帰だ!」などという的外れな批判が出てくるだろうが、
マスコミの大半や反日野党の面々は明らかに論理破綻していても「嘘も百回つけば本当になる」と信じているのでガンガンやってくると思われる。
戦略空母について話をもどすが、メガフロートをベースとしている事で建造費も普通の軍艦の建造費のことを思えばかなり安い部類に入る。
これは南海新都市を形成するメガフロートにも言えることだが、原料がそもそも都市から大量に出る可燃物ゴミであったり、本来、工業製品にならない木っ端などであるので、原料費はそもそもかなり安いのだ。
都市を形成している通常のメガフロートとの大きな違いは「動力があるかどうか」なのだが、逆に言えば動力さえくっ付ければメガフロートも「戦略空母」となるわけだ。
ちなみにメガフロートの移動は大型のタグボートを数十隻使って移動させるのだが、台風などでは基本的に移動はしない。
というのも、メガフロートは元々上部構造物はそれほどなく、居住区や重要施設の殆どは二階層以下に存在しているので、南海という暴風や強烈な日光を遮る工夫がされている。
メガフロートを固定するのには巨大なアンカーを何本も海底に垂らしているのだが、腐食を防ぐコーティングなどが入念にされているロープが使われている。
このロープは直径が5mもあり、数本海底のアンカーポイントに繋いでおけば少々の台風程度でメガフロートが流されることはない。
赤城は核融合発電による豊富な電力により最大で10kt(時速18キロ程度)の速度で航行出来る。
わずか10ノットしか出ないので通常の艦隊行動などは考慮されていないが、この巨大な船は多数のイ400KAIによって海中はガードされる。
ちなみに赤城は魚雷攻撃にも極めて強く、10本程度食らった程度ではビクともしない。
そもそもが強度がそこそこある、木材ベースで小さなセルに分かれた構造をしているので、単体で浮力があり、衝撃も吸収する効果があるので、もし攻撃を食らってダメージを受けたとしても浮力はある程度維持されるし、
その部分だけ新品の不燃性発泡材と交換しちゃえばいいわけだし、艦そのものが極めて幅広で巨大なため、片側に魚雷の攻撃を集中されたからといってバランスを崩して転覆することも考えられにくい。
つまり、中の住民を避難させておけば、敵の攻撃を敢えて受ける「盾」としての使い方も可能となるわけだ。
(後にこの特性を活かして“ある超有名戦艦”まで作ってしまうのだが、それはまた別の話)
日本本土から南海新都市への移転希望を出す企業が非常に多いのと、彼らの家族の中からも移住を希望する人間が相当数存在していたのだが、ご存知のように南海新都市では「移民」は意図して控えめにしていたので、慢性的な人手不足に悩まされていた。
そこで、肉体労働をサポートするパワードスーツも開発されたり、住民の多くが積極的に街の造成や新たなビジネスに邁進したことにより、少人数でやっている割に日本のGDPの半分近くを占めるほどに急成長を続けていた。
当然、少ない人数で効率よく作業効果を上げることになるわけなので個々の給料も日本本土と比べて格段に高い報酬を得る人が多数発生した。
2030年の時点で南海新都市での平均年収は1000万円近くにも達し、比較的給料の少ないサービス業などでのアルバイトの時給も平均して2500円ほどにもなっていた。
こうなると当然物価も急騰するものだが、物価は急騰しないようある程度規制されていたので、比較的低賃金の労働者にとっても住みやすい環境になっていた。
これは賛否両論あることなのだが、「通貨」は現金がほぼ使われていなくて、仮想通貨というか電子決済の通貨が使われていた。
こうすると個人情報がだだ漏れになってしまうという欠点もあるのだが、この南海新都市はそもそもが「防衛目的」で作られたこともあり、特にスパイに対しての警戒は並大抵ではなかったこともあり、ある程度、プライベートが侵害されることは仕方のないことだと考えられていた。
個人や各企業の資金の流れは監視センターのAIによりある程度監視されていて、不自然なお金の流れは国の機関と共同して調査することになっていた。
これに関しては導入当初、かなりの抵抗があったのだが、監視センターの運営を透明化させること、AIが得た情報も徹底して保護し、余程の事がない限り情報公開することは無くすことで参加企業の了承を得ることになった。
赤城の居住区についてだが通常、赤城への物資補給など物流は大型の貨物船を横付けして大型クレーンを使ってコンテナ単位で行われることが多い。
その為、建造当初、大量のコンテナが運び込まれたので、そのコンテナの一部を買い上げ、それらを改造することで住居などを作った。
これは南海新都市のメガフロート全般にも言えることだが、赤城の居住区もコンテナハウスが多い。
当然、コンテナハウスの施工を主に請け負っている業者も数多く存在し、それらが切磋琢磨しながらアイデア的に面白いもの、デザイン的に優れているもの、非常に機能的な作りとなっているもの、そして多少の被弾など耐えるシェルターとしての機能を付与されているものなどなど、多数のバリエーションのあるコンテナハウスが街を埋めた。
独身者が住む家は20ftや40ftのコンテナ一つで済ませているものが多いが、コンテナを複数積み上げたアパートメントタイプの家に住む者も多くいた。
居住区は20mほどの高さがあるため、天井の圧迫感はほぼなく、時間に応じて天井に多数取り付けられたLEDライトによって居住区の中は明るい雰囲気になっていた。
船の側面は巨大な防御壁を開くことが可能なので、全開させると内部の風通しは非常によくなるので、緯度が低い赤道付近に行っても比較的快適な環境を維持することが出来る。
風が強い場合や外部気温が低い場所に行く時は、外殻の防御壁を閉めることで外界と隔離することも出来る。
多くの住民は比較的裕福な生活をしていてもミニマムサイズのコンテナハウスを使い、そこは寝室として使用しておいて室外にテーブルや椅子などを用意して食事や友人とのティータイムを楽しむような人が多かった。
以前も書いたが中庭みたいな作りになった広場に付近の住民が集まり、暇な人が集まって食事の用意をすることや付近の子供を近所の老人や仕事をしていない女性やひまな人が面倒を見るグループが多くいたので、ここでは旦那さんの給料が良いこともあって女性が家にいて子守や家事、近所付き合いなどをする家族が非常に多くなっていた。
これらのこともあり、三人以上の子供を作る世帯も「戦場になるかもしれない」のに非常に多く、少子高齢化はここではあまり関係がないと思われるようになっていました。
(この傾向は赤城だけでなく、南海新都市全てに共通していた)
このコミュニティは戦時など緊急時にも活かされていて、敵の攻撃などがあれば付近の住民を避難させるシェルターになる頑丈な作りのコンテナハウスが用意されていて、それは普段は集会所などで活用されていた。
また、赤城では車の多くは純粋な乗用車ではなく、軽トラやオープントップのジープ型車両(主にランクルの幌車)などが推奨されていた。
これらの車両の荷台には、三脚が取り付けれるようになっていて、50キャリパーのM2ブローニング重機関銃や2連装対空機関砲ZU-23などを搭載出来るようになっていた。
普段は重いし危ないのでそれらの機関砲などは外しているが、いざ危機があればそれらを車の荷台に取り付け、甲板上や海面の不審船や敵船などを狙える位置に多数配置し、数百台もの車両からの猛烈な弾幕を張ることで脅威に対抗する方式が採られるのであった。
実は、この手法は後に龍国でも同じような対策をとられるようになり、対空ミサイルなどでまともに狙うことができないゼロ戦に対しての防御法として使われるようになる。
これはまた余談だが、レーダー波が使用不能になる状態での短~中距離ミサイルや航空機、ドローンなどによる攻撃は日海軍や龍国、双方とも頭を悩ますことになるわけだが、その防御法として双方ともいろいろなアイデアを振り絞り、今の常識ではちょっと考えられないような突飛な方策を双方とも次々打ち出すようになる。
丁度、第二次世界大戦中に、「どうしてこうなった?」と言いたくなるような珍兵器を次々と生み出したイギリスの様に(笑
戦時中というものは時間的な余裕もない中で非常に真剣にあれやこれやとアイデアを振り絞り、手当たり次第いろんな兵器を生み出すものなのだが、そういう状況が今後の日海軍と龍国の間でも繰り広げられるのだ。
・・・近い未来に。
この空母の戦術的な目標は、小国であれば一国分に相当するほどの量の航空隊を搭載し、敵と日本国との間、もしくは付近に停泊し、敵機からの日本国本土や日本国所属の艦船、航空機など攻撃や脅威を防ぐことだ。
カンタンに言えば「敵の攻撃手段や侵攻手段を赤城でぶっこわーす!」だ。
だが「戦略空母」という名前を冠したのは、もちろん其れ相応の理由がある。
そもそも空母の存在目的は戦略的な目的とは切り離せないものだ。
「遠隔地への戦力投射」というのが通常の空母の存在意義なのだが、赤城の場合はそれ以外にも役目がある。
それは「都市機能」としての役目だ。
甲板上に3本存在する3500m級滑走路などは大型のジェット旅客機の発着を可能とするので民間の航空機の運用をしながら、ゼロ戦の運用が可能となる。
また、停止していれば多数の船舶の停泊も可能だし、数万人単位で居住可能な“街”も存在している。
小都市程度の都市インフラを備え、また病院なども完備しているので病院船としての機能も備えている。
災害の多い日本という国には本来、このような機能を持つ船が多数必要なハズだったのだ。
敵の立場になってみれば、いかにこの「赤城」が脅威か分かると思う。
ある日突然、目の前に一国規模の航空兵力が出現する可能性があるわけなのだから。
対艦ミサイルなどへの対処もこの赤城はかなり特殊なものだった。
そもそもが、極めて撃たれ強い素材(難燃化発泡材が構造物の主材料)で構成されている事に加え、甲板上に多数のスペースを持つことが可能なので、その気になればPAC-3やTHAADやアイアンドームなど対空防御兵器を大量に甲板上に置いたり、対空車両などを大量に置くことなどで強力な防御力を得ることが出来る。
その気になれば甲板上に即席の街を作ることさえ可能。
だが、本来の使用目的は「戦闘」に必要な機材や戦闘員、さらにはその家族など丸ごとを一箇所にまとめ移動させるものである。
だからこそ「戦略空母」という名前なのだが、普通の空母との大きな違いは、平時は「街」「空港」「港」、戦時は「空母」「要塞」、災害時は「避難先や病院船や倉庫」として多用途に活用出来るということだ。
つまり、この赤城は純粋な軍事目的で作られたわけではなく、仮に終戦を迎えたとしても前線に張り付いたままで国境監視の役目を負うことになるかもしれないし、また南海新都市の一部として経済活動に邁進することになるかもしれない。
そういうフレキシブルな使い方が可能な点が今までの空母とは大きく違うのだ。
通常の兵器だと、戦時以外は基本的に維持費のみがかかる経済的には負担でしかない存在な訳だが、
赤城の場合だと、平時は日本海の大和堆辺りの漁場付近に行っておいて、付近で操業している漁船の休憩地として燃料の補給や娯楽や良質な宿や食事を提供したり、
風光明媚な場所付近に移動して大規模な観光客の誘致に使っても良い。
また、太平洋の日本近海に大量に眠る海底資源の採掘の拠点として活用してもよい。
この様に経済的に活用する方法がいくらでも存在するわけだ。
仮に赤字になるような運用をする場合でも、日本国の公共事業に絡ませてやることで赤字を補填してもらうということも十分あり得る。
経済的にも活用する方法があるわけだが、軍事的にはもっと多くの活用法がある。
敵国からの侵略経路の要衝にこの赤城を移動させておけば難攻不落の要塞が突然現れる。
仮に龍国から軍事的な侵攻を受けている第三国がいたとして、その国の正式な要請があれば、国境や領海など関係なく大規模な戦力を他国にまで展開することも可能となってくる。
これなどは国内で日本に武力を持たせることを妨害しようとする工作員たちやおバカなデュープスが「軍隊を海外に送るのは憲法9条違反だ!」「軍靴の足音が聞こえる!」「他国に対する明らかな侵略行為だ!」「軍国主義への明らかな動きだ!」「戦前回帰だ!」などという的外れな批判が出てくるだろうが、
マスコミの大半や反日野党の面々は明らかに論理破綻していても「嘘も百回つけば本当になる」と信じているのでガンガンやってくると思われる。
戦略空母について話をもどすが、メガフロートをベースとしている事で建造費も普通の軍艦の建造費のことを思えばかなり安い部類に入る。
これは南海新都市を形成するメガフロートにも言えることだが、原料がそもそも都市から大量に出る可燃物ゴミであったり、本来、工業製品にならない木っ端などであるので、原料費はそもそもかなり安いのだ。
都市を形成している通常のメガフロートとの大きな違いは「動力があるかどうか」なのだが、逆に言えば動力さえくっ付ければメガフロートも「戦略空母」となるわけだ。
ちなみにメガフロートの移動は大型のタグボートを数十隻使って移動させるのだが、台風などでは基本的に移動はしない。
というのも、メガフロートは元々上部構造物はそれほどなく、居住区や重要施設の殆どは二階層以下に存在しているので、南海という暴風や強烈な日光を遮る工夫がされている。
メガフロートを固定するのには巨大なアンカーを何本も海底に垂らしているのだが、腐食を防ぐコーティングなどが入念にされているロープが使われている。
このロープは直径が5mもあり、数本海底のアンカーポイントに繋いでおけば少々の台風程度でメガフロートが流されることはない。
赤城は核融合発電による豊富な電力により最大で10kt(時速18キロ程度)の速度で航行出来る。
わずか10ノットしか出ないので通常の艦隊行動などは考慮されていないが、この巨大な船は多数のイ400KAIによって海中はガードされる。
ちなみに赤城は魚雷攻撃にも極めて強く、10本程度食らった程度ではビクともしない。
そもそもが強度がそこそこある、木材ベースで小さなセルに分かれた構造をしているので、単体で浮力があり、衝撃も吸収する効果があるので、もし攻撃を食らってダメージを受けたとしても浮力はある程度維持されるし、
その部分だけ新品の不燃性発泡材と交換しちゃえばいいわけだし、艦そのものが極めて幅広で巨大なため、片側に魚雷の攻撃を集中されたからといってバランスを崩して転覆することも考えられにくい。
つまり、中の住民を避難させておけば、敵の攻撃を敢えて受ける「盾」としての使い方も可能となるわけだ。
(後にこの特性を活かして“ある超有名戦艦”まで作ってしまうのだが、それはまた別の話)
日本本土から南海新都市への移転希望を出す企業が非常に多いのと、彼らの家族の中からも移住を希望する人間が相当数存在していたのだが、ご存知のように南海新都市では「移民」は意図して控えめにしていたので、慢性的な人手不足に悩まされていた。
そこで、肉体労働をサポートするパワードスーツも開発されたり、住民の多くが積極的に街の造成や新たなビジネスに邁進したことにより、少人数でやっている割に日本のGDPの半分近くを占めるほどに急成長を続けていた。
当然、少ない人数で効率よく作業効果を上げることになるわけなので個々の給料も日本本土と比べて格段に高い報酬を得る人が多数発生した。
2030年の時点で南海新都市での平均年収は1000万円近くにも達し、比較的給料の少ないサービス業などでのアルバイトの時給も平均して2500円ほどにもなっていた。
こうなると当然物価も急騰するものだが、物価は急騰しないようある程度規制されていたので、比較的低賃金の労働者にとっても住みやすい環境になっていた。
これは賛否両論あることなのだが、「通貨」は現金がほぼ使われていなくて、仮想通貨というか電子決済の通貨が使われていた。
こうすると個人情報がだだ漏れになってしまうという欠点もあるのだが、この南海新都市はそもそもが「防衛目的」で作られたこともあり、特にスパイに対しての警戒は並大抵ではなかったこともあり、ある程度、プライベートが侵害されることは仕方のないことだと考えられていた。
個人や各企業の資金の流れは監視センターのAIによりある程度監視されていて、不自然なお金の流れは国の機関と共同して調査することになっていた。
これに関しては導入当初、かなりの抵抗があったのだが、監視センターの運営を透明化させること、AIが得た情報も徹底して保護し、余程の事がない限り情報公開することは無くすことで参加企業の了承を得ることになった。
赤城の居住区についてだが通常、赤城への物資補給など物流は大型の貨物船を横付けして大型クレーンを使ってコンテナ単位で行われることが多い。
その為、建造当初、大量のコンテナが運び込まれたので、そのコンテナの一部を買い上げ、それらを改造することで住居などを作った。
これは南海新都市のメガフロート全般にも言えることだが、赤城の居住区もコンテナハウスが多い。
当然、コンテナハウスの施工を主に請け負っている業者も数多く存在し、それらが切磋琢磨しながらアイデア的に面白いもの、デザイン的に優れているもの、非常に機能的な作りとなっているもの、そして多少の被弾など耐えるシェルターとしての機能を付与されているものなどなど、多数のバリエーションのあるコンテナハウスが街を埋めた。
独身者が住む家は20ftや40ftのコンテナ一つで済ませているものが多いが、コンテナを複数積み上げたアパートメントタイプの家に住む者も多くいた。
居住区は20mほどの高さがあるため、天井の圧迫感はほぼなく、時間に応じて天井に多数取り付けられたLEDライトによって居住区の中は明るい雰囲気になっていた。
船の側面は巨大な防御壁を開くことが可能なので、全開させると内部の風通しは非常によくなるので、緯度が低い赤道付近に行っても比較的快適な環境を維持することが出来る。
風が強い場合や外部気温が低い場所に行く時は、外殻の防御壁を閉めることで外界と隔離することも出来る。
多くの住民は比較的裕福な生活をしていてもミニマムサイズのコンテナハウスを使い、そこは寝室として使用しておいて室外にテーブルや椅子などを用意して食事や友人とのティータイムを楽しむような人が多かった。
以前も書いたが中庭みたいな作りになった広場に付近の住民が集まり、暇な人が集まって食事の用意をすることや付近の子供を近所の老人や仕事をしていない女性やひまな人が面倒を見るグループが多くいたので、ここでは旦那さんの給料が良いこともあって女性が家にいて子守や家事、近所付き合いなどをする家族が非常に多くなっていた。
これらのこともあり、三人以上の子供を作る世帯も「戦場になるかもしれない」のに非常に多く、少子高齢化はここではあまり関係がないと思われるようになっていました。
(この傾向は赤城だけでなく、南海新都市全てに共通していた)
このコミュニティは戦時など緊急時にも活かされていて、敵の攻撃などがあれば付近の住民を避難させるシェルターになる頑丈な作りのコンテナハウスが用意されていて、それは普段は集会所などで活用されていた。
また、赤城では車の多くは純粋な乗用車ではなく、軽トラやオープントップのジープ型車両(主にランクルの幌車)などが推奨されていた。
これらの車両の荷台には、三脚が取り付けれるようになっていて、50キャリパーのM2ブローニング重機関銃や2連装対空機関砲ZU-23などを搭載出来るようになっていた。
普段は重いし危ないのでそれらの機関砲などは外しているが、いざ危機があればそれらを車の荷台に取り付け、甲板上や海面の不審船や敵船などを狙える位置に多数配置し、数百台もの車両からの猛烈な弾幕を張ることで脅威に対抗する方式が採られるのであった。
実は、この手法は後に龍国でも同じような対策をとられるようになり、対空ミサイルなどでまともに狙うことができないゼロ戦に対しての防御法として使われるようになる。
これはまた余談だが、レーダー波が使用不能になる状態での短~中距離ミサイルや航空機、ドローンなどによる攻撃は日海軍や龍国、双方とも頭を悩ますことになるわけだが、その防御法として双方ともいろいろなアイデアを振り絞り、今の常識ではちょっと考えられないような突飛な方策を双方とも次々打ち出すようになる。
丁度、第二次世界大戦中に、「どうしてこうなった?」と言いたくなるような珍兵器を次々と生み出したイギリスの様に(笑
戦時中というものは時間的な余裕もない中で非常に真剣にあれやこれやとアイデアを振り絞り、手当たり次第いろんな兵器を生み出すものなのだが、そういう状況が今後の日海軍と龍国の間でも繰り広げられるのだ。
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