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3章 記憶の秘密と私の選択
10話 掴んだ痕跡(美咲編2)
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(彼の痕跡)
震災から約6カ月が経過した。
高瀬美咲は仕事のかたわらで生存者の情報掲示板を定期的に確認し、恋人の消息を探す生活を続けていた。
しかし、日に日に掲示板を探す美咲の手は重くなっていった。
緑山町には二度足を運んだが、彼を見つけることは出来なかった。
最初は彼を探すことを応援していた両親や友人も、最近は気を使いながらも「新しい出会いをゆっくり探してみるのも良いかもしれないよ」と、言葉を選びながら現実的な選択を促してきている。
彼の生存を信じたいが、見つからない日々の絶望が美咲の心を擦り減らしていた。
時折、彼との写真やLINEを見て、彼との楽しかった日々を思い出し、立ち上がっていた。
そんな彼女には、時折行うもう一つの習慣があった。
(メールアドレスは…で、暗証番号は誕生日と西暦だったかな)
「デバイスを探す」という、紛失したスマホを探すアプリを起動したときに、大きな衝撃を受けた。
美咲「え!!!…10時間前にGPSの反応がある。場所は…八丘町の小学校付近だ。なんで違う町にいるの。」
美咲は彼の暗証番号が単純であったため、彼のスマホのIDにログインできたのだった。
美咲「電話は…ダメだ電源が入っていない。」
彼女の中で希望が爆発した。会社の上司に連絡をし、明日は休暇を取ると連絡した。
美咲「ゆうくんが生きているかもしれない。会えるかもしれない。」
彼にまた会えるかもしれない。その事実が彼女の心を再び支え直した。
彼女の長きに渡る努力は、小さな彼の痕跡を掴んだのだ。
(山下さん)
翌朝。
身支度をし、朝食を終えて彼女は車を走らせた。
緑山町へのドライブはいつも悲しく、長く感じるドライブであった。
ただ、今回のドライブは違った。
心が踊るドライブだった。
八丘町の小学校に着いた美咲は、これまでと同様に聞き込みを開始した。
美咲「こんにちは、今よろしいですか?人を探していて、この顔の人を知りませんか?」
顔写真を手に、通りすがりの人に声をかけた。
・一人目
女性1「なんか見たことある気がするね。他の人に聞いたら分かるかも。」
・二人目
女性2「知らないわね。名前が分かるなら避難所のリーダーの人なら名簿持っているわよ。」
美咲は、リーダーに会うことを進められたため、小学校の体育館に赴いた。
事前に彼の名前が生存者名簿に無いことを知っていたたが、小さな可能性も大事にしたかったのだ。
美咲「こんにちは。高瀬と申します。人を探していて、避難所に所属している人の名簿を確認させていただけませんか?」
リーダー「いいですよ。お名前は?」
美咲はゆっくりと彼の名前を口にした。
「山下祐司です。」
リーダー「山下祐司さん。うーん、いませんね。森山祐司さんという人はいますけど。…写真とかありますか?」
美咲「こちらです。」
リーダー「あー、この人は、山下絵名さんと一緒にいる森山祐司くんね。」
美咲「…え!その山下さんのお家を教えてください。」
住所を教えてもらい、美咲はその場から駆け出した。
彼は生きている。
性がなぜ違うかは分からない。ただ、妹の絵名さんと今もきっと生きている。
そして、美咲は山下さんの家、恋人である祐司の家の前にたどり着いたのだった。
震災から約6カ月が経過した。
高瀬美咲は仕事のかたわらで生存者の情報掲示板を定期的に確認し、恋人の消息を探す生活を続けていた。
しかし、日に日に掲示板を探す美咲の手は重くなっていった。
緑山町には二度足を運んだが、彼を見つけることは出来なかった。
最初は彼を探すことを応援していた両親や友人も、最近は気を使いながらも「新しい出会いをゆっくり探してみるのも良いかもしれないよ」と、言葉を選びながら現実的な選択を促してきている。
彼の生存を信じたいが、見つからない日々の絶望が美咲の心を擦り減らしていた。
時折、彼との写真やLINEを見て、彼との楽しかった日々を思い出し、立ち上がっていた。
そんな彼女には、時折行うもう一つの習慣があった。
(メールアドレスは…で、暗証番号は誕生日と西暦だったかな)
「デバイスを探す」という、紛失したスマホを探すアプリを起動したときに、大きな衝撃を受けた。
美咲「え!!!…10時間前にGPSの反応がある。場所は…八丘町の小学校付近だ。なんで違う町にいるの。」
美咲は彼の暗証番号が単純であったため、彼のスマホのIDにログインできたのだった。
美咲「電話は…ダメだ電源が入っていない。」
彼女の中で希望が爆発した。会社の上司に連絡をし、明日は休暇を取ると連絡した。
美咲「ゆうくんが生きているかもしれない。会えるかもしれない。」
彼にまた会えるかもしれない。その事実が彼女の心を再び支え直した。
彼女の長きに渡る努力は、小さな彼の痕跡を掴んだのだ。
(山下さん)
翌朝。
身支度をし、朝食を終えて彼女は車を走らせた。
緑山町へのドライブはいつも悲しく、長く感じるドライブであった。
ただ、今回のドライブは違った。
心が踊るドライブだった。
八丘町の小学校に着いた美咲は、これまでと同様に聞き込みを開始した。
美咲「こんにちは、今よろしいですか?人を探していて、この顔の人を知りませんか?」
顔写真を手に、通りすがりの人に声をかけた。
・一人目
女性1「なんか見たことある気がするね。他の人に聞いたら分かるかも。」
・二人目
女性2「知らないわね。名前が分かるなら避難所のリーダーの人なら名簿持っているわよ。」
美咲は、リーダーに会うことを進められたため、小学校の体育館に赴いた。
事前に彼の名前が生存者名簿に無いことを知っていたたが、小さな可能性も大事にしたかったのだ。
美咲「こんにちは。高瀬と申します。人を探していて、避難所に所属している人の名簿を確認させていただけませんか?」
リーダー「いいですよ。お名前は?」
美咲はゆっくりと彼の名前を口にした。
「山下祐司です。」
リーダー「山下祐司さん。うーん、いませんね。森山祐司さんという人はいますけど。…写真とかありますか?」
美咲「こちらです。」
リーダー「あー、この人は、山下絵名さんと一緒にいる森山祐司くんね。」
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住所を教えてもらい、美咲はその場から駆け出した。
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