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3章 記憶の秘密と私の選択
13話 再開の後は
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部屋に残った祐司と美咲は、話を続けた。
美咲「ゆうくんはもう全部思い出したの?」
心配そうに見つめる美咲。
祐司「んー、記憶喪失の前が少し抜けている気がするけど、大体覚えていると思うよ。」
美咲「じゃあ、私とゆうくんはどうやって付き合ったか覚えている?」
祐司「大学終わりに2人でバスケットをやって、それが終わった帰り道に、俺がみさちゃんの手を繋いで告白したね。…3回目の。」
照れたように笑う祐司。
美咲「完璧だね。あの時は、ゆうくんの根気の強さには恐れいったと思ったよ。」
祐司「鉄壁のみさちゃんの攻略には、根気強さしかないと思ってたんだ。」
祐司「みさちゃんは、震災の時は大丈夫だった?今どこに住んでいるの?」
美咲「震災で私の町もだいぶ壊れちゃったから、今は実家の山梨県に戻っている。務めていた出版社はリモートワークを許してくれていて、出社は少なくして実家で働いているよ。」
祐司「それは、良かった。1人だったら寂しいもんね。」
美咲「実家でもすごい寂しかったよ。ゆうくん…と連絡取れないことが辛かった。」
声が震える。我慢していた気持ちがあふれる。
祐司「ごめん、みさちゃん。なんか少し痩せたね。すごい苦労かけちゃった。」
美咲を抱きしめ、唇を重ねた。長い空白を埋めるように。
美咲「ありがとう、もう大丈夫。」
祐司「そっか、それなら良かった。そういえば、みさちゃんはどうして僕が八丘町にいることが分かったの?」
美咲「本当に大変だったよ。緑山町の情報集めたり、緑山町の避難所を探したりしていたけど、全然見つからなくて。もう無理だって言われても、信じてた。そうしたら奇跡が起きてね、半年間全く掴めなかったゆうくんのスマホのGPSを最近掴んだの。それが八丘町で。
あ!ごめん、ゆうくんのIDとパスを使ってGPS調べていたの…許して。」
祐司「パスを横見してたね(笑)全然気にしないよ。むしろありがとうって言うべきだ。
そうか、あの時スマホの電源を入れたから…そんな見つけ方があるとは、みさちゃんはやっぱり賢いね。」
美咲「えっへん!ってね。実は会社の友達に教えてもらったんだ。」
祐司は心が強く、明るい彼女だから好きになったんだと再認識した。
(震災前の状況について話す2人)
美咲「ゆうくん、今後のことなんだけどね。良かったら、一緒に山梨県に行って、2人で新しいアパート借りて住まないかな?私の会社の取引先の社長さんがね、若い人が不足していて、ゆうくんにやる気があれば雇っても良いって言ってるの。」
「妹さんのことがあるから、なかなか難しいかもだけど。」
美咲は、浴室のドアの方を見た。
祐司「そうだね。すごいありがたいし、みさちゃんと同棲とかすごい楽しそうだね。」
言葉にした瞬間、胸の奥にわずかな痛みが走り、 絵名の笑顔が、頭によぎった。
美咲「間違ってはいないけど、そんな言われ方すると恥ずかしいな。」
美咲は照れて、祐司の方を頭を小突いた。
祐司「みさちゃんの言う通り…絵名のことは考えないといけないね。」
美咲「そこは、お二人で話してみて…とても大事な決断だと思うから。私は、妹さんには悪いと思ってるけど、ゆうくんと一緒に暮らしたいと思っているよ。」
祐司「ありがとう…絵名と話をしないとだね。」
祐司もまた、浴室のドアを見た。絵名の声はもう漏れていなかった。
美咲「私、少し外の空気吸ってくるね。2人でしか話せないこともあると思うしね。妹さんと本音で話して来なよ。」
祐司「ありがとう。行ってくるね。」
美咲「行ってらっしゃい。カッコいいお兄ちゃんの姿を見せてあげな。」
美咲に発破をかけられ、祐司は立ち上がり浴室の方に向かった。
浴室のドアは、黒く大きく彼の前にそびえ立っていた。
美咲「ゆうくんはもう全部思い出したの?」
心配そうに見つめる美咲。
祐司「んー、記憶喪失の前が少し抜けている気がするけど、大体覚えていると思うよ。」
美咲「じゃあ、私とゆうくんはどうやって付き合ったか覚えている?」
祐司「大学終わりに2人でバスケットをやって、それが終わった帰り道に、俺がみさちゃんの手を繋いで告白したね。…3回目の。」
照れたように笑う祐司。
美咲「完璧だね。あの時は、ゆうくんの根気の強さには恐れいったと思ったよ。」
祐司「鉄壁のみさちゃんの攻略には、根気強さしかないと思ってたんだ。」
祐司「みさちゃんは、震災の時は大丈夫だった?今どこに住んでいるの?」
美咲「震災で私の町もだいぶ壊れちゃったから、今は実家の山梨県に戻っている。務めていた出版社はリモートワークを許してくれていて、出社は少なくして実家で働いているよ。」
祐司「それは、良かった。1人だったら寂しいもんね。」
美咲「実家でもすごい寂しかったよ。ゆうくん…と連絡取れないことが辛かった。」
声が震える。我慢していた気持ちがあふれる。
祐司「ごめん、みさちゃん。なんか少し痩せたね。すごい苦労かけちゃった。」
美咲を抱きしめ、唇を重ねた。長い空白を埋めるように。
美咲「ありがとう、もう大丈夫。」
祐司「そっか、それなら良かった。そういえば、みさちゃんはどうして僕が八丘町にいることが分かったの?」
美咲「本当に大変だったよ。緑山町の情報集めたり、緑山町の避難所を探したりしていたけど、全然見つからなくて。もう無理だって言われても、信じてた。そうしたら奇跡が起きてね、半年間全く掴めなかったゆうくんのスマホのGPSを最近掴んだの。それが八丘町で。
あ!ごめん、ゆうくんのIDとパスを使ってGPS調べていたの…許して。」
祐司「パスを横見してたね(笑)全然気にしないよ。むしろありがとうって言うべきだ。
そうか、あの時スマホの電源を入れたから…そんな見つけ方があるとは、みさちゃんはやっぱり賢いね。」
美咲「えっへん!ってね。実は会社の友達に教えてもらったんだ。」
祐司は心が強く、明るい彼女だから好きになったんだと再認識した。
(震災前の状況について話す2人)
美咲「ゆうくん、今後のことなんだけどね。良かったら、一緒に山梨県に行って、2人で新しいアパート借りて住まないかな?私の会社の取引先の社長さんがね、若い人が不足していて、ゆうくんにやる気があれば雇っても良いって言ってるの。」
「妹さんのことがあるから、なかなか難しいかもだけど。」
美咲は、浴室のドアの方を見た。
祐司「そうだね。すごいありがたいし、みさちゃんと同棲とかすごい楽しそうだね。」
言葉にした瞬間、胸の奥にわずかな痛みが走り、 絵名の笑顔が、頭によぎった。
美咲「間違ってはいないけど、そんな言われ方すると恥ずかしいな。」
美咲は照れて、祐司の方を頭を小突いた。
祐司「みさちゃんの言う通り…絵名のことは考えないといけないね。」
美咲「そこは、お二人で話してみて…とても大事な決断だと思うから。私は、妹さんには悪いと思ってるけど、ゆうくんと一緒に暮らしたいと思っているよ。」
祐司「ありがとう…絵名と話をしないとだね。」
祐司もまた、浴室のドアを見た。絵名の声はもう漏れていなかった。
美咲「私、少し外の空気吸ってくるね。2人でしか話せないこともあると思うしね。妹さんと本音で話して来なよ。」
祐司「ありがとう。行ってくるね。」
美咲「行ってらっしゃい。カッコいいお兄ちゃんの姿を見せてあげな。」
美咲に発破をかけられ、祐司は立ち上がり浴室の方に向かった。
浴室のドアは、黒く大きく彼の前にそびえ立っていた。
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