果て無き異世界漂流記

秋の宿

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第二話

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15分程度歩いただろうか。
森を抜け、街中に入るための街門がすぐそこに見える。

それにしても、危険と思われるオオルトルードの森まで15分程度って普通にやばくないか?それとも最近に許可が必要になったのか…?
…お、ちょっと考えてる内に着いたみたいだな。俺何も持ってないが大丈夫か?パスポート的なのも無いし団長に任せるしかないな。

そんなことを考えていると、街門の近くに居た兵士と言えばいいだろうか、材質は鉄で縦に長く、顔だけ空いて作られた昔のローマ兵のヘルメットを被った人が近づいてきた。その人は黒髪黒眼と真面目そうな人だった。

「いつもお疲れ様です団長。こちらはいつも通り問題ありません」
「ご苦労。オルトの隣に居る彼は、転移罠か何かを踏んでしまいこちらへ来たようだ」
「転移罠ですか…。そういえばここ最近、またロドリグの方でも行方不明者が続出しているらしいです。彼もそれの被害者でしょうか…」
「分からん。しかし、それならば彼が行方不明者続出、または別の事件の解決の糸口になるかもしれんな。やはりギルドと我らだけで対処するとしよう」
「ええ。それではよろしくお願い致します」

そう言って彼は門を開けてくれた。そして俺は街の中へと入っていく。
街中に入った感想を言うならば、まさに壮観!という感じだ。家が建ち並び、側には花壇が建てられ、子供達が鬼ごっこをして遊んでる。まさに美しく微笑ましい光景である。
この光景を見てオルトはどう思うのかと思い、少し後ろを向いてみた。

チラッ

「……フン」

デ、デレたのか!?あんな殺気ビンビンだったオルトが!?……まだ根は優しいのかもしれない。
街の光景とオルトの反応に驚愕しながら、何やら円上の大きな建物に着いた。ここが冒険者ギルドだろうか。
中々に大きいのでつい足を踏み入れてしまった。

「冒険者ギルドへようこそ!!」

受付嬢と思われる青い服を着た金髪の女性が元気に挨拶してくる。

「あ、どうもこんにちは」

こんな気の抜けた返し方しか出来ない自分に恥ずかしくなる。あぁ…陰キャっぷりに磨きががが。
そんな事を思ってる内に受付嬢が続きを話す。

「冒険者ギルドは初めてですか?一からお教え致しましょうか?」
「いや、それに関しては私から伝えておこう」

ルーク団長が受付嬢へ返答する。その瞬間、受付嬢の顔がぽかんとした顔になる。いや、受付嬢だけでない。ギルド内に居る全員がぽかんとしている。
どういうことだ??

「だだだっだだだだだあああ団長!?!?!?」
「久しぶりだな。とりあえず奥の部屋に彼を含め私たち3人を入れてくれ。」
「はははハイ!!」

なんでこんな驚いてるんだ?もしかしてあまり顔を出さない英雄的なポジションなんだろうか。

「おいおい本物のルーク団長だぜ!!」
「いつぶりだ!?」
「あの赤龍を倒したという…」
「俺初めて見たわ!」
「かっけぇ……」
「流石でいらっしゃいますルーク様…」
「一緒に寝たいな…」

外野の評価もかなり良い。しかも赤龍とか何かヤバそうな単語も聞こえたし…ガチの英雄なんじゃないか!?まぁちょっと最後のは分からないが…。

「達也君、オルト、来たまえ。こちらだ」

団長に呼ばれた方に行くと、まさに受付室と言えば良いのだろうか。こう、少し高級感のあるソファーと透明な机が用意されている。部屋の端には気で作られた本棚といくつもの資料が並べられている。

「二人とも座ってくれ」

そう言われ俺とオルトは座る。オルトの横は避けたかったのだが、団長が端に座ってしまったために強制的に俺とオルトが隣になってしまった。ナンテコッタイ。

「い、今ギルマスを呼んで参ります!!」

そう言って先ほどの受付嬢は、隣の部屋に入っていった。
その10秒後、呼ばれたであろうギルマスが扉から出てくる。
身長は166cmといったところだろうか。眼鏡をかけ、長い髪は結ったのか一つにまとめられている。服は紫寄りの紺色、それでいてスタイルも良い。OLという感じが似合いそうな女性が出てきた。
開口一番、彼女が放った言葉は

「どこに行ってらしたの?」

ゾクリ。全身の鳥肌が立つ。オルトもビクリとしたようだ。ギルマスは笑顔だが目が笑っていない。

「少しロドリグの町の方を調査した後、一旦戻ってきたのだ。仕事を任せてすまなかった」

先ほどまでドンと構えてたはずの団長さえ汗を流している。

「いえいえ良いのですよ。貴方にも各地に赴く仕事はあるでしょうし。ただ、半年近く”団”の仕事も私に任せていたのはどこの誰でしたでしょうか?」

「本当にすまなかった!反省はしている……」

あの団長が静かに頭を下げている。凄い光景だな。

静寂が続くこと約10秒。ついにギルマスの口が再び開いた。

「まぁ良いでしょう。許してあげます。ただ、そんな中帰ってきたと言うことは何かあったのでしょう?そちらを教えていただきたいものですね」

「ああ。実はロドリグの行方不明者続出について進展があるかもしれないんだ」

「進展ですか。というと、もしやこの方が?」

「そうだ。彼の名は柊 達也。どうやら記憶喪失らしい。例の事件の被害者かもしれないし保護することにしたよ」

「そうでしたか。では彼も『紅の集い』に?」

「ああ。そのつもりだ」

何か勝手に話が進んでいってるな。何だ紅の集いって。多分団長の団のことだろうけど、俺は日本で生きてきた一般人だぞ?とてもじゃないが、そんな所に行けるとは思えない…。
ここは拒否した方が良いか?でもこの世界について何も分からないな。どうするべきだろうか。

その時俺は一人で考えすぎていたのだろう。俺の隣でわなわなと震えだし、今にも爆発しそうな程に顔を赤くするオルトの姿があったのだ。

ダンッ!!

突如としてオルトが立ち上がる。それと同時に彼は叫んだ。

「いい加減にしろッ!!」

非常にドスのきいた声だ。そこら辺の不良ですら怖がるだろう。

「黙って聞いてりゃこのクソ野郎を団に入れるだと?『紅の集い』はただの仲良しこよしの集まりじゃねぇ。特に危険とされている魔物を狩る特殊集団だ。ゴブリンの生首一つに恐れてたクソ雑魚野郎のこいつを入れるなんて言語道断だろうが!!……強ぇ魔物と戦っていくのならいつかきっと”奴”と出会う。だから俺はこの団に入ったんだ!!」

怒りながらそう言うオルトの顔は泣く寸前の子供の様だ。”奴”という存在が一体何をしたのだろうか。
まぁ、それについては置いておくとして、実際彼が言うことは事実である。何も分からない状態で異世界に漂流、街から出れば化け物が跋扈している上に、特別に強い魔物を狩る集団に俺が居るというのはお互いに非効率だ。足を引っ張る予感しかない。それを抜きにしても死ぬ可能性の方が高すぎるのだ。

「オルト。お前はよく暴走する。お前自身強いが、それを止める役割を持つ者が必要だ。彼はその役割において最適な人材なのだ」


「あ?俺にはそんなん必要ねぇよ」

「確かに君と最初に会ったときと比べればずいぶんと自制出来るようになった。しかしまだ十分ではない。だが……ふむ。建前では君は納得しないだろう。分かった。本音を言おう。達也君、彼を『特定重要保護監視人物』に指定し、我々『紅の集い』と『ピークの街冒険者ギルド』が管理する。今や連続行方不明事件はリルム王国全体の問題になりつつある。しかし、王達は何も対策を打とうとはしない。不審な行動も多くなってきているようだ。つまり、この王国が何かを企てている可能性があるということだ」

「……王国がキナ臭いということですね。そんな状態で解決の糸口になるかもしてない俺を王国が放置するわけがない」

「そう。だからこそ、我々とこの冒険者ギルドで保護し、秘密裏に団員として入団させ我々で秘密を暴く。その実、『紅の集い』はただの便利屋ではない。先代の王が、不正を暴き、正しき国に導くために組織した団なのだ。この事を知る団員は少数だが、話す必要があると思っていてな」

何か相当な機密情報を聞いている気がするんだが大丈夫なのか。オルトとギルマスだけならまだしも、俺にそこまで話すというのは相当リスキーなはずだ。

それはオルトも同じだったようで、困惑の表情を浮かべている。

「まだ会っても間もない君たちだが、話しても良いだろうと判断した。それに、関係が深まるにつれ私達の行動に不信感を抱かれても困るからな」

確かに、『紅の集い』として長い間活動していけば怪しい行動に対して不信感を持つことは否めないだろうな。だが、そもそもこの話…

「「その話は本当なのか」」

……オルトと被ったな。けどこいつも同じ結論に至ったか。
当のオルトも、お前もかよという顔でこちらを見ている。
そんな中、団長が口を開く。

「もちろんだ。我々は表面上ただの団として活動しているが、秘密裏に行動をする組織でもある。良いだろう。その証拠として、これから本来の『組織』に君たちを連れて行こう」

そう言った団長は、俺たちに来いという様に手をクイクイと動かした。
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