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エルフのフルル

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「昨日は突然訪れたにも関わらず、さらに倒れたところを看病までしていただき何とお礼を言ったら良いか‥‥‥」
 部屋に入った俺たちにベッドから起き上がって深々と頭を下げるエルフさん。

「相当お疲れだった様子ですね。ここはテオドール、こちらが村長のテオさん。俺はエドガーでこっちがティナです」
「ティナです、体調はどうですか?」

「フルルと申します。本当にありがとうございます。そしてなんていう巡り合わせ‥‥‥そしてやはり貴方がエドガー様ですか!」
「はい、何か御用‥‥‥?」

 するとフルルさんはベッドを下りて、膝をつき胸に手を当てる。これは王国で目上の人に対してとる『臣下の礼』というポーズだ。

「我々エルフは風の神ニンリル様の眷属。ニンリル様からのお告げによりこのフルル、エドガー様の臣下の末席に加わる事をお許しください」
「「え‥‥‥!?」」

 全くもって予想外の話。
 ティナも同様だ。声が被った。


「すみません、結論から申し上げてしまいました」
「いや、結論って‥‥‥。いや、いいや。話を続けてください」
 
「先日我々エルフの里がモンスターの群れに襲われました。我々はそれぞれ散り散りに逃げて皆行方知れずで‥‥‥」
「あぁ、それは大変でしたね」

「それで仲間を探すために風の精霊と相談していたところニンリル様からのお告げが。『テオドールという村のエドガーという少年に仕え、助けを求めよ。然らば救われるであろう』と」

 おいおい、随分な話が来たなぁ。
 本当かよ。

「それは本当ですか?」
 ほら、ティナも疑ってる。怪しいもんな。

「もちろん。森の中を食うや食わずで歩き続けようやく辿り着きました。そしてエドガー様を一目見てわかりました。この方こそ神に選ばれたお方だと‥‥‥」
 ほらー、ちょっとやばくない?

「ですよねー!!!? やはりエドガー様は神に選ばれしお方ですから。わかりますよねー!!」
 そっち!? 
 しまった、ティナの俺リスペクトは無限大だからな。

「すべての人民が膝をついて首|《こうべ》を垂れるべきかと‥‥‥」
「ですよねー!!!」
 ティナもフルルさん同様に膝をついて胸に手を当てた。
 いや、やめろ。


 話を横で聞いていた村長さんもオロオロしながら同じ様に膝をついて胸に手を当てようとしてる。

 いや、待って、やめて!! 
 空気読んでそんな事しなくていいから!!

 いや、なんだこの空間のこの空気‥‥‥?
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