異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯

文字の大きさ
31 / 119

騎士爵様②

しおりを挟む
「ん? 名前がエドガーで12歳? 其方はここの生まれか!?」
「いえ、ここには先日流刑者として来ました。生まれは王都です」

「やはりストライク家の天才児か!! 何故このような所に!?」
 身元がバレてしまったらしい。

「祝福の儀でスキルを何も授からなかったから流刑と相成りました」
「スキルが‥‥‥何も!? そんな事があるのか‥‥‥?」

 スキルが与えられないというケースは今まで無かったからな。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

(まてよ、スキルが与えられなかったという事はこれは全て自力で思いついているという事か?)

 パーシヴァルは最初エドガーが【賢者の智慧】や【叡智】などの知恵や知識を得られるスキルを授かったのだと思った。

 だが違うという。スキルの確認は教会に行けばすぐにわかる。ここで嘘をつく理由はない。

(これほどの才能の持ち主を‥‥‥ストライク家はスキルがないという理由で手放したのか!?)

「エドガーよ、実家のストライク家への未練はあるかな?」
「‥‥‥正直なところ、あの家からは追い出されたので。これまで育てていただいた感謝の気持ちはありますが」

 その言葉を聞いたパーシヴァルはエドガーの両肩を強く掴む。
「エドガーよ、其方我が主に仕える気はないか? 私が推挙させてもらう」

 エドガーは想定していた。我ながら上手く戦ったという自負もあった。上の人に報告が行けばこうなる可能性もあるな、と。
 だから返答も考えてあった。

「パーシヴァル様、私はまだここでやる事がありまして‥‥‥今すぐにというわけには‥‥‥」
(今回の戦いでぐちゃぐちゃになった畑を直す指示をした方がいいだろう。何よりドワーフ達との約束『火酒作り』を実現しないと。奴等との約束を反故にして国が傾いたなんて話も聞いた事あるし‥‥‥)

「ふむ、出来る事なら今すぐ連れて行きたいところだが。事情があるなら仕方がない。では一度我が主ウェストール辺境爵に会って話してもらえないだろうか?」
「はぁ、まぁ会うだけならば‥‥‥」

「このパーシヴァル、其方と共に我が主に仕えられるよう全力で力を貸そう! なんでも言ってくれ!」
「では、その話の続きは村長宅で。ここもそろそろ冷えてきましたし‥‥‥」
 日が傾いてきて城壁の上は風が強く吹いてきた。

 降りてきたエドガーを迎えたのは、解散せずにその場に残っていた多くの村民だった。
「エドガーくん、大丈夫だったか!?」
「偉い人と一緒に行ったから心配になっちゃって‥‥‥」
「騎士様! エドガーくんはオラ達の村を救ってくれたんじゃ。お咎めしないでけろ!!」
「騎士様!」
「騎士様‥‥‥!!」

 この光景を見て、この場を制してパーシヴァルは説明する。
「あー、皆のもの。安心せい、エドガーにはお咎めどころか勲章が与えられるぞ」

「!!!? 勲章!?」
「エドガーくん、お貴族様になっちまうだか?」
「あんらー、めでてぇなぁ!!」
「こりゃあお祝いだな、戦も勝った事だし!!」


「そうだ、戦勝祝いだ!」
 
 パーシヴァルはさらに続けた。
「戦に勝ったら祝わねばな! 持ってきた補給物資を使ってもらって構わん。盛大にやろうではないか!!」
「「「おー!!」」」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

処理中です...