上 下
30 / 71

騎士爵様

しおりを挟む
「先程は大変失礼致した。エドガー殿で良いかな?」
 騎士爵様が平民の俺に向けて手を胸に当て頭を下げる。貴族的には有り得ない事だ。
 この腰の低い騎士爵様の振る舞いはごく自然体だ。おそらく普段からこうするのが当たり前の誠実な人なのだろう。

「頭をお上げください、パーシヴァル様。そしてどうかエドガーと呼び捨てにしてください」

「うむ、では遠慮なくいろいろと聞かせてもらおう。エドガー、この要塞の様な城壁はなんだ? 以前ここに参った時はこんなもの無かったはずだが?」
「はい、ドワーフの建築魔法で作りました。まだ途中ではあるのですが。ご興味がお有りですか?」

「この様な見事な城壁、辺境領都にも是非作って貰いたいものだと思ってな」
「わかりました。後ほど作ったドワーフを紹介させていただきますね。よろしければ城壁をご案内致しますが?」

「ふむ、実際にどう戦ったのか見てみよう。案内を頼む」
「承知致しました。足元にお気をつけて」

 城壁に登ったパーシヴァル卿。
「‥‥‥なんだか妙な形をしておる気がするが」
「説明させていただきますね。この城壁はこう五芒星の形をしております。まぁこれは完成形の話で今はまだ一部しか出来ていないのですが」

「ほう、わざわざこういう形状にしたのは理由があるのだろう?」
「もちろんでございます。例えば方行(四角形)の形状であるとこう死角が存在します」
「うむ、そうだな」

「ここの場合はこういう形でここに門があります。敵は城壁が高いので門を突破しようと門に集中します。すると‥‥‥こう、こちらは二方向から攻撃出来る事になります」
「おお!!!! なるほど!! この高さがあれば並みのモンスターでは乗り越えられぬだろうの。しかしどう戦ったのか? 住人全てが弓の使い手なのか? それとも魔法使いでもいたのか?」

「いえ、こちらの魔道具を使いましてございます」
 騎士爵様に小銃を見せる。もちろん弾は抜いた。訝しげに銃を手に取りしげしげと眺める。

「この魔道具は如何にして使用するのだ?」
 かくかくしかじかと銃という兵器の説明をする。

「なるほど‥‥‥、弓に矢が必要なようにこの銃には弾が必要なのか。これは其方が考えついたものなのか?」

 うーん、前世の知識とこちらの素材の知識で作ったものなんだけど。『はい』で良いのかな?

「本を読んで載っていたものを私なりに改良したものでございます」
「うーむ‥‥‥見事である。其方、歳はいくつになる?」

「先日12歳になりました」
「なんと‥‥‥!! その若さでこのようにいろいろと!!」
 なんだかこの人驚いてばっかりだな。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】私の担当は、永遠にリア恋です!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:376

そこまで言うなら徹底的に叩き潰してあげようじゃないか!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:43

楽しい幼ちん園

BL / 連載中 24h.ポイント:134pt お気に入り:133

【完】君を呼ぶ声

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:87

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:61,181pt お気に入り:3,736

后狩り

BL / 連載中 24h.ポイント:589pt お気に入り:917

やらかし婚約者様の引き取り先

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:902pt お気に入り:18

こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

BL / 連載中 24h.ポイント:667pt お気に入り:783

不完全防水

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...