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魔法拳銃

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「坊よ、出来てるぞい」
 期日の朝、待ち遠しくてロキソの工房を訪ねた。

「ありがとう!! ロキソ、これかい?」
「あぁ、試してみろ」

 早速裏庭の射撃場へ。

「かっけぇ!! そして軽い!!」
 見た目はSF映画で出てくるようなデザイン。
 重さもミスリルで作ってもらったのでおもちゃくらいの重さだ。これなら俺でも持てる。

「グリップにセーフティをつけた。握らねば発射されん」
 コルトガバメントのようにグリップセーフティがある。しっかりと握る必要がある。

「魔力はどこから充填するんだ?」
「グリップエンドにあたる部分に触れるだけで充填されとる。一度触れて満タンにすれば12発撃てる」

 触れるとサイドの小さいランプが赤く点滅する。魔力が吸われてしばらくするとランプが緑点灯に変わる。魔力満タンになったようだ。俺としてはあまり減ってる気はしないけど。

「撃ってみよう。あの岩にしよう」
 適当な岩に照準を合わせる。

ビッ!!!!
 
 反動はほとんどない。銃声も小さい。軽いから照準合わせも楽だ。
 岩には穴が空いていた。実弾ではこうはいかないな。

 俺は腰のベルトにホルスターを装着し、そこに魔法拳銃をしまった。

「要望通りだ!! ありがとう、ロキソ」
「ふむ‥‥‥酒作りの方はどうじゃ、進捗は?」

「ブルーさんがしっかり管理してくれてるから大丈夫だよ。あとひと月でこの世にまだないオリザ酒が飲めるさ」
「ほう、それは良い。それで『火酒』の方は?」
 やっぱりそっちが気になるのか。

「今どうするか迷っていてな。蒸留所自体はもう出来ているんだが‥‥‥」
 蒸留所は醸造所の隣。どちらもザルトが張り切って作ってくれた。

「何を迷う事があるんじゃ?」
「まず何を蒸留しようかと思ってな。ワインもエールも普通の量しか作れてないからさ。あとは人選」
 ブルーさんはそっちもやりますと言っていたけど。ブルーさんの本業はあくまで『醸造』 蒸留はまた勝手が違う。

「そういえば村長がまた人が送られてくると言っておったぞ。行ってみたらどうじゃ?」
「お、それは良い話だ。行ってみる!!」

「早う蒸留所を稼働させるんじゃぞ!」
「わかってるよ」

 村長宅を訪れる。
「エドガー様、おはようございます。おや、腰にさしている拳銃はもしかして‥‥‥?」
「村長さん、おはようございます。そうです、さっき受け取ってきました! で、また流刑者が送られてくるんですか?」

「いえ、今朝連絡が来たのは辺境爵様のところから送られてくる方です。流刑者じゃありません」
 
 という事は頼んでおいた人材が見つかったのか?
「熊の獣人のブランさん、スキルは【蒸留】だそうです」

 キタコレ!! ドンピシャの人材だ!!
「早速会いたいです! 今どの辺でしょうか?」
「さっき連絡が来たので到着は明日でしょうな」

 あぁ、待ち遠しいなぁ‥‥‥。
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