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朽ち行く花の後悔
出会い
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人が集まる商店街は常にいろんな音で溢れていた。客引きの声、大声でされるお客の世間話、ときにはパチンコや福引の鈴の音も聞こえる。
その賑やかさといったら、身内同士の小さな会話など誰にも聞こえないほどであった。それは商店街に活気があるという意味ではいいことだ。しかし、世の中はいいことばかりでは終わらない。
「いいからやれよ」
商店街の奥の方、もう歳であるお婆ちゃんが一人で切り盛りする書店の前に、数人の少女が集まっていた。
誰が見ても彼女らが同じ学校の生徒だとはっきりわかるだろう。彼女らは全員が可愛らしい桃色のブラウスの制服を着込み、重たそうな茶色の学生鞄を手に提げていた。
しかし、その中の一人だけ明らかに挙動がおかしかった。まるで獣ににらまれているかのように、おびえた目で自分を取り囲む少女たちを見ていた。横にまとめられた背中まで届く長くまっすぐな髪、大きくて星を宿したような美しい瞳、小鹿のように長いまつげ。そんな少女の愛らしい顔にははっきりと恐怖が刻まれていた。
「何度も言わせるなよ雨車、いいから本一冊盗んで来いよ」
低く悪意のこもった声に雨車と呼ばれた少女はびくっと肩を震わせる。それほどに、雨車は目の前の少女におびえていた。
「無理だよ、沢谷さん。こんなこと止めようよ……」
勇気を振り絞って出した声も、目の前の少女の顔を見ればすぐに何を言っているのかもわからないか細いものに変わってしまう。
当たり前だ。目の前にいるのは沢谷夏香。ぱさっとした肩まで伸びた髪に力のこもった目、つんと澄ました表情。
誰が見ても美人だというだろう。それに加えて、スポーツ、成績ともに常にトップである紛れもない優等生。弱気で何をやっても凡人の自分とは存在感も何もかもが違う。
「私に命令するな。あんたみたいな無能は私の言うこと聞いてればいいんだよ」
沢谷の声に合わせて取り巻きたちもクスクスと笑い声をあげる。
雨車はサッと背筋が冷たくなるのを感じた。ここには自分を助けてくれる人なんていない。商店街をせかせかと歩く大人たちは、目の前で万引きが行われようとしていることなど想像もできないだろう。
背筋と反対に目頭は熱くなっていた。とっさに涙を抑えようと瞬きをするが、それが逆効果になって大粒の雫が頬を伝う。口の中でしょっぱい味がした。
沢谷は満足そうにその様子を眺めていた。胸の中で渦巻く何かが餌をもらったかのように暴れ出すのを感じる。
沢谷が周りを見渡すと、周りの取り巻き立ちも自分と同じように押し殺した声で笑っていた。
次は何を言ってやろうか?
沢谷は時間をかけてゆっくりと考える。そしてこれにしようと考えをまとめたその時だった。
背中に来た軽い衝撃に、沢谷は顔をしかめて振り返った。感触からしておそらく肩が当たったのだろう。
数人で集まっている分、ある程度スペースを取ってしまっているし、偶然肩が当たってしまうことはあるだろう。
しかし、今回ばかりはそうでないとはっきりと言えた。それは振り返ったときにまだ男がいたからだ。
ただ当たっただけならば、すみませんとでも言ってその場をそそくさと立ち去るだろう。少なくとも、目の前の男のように何を考えているのかわからない顔で謝りもせずにこちらを見続けることはない。
男は見たところ大学生だろうか? 少なくとも、自分の周りの男子よりは数段大人びてみえる。
沢谷から見れば、自分の周りの男子などガキも同然であった。それ故に多少色眼鏡で見てはいたが、大きく外れてもいなかった。
男の年齢は二十歳。大学に通っていれば大学生といえる歳である。灰色のシャツに黒いズボン。斜めがけの鞄にはボロボロのマスコットがついていた。
こちらを見る目は、まるで希望という言葉を知らないかのごとく冷たい。一見ただの地味な男だが、それだけでは言い表せないような周囲と隔絶された雰囲気をまとっていた。
相手の考えがわからず沢谷はただただ男と視線をぶつけ合う。
「何か用ですか?」
先に口を開いたのは沢谷だった。その言葉は語気が強められ、不快感は全く隠されていない。
普通の大学生ならばその圧力に耐えかねて逃げ出していただろう。しかし目の前の男にはまるで効果がなかった。まるで何も聞いていないかのように表情を変えない。沢谷の中で激しい怒りが渦巻いた。
「さっきから何なんですか⁉ さっさとどっかに消えろよ⁉」
周囲の人に目を付けられないくらいの、でも先ほどよりも強い声で沢谷は男を怒鳴りつけた。
さすがにこれで、男もどこかに消えるだろう。しかし、沢谷の予想とは裏腹に男は逃げはしなかった。それどころか今まで閉じていた口を開く。
「やめろよ、そういうの」
小さな声だった。恐らく聞こえたのは沢谷だけだろう。しかし、その小さな声に沢谷は肝を冷やされた。その声にはすごみがあった。自分の脅しとは違う確かな重みがあったのだ。
沢谷は頭を振った。長い髪がぱさぱさと揺れる。
時間がたつごとに怖さよりも怒りが湧き上がってきた。どうしてこの私が、こんな男におびえなければならないのだろうか?
沢谷はがりがりと奥歯をかみしめる。胸の中を渦巻く何かが、また一段と大きくなろうと動き出す。
「『高潔』、いや、『悪意』か」
沢谷は男が何を言っているのかわからず怪訝な顔をする。だが、次第に自分が馬鹿にされたのだと考えなおし、再びその心に怒りを灯した。
その様子を、何が起きたのかわからないまま雨車は呆然と眺めていた。
誰も助けてはくれないと思っていた。しかし、今目の前には誰だかはわからないが、一人の男がいて、沢谷の気をそらしてくれている。
雨車にはそれが救いに感じられた。
だが、このままではいけない。雨車が沢谷の方を見ると、彼女は今までにないほど顔をゆがませ、目を怒らせていた。このままではどう転んでも悪いことが起きる。
雨車はどうにかできないか周りを見渡す。だが、周りの人たちは険悪な雰囲気は察していても、行動に移す気は無いようだった。それは取り巻きたちも同じらしく、今までにないほど怒り狂った沢谷を見て、ただおろおろとしているだけだった。
「ほんと嫌いだ。こういうの」
先に行動に移したのは男の方だった。いつの間にか持っていた、手の第一関節くらいの大きさであるガラスの容器を地面に落とすと、叩き割るように足で踏みつける。
それは誰もが予測しえない行いだった。雨車も男が何をしたのかわからず小首をかしげる。同時に、これが挑発だととらえられれば沢谷は怒りを爆発させるだろうという不安に襲われた。
その最悪の状況を想定し、おびえた雨車はただただ目を閉じる。そのまま数秒が過ぎた。今にも沢谷が怒りだすのではないかと目蓋にぎゅっと力を入れるが、十秒ほどたっても、沢谷の怒声は聞こえなかった。それどころか意外な言葉が雨車の耳に届く。
「萎えた。今日はもう帰る」
沢谷の言葉だった。雨車は自分が聞いたものが信じられず目を丸くする。爆発寸前の彼女がこんなあっさり引き下がるなんてありえない。
その思いは取り巻きも同じらしく、何が起きたのかわからないといった感じで沢谷の後を追いかけていった。その様子を、状況をいまいち飲み込めないまま雨車は見送る。
「そういえばさっきの人は!」
我に返って雨車が視線を戻すと、男はもうそこにはいなかった。慌てて雨車は周囲を確認する。もうどこかに行ってしまっただろうか? そんな思いに駆られたが、すぐに人ごみの中でそれらしきシルエットを見つけた。
心臓がとくんと跳ねる。追いついたところで何と言えばいいのだろう? 相手が誰だかなんてさっぱりわからないし、そもそもさっき何をしたのかまるっきり謎だ。ここから感謝するだけで十分じゃないのか?
だが、そんな雨車の思いとは裏腹に雨車の足はすでに走り出していた。
まるで導かれるかのように、無駄な考えを取っ払うかのように足が動く。こんな気持ちは初めてだった。
この少女と男の出会いは偶然であったともいえるし、必然であったともいえる。この二人の出会いは後々、何人もの人の人生を変えていくことになる。
だがこの時は二人とも、まだそのことを知らなかった。
その賑やかさといったら、身内同士の小さな会話など誰にも聞こえないほどであった。それは商店街に活気があるという意味ではいいことだ。しかし、世の中はいいことばかりでは終わらない。
「いいからやれよ」
商店街の奥の方、もう歳であるお婆ちゃんが一人で切り盛りする書店の前に、数人の少女が集まっていた。
誰が見ても彼女らが同じ学校の生徒だとはっきりわかるだろう。彼女らは全員が可愛らしい桃色のブラウスの制服を着込み、重たそうな茶色の学生鞄を手に提げていた。
しかし、その中の一人だけ明らかに挙動がおかしかった。まるで獣ににらまれているかのように、おびえた目で自分を取り囲む少女たちを見ていた。横にまとめられた背中まで届く長くまっすぐな髪、大きくて星を宿したような美しい瞳、小鹿のように長いまつげ。そんな少女の愛らしい顔にははっきりと恐怖が刻まれていた。
「何度も言わせるなよ雨車、いいから本一冊盗んで来いよ」
低く悪意のこもった声に雨車と呼ばれた少女はびくっと肩を震わせる。それほどに、雨車は目の前の少女におびえていた。
「無理だよ、沢谷さん。こんなこと止めようよ……」
勇気を振り絞って出した声も、目の前の少女の顔を見ればすぐに何を言っているのかもわからないか細いものに変わってしまう。
当たり前だ。目の前にいるのは沢谷夏香。ぱさっとした肩まで伸びた髪に力のこもった目、つんと澄ました表情。
誰が見ても美人だというだろう。それに加えて、スポーツ、成績ともに常にトップである紛れもない優等生。弱気で何をやっても凡人の自分とは存在感も何もかもが違う。
「私に命令するな。あんたみたいな無能は私の言うこと聞いてればいいんだよ」
沢谷の声に合わせて取り巻きたちもクスクスと笑い声をあげる。
雨車はサッと背筋が冷たくなるのを感じた。ここには自分を助けてくれる人なんていない。商店街をせかせかと歩く大人たちは、目の前で万引きが行われようとしていることなど想像もできないだろう。
背筋と反対に目頭は熱くなっていた。とっさに涙を抑えようと瞬きをするが、それが逆効果になって大粒の雫が頬を伝う。口の中でしょっぱい味がした。
沢谷は満足そうにその様子を眺めていた。胸の中で渦巻く何かが餌をもらったかのように暴れ出すのを感じる。
沢谷が周りを見渡すと、周りの取り巻き立ちも自分と同じように押し殺した声で笑っていた。
次は何を言ってやろうか?
沢谷は時間をかけてゆっくりと考える。そしてこれにしようと考えをまとめたその時だった。
背中に来た軽い衝撃に、沢谷は顔をしかめて振り返った。感触からしておそらく肩が当たったのだろう。
数人で集まっている分、ある程度スペースを取ってしまっているし、偶然肩が当たってしまうことはあるだろう。
しかし、今回ばかりはそうでないとはっきりと言えた。それは振り返ったときにまだ男がいたからだ。
ただ当たっただけならば、すみませんとでも言ってその場をそそくさと立ち去るだろう。少なくとも、目の前の男のように何を考えているのかわからない顔で謝りもせずにこちらを見続けることはない。
男は見たところ大学生だろうか? 少なくとも、自分の周りの男子よりは数段大人びてみえる。
沢谷から見れば、自分の周りの男子などガキも同然であった。それ故に多少色眼鏡で見てはいたが、大きく外れてもいなかった。
男の年齢は二十歳。大学に通っていれば大学生といえる歳である。灰色のシャツに黒いズボン。斜めがけの鞄にはボロボロのマスコットがついていた。
こちらを見る目は、まるで希望という言葉を知らないかのごとく冷たい。一見ただの地味な男だが、それだけでは言い表せないような周囲と隔絶された雰囲気をまとっていた。
相手の考えがわからず沢谷はただただ男と視線をぶつけ合う。
「何か用ですか?」
先に口を開いたのは沢谷だった。その言葉は語気が強められ、不快感は全く隠されていない。
普通の大学生ならばその圧力に耐えかねて逃げ出していただろう。しかし目の前の男にはまるで効果がなかった。まるで何も聞いていないかのように表情を変えない。沢谷の中で激しい怒りが渦巻いた。
「さっきから何なんですか⁉ さっさとどっかに消えろよ⁉」
周囲の人に目を付けられないくらいの、でも先ほどよりも強い声で沢谷は男を怒鳴りつけた。
さすがにこれで、男もどこかに消えるだろう。しかし、沢谷の予想とは裏腹に男は逃げはしなかった。それどころか今まで閉じていた口を開く。
「やめろよ、そういうの」
小さな声だった。恐らく聞こえたのは沢谷だけだろう。しかし、その小さな声に沢谷は肝を冷やされた。その声にはすごみがあった。自分の脅しとは違う確かな重みがあったのだ。
沢谷は頭を振った。長い髪がぱさぱさと揺れる。
時間がたつごとに怖さよりも怒りが湧き上がってきた。どうしてこの私が、こんな男におびえなければならないのだろうか?
沢谷はがりがりと奥歯をかみしめる。胸の中を渦巻く何かが、また一段と大きくなろうと動き出す。
「『高潔』、いや、『悪意』か」
沢谷は男が何を言っているのかわからず怪訝な顔をする。だが、次第に自分が馬鹿にされたのだと考えなおし、再びその心に怒りを灯した。
その様子を、何が起きたのかわからないまま雨車は呆然と眺めていた。
誰も助けてはくれないと思っていた。しかし、今目の前には誰だかはわからないが、一人の男がいて、沢谷の気をそらしてくれている。
雨車にはそれが救いに感じられた。
だが、このままではいけない。雨車が沢谷の方を見ると、彼女は今までにないほど顔をゆがませ、目を怒らせていた。このままではどう転んでも悪いことが起きる。
雨車はどうにかできないか周りを見渡す。だが、周りの人たちは険悪な雰囲気は察していても、行動に移す気は無いようだった。それは取り巻きたちも同じらしく、今までにないほど怒り狂った沢谷を見て、ただおろおろとしているだけだった。
「ほんと嫌いだ。こういうの」
先に行動に移したのは男の方だった。いつの間にか持っていた、手の第一関節くらいの大きさであるガラスの容器を地面に落とすと、叩き割るように足で踏みつける。
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その最悪の状況を想定し、おびえた雨車はただただ目を閉じる。そのまま数秒が過ぎた。今にも沢谷が怒りだすのではないかと目蓋にぎゅっと力を入れるが、十秒ほどたっても、沢谷の怒声は聞こえなかった。それどころか意外な言葉が雨車の耳に届く。
「萎えた。今日はもう帰る」
沢谷の言葉だった。雨車は自分が聞いたものが信じられず目を丸くする。爆発寸前の彼女がこんなあっさり引き下がるなんてありえない。
その思いは取り巻きも同じらしく、何が起きたのかわからないといった感じで沢谷の後を追いかけていった。その様子を、状況をいまいち飲み込めないまま雨車は見送る。
「そういえばさっきの人は!」
我に返って雨車が視線を戻すと、男はもうそこにはいなかった。慌てて雨車は周囲を確認する。もうどこかに行ってしまっただろうか? そんな思いに駆られたが、すぐに人ごみの中でそれらしきシルエットを見つけた。
心臓がとくんと跳ねる。追いついたところで何と言えばいいのだろう? 相手が誰だかなんてさっぱりわからないし、そもそもさっき何をしたのかまるっきり謎だ。ここから感謝するだけで十分じゃないのか?
だが、そんな雨車の思いとは裏腹に雨車の足はすでに走り出していた。
まるで導かれるかのように、無駄な考えを取っ払うかのように足が動く。こんな気持ちは初めてだった。
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