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朽ち行く花の後悔
花
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商店街の人々の間を縫うように、男は急いで商店街から出ようと足を速めていた。
男の名は黒崎唯理。二十歳ではあるが大学には通っていない。正確には通えていないというのが正しかった。
その日を暮らしていくのが精一杯の唯理にとって、大学なんてものは高根の花だ。
「失敗した」
唯理は先ほどあった出来事を思い出し、痛烈に後悔していた。あれはおそらくいじめだったのだろう。あのつんとした少女が心に何か抱えていることはわかっていた。否、見えてしまっていた。
「サワギキョウ……あれは悪いとこが出てるな」
沢谷の袖に咲いていた花を思い出し、唯理はため息をついた。見えてしまったものは無視をするとずっと決めていたはずなのに……。
自分は彼女らにとって、いま自分の周りにいる人たち同様、たまたま同じ商店街に居合わせていただけの他人にすぎない。そんな人間が無闇に人の問題に踏み込んでいいはずがないのだ。
「これも全部あいつのせいだ」
忌々しい記憶を押さえつけるように、唯理は目元に手を当てるとギュッと目をつぶった。
あの時、唯理はたまたま少女が涙を流す瞬間を見てしまった。もし唯理が普通の人間であったのならば、あの後に取る行動の選択は簡単だっただろう。
関わりたくないと思えば無視してしまえばいい。可哀想だと思ったのならば、泣いている少女に声をかけてやればいい。
どちらの行動を取るにせよ、少女たちのことを何も知らない以上、自分の思いに従えばいいだけだったはずだ。
しかし、唯理にとって涙は別の意味を持つ。
涙に咲く花。
それは唯理だけが見ることのできる人の心。幼い頃は色としてしか認識できていなかったが、成長するに連れて輪郭はよりはっきりと、色はより鮮明に見えるようになっていた。
だが、それと反比例するように、唯理は花をキレイだとは思えなくなった。
花は心の形なのだと、成長するに連れて理解した。それと同時にだろう。醜いと感じるようになったのは。
唯理に言わせれば心がきれいなままでいる人なんていない。誰もが成長していくうちに少なからず腐ったり、穴が開いたりする。それを唯理は花という形で正確に認識できた。
だからこそ、唯理は雨車の涙を見た瞬間思わず体が動いてしまったのだ。
雨車の花は今まで見てきたどんな花よりも美しかった。頬を垂れる涙からすっと芽生え、汚れ一つない純白の花弁を開く一本のデイジー。
それは決して力づよく咲いていたわけではない。生まれたばかりの仔馬のように、少しでも力が加われば簡単に壊れてしまいそうに思えるほど華奢であった。
今すぐにでも助けてあげなくてはならない。そう思わせるほどに儚くも美しい花だった。
結果として唯理は柄にもなく雨車を助ける選択肢を取ったのだった。
唯理は客引きの声を避けつつ店の角を曲がった。この先は駅へと続いている。今の時間にこのまま進めば帰宅ラッシュの波にのまれるだろう。人が多いということはその分見えてしまうということだ。それは唯理にとって大きな苦痛を伴う。
何より、この商店街にとどまり先ほどの少女ともう一度会うような事態だけは避けたかった。
だが、今日はついていないらしく唯理の願望はあっけなく砕かれる。
「待ってください!」
自分にかけられた声だとはすぐにわかった。今いるのは商店街の脇の細道だ。小さな家が立ち並んでいるだけのこの道を通る人間など限られている。
唯理は胸に広がる苦々しい思いとともに振り返り、思っていた通りそこに立っていたデイジーを咲かせた少女を視界に収めた。
「俺に何か用ですか?」
唯理は静かに尋ねる。その平坦な声に少女、雨車は一瞬言葉を詰まらせるが、すぐに軽く頭を下げた。
「先ほどはありがとうございました」
そんな雨車を唯理は怪訝そうに見つめる。そんなことを言うためにわざわざこんなところまで走ってきたのだろうか?
「気にしないでください。俺は少し急ぐので、では」
淡々と必要なことだけを言って、唯理はその場を後にしようとする。
この少女にこれ以上関わることはまっぴらだった。
別に特別この少女を嫌っているわけではない。花を見た感じからしても、間違いなくちょっとしたいたずらもできないような優しい人間なのだろう。
だが、唯理が何よりも忌み嫌うことは誰かと関わりを持つことだった。だから、相手が雨車でなくとも唯理は同じ選択肢を取ったはずだ。
「……っ! 待ってください!」
足を速めようとする唯理の手を雨車は咄嗟につかんだ。
唯理は突然の雨車の行動に目を見開いて振り返る。そして雨車と視線を合わせた。
唯理はさざ波のような嫌な予感がした。唯理はこういったときの自分の勘は信じるようにしている。誰よりも人の心を直接見ることのできる唯理の勘は、こと人間関係においてはかなり正確に未来を予知してくれていた。
しかし、そんな信頼する勘が警鐘を鳴らしていても今回唯理は動けなかった。
物理的に動けなかったわけではない。自分より年下の少女の手など、ケガさせずとも振り払える。
ではなぜそうしなかったのか?
それは唯理の手を掴む少女がおびえたように震えていたからだ。その目には涙がたまっていたからだった。
彼女に咲いている弱々しいデイジー同様、気の弱い性格であることはもうわかっている。そんな少女が震えながらも自分の手を掴んでいる。
その事実がどれほどの覚悟で少女が話しかけているのかを唯理に嫌でもわからせてしまった。
「だから関わりたくないんだ……」
唯理が呟いたその声はきっと少女にも聞こえなかっただろう。諦念の混じった声は、少し離れた商店街の熱気の余波でかき消えてしまった。悪い癖が出つつあるのは自分でもわかっていた。
この状況で相手の気持ちを考慮するなんてばからしいにもほどがある。花からわかることなどすべて無視してこの場を後にしてしまえばいい。
「私の友達も、さっきの娘、沢谷さんにいじめられてるんです!」
追い打ちをかけるように発せられた少女の声に、唯理は体に電流が流れたかの如く動けなくなった。
考えるな!
そう強く念じても、さっき出会ったいじめの主犯、沢谷の袖に咲いていた花が脳裏をよぎる。
あの花は唯理が今まで見てきた中でも群を抜いて醜い姿だった。それを思い出せば思い出すほど、頭の中でいろいろな憶測が彗星のように駆け巡っては消えていく。
あの花の方向性が周囲を巻き込むものだとしたら?
もしこのまま知らないふりをしたらどうなる?
あの歪み具合からして何かあることは間違いないのだ!
唯理は自分の手首を掴む少女の手を軽く握ると、傷つけないようにゆっくりと自分の手から引き離す。
雨車は何が起きているのかわからず、キョトンとした表情で唯理を見上げた。
空はもう色紙細工のように赤く染まっている。が、夜が近くとも夏の熱気はまだ健在だ。
これから暗くなることを考えても、暑さのことを考えても話を聞くならば室内にこしたことはないだろう。
「お前、お金持ってるか?」
相手の意図がわからず雨車は首を傾げた。だが、すぐにこのチャンスを逃してはならないとバックの中をごそごそと探す。
「数千円くらいならあります」
「ならファミレスでいいか?」
唯理は間髪入れずに尋ねる。ここまで言えばもう引き返せない。唯理は自分の中の迷いを絶つため、逃げ道を完全に捨てた。
それにしてもただ商店街をふらついていただけで、随分と割に合わないものを引き寄せてしまったものだ。
「それはつまり……?」
不安そうに眉を細める雨車を見て、唯理ははっきりとした口調で答える。
「話はファミレスで聞く。なるべく手短にまとめてくれよ」
その言葉を聞くや否や少女は子供のように顔を輝かせた。
恐らくダメ元で自分に話しかけてきたのだろう。それが功を奏してここまで喜ぶとは思っていた通り相当純粋なのだろう。
「というか、お前名前は?」
ますます少女に興味の湧いた唯理はまだ名前を聞いてないことを思い出し、不愛想に尋ねる。
それに対して少女はしまったという顔をしながらも背筋を伸ばした。
「私は雫、雨車雫って言います」
雨車はそういって軽く頭を下げる。きれいな髪が肩をすべり、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
夕焼けをバックにしたその光景は、まるでドラマのワンシーンのように美しかった。
「俺は黒崎唯理」
唯理は淡々と自分の名前だけを述べる。
その姿は雨車の時と違って華があるとは思えない。まるで対照的だなとしみじみと感じた。
だが、それでも何故かこの少女のことはきっと生涯忘れないだろう、そんな確かな予感が唯理の心で響いていた。
男の名は黒崎唯理。二十歳ではあるが大学には通っていない。正確には通えていないというのが正しかった。
その日を暮らしていくのが精一杯の唯理にとって、大学なんてものは高根の花だ。
「失敗した」
唯理は先ほどあった出来事を思い出し、痛烈に後悔していた。あれはおそらくいじめだったのだろう。あのつんとした少女が心に何か抱えていることはわかっていた。否、見えてしまっていた。
「サワギキョウ……あれは悪いとこが出てるな」
沢谷の袖に咲いていた花を思い出し、唯理はため息をついた。見えてしまったものは無視をするとずっと決めていたはずなのに……。
自分は彼女らにとって、いま自分の周りにいる人たち同様、たまたま同じ商店街に居合わせていただけの他人にすぎない。そんな人間が無闇に人の問題に踏み込んでいいはずがないのだ。
「これも全部あいつのせいだ」
忌々しい記憶を押さえつけるように、唯理は目元に手を当てるとギュッと目をつぶった。
あの時、唯理はたまたま少女が涙を流す瞬間を見てしまった。もし唯理が普通の人間であったのならば、あの後に取る行動の選択は簡単だっただろう。
関わりたくないと思えば無視してしまえばいい。可哀想だと思ったのならば、泣いている少女に声をかけてやればいい。
どちらの行動を取るにせよ、少女たちのことを何も知らない以上、自分の思いに従えばいいだけだったはずだ。
しかし、唯理にとって涙は別の意味を持つ。
涙に咲く花。
それは唯理だけが見ることのできる人の心。幼い頃は色としてしか認識できていなかったが、成長するに連れて輪郭はよりはっきりと、色はより鮮明に見えるようになっていた。
だが、それと反比例するように、唯理は花をキレイだとは思えなくなった。
花は心の形なのだと、成長するに連れて理解した。それと同時にだろう。醜いと感じるようになったのは。
唯理に言わせれば心がきれいなままでいる人なんていない。誰もが成長していくうちに少なからず腐ったり、穴が開いたりする。それを唯理は花という形で正確に認識できた。
だからこそ、唯理は雨車の涙を見た瞬間思わず体が動いてしまったのだ。
雨車の花は今まで見てきたどんな花よりも美しかった。頬を垂れる涙からすっと芽生え、汚れ一つない純白の花弁を開く一本のデイジー。
それは決して力づよく咲いていたわけではない。生まれたばかりの仔馬のように、少しでも力が加われば簡単に壊れてしまいそうに思えるほど華奢であった。
今すぐにでも助けてあげなくてはならない。そう思わせるほどに儚くも美しい花だった。
結果として唯理は柄にもなく雨車を助ける選択肢を取ったのだった。
唯理は客引きの声を避けつつ店の角を曲がった。この先は駅へと続いている。今の時間にこのまま進めば帰宅ラッシュの波にのまれるだろう。人が多いということはその分見えてしまうということだ。それは唯理にとって大きな苦痛を伴う。
何より、この商店街にとどまり先ほどの少女ともう一度会うような事態だけは避けたかった。
だが、今日はついていないらしく唯理の願望はあっけなく砕かれる。
「待ってください!」
自分にかけられた声だとはすぐにわかった。今いるのは商店街の脇の細道だ。小さな家が立ち並んでいるだけのこの道を通る人間など限られている。
唯理は胸に広がる苦々しい思いとともに振り返り、思っていた通りそこに立っていたデイジーを咲かせた少女を視界に収めた。
「俺に何か用ですか?」
唯理は静かに尋ねる。その平坦な声に少女、雨車は一瞬言葉を詰まらせるが、すぐに軽く頭を下げた。
「先ほどはありがとうございました」
そんな雨車を唯理は怪訝そうに見つめる。そんなことを言うためにわざわざこんなところまで走ってきたのだろうか?
「気にしないでください。俺は少し急ぐので、では」
淡々と必要なことだけを言って、唯理はその場を後にしようとする。
この少女にこれ以上関わることはまっぴらだった。
別に特別この少女を嫌っているわけではない。花を見た感じからしても、間違いなくちょっとしたいたずらもできないような優しい人間なのだろう。
だが、唯理が何よりも忌み嫌うことは誰かと関わりを持つことだった。だから、相手が雨車でなくとも唯理は同じ選択肢を取ったはずだ。
「……っ! 待ってください!」
足を速めようとする唯理の手を雨車は咄嗟につかんだ。
唯理は突然の雨車の行動に目を見開いて振り返る。そして雨車と視線を合わせた。
唯理はさざ波のような嫌な予感がした。唯理はこういったときの自分の勘は信じるようにしている。誰よりも人の心を直接見ることのできる唯理の勘は、こと人間関係においてはかなり正確に未来を予知してくれていた。
しかし、そんな信頼する勘が警鐘を鳴らしていても今回唯理は動けなかった。
物理的に動けなかったわけではない。自分より年下の少女の手など、ケガさせずとも振り払える。
ではなぜそうしなかったのか?
それは唯理の手を掴む少女がおびえたように震えていたからだ。その目には涙がたまっていたからだった。
彼女に咲いている弱々しいデイジー同様、気の弱い性格であることはもうわかっている。そんな少女が震えながらも自分の手を掴んでいる。
その事実がどれほどの覚悟で少女が話しかけているのかを唯理に嫌でもわからせてしまった。
「だから関わりたくないんだ……」
唯理が呟いたその声はきっと少女にも聞こえなかっただろう。諦念の混じった声は、少し離れた商店街の熱気の余波でかき消えてしまった。悪い癖が出つつあるのは自分でもわかっていた。
この状況で相手の気持ちを考慮するなんてばからしいにもほどがある。花からわかることなどすべて無視してこの場を後にしてしまえばいい。
「私の友達も、さっきの娘、沢谷さんにいじめられてるんです!」
追い打ちをかけるように発せられた少女の声に、唯理は体に電流が流れたかの如く動けなくなった。
考えるな!
そう強く念じても、さっき出会ったいじめの主犯、沢谷の袖に咲いていた花が脳裏をよぎる。
あの花は唯理が今まで見てきた中でも群を抜いて醜い姿だった。それを思い出せば思い出すほど、頭の中でいろいろな憶測が彗星のように駆け巡っては消えていく。
あの花の方向性が周囲を巻き込むものだとしたら?
もしこのまま知らないふりをしたらどうなる?
あの歪み具合からして何かあることは間違いないのだ!
唯理は自分の手首を掴む少女の手を軽く握ると、傷つけないようにゆっくりと自分の手から引き離す。
雨車は何が起きているのかわからず、キョトンとした表情で唯理を見上げた。
空はもう色紙細工のように赤く染まっている。が、夜が近くとも夏の熱気はまだ健在だ。
これから暗くなることを考えても、暑さのことを考えても話を聞くならば室内にこしたことはないだろう。
「お前、お金持ってるか?」
相手の意図がわからず雨車は首を傾げた。だが、すぐにこのチャンスを逃してはならないとバックの中をごそごそと探す。
「数千円くらいならあります」
「ならファミレスでいいか?」
唯理は間髪入れずに尋ねる。ここまで言えばもう引き返せない。唯理は自分の中の迷いを絶つため、逃げ道を完全に捨てた。
それにしてもただ商店街をふらついていただけで、随分と割に合わないものを引き寄せてしまったものだ。
「それはつまり……?」
不安そうに眉を細める雨車を見て、唯理ははっきりとした口調で答える。
「話はファミレスで聞く。なるべく手短にまとめてくれよ」
その言葉を聞くや否や少女は子供のように顔を輝かせた。
恐らくダメ元で自分に話しかけてきたのだろう。それが功を奏してここまで喜ぶとは思っていた通り相当純粋なのだろう。
「というか、お前名前は?」
ますます少女に興味の湧いた唯理はまだ名前を聞いてないことを思い出し、不愛想に尋ねる。
それに対して少女はしまったという顔をしながらも背筋を伸ばした。
「私は雫、雨車雫って言います」
雨車はそういって軽く頭を下げる。きれいな髪が肩をすべり、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
夕焼けをバックにしたその光景は、まるでドラマのワンシーンのように美しかった。
「俺は黒崎唯理」
唯理は淡々と自分の名前だけを述べる。
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