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朽ち行く花の後悔
原種
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雨車に続いて唯理は階段を登る。目の前には四隅が錆びつき、薄汚れた扉があった。
雨車がインターホンを鳴らすと、がたごとと何かが崩れるような音がした後に扉が開いた。
出てきたのは雨車と同じくらいの年齢に見える少女だった。学校帰りだったのか制服を着崩しており、顔には疲れの色が見えた。
「久しぶりじゃん!」
その少女は雨車を見るなり嬉しそうに顔を輝かせる。
「知り合いか?」
雨車も顔を輝かせながら頷いた。
「この子は尾城カヤ。私が小学校の時の友人です。カヤ、この人は唯理さん。沢谷さんについて聞きたいことがあってきたの」
「送ってくれたメッセージで大体の状況はわかってるよ。私にできることなら何でも協力する」
任せろとばかりに尾城はニッと笑顔を浮かべた。
「雨車からは条件があるって聞いてたんだが」
唯理の質問に尾城は一瞬戸惑ったような顔をした後、合点がいったように手をうった。
「弟のことね。まあ、それは中に入ってからにしましょう」
尾城はそう言うと雨車の手を取って部屋に入っていく。
唯理はその様子を後ろでじっと見つめたあと意を決して部屋に入った。
部屋の中はあまり整頓されているとは言えなかった。ゴミ屋敷という程ではないが狭いリビングの所々にダンボールが積まれており、リビングから見えるランドリールームには服が山積みになっている。
奥にあるキッチンのシンク上には洗いかけの食器やカップ麺のゴミが散乱しており、ギリギリキッチンとして機能するといった状況だった。
「隼人こっちにおいで!」
リビングにつくなり尾城は奥の部屋に向かって叫ぶ。すると幼稚園年少くらいの男の子がおずおずと入ってきた。
「大人しい子だから迷惑はかけないはずよ。でも一人にしておくのは心配だから私が話を聞いている間は面倒を見てほしいだけ。条件なんてそんな堅苦しいものではないですよ」
そう言って尾城は隼人の背をそっと押して唯理の方へ一歩進ませる。
小柄でかわいらしい子だった。髪は肩まで伸びており、幼い顔も相まって女の子だと言われても不自然ではなかった。華奢な体にまとった姉のお下がりと思われる服もそれに拍車をかけていた。
「初めまして、隼人です」
礼儀正しくも隼人は頭を下げる。雨車はよくできたねと隼人の頭を撫でてあげようとする。
「待て!」
唯理の言葉に雨車は手を止めた。
「どうしたんですか?」
「気になることがある」
頭を下げたまま上げようとしない隼人を見ながら唯理は答えた。
「いや~隼人が引っ込み思案でごめんね」
危うげな空気を察したのか尾城は取り繕ったような笑顔で場を和ませようとする。
だが、唯理はその笑顔を無視して尾城に尋ねる。
「夏なのに制服で暑くないのか?」
部屋はクーラーがあまり効いていないため蒸し暑い。にもかかわらず、尾城は長袖のシャツの腕をまくってもいなかった。
「……ちょっとめんどくさくて」
尾城は表面上は明るく振る舞っている。しかし、声の震えだけは抑えられないようだった。
唯理は他の人に聞こえないように雨車に小さく耳打ちした。
雨車はその内容にはっと目を見開いて唯理と尾城を交互に見る。
「カヤ、袖をめくってくれないかな」
雨車はおずおずと尋ねた。その質問に尾城の顔が引きつる。
「い、嫌だな~。私の何をそんなに疑ってるわけ?」
唯理と雨車の返答は無言だった。尾城は間違いなく誤魔化そうとしている。ならばその会話に乗る必要はない。
「お前の弟、頻繁にベランダに追い出されてるな。そして、お前の腕にはあざがある。違うか?」
偽りの笑顔にひびが入った。
「な、なんで……」
さっきまでの明るさが嘘のように尾崎の顔はみるみる青ざめていった。
「お前たち、虐待されてるだろ?」
尾城はなおも何かを言おうとした。しかし、体のいい言葉は全く出てこないらしく、万策尽きた尾城は苦しそうによろよろと一歩後ろに下がった。その時だった。
「お姉ちゃんをいじめないで!」
尾城の前に小さな体が立ちふさがった。開かれた小さな手はわなわなと恐怖で震えている。にもかかわらず、隼人は毅然と尾城を守るように立ちふさがっていた。
長い髪の隙間から覗く目が強く唯理を睨みつける。しかし、唯理はその目が潤んでるのを見過ごさなかった。
ヤブランということは『忍耐』か、重いものを背負ったな――
「そうやっていつも耐え続けてたんだよな」
唯理は片膝をつくと隼人に視線を合わせる。
隼人は身の危険を感じたのかぎゅっと目を閉じた。固く閉ざした目から涙が一滴零れ落ちる。
それを唯理は優しくハンカチで拭った。
突然のことに驚きながら隼人は恐る恐る目を開く。
唯理は少しでも安心させられるように、ぎこちないながらも笑顔を作った。
「安心してほしい。俺は痛いことはしないから」
そう言って唯理は細心の注意を払って隼人を抱きしめる。
最初隼人は固まったままだった。何が起きたのかわからずにまるで時間が止まったように微動だにしなかった。そのまま数秒が過ぎる。
「もう大丈夫だから」
その言葉を発した瞬間、凍った時間が溶け出したように隼人は唯理の背中を強く抱きしめた。同時に言葉にならない嗚咽を漏らす。その声は次第に大きくなっていった。
「辛かったよな」
何かを伝えようとする隼人の思いを汲み取って、唯理は優しく話しかける。軽く背をたたきながら、すべてを吐き出せるようにと――
泣き叫ぶ声が部屋中に響いた。ため込んできた思いをすべてぶちまけるように隼人は唯理の胸の中で声を上げて泣きじゃくる。大粒の涙がとめどなく流れ落ち、服に大きなシミを作った。
その瞬間ひときわ大きな植物が涙の跡から芽吹く。それは凄まじい速度でさらに巨大に成長しつぼみをつける。
そして一拍置いてからつぼみを一斉に開き、結晶のように光り輝く花弁を唯理に見せた。
まっすぐ伸びた茎から無数の小さな紫の花が咲き誇る。ヤブランといわれるその花は豪華さはあまりない花とされている。だが隼人の心であるその花は、そんな通説を覆すほどに美しかった。
「原種はなんとか無事だったみたいだな。強いやつだな、お前は」
原種、それは涙を流した者の心の核。唯理が普段見ている花より遥かに力強く咲き誇るそれは、何かがきっかけになって本当に心が揺さぶられた時、本当に心から泣いた時にのみに現れる、その人の心そのものだった。
原種と涙を流す人の心はまさに一心同体。一方が影響を受ければもう一方も同じ影響を受ける。それは唯理が普段見ている通常の花との大きな違いだった。
確かに心を表しているという点では花も原種も変わらない。だが、一つだけ決定的な違いがあった。
それは原種の変化が心に反映される点。花を見ることのできる唯理は原種に干渉することで心に踏み込めるのだ。
おもむろにポケットから小瓶を取り出した唯理は、その中に入っていた数滴の液体をその場に垂らす。
「それは沢谷さんの時の!」
雨車の言葉に唯理は頷いた。それと同時に小さな花がその青紫の花弁を房状に開く。柔らかな印象を持つその花、アゲラタムは少年に寄り添うようにその効果を発揮した。
アゲラタム。その花言葉は『安楽』『信頼』。その効果は周囲の人間の鎮静化である。
それは決して強い力を持つわけではない。原種ならば通常の花よりも遥かに強い効果を発揮するだろう。
しかし、人が心の底から涙を流す時など限られている。今回使ったのは協力者から定期的にもらっている携帯用の涙であり通常の効果しか発揮し得ない。
それでも心に直接影響を与えられれば、効果としては十分だった。
アゲラタムの影響を受けて隼人の原種にあった傷が修復されていく。もちろん完全に治すことはできない。だが、ここまで回復すれば後は自力で立ち上がっていけるだろう。
アゲラタムは唯理が好んで使う涙だった。沈静化といった使い勝手の良い力である上に周囲に影響を与えてくれる。
花によっては涙を流した者にだけ影響を与えるものや、周囲にだけ影響を与えるものなど、様々な組み合わせが存在する中で、涙を流した人にも周囲にも良い影響を与えてくれるアゲラタムの涙は唯一無二の存在だった。
そんな涙を提供してくれた協力者に唯理は心のなかで静かに礼を言う。
気づくと原種は現れたときと同様に突然姿を消してしまった。これも原種と通常の花の違い。一度外に出た心もしばらく経てばまた持ち主の中に戻っていく。
「落ち着いたか?」
隼人に優しく聞くと首肯が返された。
「すみません。ありがとうございました」
そう言うと隼人はもじもじしながら後ろを振り返った。
「いつも僕のためにありがとう、お姉ちゃん。今度は僕が守るから」
さっきまで泣いていたため声は弱々しい。しかし、決意の固さがはっきりと現れていた。
尾城は面を食らったように目をパチクリさせる。そして尾城も吹っ切れたように涙を流すと弟を力強く抱きしめた。
「この前はごめんなさい。人の心がわからないなんて言っちゃって……唯理さんはやっぱりすごいですね」
雨車は抱き合う姉弟を見つめながら小声で話しかけてくる。
「私唯理さんのことをひどい人だって誤解していました。でも、こうやって二人に寄り添ってるのを見て唯理さんのことが少しわかった気がします」
雨車は優しく微笑んた。唯理は照れたように視線をそらすとポツリと口を開く
「こっちこそ、強引なことをして本当に悪かった」
ずれた歯車が噛み合ったようなカチッと言う音が心のどこかで鳴った気がする。唯理と雨車はどこか満たされた気持ちで姉弟を見守っていた。
雨車がインターホンを鳴らすと、がたごとと何かが崩れるような音がした後に扉が開いた。
出てきたのは雨車と同じくらいの年齢に見える少女だった。学校帰りだったのか制服を着崩しており、顔には疲れの色が見えた。
「久しぶりじゃん!」
その少女は雨車を見るなり嬉しそうに顔を輝かせる。
「知り合いか?」
雨車も顔を輝かせながら頷いた。
「この子は尾城カヤ。私が小学校の時の友人です。カヤ、この人は唯理さん。沢谷さんについて聞きたいことがあってきたの」
「送ってくれたメッセージで大体の状況はわかってるよ。私にできることなら何でも協力する」
任せろとばかりに尾城はニッと笑顔を浮かべた。
「雨車からは条件があるって聞いてたんだが」
唯理の質問に尾城は一瞬戸惑ったような顔をした後、合点がいったように手をうった。
「弟のことね。まあ、それは中に入ってからにしましょう」
尾城はそう言うと雨車の手を取って部屋に入っていく。
唯理はその様子を後ろでじっと見つめたあと意を決して部屋に入った。
部屋の中はあまり整頓されているとは言えなかった。ゴミ屋敷という程ではないが狭いリビングの所々にダンボールが積まれており、リビングから見えるランドリールームには服が山積みになっている。
奥にあるキッチンのシンク上には洗いかけの食器やカップ麺のゴミが散乱しており、ギリギリキッチンとして機能するといった状況だった。
「隼人こっちにおいで!」
リビングにつくなり尾城は奥の部屋に向かって叫ぶ。すると幼稚園年少くらいの男の子がおずおずと入ってきた。
「大人しい子だから迷惑はかけないはずよ。でも一人にしておくのは心配だから私が話を聞いている間は面倒を見てほしいだけ。条件なんてそんな堅苦しいものではないですよ」
そう言って尾城は隼人の背をそっと押して唯理の方へ一歩進ませる。
小柄でかわいらしい子だった。髪は肩まで伸びており、幼い顔も相まって女の子だと言われても不自然ではなかった。華奢な体にまとった姉のお下がりと思われる服もそれに拍車をかけていた。
「初めまして、隼人です」
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「待て!」
唯理の言葉に雨車は手を止めた。
「どうしたんですか?」
「気になることがある」
頭を下げたまま上げようとしない隼人を見ながら唯理は答えた。
「いや~隼人が引っ込み思案でごめんね」
危うげな空気を察したのか尾城は取り繕ったような笑顔で場を和ませようとする。
だが、唯理はその笑顔を無視して尾城に尋ねる。
「夏なのに制服で暑くないのか?」
部屋はクーラーがあまり効いていないため蒸し暑い。にもかかわらず、尾城は長袖のシャツの腕をまくってもいなかった。
「……ちょっとめんどくさくて」
尾城は表面上は明るく振る舞っている。しかし、声の震えだけは抑えられないようだった。
唯理は他の人に聞こえないように雨車に小さく耳打ちした。
雨車はその内容にはっと目を見開いて唯理と尾城を交互に見る。
「カヤ、袖をめくってくれないかな」
雨車はおずおずと尋ねた。その質問に尾城の顔が引きつる。
「い、嫌だな~。私の何をそんなに疑ってるわけ?」
唯理と雨車の返答は無言だった。尾城は間違いなく誤魔化そうとしている。ならばその会話に乗る必要はない。
「お前の弟、頻繁にベランダに追い出されてるな。そして、お前の腕にはあざがある。違うか?」
偽りの笑顔にひびが入った。
「な、なんで……」
さっきまでの明るさが嘘のように尾崎の顔はみるみる青ざめていった。
「お前たち、虐待されてるだろ?」
尾城はなおも何かを言おうとした。しかし、体のいい言葉は全く出てこないらしく、万策尽きた尾城は苦しそうによろよろと一歩後ろに下がった。その時だった。
「お姉ちゃんをいじめないで!」
尾城の前に小さな体が立ちふさがった。開かれた小さな手はわなわなと恐怖で震えている。にもかかわらず、隼人は毅然と尾城を守るように立ちふさがっていた。
長い髪の隙間から覗く目が強く唯理を睨みつける。しかし、唯理はその目が潤んでるのを見過ごさなかった。
ヤブランということは『忍耐』か、重いものを背負ったな――
「そうやっていつも耐え続けてたんだよな」
唯理は片膝をつくと隼人に視線を合わせる。
隼人は身の危険を感じたのかぎゅっと目を閉じた。固く閉ざした目から涙が一滴零れ落ちる。
それを唯理は優しくハンカチで拭った。
突然のことに驚きながら隼人は恐る恐る目を開く。
唯理は少しでも安心させられるように、ぎこちないながらも笑顔を作った。
「安心してほしい。俺は痛いことはしないから」
そう言って唯理は細心の注意を払って隼人を抱きしめる。
最初隼人は固まったままだった。何が起きたのかわからずにまるで時間が止まったように微動だにしなかった。そのまま数秒が過ぎる。
「もう大丈夫だから」
その言葉を発した瞬間、凍った時間が溶け出したように隼人は唯理の背中を強く抱きしめた。同時に言葉にならない嗚咽を漏らす。その声は次第に大きくなっていった。
「辛かったよな」
何かを伝えようとする隼人の思いを汲み取って、唯理は優しく話しかける。軽く背をたたきながら、すべてを吐き出せるようにと――
泣き叫ぶ声が部屋中に響いた。ため込んできた思いをすべてぶちまけるように隼人は唯理の胸の中で声を上げて泣きじゃくる。大粒の涙がとめどなく流れ落ち、服に大きなシミを作った。
その瞬間ひときわ大きな植物が涙の跡から芽吹く。それは凄まじい速度でさらに巨大に成長しつぼみをつける。
そして一拍置いてからつぼみを一斉に開き、結晶のように光り輝く花弁を唯理に見せた。
まっすぐ伸びた茎から無数の小さな紫の花が咲き誇る。ヤブランといわれるその花は豪華さはあまりない花とされている。だが隼人の心であるその花は、そんな通説を覆すほどに美しかった。
「原種はなんとか無事だったみたいだな。強いやつだな、お前は」
原種、それは涙を流した者の心の核。唯理が普段見ている花より遥かに力強く咲き誇るそれは、何かがきっかけになって本当に心が揺さぶられた時、本当に心から泣いた時にのみに現れる、その人の心そのものだった。
原種と涙を流す人の心はまさに一心同体。一方が影響を受ければもう一方も同じ影響を受ける。それは唯理が普段見ている通常の花との大きな違いだった。
確かに心を表しているという点では花も原種も変わらない。だが、一つだけ決定的な違いがあった。
それは原種の変化が心に反映される点。花を見ることのできる唯理は原種に干渉することで心に踏み込めるのだ。
おもむろにポケットから小瓶を取り出した唯理は、その中に入っていた数滴の液体をその場に垂らす。
「それは沢谷さんの時の!」
雨車の言葉に唯理は頷いた。それと同時に小さな花がその青紫の花弁を房状に開く。柔らかな印象を持つその花、アゲラタムは少年に寄り添うようにその効果を発揮した。
アゲラタム。その花言葉は『安楽』『信頼』。その効果は周囲の人間の鎮静化である。
それは決して強い力を持つわけではない。原種ならば通常の花よりも遥かに強い効果を発揮するだろう。
しかし、人が心の底から涙を流す時など限られている。今回使ったのは協力者から定期的にもらっている携帯用の涙であり通常の効果しか発揮し得ない。
それでも心に直接影響を与えられれば、効果としては十分だった。
アゲラタムの影響を受けて隼人の原種にあった傷が修復されていく。もちろん完全に治すことはできない。だが、ここまで回復すれば後は自力で立ち上がっていけるだろう。
アゲラタムは唯理が好んで使う涙だった。沈静化といった使い勝手の良い力である上に周囲に影響を与えてくれる。
花によっては涙を流した者にだけ影響を与えるものや、周囲にだけ影響を与えるものなど、様々な組み合わせが存在する中で、涙を流した人にも周囲にも良い影響を与えてくれるアゲラタムの涙は唯一無二の存在だった。
そんな涙を提供してくれた協力者に唯理は心のなかで静かに礼を言う。
気づくと原種は現れたときと同様に突然姿を消してしまった。これも原種と通常の花の違い。一度外に出た心もしばらく経てばまた持ち主の中に戻っていく。
「落ち着いたか?」
隼人に優しく聞くと首肯が返された。
「すみません。ありがとうございました」
そう言うと隼人はもじもじしながら後ろを振り返った。
「いつも僕のためにありがとう、お姉ちゃん。今度は僕が守るから」
さっきまで泣いていたため声は弱々しい。しかし、決意の固さがはっきりと現れていた。
尾城は面を食らったように目をパチクリさせる。そして尾城も吹っ切れたように涙を流すと弟を力強く抱きしめた。
「この前はごめんなさい。人の心がわからないなんて言っちゃって……唯理さんはやっぱりすごいですね」
雨車は抱き合う姉弟を見つめながら小声で話しかけてくる。
「私唯理さんのことをひどい人だって誤解していました。でも、こうやって二人に寄り添ってるのを見て唯理さんのことが少しわかった気がします」
雨車は優しく微笑んた。唯理は照れたように視線をそらすとポツリと口を開く
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