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朽ち行く花の後悔
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突如家に上がり込んできた沢谷を見て、桜家は驚愕の表情を浮かべた。
「どうしてここにいるんですか⁉ 嫌、どこから聞いていたんですか⁉」
焦ったように桜家は叫んだ。まるで状況が飲み込めないらしく、目まぐるしく視線を動かしている。
「最初からだよ」
桜家の言葉に雨車は静かに告げた。それに補足するような形で唯理が言葉を続ける。
「ここに来る前に雨車にメールしたんだ。そして通話を続けておくように指示した。まさか沢谷まで聞くことになるとは思わなかったけどな」
唯理はそういって軽く肩をすくめる。そんな中、沢谷は一人桜家を睨みつけていた。
「笑えるわね。私はずっとあなたの手のひらの上だったってわけ? おかしいと思ったわ。今日雨車に起こった嫌がらせ、全部あんたがやったんでしょう。そもそも隣の席のあんたに気づかれずそんなことをするなんてさすがに無理だからね」
桜家は無言でうつむいた。
「目的は私を守ること。どうせ、嫌がらせをしていればそっちに気を取られて私のことなんて忘れるって考えたんでしょ」
沢谷はおかしそうにけらけらと笑った。それがまるで友達と談笑している時のようで異様な空気をあたりに漂わせる。
「そうやっていつも私を馬鹿にしてたわけ?」
先ほどまでと一転して冷ややかな口調だった。
「自分の思い通りに行ってさぞ気持ちよかったでしょうね!」
「違うの! 私はそんなつもりじゃ……」
「私を守りたい? ふざけるなよ! じゃあ何であの時何もしてくれなかったの? 結局みんなそう。どいつもこいつも口先だけのクズ。そんな奴が偉そうなこと言ってんじゃねぇよ!」
言葉のナイフが桜家の心を醜く抉る。きっとこの言葉は桜家が一番聞きたくないものだったはずだ。
「ぁ……ぁあ」
桜家は何も弁解できないようだった。打ちのめされたようにその場に崩れ落ちた。
「誰かが、誰かがあの時私のことを信じてくれれば私は……私はこんな風に……」
倒れこむ桜家を見つめそう呟く沢谷の目には強い後悔が浮かんでいた。
恐らくまだ咲いている桜家の原種にあてられたのだろう。
そこで唯理ははっと気づく。これは千載一遇のチャンスだ。自分の過去を思い出し悔やんでいる今なら打てる手がある。
「雨車、頼んだもの持ってるか?」
雨車は唯理をまっすぐに見つめ頷いた。そして唯理の手に一つのキーホルダーを握らせた。それは尾城から預かったキーホルダーだった。
「私にはここまでしかできません。だからお願い。私の代わりに二人を助けて!」
その目に宿るのは信頼だった。唯理は改めて思いを託されたことを自覚する。胸の中で温かい何かが揺らめいていた。
「ああ、それが俺の願いだからな」
唯理はそういうと手を軽く目に添える。そして、読み解く。過去の沢谷の心を。
それはきっと自分にしかできないことで、自分が願ったことなのだ。
「やっぱり奇麗じゃないか」
キーホルダーは数年前の物であり、もはや残滓も消えかけている。水の中にあるかのように輪郭はぼやけよく目を凝らさなくては見えないほどだ。
だがそんな状態でも唯理が答えを出すのには十分だった。唯理はその花を見て安心したように微笑んだ。
「全部あんたのせい。私はもう変われない……」
「それは違う!」
沢谷の力ない言葉に唯理は強い否定を返した。それを聞いて思い出したように沢谷は唯理へ敵意を向ける。
「違う? 何が違うっていうんだよ! 何も知らないくせに適当なこと言うな!」
「何も知らないわけじゃない」
唯理の言葉に沢谷は一瞬虚を突かれた顔をするがすぐに元の調子に戻る。
「何を、私の何を知ってるっていうの?」
唯理は深く深呼吸する。そして正面から沢谷に向き合った。
「誰にも頼らず自分一人で背負い込んできた。自分の力で必死にあがこうとした。違うか?」
唯理は勝負に出る。
「何で……」
沢谷は戸惑いを隠せないように一歩後ずさった。
『高潔』、それはサワギキョウの花言葉の一つ。キーホルダーから見えた残滓はまるでその言葉を体現したかのように力づよくまっすぐに咲いていた。
「お前は小さいころから何でも一人でできた。その分誰よりも正しく強くあろうとした。自分を貫き通そうとした。それが昔のお前だったんじゃないか?」
それこそが唯理が花から読み取った沢谷の心。
きっとあの事件さえなければ、昔のまままっすぐ強くなっていったはずなのだ。そう確信させるほど、沢谷の花の残滓はきれいだった。
「止めて!」
沢谷は首を振った。
「そんなんじゃない。私は心のどこかでいつも周りを馬鹿にしてた。あんたが言うようなできた人間なんかじゃない!」
自分を言葉で殴りつけるかのように沢谷は叫んだ。両腕を抱きかかえ苦しむその姿には、もはやいつもの面影はなかった。
「私は……私もクズなんだよ」
その声には絶望感がにじみ出ていた。彼女自身も自分がおかしくなっていることくらい理解していたのだろう。そうと分かっていても彼女も止まれなかったのだ。
「確かにお前がやってきたことはひどいことだったと思う」
唯理ははっきりと告げた。間違いを犯した事実は絶対に変わらない。自分がやってしまった過ちはなかったことにはできない。だが、それは過ちだけではないはずだ。
「でも、お前が過去にすごい人だったことも絶対に変わらない事実だ」
唯理は沢谷の方へ一歩踏み出す。
「お前が昔誰よりも頑張ってきたことは絶対になかったことにならない!」
「そんなの詭弁だ! 私は道を踏み外した。元の道に戻ったってまた踏み外すかもしれない!」
「そのための友達だろ」
唯理は桜家に目を向けた。突如向けられた視線に桜家はゆっくりと頭を上げた。
「少なくともこいつはお前の味方でい続けた。お前のことを考え続けた。こいつのそういうところは信用できるんじゃないのか?」
沢谷は初めて出会ったかのように桜家を見つめた。
沢谷の中で桜家とは恐らくちゃんと向かい合えていなかったのだ。裏切られたという色眼鏡がやっとはずれ、沢谷は今になってやっとありのままの桜家を見た。
「確かに昔のお前たちの関係は共依存だ。でも、それは思いが掛け違いになってただけだ。だから、お互い本音を打ち明けあった今ならまた友達として向き合えるんじゃないか?」
過去が消えなくても、彼女らならそれを埋め合わせられるくらい輝かしい未来を作れるはずだ。少なくとも唯理はそう信じていた。
「ごめんなさい」
沢谷は桜家の元へと向かう。そして一瞬ためらった後、桜家の手を握った。
「ごめんなさい」
それはきっと本心からの言葉。その証拠に沢谷の目からは涙があふれ、原種が姿を現した。
その姿はまだボロボロだ。長年積み重なった傷はすぐには癒えないだろう。だが、謝罪の言葉とともにサワギキョウは少しずつ傷を治していく。
「私こそごめんなさい。何もできなくて」
そして、桜家のバーベナも同じように傷を治していく。どうやらやっと桜家も自分を許すことができたようだった。
舞い散る花びらの中、唯理は疲れたようにその場に座り込んだ。完全にすべてが戻ったわけではない。でも、この日はきっと二人の再スタートの日になってくれるはずだ。
「本当にありがとうございました」
涙ぐんだ雨車の声を聞きながら唯理は目をつぶった。いつもとは違う心地よい静けさがみんなを包み込んでいた。
「どうしてここにいるんですか⁉ 嫌、どこから聞いていたんですか⁉」
焦ったように桜家は叫んだ。まるで状況が飲み込めないらしく、目まぐるしく視線を動かしている。
「最初からだよ」
桜家の言葉に雨車は静かに告げた。それに補足するような形で唯理が言葉を続ける。
「ここに来る前に雨車にメールしたんだ。そして通話を続けておくように指示した。まさか沢谷まで聞くことになるとは思わなかったけどな」
唯理はそういって軽く肩をすくめる。そんな中、沢谷は一人桜家を睨みつけていた。
「笑えるわね。私はずっとあなたの手のひらの上だったってわけ? おかしいと思ったわ。今日雨車に起こった嫌がらせ、全部あんたがやったんでしょう。そもそも隣の席のあんたに気づかれずそんなことをするなんてさすがに無理だからね」
桜家は無言でうつむいた。
「目的は私を守ること。どうせ、嫌がらせをしていればそっちに気を取られて私のことなんて忘れるって考えたんでしょ」
沢谷はおかしそうにけらけらと笑った。それがまるで友達と談笑している時のようで異様な空気をあたりに漂わせる。
「そうやっていつも私を馬鹿にしてたわけ?」
先ほどまでと一転して冷ややかな口調だった。
「自分の思い通りに行ってさぞ気持ちよかったでしょうね!」
「違うの! 私はそんなつもりじゃ……」
「私を守りたい? ふざけるなよ! じゃあ何であの時何もしてくれなかったの? 結局みんなそう。どいつもこいつも口先だけのクズ。そんな奴が偉そうなこと言ってんじゃねぇよ!」
言葉のナイフが桜家の心を醜く抉る。きっとこの言葉は桜家が一番聞きたくないものだったはずだ。
「ぁ……ぁあ」
桜家は何も弁解できないようだった。打ちのめされたようにその場に崩れ落ちた。
「誰かが、誰かがあの時私のことを信じてくれれば私は……私はこんな風に……」
倒れこむ桜家を見つめそう呟く沢谷の目には強い後悔が浮かんでいた。
恐らくまだ咲いている桜家の原種にあてられたのだろう。
そこで唯理ははっと気づく。これは千載一遇のチャンスだ。自分の過去を思い出し悔やんでいる今なら打てる手がある。
「雨車、頼んだもの持ってるか?」
雨車は唯理をまっすぐに見つめ頷いた。そして唯理の手に一つのキーホルダーを握らせた。それは尾城から預かったキーホルダーだった。
「私にはここまでしかできません。だからお願い。私の代わりに二人を助けて!」
その目に宿るのは信頼だった。唯理は改めて思いを託されたことを自覚する。胸の中で温かい何かが揺らめいていた。
「ああ、それが俺の願いだからな」
唯理はそういうと手を軽く目に添える。そして、読み解く。過去の沢谷の心を。
それはきっと自分にしかできないことで、自分が願ったことなのだ。
「やっぱり奇麗じゃないか」
キーホルダーは数年前の物であり、もはや残滓も消えかけている。水の中にあるかのように輪郭はぼやけよく目を凝らさなくては見えないほどだ。
だがそんな状態でも唯理が答えを出すのには十分だった。唯理はその花を見て安心したように微笑んだ。
「全部あんたのせい。私はもう変われない……」
「それは違う!」
沢谷の力ない言葉に唯理は強い否定を返した。それを聞いて思い出したように沢谷は唯理へ敵意を向ける。
「違う? 何が違うっていうんだよ! 何も知らないくせに適当なこと言うな!」
「何も知らないわけじゃない」
唯理の言葉に沢谷は一瞬虚を突かれた顔をするがすぐに元の調子に戻る。
「何を、私の何を知ってるっていうの?」
唯理は深く深呼吸する。そして正面から沢谷に向き合った。
「誰にも頼らず自分一人で背負い込んできた。自分の力で必死にあがこうとした。違うか?」
唯理は勝負に出る。
「何で……」
沢谷は戸惑いを隠せないように一歩後ずさった。
『高潔』、それはサワギキョウの花言葉の一つ。キーホルダーから見えた残滓はまるでその言葉を体現したかのように力づよくまっすぐに咲いていた。
「お前は小さいころから何でも一人でできた。その分誰よりも正しく強くあろうとした。自分を貫き通そうとした。それが昔のお前だったんじゃないか?」
それこそが唯理が花から読み取った沢谷の心。
きっとあの事件さえなければ、昔のまままっすぐ強くなっていったはずなのだ。そう確信させるほど、沢谷の花の残滓はきれいだった。
「止めて!」
沢谷は首を振った。
「そんなんじゃない。私は心のどこかでいつも周りを馬鹿にしてた。あんたが言うようなできた人間なんかじゃない!」
自分を言葉で殴りつけるかのように沢谷は叫んだ。両腕を抱きかかえ苦しむその姿には、もはやいつもの面影はなかった。
「私は……私もクズなんだよ」
その声には絶望感がにじみ出ていた。彼女自身も自分がおかしくなっていることくらい理解していたのだろう。そうと分かっていても彼女も止まれなかったのだ。
「確かにお前がやってきたことはひどいことだったと思う」
唯理ははっきりと告げた。間違いを犯した事実は絶対に変わらない。自分がやってしまった過ちはなかったことにはできない。だが、それは過ちだけではないはずだ。
「でも、お前が過去にすごい人だったことも絶対に変わらない事実だ」
唯理は沢谷の方へ一歩踏み出す。
「お前が昔誰よりも頑張ってきたことは絶対になかったことにならない!」
「そんなの詭弁だ! 私は道を踏み外した。元の道に戻ったってまた踏み外すかもしれない!」
「そのための友達だろ」
唯理は桜家に目を向けた。突如向けられた視線に桜家はゆっくりと頭を上げた。
「少なくともこいつはお前の味方でい続けた。お前のことを考え続けた。こいつのそういうところは信用できるんじゃないのか?」
沢谷は初めて出会ったかのように桜家を見つめた。
沢谷の中で桜家とは恐らくちゃんと向かい合えていなかったのだ。裏切られたという色眼鏡がやっとはずれ、沢谷は今になってやっとありのままの桜家を見た。
「確かに昔のお前たちの関係は共依存だ。でも、それは思いが掛け違いになってただけだ。だから、お互い本音を打ち明けあった今ならまた友達として向き合えるんじゃないか?」
過去が消えなくても、彼女らならそれを埋め合わせられるくらい輝かしい未来を作れるはずだ。少なくとも唯理はそう信じていた。
「ごめんなさい」
沢谷は桜家の元へと向かう。そして一瞬ためらった後、桜家の手を握った。
「ごめんなさい」
それはきっと本心からの言葉。その証拠に沢谷の目からは涙があふれ、原種が姿を現した。
その姿はまだボロボロだ。長年積み重なった傷はすぐには癒えないだろう。だが、謝罪の言葉とともにサワギキョウは少しずつ傷を治していく。
「私こそごめんなさい。何もできなくて」
そして、桜家のバーベナも同じように傷を治していく。どうやらやっと桜家も自分を許すことができたようだった。
舞い散る花びらの中、唯理は疲れたようにその場に座り込んだ。完全にすべてが戻ったわけではない。でも、この日はきっと二人の再スタートの日になってくれるはずだ。
「本当にありがとうございました」
涙ぐんだ雨車の声を聞きながら唯理は目をつぶった。いつもとは違う心地よい静けさがみんなを包み込んでいた。
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