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第一話
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ある日、突如として人間界に魔族の軍勢が押し寄せた。
闇の力で混沌を統べるは、大魔王アトロシャス。
非力な人間は、異形の姿をした魔族の強大な魔力と圧倒的な力に恐怖し、混乱し、絶望する。
世界はあっという間に支配される――はずだった。
『大魔王、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
魔族の人間界侵攻という久しぶりの大厄災に、悠久の安寧に辟易していた天上界の神と精霊と妖精は躍起になった。
神と精霊と妖精は競うように一人の人間に祝福を与え、空前絶後の超絶無敵な光の力を手にした勇者は自らの仲間を率いて魔族への迎撃を開始する。
――その結果、大魔王は割と呆気なく倒された。
*****
大魔王を討伐した勇者が、生まれ故郷のグランディア王国へと凱旋する。
「ラストさま~、本当に、やるんですか~?」
勇者一行を一目見ようと、大勢の人が群がり集まる背後の茂みで息を潜めているのは、体長三十センチほどのカーバンクル。
ウサギのような長い耳にキツネのような長いしっぽ。リスにも似た薄茶色の身体の額には、小粒のルビーが申し訳程度に光っている。
使い魔はその小さな身体をさらに小さく縮めながら、隣で同じように息を潜める主を仰ぐ。
「やる。やるったら、殺る」
柄も刃も黒く染まった短剣を握りしめ、ラストは前を見据えた紅い瞳を鋭く輝かせた。
雪のような白い肌に、腰まで伸びた緩く波打つ漆黒の髪。
頭の左右には、魔族の象徴である鋭く尖った牛角。
一見するとうら若き乙女にも見えるが、黒いビロードのオフショルダードレスの胸元からのぞく豊満な胸や艶やかな唇が弧を描く様からは妖艶な美女の雰囲気が漂わなくもない。
色欲の名に相応しい彼女もまた、違う目的で勇者の到着を今か今かと待ち構えていた。
「大魔王さまの仇を討ちたい気持ちはわかりますけど~、もう諦めませんか~?」
「諦めたからといってどうする? 我らにはもう、帰る場所もないのだ」
大魔王の崩御に伴い、魔族はすべて撤退した。
恐らく人間界に残っているのは、ラストとカーバンクルだけだろう。
魔族の住む魔界と人間界は次元を隔てた隣り合わせの世界。
だが、そこを行き来するのは容易ではない。鬱屈とした負のオーラに満ちる魔界は、人間界に比べて脆く脆弱で、次元の壁を傷つけずに突破するには膨大な量の魔力を要する。それを賄っていたのが大魔王アトロシャスと王に仕える幹部の四天王だったのだが、彼らは勇者によって尽く倒されてしまった。
「だから、人間界に来るのはやめようって言ったのに~。おまけに、来るのが遅すぎなんですよ~」
「……うっさい、黙れ!」
ラストが人間界に降り立ったのは、大魔王が勇者によって倒されるほんの数時間前だった。
次元を抜ける道はすでに不安定になっていた。そのため、ラストが出現したのは魔族が拠点とする城ではなく、大平原のど真ん中であった。
眩い光を放つ太陽を浴びるのも鼻腔をくすぐる草木の爽やかな香りを嗅ぐのも初めてだった彼女は、物珍しさも手伝ってうろうろとしているうちに――迷子に、なっていた。
ラストがようやく城に辿り着いたときには、すでに全軍が撤退したあとだった……
「出陣の命令なんて出てなかったのに~。ラストさまのバカ~、無鉄砲~、先走り汁~」
「――勇者より先に、おまえを殺してやろうか……?」
「ひい~っ! ごめんなさ~い。でも、バカ~」
耳を畳んだカーバンクルの頭を一撃して、ラストは小さくため息を吐く。
「我らにも残った同胞にも、魔界へ通じる道を繋ぐほどの力はもうない。せめて、私も一族のはしくれとして……」
「でも~、あの勇者、流石に神と精霊と妖精に祝福されただけあって、とんでもなく強いですよ~?」
そうなのだ。今日までにも何度か襲撃を試みたものの、稀代の勇者はべらぼうに強い。
調子に乗った神と精霊と妖精によって桁違いの力を与えられた奴は、どんなに気配を消して近づこうとも確実にラストの魔力を察知する。
……魔族探知レーダー機能でも搭載しているのだろうか?
「大体、大魔王さまでも敵わなかったのに、ラストさまが勝てるわけがないじゃないですか~」
「……うっ」
出陣命令がなかったのは、単に戦力として数えられていなかったから。
力がすべての魔族において、魔力の低いラストは、落ちこぼれだった。
「そもそも、仇を打ちたくなるほど、親しくもなかったじゃないですか~」
カーバンクルの言葉に、ラストはぐっと喉を詰まらせる。
「いくら大魔王さまがお父上でも~、ほとんど会ったこともないのに~」
「そ、それは……」
ラストは、大魔王アトロシャスの末の娘だ。
娘といっても、一粒種とか、男兄弟のなかの紅一点というわけではない。
ラストの上には数多の兄と姉がいて、正妃や側室や愛人やらと、泣かせた女は数しれず。
――大魔王は、大魔王なだけあって絶倫だった。
王宮は子供で溢れ返り、おまけに長子の王太子と末妹とでは親子ほどの年が離れていて、彼らの子供を含めて最早どれが誰の子かも区別がつかない。
側室でもなかった女の産んだ末の娘の存在を、父がどれほど認識していたのかさえも定かでなかった。
アトロシャスは、立派な体躯に漆黒で硬質な肌といういかにも大魔王然とした姿をしていたが、ラストは容姿も魔力の質も似ても似つかない。
それでも彼女が娘だと認められたのは、父に比べて遥かに小ぶりな角と、彼の血筋だけに現れるという紅い瞳を受け継いでいたからに過ぎなかった。
「それでも……私は、殺らなければならないんだ!」
王太子を始めとする四天王が倒され、敗戦の色が濃厚となった中で無謀にも魔界を飛び出してきたのは、そのためだ。
あれだけいた大魔王の子供たちも、戦況の悪化とともに次々と姿を消した。
自らとは血の繋がりもないラストを迎え入れてくれた正妃も、もう随分と昔に亡くなっている。
だから――
「せっかく、偉くなれるチャンスだと思ったのにぃぃぃ!」
王宮の隅でひっそりと暮らしていても埒が明かない。それどころか、王家自体が廃れれば、自らが食いっぱぐれになる恐れもある。
力を持った兄弟達が次々といなくなった今、勇者は無理でもせめてその仲間や親族や友人知人のひとりでも殺れれば、なんらかの恩賞くらいはもらえるのではないかと目論んでいた。
――なのにまさか、置き去りにされるなんて!
「ラストさまがいなくなったこと、誰か気づいてるんですかね~?」
「うわぁぁぁん、言うなぁぁぁ!」
ラストには、王宮内に親しい者がいなかった。
ラストの母親は、ある日突然『あなたの子供よ、責任取んなさい!』と生まれて間もない赤ん坊を抱えて王宮に押しかけ、多額の慰謝料をふんだくって去って行った。
度重なる夫の不貞にも『大魔王なんだから仕方ない』と寛容な態度をとっていた正妃も、膨れ上がる養育費と狭くなる一方の王宮に遂には堪忍袋の緒が切れて、大魔王の大魔王をパイプカットをした。
なので、以降は大魔王の子供は生まれていない。
故に、彼女で打ち止め――
闇の力で混沌を統べるは、大魔王アトロシャス。
非力な人間は、異形の姿をした魔族の強大な魔力と圧倒的な力に恐怖し、混乱し、絶望する。
世界はあっという間に支配される――はずだった。
『大魔王、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』
魔族の人間界侵攻という久しぶりの大厄災に、悠久の安寧に辟易していた天上界の神と精霊と妖精は躍起になった。
神と精霊と妖精は競うように一人の人間に祝福を与え、空前絶後の超絶無敵な光の力を手にした勇者は自らの仲間を率いて魔族への迎撃を開始する。
――その結果、大魔王は割と呆気なく倒された。
*****
大魔王を討伐した勇者が、生まれ故郷のグランディア王国へと凱旋する。
「ラストさま~、本当に、やるんですか~?」
勇者一行を一目見ようと、大勢の人が群がり集まる背後の茂みで息を潜めているのは、体長三十センチほどのカーバンクル。
ウサギのような長い耳にキツネのような長いしっぽ。リスにも似た薄茶色の身体の額には、小粒のルビーが申し訳程度に光っている。
使い魔はその小さな身体をさらに小さく縮めながら、隣で同じように息を潜める主を仰ぐ。
「やる。やるったら、殺る」
柄も刃も黒く染まった短剣を握りしめ、ラストは前を見据えた紅い瞳を鋭く輝かせた。
雪のような白い肌に、腰まで伸びた緩く波打つ漆黒の髪。
頭の左右には、魔族の象徴である鋭く尖った牛角。
一見するとうら若き乙女にも見えるが、黒いビロードのオフショルダードレスの胸元からのぞく豊満な胸や艶やかな唇が弧を描く様からは妖艶な美女の雰囲気が漂わなくもない。
色欲の名に相応しい彼女もまた、違う目的で勇者の到着を今か今かと待ち構えていた。
「大魔王さまの仇を討ちたい気持ちはわかりますけど~、もう諦めませんか~?」
「諦めたからといってどうする? 我らにはもう、帰る場所もないのだ」
大魔王の崩御に伴い、魔族はすべて撤退した。
恐らく人間界に残っているのは、ラストとカーバンクルだけだろう。
魔族の住む魔界と人間界は次元を隔てた隣り合わせの世界。
だが、そこを行き来するのは容易ではない。鬱屈とした負のオーラに満ちる魔界は、人間界に比べて脆く脆弱で、次元の壁を傷つけずに突破するには膨大な量の魔力を要する。それを賄っていたのが大魔王アトロシャスと王に仕える幹部の四天王だったのだが、彼らは勇者によって尽く倒されてしまった。
「だから、人間界に来るのはやめようって言ったのに~。おまけに、来るのが遅すぎなんですよ~」
「……うっさい、黙れ!」
ラストが人間界に降り立ったのは、大魔王が勇者によって倒されるほんの数時間前だった。
次元を抜ける道はすでに不安定になっていた。そのため、ラストが出現したのは魔族が拠点とする城ではなく、大平原のど真ん中であった。
眩い光を放つ太陽を浴びるのも鼻腔をくすぐる草木の爽やかな香りを嗅ぐのも初めてだった彼女は、物珍しさも手伝ってうろうろとしているうちに――迷子に、なっていた。
ラストがようやく城に辿り着いたときには、すでに全軍が撤退したあとだった……
「出陣の命令なんて出てなかったのに~。ラストさまのバカ~、無鉄砲~、先走り汁~」
「――勇者より先に、おまえを殺してやろうか……?」
「ひい~っ! ごめんなさ~い。でも、バカ~」
耳を畳んだカーバンクルの頭を一撃して、ラストは小さくため息を吐く。
「我らにも残った同胞にも、魔界へ通じる道を繋ぐほどの力はもうない。せめて、私も一族のはしくれとして……」
「でも~、あの勇者、流石に神と精霊と妖精に祝福されただけあって、とんでもなく強いですよ~?」
そうなのだ。今日までにも何度か襲撃を試みたものの、稀代の勇者はべらぼうに強い。
調子に乗った神と精霊と妖精によって桁違いの力を与えられた奴は、どんなに気配を消して近づこうとも確実にラストの魔力を察知する。
……魔族探知レーダー機能でも搭載しているのだろうか?
「大体、大魔王さまでも敵わなかったのに、ラストさまが勝てるわけがないじゃないですか~」
「……うっ」
出陣命令がなかったのは、単に戦力として数えられていなかったから。
力がすべての魔族において、魔力の低いラストは、落ちこぼれだった。
「そもそも、仇を打ちたくなるほど、親しくもなかったじゃないですか~」
カーバンクルの言葉に、ラストはぐっと喉を詰まらせる。
「いくら大魔王さまがお父上でも~、ほとんど会ったこともないのに~」
「そ、それは……」
ラストは、大魔王アトロシャスの末の娘だ。
娘といっても、一粒種とか、男兄弟のなかの紅一点というわけではない。
ラストの上には数多の兄と姉がいて、正妃や側室や愛人やらと、泣かせた女は数しれず。
――大魔王は、大魔王なだけあって絶倫だった。
王宮は子供で溢れ返り、おまけに長子の王太子と末妹とでは親子ほどの年が離れていて、彼らの子供を含めて最早どれが誰の子かも区別がつかない。
側室でもなかった女の産んだ末の娘の存在を、父がどれほど認識していたのかさえも定かでなかった。
アトロシャスは、立派な体躯に漆黒で硬質な肌といういかにも大魔王然とした姿をしていたが、ラストは容姿も魔力の質も似ても似つかない。
それでも彼女が娘だと認められたのは、父に比べて遥かに小ぶりな角と、彼の血筋だけに現れるという紅い瞳を受け継いでいたからに過ぎなかった。
「それでも……私は、殺らなければならないんだ!」
王太子を始めとする四天王が倒され、敗戦の色が濃厚となった中で無謀にも魔界を飛び出してきたのは、そのためだ。
あれだけいた大魔王の子供たちも、戦況の悪化とともに次々と姿を消した。
自らとは血の繋がりもないラストを迎え入れてくれた正妃も、もう随分と昔に亡くなっている。
だから――
「せっかく、偉くなれるチャンスだと思ったのにぃぃぃ!」
王宮の隅でひっそりと暮らしていても埒が明かない。それどころか、王家自体が廃れれば、自らが食いっぱぐれになる恐れもある。
力を持った兄弟達が次々といなくなった今、勇者は無理でもせめてその仲間や親族や友人知人のひとりでも殺れれば、なんらかの恩賞くらいはもらえるのではないかと目論んでいた。
――なのにまさか、置き去りにされるなんて!
「ラストさまがいなくなったこと、誰か気づいてるんですかね~?」
「うわぁぁぁん、言うなぁぁぁ!」
ラストには、王宮内に親しい者がいなかった。
ラストの母親は、ある日突然『あなたの子供よ、責任取んなさい!』と生まれて間もない赤ん坊を抱えて王宮に押しかけ、多額の慰謝料をふんだくって去って行った。
度重なる夫の不貞にも『大魔王なんだから仕方ない』と寛容な態度をとっていた正妃も、膨れ上がる養育費と狭くなる一方の王宮に遂には堪忍袋の緒が切れて、大魔王の大魔王をパイプカットをした。
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