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第二話 戦えヒーロー! デパ地下バトル
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「と、いうわけで。どこかのおじ様みたいな姿をした怪人は、ヒーローがあまりにもふがいなかったばっかりに取り逃がしてしまいました」
KTHに戻った美江は、『金成』で購入したおにぎりを片手に持ちながら、黒沢に事の次第を報告していた。
「ふーん。永山君が怪人を取り逃がすなんて珍しいね。おまけに怪我までしちゃって、本当にいい気味……コホン。本当に気の毒だったね」
黒沢はデスクワークをしつつ、どこかニヤニヤとしながら円卓の方を見た。
その視線の先では、非常に不機嫌そうな顔をした永山が丸イスにどっかりと座り込んでいる。
上半身には何も身に着けておらず、背中には曲がった湿布が何枚も貼られていた。
「咄嗟に受身をとったからこの程度の怪我で済みましたけど、これでも見た目よりダメージ大きいですからね。これは、立派な労災です。よって、特別手当は請求させていただきますから」
湿布だらけになってもなお、永山の頭には金のことしかないらしい。
ここまで筋金入りだと、もはや何も言えない。
「特別手当ってねえ。さっきあれだけの大ボラをぶっこいた人間が言えることかい? 本当なら、君はクビになってもおかしくない立場なんだよ。わかってる?」
「別に、俺のことをクビにしたければそうなさって下さってもかまいませんよ。でも、果たして黒沢さんは俺ほどの逸材をもう一度見つけ出すことができるでしょうか。甚だ疑問ですね。さ、黒沢さんが望むのであれば、どうぞ俺を今すぐクビにしちゃって下さい。そうしたら、ヒーロー不在によりこの地域の平和は乱れ、ヒーローにふさわしい逸材が見つからずに胃がキリキリと痛む毎日が貴方に訪れることとなるでしょう」
「ううっ」
痛いところをつかれた黒沢は、悔しそうにしながら左手で胃の辺りを押さえた。
この地域のヒーローは、物理的な暴力だけでなく言葉の暴力の方も達者であることを忘れてはいけない。
「そんなに胃が痛むなら、病院に行った方がいいと思いますけどね。黒沢さんが入院でもしてしばらく顔を合わせなくてよくなったら、こっちも清々しますから。いててて、やっぱりまだ背中が痛むな。おい、花咲」
「えっ」
おにぎりをちょうど食べ終えたところでで声をかけられ、美江はビクッと肩を震わせた。
「んくっ……ふう。何か用?」
「悪いけどさ、腰のところに湿布貼ってくれねえか。さっきの質問料の一万円はチャラにしてやるからさ」
「チャラってねえ……」
永山の背中は既に湿布だらけであるが、どれも無理をして自分で貼りつけたものであるため、全て微妙に曲がっている。腰の部分にいたっては、ひんやりとしたところが患部に当たってすらいない。
「何で私がそんなことをしなくちゃいけないのよ」
「ほーう。人がせっかく一万円をチャラにしてやるって言ってやってるのに、そんな態度をとるのか。じゃあ、湿布はもういい。さっさと質問料の一万円を払え」
「質問にまともに答えてないくせして、よく言うわよ。どうしてあんたなんかに」
「お、また質問する気か? 累計質問料が一万二千円に増えるけど、いいんだな」
「わかったわよ。貼ればいいんでしょ、貼れば」
こいつのたちの悪い言い回しに付き合っていては、到底身が持たない。
言い返すのが面倒になった美江は、身近にあったおしぼりで手を拭いてから永山に近寄った。
「ほら、そこのテーブルに置いてある奴を痣になってるところに貼ってくれ。正確にな」
「偉そうに……」
あごでしゃくって指示をする永山に不満を持ちながら、美江は湿布を手に取り腰を見据えた。
「あーいてて。絶対に貼るところを間違うなよ」
「わ、わかってるわよ」
こいつ、馬鹿みたいな運動神経を持っているだけに、いい身体をしているではないか。
美江は口やかましい指示を聞いているうちに、ふと思った。
永山は並ではない身体能力を持っているだけに、非常に引き締まった身体をしている。やや細身であることもあり、服を着ている時は優男にしか見えないのだが、ここまでシャープな筋肉の持ち主であったとは……。
「おい。何ボーっとしてんだよ」
「えっ」
永山がいきなり鋭い眼光で睨んできたため、美江は目を見開きながら軽くのけぞった。
「べ、別にボーっとなんてしてないわよ。ただ、そう、腰ってどの辺かなって」
「腰は腰だ。見りゃあわかるだろ。ったく、いくら俺がいい身体してるからって発情してんじゃねえよ」
「は、は、発情っ!」
多少見とれてしまったことは百歩、いや、千歩譲って事実であったとしても、発情という表現はあんまりではないか!
この一言がきっかけで、美江の中で何かがプチッと音を立てて切れた。
「誰があんたなんかに発情するもんですか。このっ!」
「うぎゃあああ!」
美江は一喝すると、フィルムをはがした湿布を永山の目の辺りに思いきり貼りつけた。
永山は悲痛な叫び声を上げると、床に転がり悶え苦しんだ。
「目がっ……目がっ……しみる! いてててて! しかも臭えし!」
思いの外、その威力は高かったようである。屈指の強さを誇るヒーローは、湿布一枚で撃沈してしまった。
「永山君。女の子を怒らせたら恐いんだから、少しは気をつけないと。ぷっ……」
それを端から見ていた黒沢は「ざまあみろ」とでも言いたそうに不謹慎な笑みを浮かべていた。
「これは立派な傷害罪だ!慰謝料払え、慰謝料!」
「だったら、私もあんたのことを侮辱罪で訴えるわよ。あんたさ、私にどれくらい暴言を吐いてくれたっけ? さ、これでおあいこよ」
「うぐぐ……」
言葉でさらにねじ伏せられると、永山は湿布を引きはがしてからおとなしくなった。
下手な怪人が倒されるのを見るよりも、ある意味では爽快な光景である。
「悔しそうにしてるけど、そもそも君が怪人に負けたりしなかったら、こんなことにはならなかったんだからね。あきらめなよ。ぷぷっ……」
滅多に見られない永山が悶える姿に、黒沢はすっかり気分を良くしたらしい。やけにニコニコしながら、明るく語り始めた。
「大体、変身もしないで怪人を倒すのには限界ってものがあるんだよ。今回だって、油断しないで最初からKTシーバーを使って変身していれば、湿布のお世話にならないで済んだんじゃないのかい」
「え、へ、変身?」
今、間違いなく変身がどうこうとか言わなかったか。
特撮作品などには欠かせない「変身」というワードが耳に入るなり、美江は関心を向けた。
「黒沢さん。あいつ、ドラマに出てくるヒーローみたいに変身できたりするんですか」
「おい。人を指差すな」
美江に指を差された永山は、半身を起こしながら不快そうに顔をしかめた。
「うん。変身できるよ。KTシーバーに特定の番号を打てばすぐにね。でも、彼はヒーローになってから一度も変身したことないんだけどね」
「だから、指差さないで下さいってば」
黒沢はさらに、便乗するかのように永山に向かって指を差しながら説明をした。
「変身って……」
話を聞いた限り「変身」というのは何とかレンジャーだとか、何とかマンなどがよくやっている、ほんの数秒の間に光に包まれちゃったりなんかして、こじゃれた全身タイツみたいな格好になった後に異様なまでの強さを手にするという奴のことであると解釈して間違いないだろう。
話だけならどうにか飲み込むことができたが、現代の技術でそんなことができるのだろうか。もしできるのであれば……ぜひとも見てみたい。
「俺は嫌ですよ、変身なんて。あんな格好、頼まれたって絶対にしたくありません。たかが運動能力が三倍、耐久力が十倍程度の恩恵じゃあ、変身する価値もありませんよ」
待て待て待て。その性能だったら、充分に価値があり過ぎるだろうが。
美江は、永山の言葉に心の中でツッコミを入れた。
運動能力三倍って。耐久力十倍って。どういう次元の話なのだ。
「科学技術の結晶に向かって何てことを言ってくれるんだ。本部が開発した、あの変身スーツを君のように馬鹿みたいな身体能力を持っている人間が身につけたら、すごいことになるよ。怪人の連行率がますます上がって、地域の平和はもっと守られるようになるに違いないんだから。……僕の残業も減って、家庭の平和も守られるようになるに違いないし」
黒沢は力強く語るが、やたらと強調した前半部分よりも、後半の弱々しく付け足すように呟いた部分の方に情がよりこもっていたように聞こえたのは思い違いだろうか。
「だって、あのスーツのデザイン最悪じゃないですか。ダサいって言葉じゃ足りない代物ですよ、あれは。あれを着て外を出歩くくらいだったら、ショッカーの仮装をしてファッションショーに参加した方がマシですからね。あんなものはね、人間が着るものじゃありません。薪にくべて、暖をとるのにしか使えたもんじゃありませんよ」
何も、そこまで言わなくても。
変身という名目で身につけることになるという戦闘用スーツというものは、ただでさえきつい永山の口調を、さらに辛辣なものに変えてしまうほどひどい見てくれをしているのだろうか。だとしたら……余計に見てみたいではないか。
「ま、変身なしでも今回取り逃がしてしまった怪人はしっかり捕まえてみせますから安心して下さい。奴は去り際に、明日も試食を漁るとか何とかご丁寧にほざいてやがりましたからね。明日、絶対にけりをつけてやりますよ」
永山はいつになく真剣な面持ちを作ると、得意げに決意表明をしてみせた。
こんな奴でも、少しくらいは地域を守るヒーローとしての自覚が心の隅に眠っているのだろうか……。
「あのクソジジイ。俺に怪我させておいてただで済むと思うなよ。偉そうにたくわえてた口髭引っこ抜いて、代わりにマジックでチョビ髭描いてやるからな。鼻の下洗って覚悟しとけよ。はっはははは!」
やはり、そんな考えは間違っても抱くべきではなかった。
とてもヒーローがするとは思えない言動により、わずかな期待はものの数秒で爆殺されてしまった。この男は、金の他には仕返しのことしか頭にないようである。
KTHに戻った美江は、『金成』で購入したおにぎりを片手に持ちながら、黒沢に事の次第を報告していた。
「ふーん。永山君が怪人を取り逃がすなんて珍しいね。おまけに怪我までしちゃって、本当にいい気味……コホン。本当に気の毒だったね」
黒沢はデスクワークをしつつ、どこかニヤニヤとしながら円卓の方を見た。
その視線の先では、非常に不機嫌そうな顔をした永山が丸イスにどっかりと座り込んでいる。
上半身には何も身に着けておらず、背中には曲がった湿布が何枚も貼られていた。
「咄嗟に受身をとったからこの程度の怪我で済みましたけど、これでも見た目よりダメージ大きいですからね。これは、立派な労災です。よって、特別手当は請求させていただきますから」
湿布だらけになってもなお、永山の頭には金のことしかないらしい。
ここまで筋金入りだと、もはや何も言えない。
「特別手当ってねえ。さっきあれだけの大ボラをぶっこいた人間が言えることかい? 本当なら、君はクビになってもおかしくない立場なんだよ。わかってる?」
「別に、俺のことをクビにしたければそうなさって下さってもかまいませんよ。でも、果たして黒沢さんは俺ほどの逸材をもう一度見つけ出すことができるでしょうか。甚だ疑問ですね。さ、黒沢さんが望むのであれば、どうぞ俺を今すぐクビにしちゃって下さい。そうしたら、ヒーロー不在によりこの地域の平和は乱れ、ヒーローにふさわしい逸材が見つからずに胃がキリキリと痛む毎日が貴方に訪れることとなるでしょう」
「ううっ」
痛いところをつかれた黒沢は、悔しそうにしながら左手で胃の辺りを押さえた。
この地域のヒーローは、物理的な暴力だけでなく言葉の暴力の方も達者であることを忘れてはいけない。
「そんなに胃が痛むなら、病院に行った方がいいと思いますけどね。黒沢さんが入院でもしてしばらく顔を合わせなくてよくなったら、こっちも清々しますから。いててて、やっぱりまだ背中が痛むな。おい、花咲」
「えっ」
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「悪いけどさ、腰のところに湿布貼ってくれねえか。さっきの質問料の一万円はチャラにしてやるからさ」
「チャラってねえ……」
永山の背中は既に湿布だらけであるが、どれも無理をして自分で貼りつけたものであるため、全て微妙に曲がっている。腰の部分にいたっては、ひんやりとしたところが患部に当たってすらいない。
「何で私がそんなことをしなくちゃいけないのよ」
「ほーう。人がせっかく一万円をチャラにしてやるって言ってやってるのに、そんな態度をとるのか。じゃあ、湿布はもういい。さっさと質問料の一万円を払え」
「質問にまともに答えてないくせして、よく言うわよ。どうしてあんたなんかに」
「お、また質問する気か? 累計質問料が一万二千円に増えるけど、いいんだな」
「わかったわよ。貼ればいいんでしょ、貼れば」
こいつのたちの悪い言い回しに付き合っていては、到底身が持たない。
言い返すのが面倒になった美江は、身近にあったおしぼりで手を拭いてから永山に近寄った。
「ほら、そこのテーブルに置いてある奴を痣になってるところに貼ってくれ。正確にな」
「偉そうに……」
あごでしゃくって指示をする永山に不満を持ちながら、美江は湿布を手に取り腰を見据えた。
「あーいてて。絶対に貼るところを間違うなよ」
「わ、わかってるわよ」
こいつ、馬鹿みたいな運動神経を持っているだけに、いい身体をしているではないか。
美江は口やかましい指示を聞いているうちに、ふと思った。
永山は並ではない身体能力を持っているだけに、非常に引き締まった身体をしている。やや細身であることもあり、服を着ている時は優男にしか見えないのだが、ここまでシャープな筋肉の持ち主であったとは……。
「おい。何ボーっとしてんだよ」
「えっ」
永山がいきなり鋭い眼光で睨んできたため、美江は目を見開きながら軽くのけぞった。
「べ、別にボーっとなんてしてないわよ。ただ、そう、腰ってどの辺かなって」
「腰は腰だ。見りゃあわかるだろ。ったく、いくら俺がいい身体してるからって発情してんじゃねえよ」
「は、は、発情っ!」
多少見とれてしまったことは百歩、いや、千歩譲って事実であったとしても、発情という表現はあんまりではないか!
この一言がきっかけで、美江の中で何かがプチッと音を立てて切れた。
「誰があんたなんかに発情するもんですか。このっ!」
「うぎゃあああ!」
美江は一喝すると、フィルムをはがした湿布を永山の目の辺りに思いきり貼りつけた。
永山は悲痛な叫び声を上げると、床に転がり悶え苦しんだ。
「目がっ……目がっ……しみる! いてててて! しかも臭えし!」
思いの外、その威力は高かったようである。屈指の強さを誇るヒーローは、湿布一枚で撃沈してしまった。
「永山君。女の子を怒らせたら恐いんだから、少しは気をつけないと。ぷっ……」
それを端から見ていた黒沢は「ざまあみろ」とでも言いたそうに不謹慎な笑みを浮かべていた。
「これは立派な傷害罪だ!慰謝料払え、慰謝料!」
「だったら、私もあんたのことを侮辱罪で訴えるわよ。あんたさ、私にどれくらい暴言を吐いてくれたっけ? さ、これでおあいこよ」
「うぐぐ……」
言葉でさらにねじ伏せられると、永山は湿布を引きはがしてからおとなしくなった。
下手な怪人が倒されるのを見るよりも、ある意味では爽快な光景である。
「悔しそうにしてるけど、そもそも君が怪人に負けたりしなかったら、こんなことにはならなかったんだからね。あきらめなよ。ぷぷっ……」
滅多に見られない永山が悶える姿に、黒沢はすっかり気分を良くしたらしい。やけにニコニコしながら、明るく語り始めた。
「大体、変身もしないで怪人を倒すのには限界ってものがあるんだよ。今回だって、油断しないで最初からKTシーバーを使って変身していれば、湿布のお世話にならないで済んだんじゃないのかい」
「え、へ、変身?」
今、間違いなく変身がどうこうとか言わなかったか。
特撮作品などには欠かせない「変身」というワードが耳に入るなり、美江は関心を向けた。
「黒沢さん。あいつ、ドラマに出てくるヒーローみたいに変身できたりするんですか」
「おい。人を指差すな」
美江に指を差された永山は、半身を起こしながら不快そうに顔をしかめた。
「うん。変身できるよ。KTシーバーに特定の番号を打てばすぐにね。でも、彼はヒーローになってから一度も変身したことないんだけどね」
「だから、指差さないで下さいってば」
黒沢はさらに、便乗するかのように永山に向かって指を差しながら説明をした。
「変身って……」
話を聞いた限り「変身」というのは何とかレンジャーだとか、何とかマンなどがよくやっている、ほんの数秒の間に光に包まれちゃったりなんかして、こじゃれた全身タイツみたいな格好になった後に異様なまでの強さを手にするという奴のことであると解釈して間違いないだろう。
話だけならどうにか飲み込むことができたが、現代の技術でそんなことができるのだろうか。もしできるのであれば……ぜひとも見てみたい。
「俺は嫌ですよ、変身なんて。あんな格好、頼まれたって絶対にしたくありません。たかが運動能力が三倍、耐久力が十倍程度の恩恵じゃあ、変身する価値もありませんよ」
待て待て待て。その性能だったら、充分に価値があり過ぎるだろうが。
美江は、永山の言葉に心の中でツッコミを入れた。
運動能力三倍って。耐久力十倍って。どういう次元の話なのだ。
「科学技術の結晶に向かって何てことを言ってくれるんだ。本部が開発した、あの変身スーツを君のように馬鹿みたいな身体能力を持っている人間が身につけたら、すごいことになるよ。怪人の連行率がますます上がって、地域の平和はもっと守られるようになるに違いないんだから。……僕の残業も減って、家庭の平和も守られるようになるに違いないし」
黒沢は力強く語るが、やたらと強調した前半部分よりも、後半の弱々しく付け足すように呟いた部分の方に情がよりこもっていたように聞こえたのは思い違いだろうか。
「だって、あのスーツのデザイン最悪じゃないですか。ダサいって言葉じゃ足りない代物ですよ、あれは。あれを着て外を出歩くくらいだったら、ショッカーの仮装をしてファッションショーに参加した方がマシですからね。あんなものはね、人間が着るものじゃありません。薪にくべて、暖をとるのにしか使えたもんじゃありませんよ」
何も、そこまで言わなくても。
変身という名目で身につけることになるという戦闘用スーツというものは、ただでさえきつい永山の口調を、さらに辛辣なものに変えてしまうほどひどい見てくれをしているのだろうか。だとしたら……余計に見てみたいではないか。
「ま、変身なしでも今回取り逃がしてしまった怪人はしっかり捕まえてみせますから安心して下さい。奴は去り際に、明日も試食を漁るとか何とかご丁寧にほざいてやがりましたからね。明日、絶対にけりをつけてやりますよ」
永山はいつになく真剣な面持ちを作ると、得意げに決意表明をしてみせた。
こんな奴でも、少しくらいは地域を守るヒーローとしての自覚が心の隅に眠っているのだろうか……。
「あのクソジジイ。俺に怪我させておいてただで済むと思うなよ。偉そうにたくわえてた口髭引っこ抜いて、代わりにマジックでチョビ髭描いてやるからな。鼻の下洗って覚悟しとけよ。はっはははは!」
やはり、そんな考えは間違っても抱くべきではなかった。
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