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コント『誘拐』
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男が車のハンドルを何度か左右に回す。
男「喉、乾かない?」
女「えっ?」
男「はい、お水。」
怪訝そうな顔で頷きながら受け取る女。
数秒後。
男「あっ、寒くない?暖房付けようか?」
女「…あっ、大丈夫です。」
恐縮そうに頭を下げる女。
女「…あのぅ?」
男「ん、どうしたの?やっぱり寒い?」
終始笑顔の男性に口を開く女。
女「私、誘拐されてるんですよね?」
男「うん、そうだよ~」
女「こっわ。」
窓に向かって小さく呟く女。
女「えっ、なんなん?これ、誘拐?手も縛られてないし、目隠しもされてない。なんやったら、めっちゃ誘拐犯の顔見えてるねんけど!どこ連れて行かれてんの?これ…でも、この笑顔の感じなら騒いだら無言でグサッ!と刺してきそう。…うん、ここは静かに耐えて、機会があれば逃げよう!うん、頑張れ私!負けるな私!そうよ、こんな目隠しも手も縛られてないなら…(以下、独り言継続)」
女が自分を鼓舞してる間に、男が扉を開けて降り、後ろから女側に回り、紙を落とし、扉を開ける。
男「着いたよ。」
女「うわっ、びっくりした!?えっ、着いた?」
男「うん、目的地に到着。」
にこやかに笑いながら、手を差し伸べる男の手を怯えながら握る女。
そのまま、手を繋ぎゆっくり袖に捌ける2人。
*
女「街灯もない暗い道を歩いてきたけど、もうすぐアジトなのかしら?」
男「着いたよ。」
女「…ここは?」
男「夜景が綺麗な場所。」
女「デートスポットみたいな所、連れて来られた!どういう事!?めっちゃ、丘みたいな所から街を一望出来てめちゃくちゃ良い景色なんやけど!…でも、めっちゃ綺麗やな…」
男が2、3歩離れ、女が景色に見とれてる間に、電話を掛ける動作をする。
男「もしもし…ふふ、そんなに慌てなくてもしっかり見えていますよ。…滑稽ですね、そんなに息をハァハァさせて。まだまだ、ここではそのお金は受け取りません。更に走って貰いますよ?駐車場にメモを置いたので急いで取りに往かないと風で飛ばされますよ?」
通話を終了させて、まだ景色を見て目をキラキラさせている女に近付く。
男「どう、綺麗な場所でしょう?是非、貴女に見せたくて。」
女「えっ?」
男「まぁ、貴女の美しさには叶いませんが。」
数秒の沈黙。
女「何これ!?デートしてんの?この人、誘拐中に私を落とそうとしてんの!?まぁ、誘拐中に逃げ出せへん私が言うことちゃうけど!」
男「そうだ!」
女「何!?このタイプが大声出すと恐怖が増すわぁ…」
男「お腹空かない?近くに良い店があるんだよ。」
女「そういえば、晩御飯まだやったわ…食事中ならトイレ行くとか言って逃げ出せるかも…えぇ、少しなら。」
男「なら、行こうか?」
男が強引に手を繋ぎ、2人で袖に捌ける。
*
白いクロスが引かれたテーブルに向かい合わせに座り、ナイフとフォークを動かす。
女「思ったより、ちゃんとした店やった…ホンマにデートやん。」
男「ここのフレンチが最高でね。」
女「めちゃくちゃ良い、フレンチのお店やった!」
男「ほら、この料理。」
女「これは…?」
男「白身魚のポワレだよ、ここの名物なんだ。」
ゆっくりと料理を口に運ぶ。
女「美味しい…」
男「でしょ?やっぱり、美味しいものって好きな人に教えたくなるよね?」
女「何なん、この人!?めちゃくちゃ口説いてくるやん!えっ、私、誘拐されてるよな?デートして告白されようとしてるわけじゃないよな?」
その時、辺りが薄暗くなりピアノの音が鳴り始める。
女「えっ、何々?」
左手にグラスを持って、目線の高さに掲げる動作をする男。
男「君と出逢った記念に、サプライズでケーキを頼んでみたんだ。あと、これ。」
テーブルの下から花束を取り出す男。
女「こんなん、イチコロやん!もう誘拐のドキドキか、恋のドキドキか分からんくなってくるやん!」
花束を見つめてる女を尻目に携帯を取り出し、電話を掛ける動作をする男。
男「もしもし。そのまま暗い状態で席を立ち、静かに店を出るんだ。勿論、金が入った鞄はテーブルの下に置いて気付かれないようにだ。ぐずぐずするな!」
男が通話を切り、数秒後、指を鳴らし、音楽が止み、照明が明るくなる。
男「喜んで貰えたみたいで良かった。あっ、その花は一旦預かって、ドライフラワーにして送るね。」
女「至れり尽くせりやん!なんなん、この人。」
男「さぁ、そろそろ…」
女「いよいよ、アジトに連れて行かれるんや。そして手足を縛られて交渉の材料に…」
男「帰ろうか。」
女「えっ…ん?ん?ん?」
男「家まで送るよ。」
女「どういう事、何が起こってるの!?」
男「本当は、帰したくないんだけどね。」
女「どういう気持ちなの、この感情はどうしたら良いの!?」
*
中央に女が立ち、袖から男が走ってくる。
男「社長!お嬢さんはご無事でしたか!?あぁ、良かった…」
男の姿を見て、目を見開く女。
女「えっ!?…お父さん、この人は?」
男「あぁ、申し遅れました。私、専務の○○です。」
女「専務!?えっ…えっ!?」
男「どうやら、だいぶ取り乱してるようですね。お嬢さん、誘拐されたと聞きましたが、何か覚えてる事はありますか?」
男が両手で女の肩を抱く。
女「ええっと…暗いところに連れて行かれて…あっ、何かフランス語を喋っていたような…」
男「何ですって!社長、これは買収しようとしている海外企業の仕業かもしれませんね!えぇ、えぇ…きっとそうです。」
数秒後、男がそっと周りにバレないように女に親指を突き立てる。
男「喉、乾かない?」
女「えっ?」
男「はい、お水。」
怪訝そうな顔で頷きながら受け取る女。
数秒後。
男「あっ、寒くない?暖房付けようか?」
女「…あっ、大丈夫です。」
恐縮そうに頭を下げる女。
女「…あのぅ?」
男「ん、どうしたの?やっぱり寒い?」
終始笑顔の男性に口を開く女。
女「私、誘拐されてるんですよね?」
男「うん、そうだよ~」
女「こっわ。」
窓に向かって小さく呟く女。
女「えっ、なんなん?これ、誘拐?手も縛られてないし、目隠しもされてない。なんやったら、めっちゃ誘拐犯の顔見えてるねんけど!どこ連れて行かれてんの?これ…でも、この笑顔の感じなら騒いだら無言でグサッ!と刺してきそう。…うん、ここは静かに耐えて、機会があれば逃げよう!うん、頑張れ私!負けるな私!そうよ、こんな目隠しも手も縛られてないなら…(以下、独り言継続)」
女が自分を鼓舞してる間に、男が扉を開けて降り、後ろから女側に回り、紙を落とし、扉を開ける。
男「着いたよ。」
女「うわっ、びっくりした!?えっ、着いた?」
男「うん、目的地に到着。」
にこやかに笑いながら、手を差し伸べる男の手を怯えながら握る女。
そのまま、手を繋ぎゆっくり袖に捌ける2人。
*
女「街灯もない暗い道を歩いてきたけど、もうすぐアジトなのかしら?」
男「着いたよ。」
女「…ここは?」
男「夜景が綺麗な場所。」
女「デートスポットみたいな所、連れて来られた!どういう事!?めっちゃ、丘みたいな所から街を一望出来てめちゃくちゃ良い景色なんやけど!…でも、めっちゃ綺麗やな…」
男が2、3歩離れ、女が景色に見とれてる間に、電話を掛ける動作をする。
男「もしもし…ふふ、そんなに慌てなくてもしっかり見えていますよ。…滑稽ですね、そんなに息をハァハァさせて。まだまだ、ここではそのお金は受け取りません。更に走って貰いますよ?駐車場にメモを置いたので急いで取りに往かないと風で飛ばされますよ?」
通話を終了させて、まだ景色を見て目をキラキラさせている女に近付く。
男「どう、綺麗な場所でしょう?是非、貴女に見せたくて。」
女「えっ?」
男「まぁ、貴女の美しさには叶いませんが。」
数秒の沈黙。
女「何これ!?デートしてんの?この人、誘拐中に私を落とそうとしてんの!?まぁ、誘拐中に逃げ出せへん私が言うことちゃうけど!」
男「そうだ!」
女「何!?このタイプが大声出すと恐怖が増すわぁ…」
男「お腹空かない?近くに良い店があるんだよ。」
女「そういえば、晩御飯まだやったわ…食事中ならトイレ行くとか言って逃げ出せるかも…えぇ、少しなら。」
男「なら、行こうか?」
男が強引に手を繋ぎ、2人で袖に捌ける。
*
白いクロスが引かれたテーブルに向かい合わせに座り、ナイフとフォークを動かす。
女「思ったより、ちゃんとした店やった…ホンマにデートやん。」
男「ここのフレンチが最高でね。」
女「めちゃくちゃ良い、フレンチのお店やった!」
男「ほら、この料理。」
女「これは…?」
男「白身魚のポワレだよ、ここの名物なんだ。」
ゆっくりと料理を口に運ぶ。
女「美味しい…」
男「でしょ?やっぱり、美味しいものって好きな人に教えたくなるよね?」
女「何なん、この人!?めちゃくちゃ口説いてくるやん!えっ、私、誘拐されてるよな?デートして告白されようとしてるわけじゃないよな?」
その時、辺りが薄暗くなりピアノの音が鳴り始める。
女「えっ、何々?」
左手にグラスを持って、目線の高さに掲げる動作をする男。
男「君と出逢った記念に、サプライズでケーキを頼んでみたんだ。あと、これ。」
テーブルの下から花束を取り出す男。
女「こんなん、イチコロやん!もう誘拐のドキドキか、恋のドキドキか分からんくなってくるやん!」
花束を見つめてる女を尻目に携帯を取り出し、電話を掛ける動作をする男。
男「もしもし。そのまま暗い状態で席を立ち、静かに店を出るんだ。勿論、金が入った鞄はテーブルの下に置いて気付かれないようにだ。ぐずぐずするな!」
男が通話を切り、数秒後、指を鳴らし、音楽が止み、照明が明るくなる。
男「喜んで貰えたみたいで良かった。あっ、その花は一旦預かって、ドライフラワーにして送るね。」
女「至れり尽くせりやん!なんなん、この人。」
男「さぁ、そろそろ…」
女「いよいよ、アジトに連れて行かれるんや。そして手足を縛られて交渉の材料に…」
男「帰ろうか。」
女「えっ…ん?ん?ん?」
男「家まで送るよ。」
女「どういう事、何が起こってるの!?」
男「本当は、帰したくないんだけどね。」
女「どういう気持ちなの、この感情はどうしたら良いの!?」
*
中央に女が立ち、袖から男が走ってくる。
男「社長!お嬢さんはご無事でしたか!?あぁ、良かった…」
男の姿を見て、目を見開く女。
女「えっ!?…お父さん、この人は?」
男「あぁ、申し遅れました。私、専務の○○です。」
女「専務!?えっ…えっ!?」
男「どうやら、だいぶ取り乱してるようですね。お嬢さん、誘拐されたと聞きましたが、何か覚えてる事はありますか?」
男が両手で女の肩を抱く。
女「ええっと…暗いところに連れて行かれて…あっ、何かフランス語を喋っていたような…」
男「何ですって!社長、これは買収しようとしている海外企業の仕業かもしれませんね!えぇ、えぇ…きっとそうです。」
数秒後、男がそっと周りにバレないように女に親指を突き立てる。
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