御伽の国

翔(しょう)の国編

第9話

3日目の朝事件が起きた。

「翔様、大変な事が起きました。」
「大変そうにも聞こえ無いけど…」
「姫様がまた倒れました。」
「ユズハが」
「はい、そろそろお国の事を詳しく教えて下さりません？姫様が心配です」
「なら薬貰ってくるよ」
「薬よりも姫様の事が優先です！」
「…、分かった。教える」
翔は黒羽なら倒れないと信じ、自分の国について話した。
最後まで話しても黒羽は倒れず、熱も意識も正常だった。
「倒れない…。」
「倒れない？とは」
「僕の話を聞いたら、倒れるって昔お母様に言われたから…」
「それは、女性特有では？」
「確かに。僕の話を聞いたユズハは、ここ何日間倒れてるし」
「人魚姫が何か知ってるかもしれませんね」
「人魚姫はもう居ないんだよ。何処でそれを聞くのさ」
「姫様の夢のなかで聴くのです。」
「会える確率が低いのに。」
「それでも、翔様の国を救う為に姫様は倒れても頑張っておられるのです！」
「ぇ…。休みも1週間与えたでしょ」
「その休みを勉強期間だと思い、頑張られているのです。だから手伝ってくれますよね？」
「良いよ。断っても聞かないんでしょ」
「はい！」
黒羽は、微笑むとまたユズハの所へ連れて行った。


「ぅ…、頭がっ」
本を開くと頭痛がして、勉強どころじゃなかった。
何故か翔の国を知るたびに、頭痛に襲われ体がだるくなった。
「合わないのかな…」
3日前と同じように、ベッドに入った。
そして、もう一度目を閉じた。

夢の中でまた人魚姫に会えた。

「人魚姫さん！」
「ユズハちゃん！何処行ってたの？心配したのよ？」
「ゴメンなさい、目覚めてしまったらしくて…」
「じゃあ、また探検できるの？」
「出来ますよ！今から、また起きるまで」
「そう？なら、行きましょう！」
ユズハはまた人魚姫と、海の探検をした。
魔女の洞窟の近くへ行ったり、王子の住むお城の近くに行ったり…。