御伽の国

翔(しょう)の国編

第14話

「全部終わったよ、帰ろう。」
「翔さん…？」
「おはよう、ユズハ。お祖母様に挨拶して帰ろう。」
「王子さんは…？」
「生きてるよ、大丈夫。」
「本当？」
「うん。」
「そう、なら良いけど…。私何の役にも立てなかったね」
「大丈夫、病気を治すために来たんだから役に立つも何も関係無いよ？」
「うん！」
「姫様、帰り支度は出来ましたか？」
「大丈夫だよ！」
「では、帰りましょうか」
「うん！」

お祖母様にも挨拶をして、ユズハ達は元の世界に帰った。

「そろそろユズハの体に異変が起こると思うよ」
「え？私の体に？」
「もうそんな時期ですか？」
「だって、そうじゃん。3人目の王子を助けたんだよ」
「そっか…、なら力も強くなってるって事だよね？」
「えぇ、そうです。」
「これで私は、女王として皆を守れるのかな？」
「それは、貴方次第です。」
「私次第？」
「元の世界に帰るか、ここで王子達を支えるか。」
「あっ…」
「ご自分の選択肢です。王子達を救う旅が終わり次第ご決断して下さい。」
「うん」

ユズハは考えていなかった。
違う世界から、黒羽に連れてこられた事。
国を救うたびに、王子を支えないといけない。そう思っていた。
でも、ユズハには帰るところがある。
もしかしたら、桐も両親も心配してるかもしれない。
ユズハが帰ったら、一体誰がこの国を守るのだろう？

「黒羽…。」
「何でしょう？」
「もし、私がここに残るって言ったら、私はどうなるの？」
「元の世界に帰れなくなります」
「元の…世界に…」
「ユズハ、ユズハは自由だよ。だから、選択肢を誤らないでね」
「翔さん…」
「行こう。皆が待ってる」
「うんっ」
2人の後を追った。


「ただいまー！」
「お帰り！」
1番に待っててくれたのは、波羅だった。
「波羅！ただいま！」
「お帰り！青樹の国はどうだった？」
「綺麗だったよ！他の国と同じようにね！」
ユズハは笑顔で答えた。