御伽の国

素うどん

文字の大きさ
61 / 125
燐夜(りんや)の国編

第8話

しおりを挟む
「ん…」
波羅が目を覚ますと、もうお昼を超えていた。
「ヤバ!今日だったよね!?」
慌てて着替え、燐夜の元へ向かうと燐夜が気付いて走って来た。
「何々!?」
般若のような形相で、こちらに来るので怯えた。
「お前のせいで、あの女と行く気が無くなった。何とかしろ」
「何その僕のせいだから、仲介しろみたいな投げやり方は!」
「お前のせいだからな!昼まで寝やがって」
「仕方ないでしょ!?起きれないんだもん!」
「林檎でも食ってろ!」
「ムグッ!?」
林檎を口に突っ込んだのは良いのだが、グイグイと押してくる。
「ー!!!」
燐夜の手を掴み離して、もう片方で林檎を口から出した。
「殺す気!?コレは白雪姫の持ってる毒林檎な訳!?」
「は?俺が朝一で…。いや、黒羽に頼んで買ってきてもらったやつだ!」
「そっか、ありがと」
俺が朝一での所を深く掘り下げたかったが、多分誤魔化すだろう。
「じゃいただくね?で、いつ国に行くのさ」
林檎を食べながら、燐夜に問う。
「今から行くぞ。白雪王子のせいで、予定が狂いまくった。あの女も連れて来い」
「林檎やるから、命令聞けって言われてるような気がする」
「まぁな、良く分かったな。」
「もう!僕は君の家来じゃないっての!」
「知ってるよ、そんな事くらい」
「ぇ…。あ。」
「いっ、良いから呼んで来い!」
背中を押されて、仕方なく歩き始めた。
さっきの返事に、モヤモヤする。
燐夜は心を開いてきてくれたのだろうか?

「ユズハー?」
あちこち探し回ると、噴水の近くの椅子に腰掛けていた。
「あ、ユズハ!今から燐夜の国に行こう!」
「嫌」
「え?何で?」
「また、こき使われるに決まってる。それに私の事嫌ってるもん」
「嫌って無いよ、接し方が分かんないだけ。」
ユズハの隣に座ると、波羅は説得を始めた。
「あ、林檎無くなっちゃった…」
「林檎?」
「うん。燐夜からの贈り物」
芯だけになった林檎を見つめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

処理中です...