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第一章 エルフの少女

84話 「戦いが終わって」

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ゴブリン軍が魔族軍撃退!大勝利!

なのだが内容は、前半絶好調!後半ボロボロ・・・特にスペクター戦は引き分けとも言って良い内容だった。

「ううー・・・」《魔力欠乏症って辛いんですね・・・気をつけます》
魔力欠乏症のイリスとエリカは激痛に怠さで寝込んでいた。
丸まってるエリカに丸まってるイリスが可愛いのだが・・・内容が酷い。

「こっちの方が柔らかくて良い」とイリスはエリカの羽の中で寝ている。
天然の最高級の羽毛布団だからね。

「ブリックリン・・・大丈夫なのかな?」
地龍王からの命令で別行動をしている地龍のブリックリンは現在行方不明だ。
天舞龍リールに拉致されてどこかに連れて行かれてしまった。

ガストンもロイも疲労困憊で寝込むほどでもないが動きが悪い。
魔力を使い果たしたのかシルフェリアも反応がない、
比較的元気なのはシルフィーナだけだ。

「しかしお主等は良くやってくれた師としても鼻が高いぞ」

「えへへへ」クレアに褒められて嬉しいイリスだった。
今回の戦争での最大の功労者は間違いなく龍騎士隊イリスだ。

「豊穣の祝福の儀も滞りなく終わったぞ。
ホワイト殿が各地を点検しているが問題なくほとんどの作物はこの地に根付いた」

「ほとんど?何か根付かなかった作物があったのですか?」

「うむ、ピーマンだけが弾かれてしもうた。
3回、お願いしても断固拒否されてしもうてなぁ・・・」

やっぱり土地神様が野菜が嫌いなだけなのでは?疑惑が深まるイリス。

「本当は宴を開きたいがこの有様ではのう。
魔族も余計な事をしてくれた物よの、それで負けたのだから救い様がない」

魔族に対してかなり厳しい目を向けているクレア、今回の事で魔族に対して激怒しているのだ。

食用油の取り引きで多少の繋がりがあった魔族とエルフだが関係完全断裂、戦争状態に突入したのだ。

しかしこれで鬼族の街で出来る事は全て終わったのだ。
少し寂しいけどラーデンブルクへ帰還する時が来たのだ。

それから一週間イリスとエリカの回復を待っていたらブリックリンが普通に空を飛んで帰って来た。

「天空城に連れて行かれてね・・・まぁ大丈夫だったよ」
と、なんだか煮え切らないブリックリン。

この数日間、やれ誓約書だの、過去の行いの反省文だの、身分証明書発行だの、安全飛行計画書だの、色々と書類を書かされたブリックリンだった。
ブリックリンが空を飛ぶ以上は管轄は天龍なんだそうな。

受けた傷の治療は天舞龍リールがスパッとしてくれた。

「「久しぶりじゃのう黒龍王よ」」天龍王アメデが笑いながら会いに来てくれた。

「「お久しぶりですアメデ様」」頭を下げるブリックリン。

「「・・・なんじゃ寂しいのう、突っかかってこぬのか?」」

「「うーん、前にあった強さへの焦燥感?が無くなった様です」」

「「うむ・・・お主も完全に龍種になったのだのう」」
昔の喧嘩友達がすっかりと落ち着いてしまって少し寂しい天龍王アメデだった。

それから少し手合わせもしてくれたが全然敵わなかった。

「「龍種になり潜在能力が上がった分の能力が追いついておらぬな。
それは鍛錬でしか補えぬ・・・修行のやり直しじゃな」」

「「はーはーはー・・・そうですねぇ全然ダメダメですね・・・ははは」」
悔しい!んブリックリンに打倒!天龍王アメデ!の目標が出来た。


「ってこんな事があったよ」と笑うブリックリン。

「天龍王アメデ様かぁ、会って見たいなぁ」
ブリックリンの膝の上に乗り、足をブラブラさせて甘えているイリス。

「今度、天空城に連れて行ってあげるよ」
そう言いながらイリスの頭をガシガシと撫でるブリックリン。

「うん!」嬉しそうに笑うイリスだった。


その頃エリカとクレアは・・・

《人化の法・・・ですか?》

「うむ、今回の様な事があった時、体が大きいと何かと不便であろう?
人に化けれれば搬送もし易くなろう」

《勿論、教えて頂きたいですけど、私に出来るでしょうか?》

「少し手間取るとは思うが可能じゃろう。
人間のイメージがちゃんとあるお主なら出来る様になる」

こうして「人化の法」をクレアから学ぶ事になったエリカ。
人間になったエリカがどんな姿になるのか楽しみだ。


そしていよいよ帰還の日が来た。
龍騎士隊イリスの任務はエルフ旅団の上空の制圧だ。

オーガロードのホワイトはこちらでの残り仕事を終えてからラーデンブルクへと向かうそうだ。

「女神様~」さめざめと泣くゴブリン達。

「うむ、皆も達者でな」もう女神様呼ばわりされるのを否定する事を諦めたクレア。

「この度は本当にお世話になりましてありがとうございました」
深々と頭を下げるゴブリンロードのドンゴさん。

戦場での烈迫の気迫はどこへやら同じ人物とは思えない優しい雰囲気だ。

「うむ、数年は収穫が安定せぬと思うが諦めず頑張るのだぞ」
豊穣の祝福の儀は作物の種を土地に適合させただけなので問答無用で豊作とはいかない、ここからはゴブリン達の頑張り次第だ。

「ええ!それはもう皆んな張り切ってますよ!
私もゴブリン料理店を復活させる為に頑張ります」
ドンゴさん本業は料理人で首長は副業なんだそうだ。

「うむ、開店したのならば食べに来るぞ、今から楽しみだ」

別れを惜しむゴブリン達を見て「何でこんな良い人達が酷い目に合わないといけないんだろう?」と改めて憤慨しているイリス。

人間に対する嫌悪感はガストンのおかげで大分薄まって来たがやっぱり全体的には人間が嫌いなったイリスだったのだ。

「出発!!」先頭のエルフの重装剣士の号令で動き出したエルフの旅団。

龍騎士隊イリスも上空に飛び立つ。

そして物語は新しい展開を迎える。





☆このお話しで序盤第一章は終わりました。
次の第二章は物語の肝になる大事な所なので10話20000字ほど書いて辻褄合わせをしてから投稿します^^

なので1週間ほど投稿が止まると思います^^)/よろしくお願いします。
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