113 / 296
テルディアス求婚騒動編
もやっ
しおりを挟む
今日も爽やかな朝の光が街中を照らし出す。
人々も起きだして、活動を始める。
静かな朝だった。
「とっとと出てけーーー!」
「ふにゃぁ」
そうでもなかった。
「まずは、そのお嬢様の動向を調べるわよ! そしてあの作戦を実行して…」
メリンダが張り切っている。
無理矢理化粧を施されたテルディアスは仏頂面だ。
「あ、誰か困ってる」
キーナが指さす方を見ると、女性が男に絡まれている。
「あらまあ」
がらの悪い男がその女性の手を取り、無理矢理連れて行こうとしている。
「行ってきなさい! 男共!」
メリンダが命令した。
((俺達って一体…))
メリンダの手下というわけではないのに、何故命令されなきゃならんのだ…。
そんな不条理を考えながら、サーガとテルディアスは女性と男に近づいていった。
「その汚い手を放しな」
サーガが声をかける。
「何だと? 誰に向かって物を言って…」
男の言葉が途切れた。
「そのお嬢さんが嫌がってんだろ」
半分渋々といった感じでサーガが言葉を続けるが、男の視線はサーガの後ろ。
見るからに機嫌の悪そうなテルディアスに向いている。
テルディアスの後ろに、(貴様のせいでやりたくもないことをやらにゃあならんだろ~~)という恨み節が見えてきそうである。
その殺気だったテルディアスに男が怯む。
「殺されるー!」
と叫びながら、あっという間に男が逃げていった。
「逃げんの早ぇな」
余程テルディアスが怖かったのだろう。
「大丈夫か? お嬢さん」
サーガが女性に向き合った。
しかし、その女性の視線もサーガの後ろ、テルディアスに向いていた。
「は、はい…」
仄かに顔を赤くして、サーガを押しのけ、テルディアスに迫る。
「あの、困っている所を助けて頂いてありがとうございます。あの…、お礼がしたいので、是非私の屋敷まで…」
見事にサーガの存在は女性の意識から放り出されたようだった。
サーガが「どーせ俺なんかさー!」といじける。
まあまあ、そのうちいい事あるよ…。多分。
テルディアスは女性に寄られて迷惑そうな顔。いつも通りだ。
メリンダは、いい金づるに当たったと、ほくそ笑んでいた。
テルディアスが(頑張って)女性の隣を歩く。
「私、アルティオーネ・ラディスティクと申します。僭越ながら、先日領主の地位をついだばかりでして…」
なんともご都合主義的展開ですけど、ご容赦ください。
あまりに丁度いい展開に、キーナもメリンダも目が点になる。
サーガ、暴漢役やらないですんで良かったね。
「じいやと一緒に買い物に来たのですが、はぐれてしまって…」
とそこへ、
「お嬢様――!!」
本当に丁度いいタイミングで、じいやが駆けつけてきた。
「じいや!」
「心配致しましたぞ! ご無事で良かった」
息を切らせながら、じいやさんがやってきた。
「じいや、困っていた所を、この方に助けて頂いて…」
「おお! それは是非屋敷へお越し頂いて…」
サーガがずっこけた。
「声かけたの俺なんだけど…」
テルディアスはサーガの後ろに立っていただけなのに…。
メリンダが薄く笑いながら、サーガの肩をポンと軽く叩いた。
立派なお屋敷に連れて来られ、おまけの方々、じゃなくて、テルディアス以外の人達はお好きにどうぞと、部屋に案内された。
立派なベッドに転がると、ふわふわで、思わず飛び跳ねたくなってくる。
「夕飯までご自由にって言われたけど…」
特にする事もない。
「することねーし、寝るかな~」
サーガが大欠伸。
「テルは~?」
「今頃お嬢様口説いてる頃でしょ。嫌々」
テルディアスだけ、お嬢様と話をする為に別行動をしている。
可哀相に。
「じゃ、僕お屋敷探検してくる~」
とキーナが意気揚々部屋から出て行った。
「んじゃ、俺達は一発…」
サーガの顔にメリンダの拳がめり込んだ。
広い屋敷は探検する為にある!
というよく分からない自説を説いて、キーナがお屋敷のあちこちを探検する。
廊下に飾ってある高そうな壺とか、うっすら開いている部屋を覗いて見たりだとか、キーナにかかればなんでもかんでも玩具になりそうだ。
「こっちはなんにゃ?」
と曲がり角からひょいと顔を出すと、そこはテラスになっていて、二つの人影。
傍目にはなんだかいい雰囲気の二人。
(お? こっちは現場だったか…)
と慌てて顔を引っ込める。
現場ってなんだ。
(テルうまくやってるのかな?)
こっそり顔を覗かせ、二人の様子を盗み見る。
主にお嬢様が話して、テルディアスが適当に相づちを打っているようだ。
(なんか…、いい雰囲気?)
傍目には、そう見える。
と、お嬢様が階段から足を踏み外した。
「きゃ」
テルディアスが腕を回し、抱き留める。その辺りは何というか、さすがだ。
(フオオオオオオ! 少女漫画的よくあるシチュエーション!)
思わぬ光景にキーナ物陰で興奮。
出歯亀か。
(テルって何気にそつなくそういうのこなすよね~。ビジュアル的にも悪くないしな~)
少女漫画でいう王子様的役がとてつもなく似合うのだろうけど、本人が聞いたらとてつもなく嫌な顔をするに違いない。
(あ~ゆ~のを絵になる人って言うんだろうな~)
とチラリと再び盗み見ると、
「!!」
二人が向かい合い、お嬢様が軽く顔を上げている。
そしてテルディアスの手がその顔にかかり…。
キーナ興奮して頭を引っ込める。
(こ、こ、こ、このシチュエーションは…! チュウ?!)
壁の向こうで行われているであろう事を想像し、キーナは膝を抱えて顔を赤くする。
いや、ゴミを取ってただけだったりするんだけどね…。
(うわ~! しちゃうんだしちゃうんだ! テルッてば大胆!!)
一人興奮するキーナ。
だからしてないっちゅーに。
そしてふと思う。
(誰とでもするのかしら?)
素朴な疑問。
その答えは、考えなくても分かる気もするが、キーナはとことんニブチンであった。
(僕とだって…事故だけど。すでに三回…人工呼吸だけど)
川で、温泉で、水の都で…。
全部人工呼吸だけども。
なんだかキーナ、もやっとしてきた。
何故かは分からないが。
(なんか…、気分悪! お部屋に戻ろ!)
スクッと立ち上がる。
もう一度チラリと二人の様子を見る。
なんだかとっっってもいい雰囲気に見えた。
ぶすっとして、そのまま足早に、キーナはスッタスッタと部屋に戻って行った。
バタンコ!
部屋の扉が乱暴に閉められる。
「あら、お帰りなさい…。キーナちゃん?」
暇を持て余したサーガと、簡単なカードゲームをしながら遊んでいたメリンダが振り返ると、そこには、なんだか異様な雰囲気のキーナ。
手持ちのとっておきの札を出したサーガも、その異様さに顔を上げる。
今までに見た事のない、キーナの暗いオーラ。
「キ、キーナちゃ…ん?」
声を掛けるのもなんだか憚られる。
キーナは返事もせず、スタスタと空いているもう一つのベッドにボフリと転がり、頭に枕を乗っけた。
(なんでこんな…。ムカムカするんだろ…)
そのままキーナは身じろぎしない。
怖くなったメリンダとサーガは、キーナに声を掛けないようにし、大人しくカードゲームを続けた。
「何かあったのかしら?」
「さあ?」
ボソボソとキーナに聞こえないように話す二人。
キーナは聞こえているのかいないのか、でも寝ている雰囲気でもなく、そのまま寝そべっていた。
しばらくすると、コンコンと部屋の戸が叩かれ、
「入るぞ」
とテルディアスが部屋に入ってきた。
その目に、のんびりとカードゲームに勤しむ二人を映し、
「暇そうだな…」
こっちはこんなに苦労してるのにと二人を睨み付ける。
だって暇なんだも~んと言い張る二人。
ベッドにうつ伏せに転がり、頭に枕を乗っけているキーナを見つけ、
「キーナはどうした?」
と聞くが、
「さあ?」
二人共よく分からないといった顔をする。
「さっき、突然帰って来たと思ったら」
「スタスタスタ、バタン!」
二人が身振り手振りで説明する。
だが、そんな説明ではよく分からない。
テルディアスがキーナに近寄り、
「キーナ?」
具合でも悪いのかと声を掛けるが、
ジロリ
枕の下からキーナが睨んだ。
ビクリとなるテルディアス。
そのまま、また枕をバフンと抱え、顔を隠してしまうキーナ。
冷や汗タラリ。
何があった?と二人に視線を向けるが、二人もよく分からないと首を振る。
よく分からないけれども、キーナの機嫌が珍しく悪いという事だけは分かった。
「ま、まあ、そのままでいいから、聞いておけ、キーナ」
テルディアス、恐る恐るベッドの端に座る。
「夕飯の後、俺は、あのお嬢様に案内して貰って、宝玉の所まで行く」
「まあ! あんたも婿候補になったわけ~?」
にやりとメリンダが笑う。
「されたみたいだ…」
憮然とした顔で言い放つテルディアス。
「だから、そのまま俺が宝玉を盗ってくる。夕飯を食べたら、いつでも逃げられるよう準備しておけ。分かったな?」
キーナが枕の下からそっと顔を出す。
夕飯を食べてテルディアスが宝玉を盗ってくれば、そのままここからトンズラだ。
「明日にしない? せめてこのふかふかのベッドで寝たい♡」
メリンダ体をくねらせる。
「あのなぁ…」
キーナが再び、枕の下に顔を隠す。
なんだかちょっぴりすっきりしたような感じがする。
よく分からないけれども。
枕を通して、メリンダとテルディアスの声が聞こえてきた。
「正体がバレたらまずいから、早めに発ちたいんだ!」
「何よー。乙女の体くらい労りなさいよ」
「乙女?」
バキ
最後の音は、テルディアスが殴られた音だろうか?
人々も起きだして、活動を始める。
静かな朝だった。
「とっとと出てけーーー!」
「ふにゃぁ」
そうでもなかった。
「まずは、そのお嬢様の動向を調べるわよ! そしてあの作戦を実行して…」
メリンダが張り切っている。
無理矢理化粧を施されたテルディアスは仏頂面だ。
「あ、誰か困ってる」
キーナが指さす方を見ると、女性が男に絡まれている。
「あらまあ」
がらの悪い男がその女性の手を取り、無理矢理連れて行こうとしている。
「行ってきなさい! 男共!」
メリンダが命令した。
((俺達って一体…))
メリンダの手下というわけではないのに、何故命令されなきゃならんのだ…。
そんな不条理を考えながら、サーガとテルディアスは女性と男に近づいていった。
「その汚い手を放しな」
サーガが声をかける。
「何だと? 誰に向かって物を言って…」
男の言葉が途切れた。
「そのお嬢さんが嫌がってんだろ」
半分渋々といった感じでサーガが言葉を続けるが、男の視線はサーガの後ろ。
見るからに機嫌の悪そうなテルディアスに向いている。
テルディアスの後ろに、(貴様のせいでやりたくもないことをやらにゃあならんだろ~~)という恨み節が見えてきそうである。
その殺気だったテルディアスに男が怯む。
「殺されるー!」
と叫びながら、あっという間に男が逃げていった。
「逃げんの早ぇな」
余程テルディアスが怖かったのだろう。
「大丈夫か? お嬢さん」
サーガが女性に向き合った。
しかし、その女性の視線もサーガの後ろ、テルディアスに向いていた。
「は、はい…」
仄かに顔を赤くして、サーガを押しのけ、テルディアスに迫る。
「あの、困っている所を助けて頂いてありがとうございます。あの…、お礼がしたいので、是非私の屋敷まで…」
見事にサーガの存在は女性の意識から放り出されたようだった。
サーガが「どーせ俺なんかさー!」といじける。
まあまあ、そのうちいい事あるよ…。多分。
テルディアスは女性に寄られて迷惑そうな顔。いつも通りだ。
メリンダは、いい金づるに当たったと、ほくそ笑んでいた。
テルディアスが(頑張って)女性の隣を歩く。
「私、アルティオーネ・ラディスティクと申します。僭越ながら、先日領主の地位をついだばかりでして…」
なんともご都合主義的展開ですけど、ご容赦ください。
あまりに丁度いい展開に、キーナもメリンダも目が点になる。
サーガ、暴漢役やらないですんで良かったね。
「じいやと一緒に買い物に来たのですが、はぐれてしまって…」
とそこへ、
「お嬢様――!!」
本当に丁度いいタイミングで、じいやが駆けつけてきた。
「じいや!」
「心配致しましたぞ! ご無事で良かった」
息を切らせながら、じいやさんがやってきた。
「じいや、困っていた所を、この方に助けて頂いて…」
「おお! それは是非屋敷へお越し頂いて…」
サーガがずっこけた。
「声かけたの俺なんだけど…」
テルディアスはサーガの後ろに立っていただけなのに…。
メリンダが薄く笑いながら、サーガの肩をポンと軽く叩いた。
立派なお屋敷に連れて来られ、おまけの方々、じゃなくて、テルディアス以外の人達はお好きにどうぞと、部屋に案内された。
立派なベッドに転がると、ふわふわで、思わず飛び跳ねたくなってくる。
「夕飯までご自由にって言われたけど…」
特にする事もない。
「することねーし、寝るかな~」
サーガが大欠伸。
「テルは~?」
「今頃お嬢様口説いてる頃でしょ。嫌々」
テルディアスだけ、お嬢様と話をする為に別行動をしている。
可哀相に。
「じゃ、僕お屋敷探検してくる~」
とキーナが意気揚々部屋から出て行った。
「んじゃ、俺達は一発…」
サーガの顔にメリンダの拳がめり込んだ。
広い屋敷は探検する為にある!
というよく分からない自説を説いて、キーナがお屋敷のあちこちを探検する。
廊下に飾ってある高そうな壺とか、うっすら開いている部屋を覗いて見たりだとか、キーナにかかればなんでもかんでも玩具になりそうだ。
「こっちはなんにゃ?」
と曲がり角からひょいと顔を出すと、そこはテラスになっていて、二つの人影。
傍目にはなんだかいい雰囲気の二人。
(お? こっちは現場だったか…)
と慌てて顔を引っ込める。
現場ってなんだ。
(テルうまくやってるのかな?)
こっそり顔を覗かせ、二人の様子を盗み見る。
主にお嬢様が話して、テルディアスが適当に相づちを打っているようだ。
(なんか…、いい雰囲気?)
傍目には、そう見える。
と、お嬢様が階段から足を踏み外した。
「きゃ」
テルディアスが腕を回し、抱き留める。その辺りは何というか、さすがだ。
(フオオオオオオ! 少女漫画的よくあるシチュエーション!)
思わぬ光景にキーナ物陰で興奮。
出歯亀か。
(テルって何気にそつなくそういうのこなすよね~。ビジュアル的にも悪くないしな~)
少女漫画でいう王子様的役がとてつもなく似合うのだろうけど、本人が聞いたらとてつもなく嫌な顔をするに違いない。
(あ~ゆ~のを絵になる人って言うんだろうな~)
とチラリと再び盗み見ると、
「!!」
二人が向かい合い、お嬢様が軽く顔を上げている。
そしてテルディアスの手がその顔にかかり…。
キーナ興奮して頭を引っ込める。
(こ、こ、こ、このシチュエーションは…! チュウ?!)
壁の向こうで行われているであろう事を想像し、キーナは膝を抱えて顔を赤くする。
いや、ゴミを取ってただけだったりするんだけどね…。
(うわ~! しちゃうんだしちゃうんだ! テルッてば大胆!!)
一人興奮するキーナ。
だからしてないっちゅーに。
そしてふと思う。
(誰とでもするのかしら?)
素朴な疑問。
その答えは、考えなくても分かる気もするが、キーナはとことんニブチンであった。
(僕とだって…事故だけど。すでに三回…人工呼吸だけど)
川で、温泉で、水の都で…。
全部人工呼吸だけども。
なんだかキーナ、もやっとしてきた。
何故かは分からないが。
(なんか…、気分悪! お部屋に戻ろ!)
スクッと立ち上がる。
もう一度チラリと二人の様子を見る。
なんだかとっっってもいい雰囲気に見えた。
ぶすっとして、そのまま足早に、キーナはスッタスッタと部屋に戻って行った。
バタンコ!
部屋の扉が乱暴に閉められる。
「あら、お帰りなさい…。キーナちゃん?」
暇を持て余したサーガと、簡単なカードゲームをしながら遊んでいたメリンダが振り返ると、そこには、なんだか異様な雰囲気のキーナ。
手持ちのとっておきの札を出したサーガも、その異様さに顔を上げる。
今までに見た事のない、キーナの暗いオーラ。
「キ、キーナちゃ…ん?」
声を掛けるのもなんだか憚られる。
キーナは返事もせず、スタスタと空いているもう一つのベッドにボフリと転がり、頭に枕を乗っけた。
(なんでこんな…。ムカムカするんだろ…)
そのままキーナは身じろぎしない。
怖くなったメリンダとサーガは、キーナに声を掛けないようにし、大人しくカードゲームを続けた。
「何かあったのかしら?」
「さあ?」
ボソボソとキーナに聞こえないように話す二人。
キーナは聞こえているのかいないのか、でも寝ている雰囲気でもなく、そのまま寝そべっていた。
しばらくすると、コンコンと部屋の戸が叩かれ、
「入るぞ」
とテルディアスが部屋に入ってきた。
その目に、のんびりとカードゲームに勤しむ二人を映し、
「暇そうだな…」
こっちはこんなに苦労してるのにと二人を睨み付ける。
だって暇なんだも~んと言い張る二人。
ベッドにうつ伏せに転がり、頭に枕を乗っけているキーナを見つけ、
「キーナはどうした?」
と聞くが、
「さあ?」
二人共よく分からないといった顔をする。
「さっき、突然帰って来たと思ったら」
「スタスタスタ、バタン!」
二人が身振り手振りで説明する。
だが、そんな説明ではよく分からない。
テルディアスがキーナに近寄り、
「キーナ?」
具合でも悪いのかと声を掛けるが、
ジロリ
枕の下からキーナが睨んだ。
ビクリとなるテルディアス。
そのまま、また枕をバフンと抱え、顔を隠してしまうキーナ。
冷や汗タラリ。
何があった?と二人に視線を向けるが、二人もよく分からないと首を振る。
よく分からないけれども、キーナの機嫌が珍しく悪いという事だけは分かった。
「ま、まあ、そのままでいいから、聞いておけ、キーナ」
テルディアス、恐る恐るベッドの端に座る。
「夕飯の後、俺は、あのお嬢様に案内して貰って、宝玉の所まで行く」
「まあ! あんたも婿候補になったわけ~?」
にやりとメリンダが笑う。
「されたみたいだ…」
憮然とした顔で言い放つテルディアス。
「だから、そのまま俺が宝玉を盗ってくる。夕飯を食べたら、いつでも逃げられるよう準備しておけ。分かったな?」
キーナが枕の下からそっと顔を出す。
夕飯を食べてテルディアスが宝玉を盗ってくれば、そのままここからトンズラだ。
「明日にしない? せめてこのふかふかのベッドで寝たい♡」
メリンダ体をくねらせる。
「あのなぁ…」
キーナが再び、枕の下に顔を隠す。
なんだかちょっぴりすっきりしたような感じがする。
よく分からないけれども。
枕を通して、メリンダとテルディアスの声が聞こえてきた。
「正体がバレたらまずいから、早めに発ちたいんだ!」
「何よー。乙女の体くらい労りなさいよ」
「乙女?」
バキ
最後の音は、テルディアスが殴られた音だろうか?
0
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる