131 / 296
光の宮再び
15歳のお祝い
しおりを挟む
「かわいい~キーナちゃん!」
「似合うわ~キーナちゃん!」
「素敵よ~キーナちゃん!」
「最高よ!キーナちゃん!」
とある街の、とある服屋で、ファッションショーよろしく、キーナが着せ替え人形のように次々に服を着替えていく。
その次々の服を持って来るのは、もちろんメリンダだ。
いい加減着替え疲れて来たキーナがメリンダ向かって、
「あのう、メリンダさん」
「なあに?」
「もう…いい?」
一体何着目の着替えを済ませたか。
脱いだり着たり脱いだり着たり脱いだり着たり…。
旅をするよりも疲れる気がする…。
メリンダは嬉しそうな顔を崩す事無く、少し考えていたが、
「あともう一着だけ…」
とキーナに服を押しつけた。
げんなりしたキーナは、本当に最後だと念を押し、もう一度更衣室に立てこもる。
今頃服屋の前で待っているサーガは、欠伸しているのだろうなと考えながら。
テルディアスは相も変わらず、待つ暇があるなら情報収集してくると、服屋の前でキーナ達と別れていた。
ついでに宿屋の手配もしてくれたようで、着替えがやっとこさ終わったキーナ達と合流し、とにかく今は体を休める事が優先と、みんなで宿屋へ向かう。
一階が食堂も兼ねている宿屋で、少し早いが夕飯を取る。
空いた席に座り、注文を取り、各々飲み物を飲んで喉を潤す。
「長かったな~」
喉の潤ったサーガが、感想を漏らした。
いくら女の買い物が長いと言っても、尋常な待ち時間ではなかった。
へばった顔のキーナが、
「ちかりたよう…」
と泣き言を漏らす。
何着着たのか、キーナも覚えていない。
「キーナちゃんが可愛過ぎちゃって…」
とメリンダが顔を赤らめる。
限度というものがあるでしょうが。
サーガが酒を追加して、会話も少し途切れた頃、キーナがふとテルディアスに質問した。
「そーいえばさあ、テル?」
「ん?」
食事時もフードを取らないテルディアス。
表情は読みにくいが、一応キチンと会話は聞いているらしい。
「僕がこの世界に来てから…というか、テルと出会ってからもうどれくらい経つ?」
「…そうだな」
テルディアスが考え込む。
そういえば、気付けばもう大分長い事一緒にいる。
「一年は過ぎてるか…」
時の流れは早いものだな、とテルディアスが感慨深げに口にすると、
「あー! やっぱしぃ!」
「なんだ?」
「僕、15歳になってるー!」
この世界に来た時14歳だったのだ。
誕生日がいつ過ぎ去ったのかは分からないけど、一年が経っているなら、確実に15歳にはなっている。
三人が驚きの表情で固まる。
「それはおめでたいわ! キーナちゃんも成人の仲間入りね!」
メリンダはとても喜んだ。
「えへへ~」
(向こうの世界だと違うけど…)
ちょっと複雑ながらも少し嬉しいキーナ。
(こいつが…成人…?)
軽く頭を抱えるテルディアス。
今後も苦労が増えそうだ。
「…見えないな」
サーガがぼそりと呟いた。
「お互い様だろ」
テルディアスもぼそりと呟いた。
二人の視線が交わり、火花が飛び散る。
食事しているというのに、殺気を振りまき出す二人。
迷惑な奴らだ。
「何かお祝いしないとね!」
「いいよ~、そんなにしなくても」
キーナとしては成人の実感などないし。
「でもせっかくなったんだから、何かないかしら?」
メリンダが考え込むと、サーガがデン!と手に持っていたグラスをテーブルに置いた。
「成人っつたらコレだろ。酒」
この世界でもお酒は大人になってから、みたいな決まりがあるらしい。
「お酒かあ…」
微妙に知らない大人の世界。
興味はあるけど手を出した事はなかった。未成年だしね。
「飲んでみる?」
「ちょびっとだけ」
「お姉さ~ん、酒もう一杯追加~」
サーガが給仕のお姉さんに酒を注文。
ほどなく、キーナの前に酒が並々とつがれたグラスが置かれた。
「じゃ、キーナちゃんの成人を祝して」
「カンパ~イ」
四人がグラスをカチンと合わせた。
「無理して飲まなくていいからね?」
「うん」
お酒が合う合わないということもある。
メリンダはとにかく一口から試してみろと言う。
ドキドキワクワクしながらも、グラスに注がれた黄色い液体を眺め、匂いを嗅いでみる。
(変な匂い…)
ジュースとは明らかに違う。当たり前だ。
勇気を出して、一口クピリと飲んでみる。
三人がその様子を見守った。
一口飲んで、固まったキーナ。
すぐに顔が赤くなった。
そしてバタリと、力なくテーブルに突っ伏してしまう。
「キーナちゃん!」
「ありゃりゃ…」
慌ててメリンダがキーナの肩を揺する。
「かっかっか。初めてじゃきついか?」
サーガがその様子を見て笑う。
「キーナちゃん、大丈夫?」
メリンダがキーナの背をさすっていると、
「う~い」
キーナが顔を上げた。
その顔は、明らかに酔っ払いの顔をしている。
「キーナちゃん?」
赤い顔、焦点の怪しい半目。
その目がメリンダを捕らえた。
「にゅ~?」
にへらと笑うと、
「わ~い! メリンダさんだ~」
と飛びついた。
「きゃ」
「メリンダさん好き好き~」
と伸び上がってメリンダの頬にキスをする。
あまりの嬉しさに体を震わせるメリンダ。
そのまま抱きついてイチャイチャ。
百合か。
「お~い…」
大衆の面前でそんなサービスシーンを提供するのもどうかと、一応サーガが注意を入れようとするが、聞く耳持ってないらしい。
そのうち、キーナの視線が、テルディアスを捕らえた。
再びにへらと笑うキーナ。
嫌な予感に身を引くテルディアス。
「テ~ル~!!」
案の定、飛びついてきた。
「ぎゃ――――!!」
ガタガターン!
と派手に音を上げて後ろに転げる二人。
「お約束ね」
メリンダもサーガも、こればかりは止めようがないと知らんふり。
床に転がりながらも、
「は、離れろ!」
「にゅ~ん、テル~ン」
と絡み合う二人。
「若い者は元気ですな~」
「ええ、ほんと」
と放って置く事を決めたメリンダとサーガは、静かに食事を再開する。
その時、くるりとキーナが振り向いた。
サーガとバッチリ目が合う。
この流れからすると…、
(つ、次はもしや、俺?!)
期待に胸膨らませ、さあいつでもかかって来なさいと身構えるが、その視線はすぐに外れ、あらぬ方向をぼんやり見据えた。
(俺…は?)
無視されるのも悲しいものがあるのだけど…。
サーガの心に北風が吹いた。
「そーら! 今ならアレができる!」
と片手を上げて堂々宣言するキーナ。
(アレ?)
(アレ?)
(アレ?)
アレとはなんぞやと三人が首を傾げていると、キーナが両手を胸の前でパン!と勢いよく合わせた。
そのまま両手を床につける。
それはとある有名な漫画の主人公がよくする行動であったのだけれど、著作権の問題もあるので言えません。
一言言うなら、作者も大ファンです!
と、キーナが手をつけた床から、何かがせり上がってきた。
錬成の光はありません。
いや、これは土がせり上がって来ているのか?
それはモグラのようにせり上がり、両手が生え、目と口と覚しき場所に、穴が現われた。
両手は緩やかなカーブを描き、S字のように頭と腰に添えてある。
キーナの2倍くらいの高さになったそれは、デデン!と場違いな食堂にそびえ立った。
<i378105|14575>
「にゃははははは!!」
何がおかしいのか笑い転げるキーナ。
呆気に取られる食堂の面々。
テルディアス達も他のお客達も、何が起こったのか分からず、誰も動けなかった。
「見て見て~! ハニワ~」
とキーナがそのハニワ?の真似をする。
「キ、キーナちゃん…?」
メリンダがそれは何かと問おうとすると、キーナが解説し始めた。
「これね~、凄いんだよ~! 腕を動かすと…」
というキーナの声と一緒に、ハニワの腕がグルグルと回転し始めた。
「風が起こる」
食堂に風が巻き起こった。
「ワー!」
「キャー!」
「ギャー!」
あちこちで人が飛ばされ、テーブルがひっくり返り、椅子が転がった。
腕の回転はすぐに収まり、風も収まる。
みんなアタフタとテーブルの影に逃げ込む。
「目からは水鉄砲」
キーナがそう言うと、ハニワの目と覚しき穴から、水の塊が発射された。
それは目の前に転がっていたサーガに命中する。
「ウギャー!」
それほど威力は無くとも、やはり痛い。
しかもずぶ濡れになる。
「口からは火炎放射」
キーナがそう言うと、口と覚しき穴から、炎が噴き出した。
それはやはり目の前に転がっていたサーガに向けられた。
「焼けるー!」
直前に被っていた水などすぐに蒸発してしまう。
「サーガ!」
慌ててメリンダが手を差し伸べた。
なんとかテーブルの裏に逃げ込む。
「ニャッシャッシャッシャッシャ」
さも可笑しそうに笑い転げるキーナ。
「た、たちの悪い酔っ払いだぞ!」
ちょっと髪の毛の焦げたサーガが叫ぶ。
「ど、どーにかしないと…」
オロオロするメリンダ。
「と、とにかく、キーナを押さえて部屋に…」
ここでは被害が大きくなる。
なんとか部屋に連れ込んで、酒気が抜けるまでどうにかしようと話がまとまる。
「キ、キーナちゃ~ん」
猫なで声でメリンダが立ち上がり、キーナに近づく。
「にょ?」
「そろそろお部屋に行きましょう?」
冷や汗混じりににっこり微笑む。
少しメリンダの顔を見つめていたキーナ。
メリンダの内心を見透かしたのか、ニタリと笑い。
「や」
と一言。
為す術もない。
その隙にキーナの後ろに回り込んだサーガが、キーナを押さえようと躍りかかる。
「捕まえ…た?」
手を伸ばしたはずの空間から、一瞬のうちにキーナの姿が消える。
どご!
「ぷごっ…」
素早くしゃがみ込んだキーナが、渾身の力を込め、足を振り上げたのだ。
それは丁度サーガの股間にめり込み…、サーガは全身を引きつらせたまま、行動不能に陥った。
「ニャッシャッシャッシャッシャ!」
その姿に腹を抱えて笑い出すキーナ。
食堂にいた全員が、サーガに同情した。
「キーナちゃん! お部屋へ行きましょう!」
このままではまずいと、メリンダが少し口調を厳しくする。
「にゅ?」
キーナが振り向き、にっこりと笑った。
「メリンダさ~ん」
と駆け寄ってくる。
ほっとするメリンダ。
ところがキーナは止まる事無く、メリンダの横を素早く駆け抜け、ついでにスカートに手を伸ばす。
「スカートめくり~」
「ギャー!!」
食堂の全員が目を見張った。
特に真後ろにいたおじさん連中は、幸せそうな顔をしていた…。
「キーナちゃん!!!」
恥ずかしさにぺたりと座り込んでしまうメリンダ。
「にゃっほっほ」
楽しそうに笑うキーナ。
(悪ガキ…)
テルディアスが仕方ないと立ち上がる。
「キーナ!」
強い口調でキーナを呼ぶ。
キーナが呆けた顔でテルディアスの顔を見つめた。
そしてヨロヨロヨタヨタとテルディアスに近づくと、マントを引っ張る。
「テリュゥ~」
「なんだ?」
「おんぶ」
その目はまるで、おんぶをしなきゃ悪戯するぞと言っているかのようだった。
大人しくなるならばとキーナを背負う。
嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らし…(猫か!)テルディアスの背中にひっつくキーナ。
「今のうちにっ!」
さっさと部屋に連れて行けと、メリンダが手で急かす。
「ああ…」
テルディアスも足早に部屋へと向かった。
後には、グチャグチャになった食堂、行動不能に陥ったサーガ、謎のハニワの置物が残された。
(さて、どうしよう…)
メリンダが頭を悩ませた。
部屋に入り、キーナをベッドに転がす。
「ニャッシャッシャッシャッシャ!」
と転がりながらバタバタと暴れるキーナ。
「大人しく寝ろ!」
「いや~ん」
テルディアスの恫喝にもめげず、ベッドをゴロゴロと転がる。
「キーナ!!」
テルディアスの荒げた声にビクッとなるキーナ。
すると、目に涙を浮かべ始めた。
女の涙に男は弱い。
キーナの涙と来れば、テルディアスは格段に弱い。
めそめそと泣き出すキーナ。
「キ、キーナ…」
泣きたいのはこっちだと肩を落とす。
「テリュ怒った~」
とベソベソと泣き続けるキーナ。
「お、怒ってないから…」
暴れられるのも困るが、泣かれるのも困る。
「本当?」
潤んだ瞳でテルディアスを見上げる。
「ああ」
「本当にホント?」
「ああ!」
だからさっさと寝てくれ!とテルディアスは祈るが、キーナはさっきの涙はどこに行ったのか、にへら~と笑い出す。
「んじゃあ」
とテルディアスの首に手を伸ばすと、素早くテルディアスの頬に、チュッと唇をつけた。
固まるテルディアス。
「にゃははははは! チューしちゃったぁ! にゃははははは…」
笑いの途中で、空気が抜けるかのように、キーナがベッドに身を預けた。
そのまま、静かに寝息を立てて、眠り始めた。
「は~…、片付けるの大変だったわよ…」
大きな溜息を吐きながら、メリンダが階段を上って来る。
「ま~、追い出されないだけましだろ」
行動不能から立ち直ったサーガが後に続く。
あれだけの騒ぎを起こしたのだ。追い出されても不思議はない。
「その代わりしっかり払わされたけどね!」
「しゃーねーだろ」
なんとかお金で話をつけられた。
これはありがたい話であろう。
部屋の扉を開ける。
「ん?」
目に飛び込んできたのは、突っ立ったままのフードを被った男。
「テルディアス?」
キーナを部屋に連れ込んでから、大分時間が経っているはずだ。
「あんた何してんのよ!」
ズカズカとテルディアスに近づくが、なんだかおかしな事に身じろぎしない。
「テルディアス?」
側に立っても無反応。
「ちょっと…」
と肩に手を置くと、その体がぐらりと揺れ、バタリと床に倒れ込んだ。
「テルディアスー?!」
サーガの手を借り、テルディアスをメリンダのベッドに乗せる。
意識はあるようだが、何かのショックでまだ動けないようだ。
「まったく、一体何があったんだか」
壁際に椅子を置き、サーガと話し合う。
「いやいや、姐さん、奴の事だから…」
「キスした?」
「触った?」
「もしかして最後まで…」
などと勝手に言い合う。
「アホな事言うな!」
あまりの言葉の羅列に、思わず身を起こして突っ込むテルディアス。
「じゃ、何があったか詳しく言ってみなさいよ」
その言葉に詰まるテルディアス。
先程の事を思い出し、顔を赤くする。
(からかいがいのある奴…)
なんて素直な反応を示すんだこいつは、と内心ちょっと呆れる二人だった。
「まあ、とりあえず、今回分かった事は、キーナに酒類は今後一切禁止!だな」
サーガの言葉に、二人共うんうんと大きく頷く。
そして、ちらりとキーナを見た。
「むにゃ」
安らかな寝息をたてて、キーナは幸せそうに眠っていた。
翌朝。
少し肩身の狭い思いをしながら食堂で朝食を食べていると、
「ねいねい」
キーナが三人に声をかけた。
「僕、いつベッドに入った?」
夕食後の記憶が一切抜けている。
その言葉に、三人は一様に何も言わず、目をそらせた。
「似合うわ~キーナちゃん!」
「素敵よ~キーナちゃん!」
「最高よ!キーナちゃん!」
とある街の、とある服屋で、ファッションショーよろしく、キーナが着せ替え人形のように次々に服を着替えていく。
その次々の服を持って来るのは、もちろんメリンダだ。
いい加減着替え疲れて来たキーナがメリンダ向かって、
「あのう、メリンダさん」
「なあに?」
「もう…いい?」
一体何着目の着替えを済ませたか。
脱いだり着たり脱いだり着たり脱いだり着たり…。
旅をするよりも疲れる気がする…。
メリンダは嬉しそうな顔を崩す事無く、少し考えていたが、
「あともう一着だけ…」
とキーナに服を押しつけた。
げんなりしたキーナは、本当に最後だと念を押し、もう一度更衣室に立てこもる。
今頃服屋の前で待っているサーガは、欠伸しているのだろうなと考えながら。
テルディアスは相も変わらず、待つ暇があるなら情報収集してくると、服屋の前でキーナ達と別れていた。
ついでに宿屋の手配もしてくれたようで、着替えがやっとこさ終わったキーナ達と合流し、とにかく今は体を休める事が優先と、みんなで宿屋へ向かう。
一階が食堂も兼ねている宿屋で、少し早いが夕飯を取る。
空いた席に座り、注文を取り、各々飲み物を飲んで喉を潤す。
「長かったな~」
喉の潤ったサーガが、感想を漏らした。
いくら女の買い物が長いと言っても、尋常な待ち時間ではなかった。
へばった顔のキーナが、
「ちかりたよう…」
と泣き言を漏らす。
何着着たのか、キーナも覚えていない。
「キーナちゃんが可愛過ぎちゃって…」
とメリンダが顔を赤らめる。
限度というものがあるでしょうが。
サーガが酒を追加して、会話も少し途切れた頃、キーナがふとテルディアスに質問した。
「そーいえばさあ、テル?」
「ん?」
食事時もフードを取らないテルディアス。
表情は読みにくいが、一応キチンと会話は聞いているらしい。
「僕がこの世界に来てから…というか、テルと出会ってからもうどれくらい経つ?」
「…そうだな」
テルディアスが考え込む。
そういえば、気付けばもう大分長い事一緒にいる。
「一年は過ぎてるか…」
時の流れは早いものだな、とテルディアスが感慨深げに口にすると、
「あー! やっぱしぃ!」
「なんだ?」
「僕、15歳になってるー!」
この世界に来た時14歳だったのだ。
誕生日がいつ過ぎ去ったのかは分からないけど、一年が経っているなら、確実に15歳にはなっている。
三人が驚きの表情で固まる。
「それはおめでたいわ! キーナちゃんも成人の仲間入りね!」
メリンダはとても喜んだ。
「えへへ~」
(向こうの世界だと違うけど…)
ちょっと複雑ながらも少し嬉しいキーナ。
(こいつが…成人…?)
軽く頭を抱えるテルディアス。
今後も苦労が増えそうだ。
「…見えないな」
サーガがぼそりと呟いた。
「お互い様だろ」
テルディアスもぼそりと呟いた。
二人の視線が交わり、火花が飛び散る。
食事しているというのに、殺気を振りまき出す二人。
迷惑な奴らだ。
「何かお祝いしないとね!」
「いいよ~、そんなにしなくても」
キーナとしては成人の実感などないし。
「でもせっかくなったんだから、何かないかしら?」
メリンダが考え込むと、サーガがデン!と手に持っていたグラスをテーブルに置いた。
「成人っつたらコレだろ。酒」
この世界でもお酒は大人になってから、みたいな決まりがあるらしい。
「お酒かあ…」
微妙に知らない大人の世界。
興味はあるけど手を出した事はなかった。未成年だしね。
「飲んでみる?」
「ちょびっとだけ」
「お姉さ~ん、酒もう一杯追加~」
サーガが給仕のお姉さんに酒を注文。
ほどなく、キーナの前に酒が並々とつがれたグラスが置かれた。
「じゃ、キーナちゃんの成人を祝して」
「カンパ~イ」
四人がグラスをカチンと合わせた。
「無理して飲まなくていいからね?」
「うん」
お酒が合う合わないということもある。
メリンダはとにかく一口から試してみろと言う。
ドキドキワクワクしながらも、グラスに注がれた黄色い液体を眺め、匂いを嗅いでみる。
(変な匂い…)
ジュースとは明らかに違う。当たり前だ。
勇気を出して、一口クピリと飲んでみる。
三人がその様子を見守った。
一口飲んで、固まったキーナ。
すぐに顔が赤くなった。
そしてバタリと、力なくテーブルに突っ伏してしまう。
「キーナちゃん!」
「ありゃりゃ…」
慌ててメリンダがキーナの肩を揺する。
「かっかっか。初めてじゃきついか?」
サーガがその様子を見て笑う。
「キーナちゃん、大丈夫?」
メリンダがキーナの背をさすっていると、
「う~い」
キーナが顔を上げた。
その顔は、明らかに酔っ払いの顔をしている。
「キーナちゃん?」
赤い顔、焦点の怪しい半目。
その目がメリンダを捕らえた。
「にゅ~?」
にへらと笑うと、
「わ~い! メリンダさんだ~」
と飛びついた。
「きゃ」
「メリンダさん好き好き~」
と伸び上がってメリンダの頬にキスをする。
あまりの嬉しさに体を震わせるメリンダ。
そのまま抱きついてイチャイチャ。
百合か。
「お~い…」
大衆の面前でそんなサービスシーンを提供するのもどうかと、一応サーガが注意を入れようとするが、聞く耳持ってないらしい。
そのうち、キーナの視線が、テルディアスを捕らえた。
再びにへらと笑うキーナ。
嫌な予感に身を引くテルディアス。
「テ~ル~!!」
案の定、飛びついてきた。
「ぎゃ――――!!」
ガタガターン!
と派手に音を上げて後ろに転げる二人。
「お約束ね」
メリンダもサーガも、こればかりは止めようがないと知らんふり。
床に転がりながらも、
「は、離れろ!」
「にゅ~ん、テル~ン」
と絡み合う二人。
「若い者は元気ですな~」
「ええ、ほんと」
と放って置く事を決めたメリンダとサーガは、静かに食事を再開する。
その時、くるりとキーナが振り向いた。
サーガとバッチリ目が合う。
この流れからすると…、
(つ、次はもしや、俺?!)
期待に胸膨らませ、さあいつでもかかって来なさいと身構えるが、その視線はすぐに外れ、あらぬ方向をぼんやり見据えた。
(俺…は?)
無視されるのも悲しいものがあるのだけど…。
サーガの心に北風が吹いた。
「そーら! 今ならアレができる!」
と片手を上げて堂々宣言するキーナ。
(アレ?)
(アレ?)
(アレ?)
アレとはなんぞやと三人が首を傾げていると、キーナが両手を胸の前でパン!と勢いよく合わせた。
そのまま両手を床につける。
それはとある有名な漫画の主人公がよくする行動であったのだけれど、著作権の問題もあるので言えません。
一言言うなら、作者も大ファンです!
と、キーナが手をつけた床から、何かがせり上がってきた。
錬成の光はありません。
いや、これは土がせり上がって来ているのか?
それはモグラのようにせり上がり、両手が生え、目と口と覚しき場所に、穴が現われた。
両手は緩やかなカーブを描き、S字のように頭と腰に添えてある。
キーナの2倍くらいの高さになったそれは、デデン!と場違いな食堂にそびえ立った。
<i378105|14575>
「にゃははははは!!」
何がおかしいのか笑い転げるキーナ。
呆気に取られる食堂の面々。
テルディアス達も他のお客達も、何が起こったのか分からず、誰も動けなかった。
「見て見て~! ハニワ~」
とキーナがそのハニワ?の真似をする。
「キ、キーナちゃん…?」
メリンダがそれは何かと問おうとすると、キーナが解説し始めた。
「これね~、凄いんだよ~! 腕を動かすと…」
というキーナの声と一緒に、ハニワの腕がグルグルと回転し始めた。
「風が起こる」
食堂に風が巻き起こった。
「ワー!」
「キャー!」
「ギャー!」
あちこちで人が飛ばされ、テーブルがひっくり返り、椅子が転がった。
腕の回転はすぐに収まり、風も収まる。
みんなアタフタとテーブルの影に逃げ込む。
「目からは水鉄砲」
キーナがそう言うと、ハニワの目と覚しき穴から、水の塊が発射された。
それは目の前に転がっていたサーガに命中する。
「ウギャー!」
それほど威力は無くとも、やはり痛い。
しかもずぶ濡れになる。
「口からは火炎放射」
キーナがそう言うと、口と覚しき穴から、炎が噴き出した。
それはやはり目の前に転がっていたサーガに向けられた。
「焼けるー!」
直前に被っていた水などすぐに蒸発してしまう。
「サーガ!」
慌ててメリンダが手を差し伸べた。
なんとかテーブルの裏に逃げ込む。
「ニャッシャッシャッシャッシャ」
さも可笑しそうに笑い転げるキーナ。
「た、たちの悪い酔っ払いだぞ!」
ちょっと髪の毛の焦げたサーガが叫ぶ。
「ど、どーにかしないと…」
オロオロするメリンダ。
「と、とにかく、キーナを押さえて部屋に…」
ここでは被害が大きくなる。
なんとか部屋に連れ込んで、酒気が抜けるまでどうにかしようと話がまとまる。
「キ、キーナちゃ~ん」
猫なで声でメリンダが立ち上がり、キーナに近づく。
「にょ?」
「そろそろお部屋に行きましょう?」
冷や汗混じりににっこり微笑む。
少しメリンダの顔を見つめていたキーナ。
メリンダの内心を見透かしたのか、ニタリと笑い。
「や」
と一言。
為す術もない。
その隙にキーナの後ろに回り込んだサーガが、キーナを押さえようと躍りかかる。
「捕まえ…た?」
手を伸ばしたはずの空間から、一瞬のうちにキーナの姿が消える。
どご!
「ぷごっ…」
素早くしゃがみ込んだキーナが、渾身の力を込め、足を振り上げたのだ。
それは丁度サーガの股間にめり込み…、サーガは全身を引きつらせたまま、行動不能に陥った。
「ニャッシャッシャッシャッシャ!」
その姿に腹を抱えて笑い出すキーナ。
食堂にいた全員が、サーガに同情した。
「キーナちゃん! お部屋へ行きましょう!」
このままではまずいと、メリンダが少し口調を厳しくする。
「にゅ?」
キーナが振り向き、にっこりと笑った。
「メリンダさ~ん」
と駆け寄ってくる。
ほっとするメリンダ。
ところがキーナは止まる事無く、メリンダの横を素早く駆け抜け、ついでにスカートに手を伸ばす。
「スカートめくり~」
「ギャー!!」
食堂の全員が目を見張った。
特に真後ろにいたおじさん連中は、幸せそうな顔をしていた…。
「キーナちゃん!!!」
恥ずかしさにぺたりと座り込んでしまうメリンダ。
「にゃっほっほ」
楽しそうに笑うキーナ。
(悪ガキ…)
テルディアスが仕方ないと立ち上がる。
「キーナ!」
強い口調でキーナを呼ぶ。
キーナが呆けた顔でテルディアスの顔を見つめた。
そしてヨロヨロヨタヨタとテルディアスに近づくと、マントを引っ張る。
「テリュゥ~」
「なんだ?」
「おんぶ」
その目はまるで、おんぶをしなきゃ悪戯するぞと言っているかのようだった。
大人しくなるならばとキーナを背負う。
嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らし…(猫か!)テルディアスの背中にひっつくキーナ。
「今のうちにっ!」
さっさと部屋に連れて行けと、メリンダが手で急かす。
「ああ…」
テルディアスも足早に部屋へと向かった。
後には、グチャグチャになった食堂、行動不能に陥ったサーガ、謎のハニワの置物が残された。
(さて、どうしよう…)
メリンダが頭を悩ませた。
部屋に入り、キーナをベッドに転がす。
「ニャッシャッシャッシャッシャ!」
と転がりながらバタバタと暴れるキーナ。
「大人しく寝ろ!」
「いや~ん」
テルディアスの恫喝にもめげず、ベッドをゴロゴロと転がる。
「キーナ!!」
テルディアスの荒げた声にビクッとなるキーナ。
すると、目に涙を浮かべ始めた。
女の涙に男は弱い。
キーナの涙と来れば、テルディアスは格段に弱い。
めそめそと泣き出すキーナ。
「キ、キーナ…」
泣きたいのはこっちだと肩を落とす。
「テリュ怒った~」
とベソベソと泣き続けるキーナ。
「お、怒ってないから…」
暴れられるのも困るが、泣かれるのも困る。
「本当?」
潤んだ瞳でテルディアスを見上げる。
「ああ」
「本当にホント?」
「ああ!」
だからさっさと寝てくれ!とテルディアスは祈るが、キーナはさっきの涙はどこに行ったのか、にへら~と笑い出す。
「んじゃあ」
とテルディアスの首に手を伸ばすと、素早くテルディアスの頬に、チュッと唇をつけた。
固まるテルディアス。
「にゃははははは! チューしちゃったぁ! にゃははははは…」
笑いの途中で、空気が抜けるかのように、キーナがベッドに身を預けた。
そのまま、静かに寝息を立てて、眠り始めた。
「は~…、片付けるの大変だったわよ…」
大きな溜息を吐きながら、メリンダが階段を上って来る。
「ま~、追い出されないだけましだろ」
行動不能から立ち直ったサーガが後に続く。
あれだけの騒ぎを起こしたのだ。追い出されても不思議はない。
「その代わりしっかり払わされたけどね!」
「しゃーねーだろ」
なんとかお金で話をつけられた。
これはありがたい話であろう。
部屋の扉を開ける。
「ん?」
目に飛び込んできたのは、突っ立ったままのフードを被った男。
「テルディアス?」
キーナを部屋に連れ込んでから、大分時間が経っているはずだ。
「あんた何してんのよ!」
ズカズカとテルディアスに近づくが、なんだかおかしな事に身じろぎしない。
「テルディアス?」
側に立っても無反応。
「ちょっと…」
と肩に手を置くと、その体がぐらりと揺れ、バタリと床に倒れ込んだ。
「テルディアスー?!」
サーガの手を借り、テルディアスをメリンダのベッドに乗せる。
意識はあるようだが、何かのショックでまだ動けないようだ。
「まったく、一体何があったんだか」
壁際に椅子を置き、サーガと話し合う。
「いやいや、姐さん、奴の事だから…」
「キスした?」
「触った?」
「もしかして最後まで…」
などと勝手に言い合う。
「アホな事言うな!」
あまりの言葉の羅列に、思わず身を起こして突っ込むテルディアス。
「じゃ、何があったか詳しく言ってみなさいよ」
その言葉に詰まるテルディアス。
先程の事を思い出し、顔を赤くする。
(からかいがいのある奴…)
なんて素直な反応を示すんだこいつは、と内心ちょっと呆れる二人だった。
「まあ、とりあえず、今回分かった事は、キーナに酒類は今後一切禁止!だな」
サーガの言葉に、二人共うんうんと大きく頷く。
そして、ちらりとキーナを見た。
「むにゃ」
安らかな寝息をたてて、キーナは幸せそうに眠っていた。
翌朝。
少し肩身の狭い思いをしながら食堂で朝食を食べていると、
「ねいねい」
キーナが三人に声をかけた。
「僕、いつベッドに入った?」
夕食後の記憶が一切抜けている。
その言葉に、三人は一様に何も言わず、目をそらせた。
0
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる