214 / 296
シゲール襲来編
回復薬?
しおりを挟む
「メリンダさん!!」
空間の亀裂が綺麗になくなると、解放されたキーナがそこへ向かって飛びかかる。しかしそこには何もない。
「メリンダさん! メリンダさん!!」
「落ち着けキーナ!」
取り乱すキーナをテルディアスが宥める。
「テル…! メリンダさんが…メリンダさんが…僕の代わりに…!」
メリンダの叫び声を聞いて、それは薄々感づいていたテルディアス。言葉無くキーナの肩を掴むしか出来ない。
空間に逃げられたなら、それを追えるのは闇の者だけだ。
「闇の宮に戻ろう。俺達だけじゃどうしようも出来ない」
サーガが悔しそうに呟く。
キーナもそれが一番早いと判断したのか、落ち着きを多少は取り戻し、さっさと荷物をまとめた。
そしてサーガが風の結界を張り、来た道を急いで戻って行ったのだった。
陽が完全に暮れる前に闇の宮へ到着した一行は、何があったのかと出て来たルイスに、中の街までは行かず、入り口の建物の応接間で事情を説明した。
話しを聞いてルイスの顔が険しくなった。
「俺があの時気付いてりゃ良かったな…」
キーナが「闇の宮に来る時に襲って来たあの男だ」という言葉を聞き、ルイスはその男は「シゲール」というのだと言った。
「ちょっと…、女の扱いが乱暴な奴でな…」
その言葉を聞き、キーナでさえメリンダがどういう風な目に遭わされるのかがなんとなく分かった。なんとなく。
「どうにか奴の所へ行く事は出来ないか?」
サーガが少し焦った風に尋ねる。
その問いに、ルイスが腕を組んだ。
「亜空間てのも実は1つじゃなくて無数に存在してるんだ。泡を想像してくれたら分かりやすいかな? 俺達の今いる世界が1つの大きな泡。その周りに無数の小さな泡がある。それは同じ所にあるんじゃなくて、移動したりするんだ。だから、何か手掛かりがないとその空間を探し当てるのは難しい」
「手掛かりか…。あるかも」
あるんかい。
ツッコミは置いといて、サーガがチラリとキーナを見てから話し出す。
「ブルゴイっつー山の周りで女が攫われる事件が頻発してるらしい。まあ、しばらくしたら帰ってくるというか、その山の辺りで発見されるらしいんだが…」
サーガが濁した言葉の意味を理解したルイスの顔がますます険しくなる。
「あいつ…まだそんなことを…」
口調からすると、ルイスはシゲールの事を知っているようだ。しかもあまり良くは思っていなさそうだ。
「分かった。俺が行こう。あいつも結構上位の奴だからな。俺じゃなきゃ無理だろう」
ルイスが腰を上げ、出かけることを伝えるためにと1度街へと飛んだ。
「場所は? 何処なの?」
こちらも険しい顔をしたままのキーナが、サーガに尋ねる。
「詳しい場所までは…。北の方にあるとだけ」
世界はもう、夜の闇が広まっている。
メリンダと最後に食事を共にしたあの村の酒場に駆け込んで、詳細な山の場所を聞くが、「北の方」という事しか知らなかった。
近くの村や街の場所を教えてもらい、急いで村を出る。
既に陽は落ち、真っ暗である。もちろんであるが、道々に街灯なんぞというものはない。
そしてこういう時に限って曇り空。星明かりも月明かりもない、まさに真っ暗だ。
「このまま進むのは難しいと思うが」
魔法で明かりを灯し進もうとするキーナとそれを先導するサーガ。それを止めたのはルイスだった。
同意するかのようにダンが頭を縦に振っている。
テルディアスもその考えに同意なのか、足を止めている。
「んなこた分かってる。だが休んでられるかよ」
「そうだよ」
先を急ぎたい二人。気持ちは痛い程に分かるが、光が全くない中、魔法の光だけで寝ずに進行するのは無理がある。
道を間違えるかも知れないし、魔力が尽きる恐れもある。
「戦う前から疲れてたらいざって時に動けねーぜ?」
ルイスの冷静なツッコミに、唇を噛むサーガ。そんなことはサーガもよく分かっている。しかし逸る気持ちが休むという選択をさせない。
「でも、メリンダさんが…」
「キーナ。場所も分からずウロウロしても余計に時間を食うだけだぞ」
テルディアスもキーナを宥める。
テルディアスとて場所が分かれば強引に行こうとしたかもしれないが、「北」ということしか分かっていない。闇雲に探したところでこの真っ暗な中見つけ出すことは難しい。
何よりキーナに無理をさせたくない。
二人は理解はしたものの納得はしていないという風ではあったが、休むことにしたのだった。
ダンの作った簡易携行食と簡単なスープを食べ、体を休める一行。
今日はダンの野宿部屋はさすがに作らないようだ。
しかしいつもなら「おやすみなさい」の3秒で就寝するキーナも、気が昂ぶっているのか眠れない様子である。
サーガも燃える焚き火を見つめたまま、険しい顔をしている。
その横でダンが何やら作っていた。そして出来上がったのか、それをコップに注ぎ込む。
そしてそれをずいっとサーガの目の前に差し出した。
「ん」
飲め、ということらしい。
「なんだよこれ」
怪しい飲み物を目の前に差し出され、警戒するサーガ。当然だ。
色は抹茶のような真緑。しかし臭いはそれほど悪くない。
押しつけられ、手にしてしまったサーガ。怪しすぎるそれを飲み干すのは勇気がいる。
「魔力、体力回復薬」
ダンが喋った。
「は?」
「え?」
サーガとキーナが驚いた声を出す。テルディアスとルイスもダンの顔を凝視する。
キーナは元の世界のゲームを思い出していた。そう、ゲームにはポーションと呼ばれる万能体力回復薬があった。それを飲めばどんな重症者もあら不思議、たちどころに回復するというまさに夢のような魔法の薬。
この世界には魔法はあれど、そんな都合の良い回復薬などなく、怪我をしたら魔法で治すか、自然治癒、はたまた薬草や医療に詳しいものの力を借りるしかない。もちろんだが高度な医療技術などはない。
それを差し置いても、魔力回復薬というものは今までに見かけたことがなかった。余程の知識や繊細な技術が必要で希少で市場に出回っていないだけなのか、それとも開発されていないだけなのか、一度も目にしたこともないし聞いた事がない。
それを、目の前のダンが「作った」と言う。
皆サーガの手元を凝視していた。本当ならば凄いことである。
「本当に、回復するんだな?」
ダンが頷く。
実際サーガは風の結界を張ってあちこち移動しまくっていたのもあり、魔力が心許ないとは考えていた所だ。明日からの行動を考えても魔力は回復しておきたい。もちろん体力も。
ダンの腕はここ数日一緒に過ごしていたこともあり、心配はないと思っている。しかし…。
真緑の液体を前に、サーガは躊躇する。臭いは変ではない。というか美味しそうな匂いである。
「ええい、ままよ!」
意を決してサーガはそれを一気に飲み込んだ。
それを見ていたキーナ、テルディアス、ルイス。飲み干したサーガの様子を凝視している。
「あ、結構美味いかも…」
そう言った途端、サーガの手からコップが滑り落ち、ドタリ!と音を立ててサーガが倒れた。
「サーガ?!」
慌てるキーナ。しかしダンがすぐにサーガの体を楽になるように横たえ、布団を掛けてやった。そんな物まで持ってきてたのか。
サーガは気持ちよさそうにクースカ寝息を立てている。
ダンが口元に人差し指を当てた。静に寝かせてやれ、ということらしい。
「え? 回復、薬?」
「強力睡眠薬なんじゃ…?」
ルイスとテルディアスがダンを見る。しかしダンは顔を横にフルフルと振る。
「回復、休む必要。睡眠薬も入ってる。その他に滋養強壮諸々。起きたらスッキリする」
回復させるにはつまり休むのが一番、ということらしい。その他にも体に良いものが詰め込まれているので起きたら今まで以上に元気にスッキリしているはず、と。
ポーションのように都合の良い回復薬では無かったようだ。
そして、もう一つのコップをキーナにずずいっと差し出した。
「・・・」
「・・・」
無言の会話。
「飲むの?」
コクリとダンが頷く。
この中では一番体力に心配があるキーナ。それに夜は子供は寝る時間。
受け取るまで手を引っ込めないと感じたキーナは、渋々それを受け取る。
「それを飲んで休め、キーナ。いざという時にお前が必要になるかもしれん」
テルディアスの説得に、渋々頷いたキーナ。キーナも寝なければいけないことは分かっている。気分としてはとても眠れたものではないが。
「ん。分かった…」
キーナもコップの中身を飲み干した。仄かに甘みがあって口当たりもまろやか。確かに美味い。
これなら何杯でもいけるかも。と考えながら、キーナも眠りに落ちた。
「俺はいらないよ?」
「俺もいらん。見張りをしなければならん」
二人は辞退した。
ダンもそれは承知していたのか頷く。
汚れたコップや鍋を片付けて、3人交代で見張りをしたのだった。
空間の亀裂が綺麗になくなると、解放されたキーナがそこへ向かって飛びかかる。しかしそこには何もない。
「メリンダさん! メリンダさん!!」
「落ち着けキーナ!」
取り乱すキーナをテルディアスが宥める。
「テル…! メリンダさんが…メリンダさんが…僕の代わりに…!」
メリンダの叫び声を聞いて、それは薄々感づいていたテルディアス。言葉無くキーナの肩を掴むしか出来ない。
空間に逃げられたなら、それを追えるのは闇の者だけだ。
「闇の宮に戻ろう。俺達だけじゃどうしようも出来ない」
サーガが悔しそうに呟く。
キーナもそれが一番早いと判断したのか、落ち着きを多少は取り戻し、さっさと荷物をまとめた。
そしてサーガが風の結界を張り、来た道を急いで戻って行ったのだった。
陽が完全に暮れる前に闇の宮へ到着した一行は、何があったのかと出て来たルイスに、中の街までは行かず、入り口の建物の応接間で事情を説明した。
話しを聞いてルイスの顔が険しくなった。
「俺があの時気付いてりゃ良かったな…」
キーナが「闇の宮に来る時に襲って来たあの男だ」という言葉を聞き、ルイスはその男は「シゲール」というのだと言った。
「ちょっと…、女の扱いが乱暴な奴でな…」
その言葉を聞き、キーナでさえメリンダがどういう風な目に遭わされるのかがなんとなく分かった。なんとなく。
「どうにか奴の所へ行く事は出来ないか?」
サーガが少し焦った風に尋ねる。
その問いに、ルイスが腕を組んだ。
「亜空間てのも実は1つじゃなくて無数に存在してるんだ。泡を想像してくれたら分かりやすいかな? 俺達の今いる世界が1つの大きな泡。その周りに無数の小さな泡がある。それは同じ所にあるんじゃなくて、移動したりするんだ。だから、何か手掛かりがないとその空間を探し当てるのは難しい」
「手掛かりか…。あるかも」
あるんかい。
ツッコミは置いといて、サーガがチラリとキーナを見てから話し出す。
「ブルゴイっつー山の周りで女が攫われる事件が頻発してるらしい。まあ、しばらくしたら帰ってくるというか、その山の辺りで発見されるらしいんだが…」
サーガが濁した言葉の意味を理解したルイスの顔がますます険しくなる。
「あいつ…まだそんなことを…」
口調からすると、ルイスはシゲールの事を知っているようだ。しかもあまり良くは思っていなさそうだ。
「分かった。俺が行こう。あいつも結構上位の奴だからな。俺じゃなきゃ無理だろう」
ルイスが腰を上げ、出かけることを伝えるためにと1度街へと飛んだ。
「場所は? 何処なの?」
こちらも険しい顔をしたままのキーナが、サーガに尋ねる。
「詳しい場所までは…。北の方にあるとだけ」
世界はもう、夜の闇が広まっている。
メリンダと最後に食事を共にしたあの村の酒場に駆け込んで、詳細な山の場所を聞くが、「北の方」という事しか知らなかった。
近くの村や街の場所を教えてもらい、急いで村を出る。
既に陽は落ち、真っ暗である。もちろんであるが、道々に街灯なんぞというものはない。
そしてこういう時に限って曇り空。星明かりも月明かりもない、まさに真っ暗だ。
「このまま進むのは難しいと思うが」
魔法で明かりを灯し進もうとするキーナとそれを先導するサーガ。それを止めたのはルイスだった。
同意するかのようにダンが頭を縦に振っている。
テルディアスもその考えに同意なのか、足を止めている。
「んなこた分かってる。だが休んでられるかよ」
「そうだよ」
先を急ぎたい二人。気持ちは痛い程に分かるが、光が全くない中、魔法の光だけで寝ずに進行するのは無理がある。
道を間違えるかも知れないし、魔力が尽きる恐れもある。
「戦う前から疲れてたらいざって時に動けねーぜ?」
ルイスの冷静なツッコミに、唇を噛むサーガ。そんなことはサーガもよく分かっている。しかし逸る気持ちが休むという選択をさせない。
「でも、メリンダさんが…」
「キーナ。場所も分からずウロウロしても余計に時間を食うだけだぞ」
テルディアスもキーナを宥める。
テルディアスとて場所が分かれば強引に行こうとしたかもしれないが、「北」ということしか分かっていない。闇雲に探したところでこの真っ暗な中見つけ出すことは難しい。
何よりキーナに無理をさせたくない。
二人は理解はしたものの納得はしていないという風ではあったが、休むことにしたのだった。
ダンの作った簡易携行食と簡単なスープを食べ、体を休める一行。
今日はダンの野宿部屋はさすがに作らないようだ。
しかしいつもなら「おやすみなさい」の3秒で就寝するキーナも、気が昂ぶっているのか眠れない様子である。
サーガも燃える焚き火を見つめたまま、険しい顔をしている。
その横でダンが何やら作っていた。そして出来上がったのか、それをコップに注ぎ込む。
そしてそれをずいっとサーガの目の前に差し出した。
「ん」
飲め、ということらしい。
「なんだよこれ」
怪しい飲み物を目の前に差し出され、警戒するサーガ。当然だ。
色は抹茶のような真緑。しかし臭いはそれほど悪くない。
押しつけられ、手にしてしまったサーガ。怪しすぎるそれを飲み干すのは勇気がいる。
「魔力、体力回復薬」
ダンが喋った。
「は?」
「え?」
サーガとキーナが驚いた声を出す。テルディアスとルイスもダンの顔を凝視する。
キーナは元の世界のゲームを思い出していた。そう、ゲームにはポーションと呼ばれる万能体力回復薬があった。それを飲めばどんな重症者もあら不思議、たちどころに回復するというまさに夢のような魔法の薬。
この世界には魔法はあれど、そんな都合の良い回復薬などなく、怪我をしたら魔法で治すか、自然治癒、はたまた薬草や医療に詳しいものの力を借りるしかない。もちろんだが高度な医療技術などはない。
それを差し置いても、魔力回復薬というものは今までに見かけたことがなかった。余程の知識や繊細な技術が必要で希少で市場に出回っていないだけなのか、それとも開発されていないだけなのか、一度も目にしたこともないし聞いた事がない。
それを、目の前のダンが「作った」と言う。
皆サーガの手元を凝視していた。本当ならば凄いことである。
「本当に、回復するんだな?」
ダンが頷く。
実際サーガは風の結界を張ってあちこち移動しまくっていたのもあり、魔力が心許ないとは考えていた所だ。明日からの行動を考えても魔力は回復しておきたい。もちろん体力も。
ダンの腕はここ数日一緒に過ごしていたこともあり、心配はないと思っている。しかし…。
真緑の液体を前に、サーガは躊躇する。臭いは変ではない。というか美味しそうな匂いである。
「ええい、ままよ!」
意を決してサーガはそれを一気に飲み込んだ。
それを見ていたキーナ、テルディアス、ルイス。飲み干したサーガの様子を凝視している。
「あ、結構美味いかも…」
そう言った途端、サーガの手からコップが滑り落ち、ドタリ!と音を立ててサーガが倒れた。
「サーガ?!」
慌てるキーナ。しかしダンがすぐにサーガの体を楽になるように横たえ、布団を掛けてやった。そんな物まで持ってきてたのか。
サーガは気持ちよさそうにクースカ寝息を立てている。
ダンが口元に人差し指を当てた。静に寝かせてやれ、ということらしい。
「え? 回復、薬?」
「強力睡眠薬なんじゃ…?」
ルイスとテルディアスがダンを見る。しかしダンは顔を横にフルフルと振る。
「回復、休む必要。睡眠薬も入ってる。その他に滋養強壮諸々。起きたらスッキリする」
回復させるにはつまり休むのが一番、ということらしい。その他にも体に良いものが詰め込まれているので起きたら今まで以上に元気にスッキリしているはず、と。
ポーションのように都合の良い回復薬では無かったようだ。
そして、もう一つのコップをキーナにずずいっと差し出した。
「・・・」
「・・・」
無言の会話。
「飲むの?」
コクリとダンが頷く。
この中では一番体力に心配があるキーナ。それに夜は子供は寝る時間。
受け取るまで手を引っ込めないと感じたキーナは、渋々それを受け取る。
「それを飲んで休め、キーナ。いざという時にお前が必要になるかもしれん」
テルディアスの説得に、渋々頷いたキーナ。キーナも寝なければいけないことは分かっている。気分としてはとても眠れたものではないが。
「ん。分かった…」
キーナもコップの中身を飲み干した。仄かに甘みがあって口当たりもまろやか。確かに美味い。
これなら何杯でもいけるかも。と考えながら、キーナも眠りに落ちた。
「俺はいらないよ?」
「俺もいらん。見張りをしなければならん」
二人は辞退した。
ダンもそれは承知していたのか頷く。
汚れたコップや鍋を片付けて、3人交代で見張りをしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる